もう借金を返済しきれなくて、自己破産を考えています。でも、毎月の返済のやり繰りで、預金も底をついてしまいました。
お金がないから自己破産したいのに、自己破産の費用なんてとても準備できません…
自己破産の手続には費用がかかりますが、すぐにまとまったお金を用意しなければいけないわけではありませんよ!分割払いにできる法律事務所もあるんです。
自己破産では、裁判所での手続に20万円以上かかることもあります。
また、弁護士などの専門家に依頼すれば、専門家に支払う報酬もかかるでしょう。
しかし、手元にまとまったお金がないからといって、自己破産の手続ができないわけではありません。
そもそも自己破産は、お金がない人のための手続です。無理なく支払うことができるように、「裁判所での費用と弁護士費用」を数ヵ月かけて積み立てればOK、という法律事務所も多いのです。
この記事を読んでわかること
- 自己破産の概要
- 自己破産にかかる費用
- 費用が支払えない場合の対策
ここを押さえればOK!
自己破産の手続には費用がかかり、特に「予納金」が高額になりがちです。
自己破産の手続は大きく「管財事件」と「同時廃止」に分かれ、管財事件では破産管財人の報酬が必要になります。
弁護士に依頼する場合、弁護士費用もかかりますが、弁護士がつくことで自己破産の申立てのために必要な作業に関するストレスの軽減や、専門家ならではのサポートが期待できます。
一般的に弁護士費用は数十万円単位でかかることが多いため、分割払いに応じてくれる法律事務所を選ぶとよいでしょう。
また、費用が支払えない場合には、法テラスの立替制度が利用できる場合もあります。
自己破産を検討している場合、まずは無料相談を活用しましょう。法律事務所などでは初回相談が無料であることも多く、専門家から方針等について直接アドバイスを受けることができます。無料相談を利用する際には、自分の経済状況や借金の詳細を整理しておくと、より具体的なアドバイスが得られるでしょう。
債務整理に関するご相談は何度でも無料!

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意
国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
自己破産とは?
はじめに、簡単に自己破産についてご説明します。
(1)自己破産の概要
自己破産とは、債務者(借金などの負債を抱えた人)の収入や財産からは負債を支払うことができなくなってしまった場合に、裁判所から「免責許可決定」が出れば、原則すべての負債の支払いが免除される手続です。
ただし、税金や養育費など、一部の負債は免除されないためご注意ください。
また、一定の財産は、債権者への配当などのために、手放さなければならない可能性があります。

ちなみに、「破産」制度の目的について、破産法第1条は次のように定めています。
この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
引用:破産法1条
(2)自己破産が生活再建に役立つ理由
破産法の目的の1つに、債務者の生活の再建があります。
そして、裁判所での自己破産の手続を始めるための条件の1つに、債務者が「支払不能」であること(破産法第15条1項)、というものがあります。
支払不能とは、法律上は次のように定義されています。
債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
引用:破産法第2条11項
「一般的」とは、すべての債務について、約束どおりに支払えないということです。
「継続的」とは、支払うことができない状態が一時的なものではなく、持続していることを言います。
たとえば、「今は返済できないけど、来週ボーナスが入ってくれば全ての借金を完済できる」という場合は「継続的」とは言いにくいでしょう。
支払不能かどうかは、負債の総額や債務者の財産、収入などの事情から総合的に判断されます。
つまり、支払不能になってしまった人を助けるための制度が、自己破産なのです。
自己破産の手続にかかる費用とは?

自己破産は、裁判所から免責許可決定を獲得するのがゴールであり、裁判所での手続には費用がかかります。
また、裁判所への申立ての準備やサポートを弁護士に依頼すれば、弁護士費用もかかります。
それぞれにどのような費用がかかるのか、説明します。
(1)裁判所での手続きにかかる費用
裁判所での手続にかかる費用のなかでも特に高額なりがちなのが、「予納金」です。
申立てをする裁判所やケースなどによって変わってきますが、数十万円単位でかかることがあります。
次に、「予納金」と「その他の諸費用」に分けてご説明します。
(1-1)予納金:「破産管財人」が選ばれた場合
自己破産の手続の進め方は、大きく「管財事件」と「同時廃止」の2つに分かれます。

