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期限の利益とは?期限の利益喪失通知が届いたときの対処法を解説

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「1ヶ月後に5万、2ヶ月後に5万返すから」との約束で10万円を借りたとしましょう。
この場合、仮に貸主が2週間でお金を返してほしいと要求しても、借主は「いや、約束の日まであと2週間あるから待ってほしい」と断ることができます。
では、1ヶ月が経過したとき借主が2万円しか返さなければ、貸主は8万円全額返すように請求できるでしょうか。本来であれば、5万円の返済期日しか来ていないはずです。
今回の記事を読めば、その解答がわかります。

期限の利益とは

期限の利益とは、支払期日まで支払いを待ってもらえる利益のことです。

「3月31日に10万円返す」と約束する場合、貸主は3月31日になったら10万円を返してもらえると期待する一方、借主は3月31日まで返済を待ってもらえると期待します。

民法136条1項には、期限の利益について、次のように規定されています。

期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。

引用:民法136条1項

つまり、返済期日を定めるのは、その期間借主がお金を貸さなくて済むためなのです。
その結果、貸主から突然「明日全額返済してください」と言われても、「返済期日まで返さなくていいことになっています」と断ることができます。

期限の利益は、いわば返済までの猶予期間と捉えることができるでしょう。

期限の利益によって分割払いが可能になる

期限を定めることによって、借主は返済を待ってもらえるようになります。
また、あらかじめ合意しておけば、分割で返済することもできます。
たとえば、「2020年8月1日から100万円に満つるまで毎月10万円ずつ返済する」と合意している場合、2020年8月1日にいきなり100万円を求められることはありません。
2020年8月1日から毎月10万円ずつ10ヶ月順調に返済できれば特に問題ありません。
多額の借入れやショッピングをして一括での返済が難しい場合、期限の利益によって支払いが可能となるのです。

債権者が得るメリットとは?

債務者(借主)には返済を待ってもらえるメリットがある一方、債権者(貸主)にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
民法136条1項にあるように、期限の利益は債務者のためのもので、債権者に直接生じるメリットはありません。

もっとも、利息の支払いを約束したときには、期限の利益が債権者にもメリットをもたらします。
たとえば、1年後に10%の利息をつけて100万円を返済すると約束した場合、債権者は1年後に1万円の利息を受け取ることができます(元金×金利)。
もし3ヶ月後に全額返金されても、半年後に返金されても、利息の金額は変わりません。
期限までの利息を得られるのが期限の利益によって債権者が得られるメリットです。

分割払いやリボ払いのときも同様に、債権者はあらかじめ約束した手数料を受け取れます。

期限の利益は放棄することもできる

3月31日に返済することになっていても、借主が先んじて返済したいのであれば、あえてそれを止める必要はありません。
この場合、債務者は期限まで待ってもらえる利益を放棄します(期限の利益の放棄)。

利息のある借金の期限の利益を放棄するときの注意点

借主が期日を待たずに返済した場合、貸主は約束どおりの利息を受け取れるのでしょうか。

民法136条2項には、次のように規定されています。

期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

引用:民法136条2項

相手方である債権者の利益とは、期日までの利息を受け取れることです。
それを害することはできないと規定されているので、借主は繰り上げ返済をしたとしても、約束分の利息を支払わなければなりません。

もっとも、契約は民法よりも優先されるので、異なる合意があれば話は別です。
金融機関からの借入れの場合、基本的には返済期日までの利息を支払うだけで構いません。
詳しくは、金融機関に直接問い合わせてみるか、契約書・約款を確認してみましょう。

期限の利益の喪失とは

期限の利益の喪失とは、期限の利益によるメリットを失うことです。

期限の利益の放棄は、債権者が自らの意思でそのメリット失うことです。
一方、期限の利益の喪失は、一定の状態になったことでそのメリットを失うことです。

では、具体的にどのような理由で期限の利益を喪失するのかをみてみましょう。

法的に期限の利益が喪失する場合

民法137条では、期限の利益の喪失について、次のように規定されています。

次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

引用:民法137条

いずれも債権者が約束どおり期日を待つのが不安だと感じるケースです。
それぞれどういう状態なのか、なぜ喪失するのかを解説しましょう。

債務者が破産手続開始の決定を受けたとき

期限が来ていないからといって破産手続きで不利益を受けないように、この場合には期限の利益を喪失するとされています(破産法103条3項)。
破産手続き開始の決定を受けたときには、平等に分配を受けられるようになります。

債務者が担保を喪失させ、損傷させ、又は減少させたとき

「期日に返済しなければ、この壺をあげる」など借金の返済ができなかった場合に備えて、別途何らかの担保を差し入れるケースがあります。
その場合、債権者は「お金を返してもらえなくてもその壺をもらえるならいいか」と考えます。
それにもかかわらず借主が不注意によって壺を壊してしまったら、債権者は借金の当てにしていたものが奪われたことになります。
この場合、期日まで待たなくても一括で返済を求めることができるのです。

債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき

債務者が担保を提供する義務を負っているにもかかわらず、まったく担保を提供しない場合や実質的にみて担保にほとんど価値のない場合には、債権者はお金を回収できないと考えるでしょう。そのため、債務者が担保を喪失等させたケースと同様に、期限の利益が喪失します。

期限の利益の喪失条項を設けている場合

民法で規定されているのは、上記3つのケースだけです。
しかし実務上、債権者がお金を払ってもらえないのではないかと考えるケースは多くあります。
そのため、「期限の利益喪失条項」として広く期限の利益を喪失するケースが定められています。

契約書に、次のような文章がないかを確認してみましょう。
乙(債務者)が前項各号(解除事由)のいずれかに該当した場合、乙(債務者)は、当然に期限の利益を失い、甲(債権者)に対して本契約に基づいて負担する一切の金銭債務を直ちに弁済するものとする。

