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債務者が知っておくべき自身の立場とは?債権者との関係に触れながら解説

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お借入れをしている人は、消費者金融等との関係で「サイムシャ」にあたります。
「サイムシャ」と聞いてパッと理解できる人は少ないかもしれません。
借入れの場面に限らず、私たちはさまざまな場面で「サイムシャ」になります。
今回は「サイムシャ(債務者)」について弁護士が解説します。

債務者と債権者とは?

まず、そもそも債務者、債権者とはどのような人を指すのかを解説します。

(1)債務者とは?

債務者とは、

特定の者に対して一定の事柄を行う義務を負う者

引用:三省堂編修所(編)『デイリー法学用語辞典』三省堂

のことです。
債務者が負う義務を「債務」といいます。

たとえば、次のような人が債務者にあたります。

  • お金を借りた人(債務:借金の返済義務)
  • 不動産や車を購入した人(債務:代金支払義務)
  • 絵を描いてほしいと言われて承諾した人(債務:絵を描く義務)
  • 家賃を支払わずに賃貸借契約を解約された人(債務:家の明渡義務)

このようにお金を支払う場合だけでなく、特定の行為をする義務であるケースもあります。

(2)債権者とは?

債権者とは、債務者に対して特一定の財産上の行為を請求できる権利(債権)を持つ人です。

たとえば、次のような人が債権者にあたります。

  • お金を貸した人(債権:お金を返してもらえる権利)
  • 不動産や車を売却した人(債権:代金を支払ってもらえる権利)
  • 絵を描いてほしいと頼んだ人(債権:絵を描いてもらえる権利)
  • 賃貸借契約を解約した、不動産の大家(債権:家を明け渡してもらえる権利)

通常、債権と債務は対応しています。

売買契約では、債務者であると同時に債権者としての地位も有しています。たとえば、お金を払う義務を負うと同時に、目的物の引き渡しを求める権利があります。
ただし、(金銭)消費貸借契約のように片務(へんむ)契約では、債務者は債務者としての地位しか有しません。つまり、消費者金融等には権利のみ、借主には義務のみがあります。

債権者が債務者に対して取得する3つの効力

債権者は債務者に対してどのようなことを主張できるのでしょうか。
具体的な事例を挙げて、債権の効力をお伝えします。

(1)給付保持力

たとえば、次のケースを想定してみましょう。

雑貨店で東洋の可愛らしい人形を見つけ、それを購入したAさん。その人形を非常に気に入ったAさんは、それから毎日一緒にその人形と眠るようになりました。その3ヶ月後、突然、雑貨店から電話が入り「その人形をもっと高値で購入してくれる人が見つかったんです。売買契約はなかったことにしてください」と言われました。
Aさんは、その申し出に応じなければならないのでしょうか。

皆さんの感覚とも一致していると思いますが、申し出に応じる必要はありません。
債務の履行として受け取った給付を適法に保持する効力を「給付保持力」といいます。
Aさんは、雑貨店から売買契約に基づいて人形を購入したので、その売買契約が無効だった場合や解除された場合等を除き、その人形を返す必要はありません。今回のケースのように、「もっと高値で買い取ってくれる人が見つかった」との理由は、契約をなかったものとする理由にはあたりません。

(1-1)債務者に対する解除権

いったん有効に成立した契約であっても、その後の事情で解除されることがあります。
代表的な解除理由としては、次の理由が挙げられます。

  • 約束通りに代金を払わない
  • 契約の目的物が壊れたあるいはなくなった
  • 債権者が受け取りを明確に拒絶した
  • 契約で定めた解除理由が生じたとき(自己破産の申立て等)

契約が解除されると、契約当事者は契約前の状態に戻す義務(原状回復義務)を負います。

(1-2)債務者に対する損害賠償請求権

債務者が約束通りに債務を履行しないために、債権者が損害を被るケースがあります。
その場合、債権者は、債務者に対して損害賠償を求めることができます(民法415条)。

(2)訴求力

たとえば、次のケースを想定してみましょう。

1年後に返してもらう約束で、弟に100万円を貸したBさん。しかし、1年が過ぎ、2年が過ぎようとしているころ、Bさんが催促をしても一向に弟がお金を返す様子はありません。お金がないならともかく、若い女性にお金を貢いでいる様子。しびれを切らしたBさんは、「来月末までにお金を返さないなら裁判するからな!」と伝えました。弟からは「兄弟なんだから裁判なんてこと言わないで。お金はきっと返すよ」と空返事。
約束通りにお金が支払われなかった場合、Bさんは裁判を提起できるでしょうか。

これも皆さんの感覚と一致しているでしょうが、裁判を提起することはできます。
当事者間で裁判を提起しないとの合意があった場合ならともかく、原則として債務者が債務を履行しようとしない場合に裁判によって請求することが可能です。裁判以外でも、支払督促、民事調停といった手段で解決を図ることができます。