裁判所が「破産管財人」を選任して、債務者の財産の調査や債権者への配当、負債を抱えるに至った事情の調査などをさせる「管財事件」が原則となっています。
たとえば、次のような場合には、一般的に管財事件となります。
- 配当すべき財産がある場合
- 裁判所が免責許可決定を出さない可能性のある「免責不許可事由」があって、詳細な調査が必要な場合 など
管財事件の流れについてはこちらの記事をご覧ください。
管財事件となった場合、破産管財人の報酬が必要です。
そのため、裁判所に自己破産の申立てを行った際に、「引継予納金」を納めなければなりません。
一方、弁護士に自己破産を依頼していて、配当に充てるべき財産や、免責不許可事由のないことが明らかな場合などに、裁判所が「破産管財人を選任しなくてよい」と判断すると同時廃止となります。
※同時廃止となった場合には、破産管財人が選ばれないため「引継予納金」は必要なく、結果として管財事件よりも手続にかかる費用が安くなります。
同時廃止について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
同時廃止の手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【コラム】裁判所によっては、予納金が安くなる?「少額管財」「特定管財」とは
東京地裁など、一部の裁判所では、管財事件をさらに次の2つに分けています。
• 少額管財…そこまで複雑でないケース向けの手続
• 特定管財…債権者が多い、負債が高額であるなど、複雑なケース向けの手続
(※裁判所によって、名称が異なる場合があります。また、すべての裁判所が管財事件を2つに分けているわけではありません。)
個人の方が弁護士に自己破産を依頼すると、原則として少額管財となります。
弁護士がついている場合は、弁護士がついていない場合よりも破産管財人の負担が軽いことが多いです。そのため、少額管財になることが多いのです。
東京地裁における少額管財の場合、予納金は、通常20万円です。
一方、特定管財(通常管財)は、極めて複雑な案件や調査事項が多い場合の手続です。
弁護士に自己破産の手続を依頼しない場合、破産管財人の負担が重くなりがちなので、特定管財となる可能性が高まります。
また、特定管財となると、少額管財の場合よりも予納金が数十万円高くなるおそれがあります。
(1-2)その他の諸費用
破産管財人のための予納金だけでなく、裁判所への申立てのための費用や、手続に伴い発生する実費も、裁判所に納める必要があります。
裁判所に納めるべき費用は、たとえば次のようなものです。
- 収入印紙代(申立手数料):1,500円
- 郵便切手代:数千円~
※申立てを行う裁判所や事案(債権者数など)により、郵便切手代は変動します。 - 官報広告費 1万数千円が目安
※事案により異なります。
(2)弁護士に依頼する際の費用
次に、弁護士に自己破産を依頼した際、どのくらいの費用がかかるかを説明します。
(2-1)弁護士に自己破産を依頼するメリット
自己破産の手続は、制度上は債務者自身で行うことも可能です。
しかし、申立てを行うまでの間、すでに返済ができなくなっている状況で債権者と自身でやり取りなどをせねばならず、相当なストレスになることが懸念されます。
また、裁判所への申立ての際には、支払不能であることなどを示す書類を提出しなければなりません。
しかし、普段の仕事や生活の合間にこれらの書面をきちんと準備することは大変です。
一方、弁護士に自己破産を依頼すれば、貸金業者は正当な理由なく債務者に直接連絡や取立てなどをすることができなくなるため、ストレスを軽減できる可能性があります。
また、弁護士に依頼しても自力で作成・収集しなければならない書類もありますが(家計簿や通帳の写しなど)、記入ミスや収集漏れが起こらないように、サポートを受けられます。
また、弁護士は裁判所での手続において「代理人」となり、裁判所や管財人との面接でも、基本的に、弁護士に同席してもらえるため、安心して臨むことができます。
裁判所での手続や管財人との面接では、「どうしてこんな浪費をしてしまったのか」など、厳しい質問を受けることもあります。
ご自身では精いっぱいお金のやり繰りをしていたつもりでも、このような厳しい質問を受けると答えに窮してしまう方も少なくありません。
そんな時、一人で裁判所に行くのではなく、自分が依頼した弁護士が付いてきていると、それだけで安心できることもあります。
安心して自己破産の手続きを進めるためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。
(2-2)弁護士費用の相場
それでは、自己破産の弁護士費用はどのくらいかかるのでしょうか。
(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準によると、自己破産の着手金は非事業者であれば20万円以上、事業者であれば50万円以上とされています。
また、無事に免責許可決定が出た場合の成功報酬金も、着手金に準ずるとされています。
この基準は2004年4月1日に廃止されていますが、それ以降も多くの法律事務所や弁護士が報酬を設定する際の目安にしています。
目安があるとはいえ、弁護士費用の設定方法は法律事務所ごとにまちまちです。
管財事件になる見込みが高い事案の場合には、同時廃止よりも着手金が高くなるところもあります。
いずれにしても、弁護士費用は数十万円単位でかかることが少なくないため、料金体系が不明瞭な法律事務所は避けるようにしましょう。