そのような文章があれば、そこに書かれていることが期限の利益を喪失するケースです。

分割払いの返済に遅滞があった場合

一般的な契約では「一回でも支払いを怠ったとき」に期限の利益を喪失するとされています。
そのため、なるべく期日どおりに返済していくことが望ましいのはいうまでもありません。
もっとも、数日の遅れであれば、一括請求されずに分割で返済を続けていけるはずです。
一方、2ヶ月以上滞納した場合には、ブラックリストに載り、一括で請求される可能性が高いでしょう。

任意整理で得られた和解の場合でも、返済を2度怠ると期限の利益を喪失するとされています。

債務整理をしたとき

一般的に、破産以外にも任意整理や民事再生をすると、期限の利益を喪失するとされています。

不渡り手形を出したとき

6ヶ月以内に2回不渡りを出すと、2年間、銀行取引ができなくなるので、経営者はなんとかして不渡り手形を出さないようにします。
これを逆に言えば、不渡り手形が出たということは、経営状況がかなり悪いということです。
そのため、不渡り手形を出すと期限の利益を喪失するとされています。

財務状況の悪化や虚偽が発覚した場合

債権者は、お金を貸したときの財務状況を参考に、お金を貸しています。
そのため、収入が大幅に減ったケースや申告した財務状況が虚偽であるケースでは、期限の利益を喪失するとされています。

差し押さえられたとき

別の債権者に預金口座を差し押さえられたり担保物件の競売手続きを開始されたりしたということは、債務者がその債権者に対して長期間返済できていないことを意味します。
約束の期日が来ていないからといって悠長に待っていては、ほかの債権者が債務者の財産から回収し終わってしまい、自身はお金を回収することができません。
そのため、差押えや仮差押えがあると、期限の利益を喪失するとされています。

債務者の死亡

期限は債務者の都合で定められているものなので、債務者が死亡すればその都合に合わせる必要はありません。
そのため、債務者が死亡すると、期限の利益を喪失するとされています。
債務者が死亡した場合には、債権者は債務者の相続人に対して一括で請求できます。
ただし、相続人が相続放棄等をしたときには請求できません。

債務者の住所が不明

債務者の住所が不明なケースでは、いわゆる夜逃げの可能性があるため、期限の利益を喪失するとされています。

債務者が反社会勢力

そもそも反社会勢力の関係者と取引ができない場合には、債務者が反社会勢力の関係者であることが判明したときに期限の利益を喪失するとされています。

期限の利益が喪失するとどうなる?

期限の利益を喪失すると、債権者は期日が来るのを待たずに、一括で請求することができます。

冒頭で、2ヶ月で5万円ずつ返す約束だったのに最初の1ヶ月が経過したときに借主が2万円しか返さなかったケースを挙げました。
この場合、法律上期限の利益を喪失するケースにはあたりません。
もっとも、1回でも支払いを怠ったときには期限の利益を喪失すると約束していた場合には、貸主は残り8万円を一括で請求することができます。

自宅などの担保の設定があるとき

不動産を担保にしているケースでは、債権者が抵当権を実行することで、競売が行われます。
裁判所から命じられた執行官が物件の調査に来たり、競売物件として公開されたりします。
その後、競売によって買い手が見つかると、不動産から立ち退かなければなりません。
債務者の心理的負担は、かなり重いといえるでしょう。

(連帯)保証人がいる場合には、保証人に対して請求がいきます。

担保の設定がないとき

催告書が送られてもなお返済できずにいると、債権者は民事訴訟や支払督促で裁判所を利用して債権の回収を試みるでしょう。最終的には、給料を差し押さえられるなどして強制的にお金を返済することになります。

銀行からお金を借りている場合には、銀行口座の入出金ができなくなります。
給料振込口座に設定している場合には、給与が振り込めないため、借金を会社に知られる可能性があります。

期限の利益の喪失を未然に防ぐ方法

期限の利益を喪失しないためには、きちんと収支を管理して、約束どおりに返済しなければなりません。

返済は自動引落しにする

自分で振り込みに行くのが億劫になってしまうならば、最初から自動引き落としにしておきましょう。勝手に返済期日にお金が引き落とされていくので、返済し忘れる心配がありません。

収入と支出をしっかり把握する

銀行口座やクレジットカードの利用履歴を含めて管理できる家計簿アプリを導入して、家計の収支を常に管理することも有効な手段です。使い過ぎ・借り過ぎに注意しましょう。

期限の利益喪失通知が届いたらどうすればいい?

気を付けていても起こるものは起こります。
債権者から期限の利益喪失通知が届いたときの対処法をお伝えします。

債権者と交渉する

支払意思があるならば、債権者に支払いを待ってもらえないか交渉してみましょう。
そのとき給料からいくら支払えるのかを具体的に伝えられると説得力が増します。
ただし、契約条件が悪くなったり遅延損害金の支払いを求められたりするかもしれません。
自分で交渉するのが不安ならば、弁護士に相談することをおすすめします。
一番悪いのは放置することなので、必ず債権者か弁護士に連絡しましょう。

弁護士に相談する

自分で交渉してうまくいかなかった場合や自分で交渉したくない場合には、弁護士に相談します。弁護士にお願いすることで、自身で交渉するよりも有利な条件を引き出せる可能性があります。利息は日々発生するものですから、なるべく早く相談してください。

期限の利益喪失通知が届いて、お困りの方はアディーレ法律事務所へ

期限の利益は債務者のために設けられているものなので、なるべく喪失しないように注意したいところです。しっかりと収支を管理して使い過ぎに注意しましょう。
期限の利益喪失通知が届いてお困りの場合には、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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