退職するつもりはないのですが、退職金の見込額が多額の場合、自己破産をするとどうなりますか?
退職をしなくても、破産申立て時における退職金の見込額は破産者の財産と判断されます。そして、自己破産される方が所有する財産のうち、破産申立時に退職金(ここでは退職金の見込額)を含めて所持している現金が99万円を超えていた場合、99万円を超過した部分の現金は一般的に処分の対象となるため、それぞれのお借入先へ分配されることになります。
ただし、将来本当に退職金を受け取ることができるかどうかは確実とは言い切れないため、退職金の見込額の8分の1が破産者の財産であるとする裁判所がほとんどです。たとえば東京地方裁判所の場合、退職金(または退職金の見込額)の8分の1の金額が20万円を超えると、少額管財手続が選択されます。そのうえで、退職をしないで(=会社に在籍したまま)自己破産をする場合は、退職金見込額の8分の1にあたる金額を破産管財人(破産者の財産などを調査する人)へ納めることで、退職金の処分を回避できます。
ちなみに、各裁判所によってその名称は異なりますが、たとえば東京地方裁判所の場合、自己破産の手続には、少額管財(原則)と同時廃止(例外)という2つの手続があります。少額管財と同時廃止のどちらになるかは、裁判所により判断されます。少額管財手続について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。