(3)執行力

Bさんのケースに、次のような後日談があったとしましょう。

約束どおりにお金が支払われなかったので、宣言どおり裁判を提起したBさん。裁判所から和解を勧められたものの、ここで話し合いに応じればまた返してもらえない時期が続くと考えたBさんは、断固として判決を求めました。結果的に、Bさんの請求を全面的に認める判決が下りました。
判決が下りてもなお、弟からは1円も支払われなかったため、Bさんは粛々と強制執行の準備を始めました。まず弟の預金を差し押さえ、計60万円の弁済を受け、その後弟の給料を差し押さえ、完済に至るまで毎月給料の4分の1を受け取ることになりました。

確定判決などの債務名義を取得した後、強制執行できる効力を「執行力」と呼びます。
預金や給料のほかに、自動車や不動産、退職金なども差押えの対象になります。

債権者が債務者に取る可能性のある対応

債務を履行しない債務者に対して、債権者がどのような行動をするのか流れを追って説明します。給料を差し押さえられてしまうと、会社に借金のことがバレ、居心地が悪くなってしまうこともあるので、財産を差し押さえられる前に適切に行動しましょう。

ここでは、Bさんのケース同様、金銭の消費貸借契約を例に解説します。

(1)債務者に返済を求めるため電話をかけあるいは催促の書面を送る

裁判となると債権者としても時間や費用をとられるので、まずは穏便に解決しようとします。そのため、債務者に電話をかけ、返済する意思があるのかどうかを尋ねます。具体的に「〇日までに返済する」と言われたら、まずは待つ債権者が多いでしょう。
しかし、何度電話しても出ない場合や約束した日に返済されない場合は、返済期限を記した督促状が送られてくるのが一般です。督促状には返済期日や連絡先が書かれているでしょうから、仮に返済する目途が立っていなかったとしても、誠実に対応する姿勢があることを示すためそこに連絡しておきましょう。
最初に電話をすることが法律上決められているわけではありませんので、最初から督促状が送られてくるケースもあります。もっとも、この場合でも指定された日までにお金を払えば、大きな問題に発展することはありません。
借金を返済できない期間が長く続くと、法的手段をにおわせた文書が届きます。
たとえば、「なお、〇日までにご入金の連絡がいただけない場合には、不本意ながら法的手段も検討せざるを得ません。ご了承いただきたくお願い申し上げます」といった感じです。法的手段とは、支払督促の申立てや裁判(訴訟)の提起を指します。

(2)債務者を被告とする訴状を送る

債権者から督促されているにもかかわらず借金の返済をせずにいると、債務者を被告とする訴状が届きます。訴状が届くと、債権者は裁判所を利用して解決を図るつもりなので、無視するわけにはいきません。訴状と一緒に期日呼出状が同封されているので、指定された期日に裁判所の指定された法廷に出廷しましょう。その日都合がつかないのであれば、例えば「詳しくは第2回目以降の期日で主張する」旨の記載をした答弁書を提出します。もし訴状が届いたのに放置すると、債権者の主張を認める判決が下り、強制執行まで粛々と進んでしまいかねません。
裁判では相手が承諾すれば分割払いで支払うとすることも可能なので、裁判所に出向き、きちんと債権者と話し合うことが大切です。平日の昼間に休めないなど裁判所に自分で行けない事情があるならば、裁判の対応を弁護士に任せることをおすすめします。返済の目途が立たないのであれば、自己破産を含めて債務整理を検討する必要があります。

(3)債務者の給料等を差し押さえる

残念ながら債権者が和解に応じてくれず、一括返済を求める判決が下りたとします。
そうなると、勤務先を知られていた場合、給料等の差押えまで時間の問題です。
給料が差し押さえられれば、転職したり退職したりするなどしない限り、毎月最大給料の4分の1を差し押さえられてしまうので、生活に支障をきたすでしょう。返済の目途が立たないのであれば、債務整理を早急に検討する必要がありますので、弁護士に相談してください。
ただし、消費者金融等が分割払いの和解に応じてくれないケースは多くないので、裁判を提起されても和解が成立し、その後きちんと返済していくのであれば、差押えのリスクが現実化することはありません。もっとも、「待ったなし!」の状態に追い込まれていることは事実です。

【まとめ】借金でお困りの方はアディーレ法律事務所へ

債務者とは、債権者に対して一定の義務を負っている人です。お借入れをしている人は、消費者金融等に対して借金を返済する義務を負うので、債務者にあたります。それ以外に、債務者がどのような義務を負っているかは債権者との契約等によって異なります。
一方、債権者の有する債権には給付保持力をはじめとした3つの効力があります。
借金の返済を滞納すると、給料等を差し押えられるリスクがあるため、事態が深刻化する前に自己破産や個人再生、任意整理といった債務整理を弁護士に相談しましょう。借金の問題でお困りの方はアディーレ法律事務所へご相談ください。