「もうすぐ離婚後の共同親権が認められるようになるらしいけど、そうなったら養育費はもらえなくなるの?」
そのような疑問や不安を抱えている方も多いようですが、結論から言えば、離婚後の共同親権の導入により、養育費の支払義務がなくなることはありません。
むしろ、離婚後は子どもと離れて暮らすことになった親が負う養育費の支払義務は、強化される方向です。
現在離婚を検討中で、適切な金額の養育費を受け取れるのかについてお悩みの場合は、離婚前から養育費についての知識を蓄えておくことをおすすめします。
ここを押さえればOK!
共同親権が導入されても、養育費の支払義務はなくなりません。今回の改正により、養育費の取り決めをせず協議離婚した場合に、法定養育費を請求できるようになりました。そのため、養育費の支払いを拒否されても、調停は必須ではなくなります。
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共同親権とは?
日本でももうすぐ離婚後の共同親権が導入されることが決まり、ニュースなどでも共同親権について取り上げられることが多くなりました。
そこで、まずは共同親権について簡単に解説します。
(1)共同親権の概要
共同親権とは、子どもの親権を両親が共同で持つ制度のことです。
両親が結婚している間は両親がその間に生まれた子どもの親権を共同して親権を行使しますが、日本ではこれまで、離婚後の共同親権は認められていませんでした。
つまり、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、両親のどちらかを親権者と定めなければならない単独親権が採用されています。
しかし、世界的には、離婚後も共同親権を認めることが多数派となっています。
そして、日本でも離婚後の共同親権が導入されることが決まりました。
(2)日本でも導入が決まった離婚後の共同親権
2024年5月17日、離婚後の共同親権を可能とする改正民法が可決・成立しました。
同月24日に公布されたこの改正民法は、公布の日から起算して2年以内に施行される予定です。
つまり、この改正民法の施行後は、共同親権か単独親権かを基本的には自由に選べるようになります。
共同親権の導入で養育費はどうなる?
では、離婚後の共同親権が導入されたあと、それを選択した場合には、養育費の支払義務はなくなるのでしょうか。
養育費は、親権者となって子どもと一緒に暮らす親が、親権者とならなかった親から受け取ることが一般的であるため、このように誤解している方もいるようです。
しかし、冒頭で述べたように、離婚後も共同親権を選択したからといって養育費の支払義務がなくなることはありません。養育費の支払義務は、親権の有無にかかわらず親である以上負うものだからです。
むしろ、この法改正により、養育費の支払義務は従来よりも強化されています。
たとえば、今回の改正により、養育費の取り決めをせず協議離婚した場合に、法定養育費を請求できるようになりました。そのため、養育費の支払いを拒否されても、調停は必須ではなくなります。
とはいえ、養育費を支払う側も養育費の額に納得したほうが、自主的な支払いを期待できる面はありますし、後述する「養育費算定表」のほうが法定養育費より高いケースも考えられます。
したがって、改正法施行後も、調停の利用を検討すべき場合はあるでしょう。
養育費未払いへの対処法とは?
では、現在離婚に向けて話合いをしている場合や、離婚後の養育費の未払いに悩んでいる場合の対処法をご紹介します。
(1)話合いがまとまれば公正証書に
養育費の支払いについて両親の話合いがまとまった場合、その合意内容を公証人が作成する公文書である公正証書にすることをおすすめします。
強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくことによって、養育費の未払いが発生した場合には、裁判手続きを経ずに強制執行(差押え)をすることが可能となるからです。
公正証書には、養育費の金額、支払い方法、支払い期間などの具体的な条件を明記します。
(2)裁判所での手続を利用する
養育費の支払いについて話し合いがまとまらない場合、裁判所での手続きを利用することができます。家庭裁判所に調停を申し立てることで、第三者である調停委員が間に入り、両親の意見を調整しながら合意を目指します。
離婚前であれば離婚調停を申し立て、離婚条件の一つとして養育費について話し合うことになります。
離婚後であれば、養育費請求調停を申し立て、養育費について話し合います。
調停が成立すれば、その内容は調停調書に記載され、法的な効力を持ちます。
調停が不成立の場合は、審判手続に進み、裁判官が養育費の額や支払方法を決定します。審判で決定された内容は審判書に記載され、これも法的な効力を持ちます。
調停調書や審判書があれば、すみやかに差押えの手続に移行することが可能です。
(3)最終的には差押え
養育費について公正証書を作成していた場合や、調停や審判での取り決めがある場合にもかかわらず、養育費の支払いが滞ったのであれば、最終手段として給料などを差し押さえることになるでしょう。
なお、調停や審判で養育費について取り決めた場合には、家庭裁判所による履行勧告・履行命令の制度も利用できますが、実効性に乏しく、あまり利用されていないのが実情です。
しかし、履行勧告・履行命令は手続に費用もかからず、手続自体も簡単というメリットがあるため、差押えに移行する前に利用を検討してみるとよい場合もあるでしょう。
2025年10月1日から公正証書の作成がデジタル化されます!
公正証書の作成手続は、2025年10月1日からデジタル化されます。これにより、利用者にとって大きく利便性が向上することになりました。 この改正により、公正証書の原本は紙からPDFの電子データへと移行し、公証役場の専用システムに保管されるようになります。
また、対面で印鑑証明書等による本人確認が必要だった申込も、来所不要で、電子署名などで電子的に申込ができるようになります。
同じく対面が必要だった作成手続も、本人が希望して公証人が相当と認めるときには、ウェブ会議システムを利用した「リモート方式」での作成が可能となります。自宅や施設からでも公正証書を作成できるようになります。
さらに、これまでの作成に必要だった本人の押印は不要となり、署名は電子サインへ変更、公証人の署名も電子サイン・電子署名へと変わります。 公正証書の作成後に本人に交付される正本・謄本は、今まで書面のみでしたが、電子ファイルでの交付が選択可能になります。
【まとめ】共同親権が導入されたことで、養育費の支払義務がなくなることはない
離婚後の共同親権が導入されたからといって、子どもと離れて暮らすことになった親の養育費の支払義務がなくなることはありません。
養育費は、両親の離婚後も子どもが健全に成長するためになくてはならないものです。
養育費の未払いに備え、養育費について公正証書を作成しておくことをおすすめします。
調停や審判などの裁判手続を経なくても、スピーディーに差押えの手続に移行できるからです。
もっとも、離婚に向けての話合いは難航することもあるうえ、話合いがまとまらなければ裁判手続が必要になることもあります。そのため、離婚や養育費の未払いでお悩みの場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所にご相談下さい。
