自己破産の費用をどうやって支払う?
自己破産における裁判所の費用や弁護士費用は、あわせて数十万円単位になるのが通常です。
さらに、管財事件の場合、予納金だけでも20万円以上かかってきます。
しかし、自己破産を検討されている方の多くは、このようなまとまったお金が手元にないことが多いのではないでしょうか。
そこで、自己破産の費用が支払えない場合に取り得る手段についてご説明します。
(1)分割払いに応じてくれる弁護士を選ぶ
弁護士費用については、分割払いに応じている法律事務所も少なくありません。
また、そのような法律事務所では、進行が管財事件の見通しである案件では「弁護士費用+予納金のためのお金」を数ヵ月間で積み立てる運用となっているところが多いようです。
先ほど述べたように、弁護士に自己破産を依頼すると貸金業者は正当な理由なく債務者への取立てができなくなります。返済をストップして、今まで返済に充てていたお金を積み立てていくイメージです。
なお、弁護士に依頼したあとで債権者に返済をしてしまうと、「偏頗弁済」(へんぱ-べんさい、不公平な弁済)となって手続に差支えが生じる可能性があります。
くれぐれも返済しないよう、ご注意ください。
「偏頗弁済」のリスクについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)法テラスの立替制度を利用する
毎月数万円ずつの分割払いも厳しい場合には、法テラスでの立替制度を利用できないか確認してみましょう。
法テラスでは、一定の条件を満たす人には、予納金を含む裁判所の費用と弁護士費用を立替払いする「民事法律扶助制度」を設けています。
資力や収入の乏しい人が法的サービスを利用できない事態を防ぐためです。
基本的には法テラスが立替払いを行い、依頼者は法テラスに対して毎月一定額を分割払いすることになります。
資力など、この制度を利用できるかどうかの条件は、地域ごとに異なるため、詳しくはお近くの法テラスにお問い合わせください。
(3)司法書士と弁護士の費用比較
弁護士ではなく司法書士に、自己破産の書類作成を依頼するという方法もあります。
司法書士への費用は、弁護士に比べて低いことが一般的です。
もっとも、司法書士の場合、地方裁判所での手続において代理人になれません。そのため、裁判所とのやり取りは債務者が自力で行わねばならないという制約や代理人がいないため予納金が高額になる可能性があること等には注意が必要です。
(4)まずは無料相談を活用しよう!
自己破産を検討しているが、費用が心配な方にとって、無料相談は非常に有益な手段です。法律事務所や司法書士事務所では、初回相談は無料であることも多いようです。
これにより、自己破産の手続や費用について専門家から直接アドバイスを受けることができます。
無料相談を利用する際は、事前に自分の経済状況や借金の詳細を整理しておくと、より具体的なアドバイスを得やすくなるでしょう。
なお、法テラスの提供する無料相談が利用できる場合もあります。
まずは無料相談を活用することで、自己破産に関する疑問や不安を解消でき、最適な解決策が見つかるかもしれません。
【まとめ】まとまったお金がなくても自己破産できる可能性はある
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 自己破産は、支払不能に陥った人のための制度
- 裁判所での費用と、弁護士に依頼した場合の弁護士費用がかかるため、総額は基本的に数十万円に及ぶ
- 手続をスムーズに進められるように、弁護士に依頼することがおすすめ
- 「裁判所での費用+弁護士費用の分割払い」に応じている法律事務所も多く、法テラスでの立替払いを利用できる可能性もある
手元にまとまったお金がなくても、自己破産の手続を諦める必要はありません。
借金をこのまま放っておいても、利息や遅延損害金が増える一方です。
今手元にある数万円は、返済期日を乗り切るためではなく、自己破産をして生活再建の第一歩を踏み出すために使いませんか?
アディーレ法律事務所でも、弁護士費用の分割払いが可能です。
また、アディーレ法律事務所では、万が一免責不許可となってしまった場合、当該手続にあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2025年2月時点)。
自己破産を検討している方は、自己破産を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
