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悪意の受益者とは?過払い金の返還請求前に知りたい基礎知識を解説!

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お金を盗む行為やお金を騙し取る行為は窃盗罪や詐欺罪にあたります。
では、他人が義務もないのに渡したお金を「本来、自分が受け取るお金ではない」と知りながら相手が事情を把握していないのをいいことに受け取る行為は犯罪でしょうか。お金を受け取っただけで犯罪は成立しません。もっとも、民事上重い責任を負うことがあります。
それが今回、弁護士が解説する「悪意の受益者」です。

不当利得とは?

民法703条では、不当利得について、次のとおり規定されています。

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

引用:民法703条

つまり、不当利得とは法律上受け取る権利がないにもかかわらず、他人の財産又は労務によって受けた利益のことです。本来その利益は移転されるべきではなかったのですから、当事者間の公平を図るため、このような制度が設けられています。

不当利得返還請求権の要件

不当利得返還請求が認められるための要件は、次の4つです。

  1. 他人の財産または労務によって利益を受けること
  2. 他人に損失を及ぼしたこと
  3. その利益と損失との間に因果関係があること
  4. 利得に法律上の原因がないこと

お金を受け取った人が事情を知っていたことは要件とされていませんので、事情を知らなかったとしてもお金を返済しなければなりません。

たとえば、よくある過払い金請求事件の事例をみてみましょう。

昭和の時代から消費者金融X社よりお金を借り続けているAさん。2006年ころまで29.2%もの高金利で返済を続けていました。

1954年以降、利息制限法における上限金利は15~20%なので、29.2%の金利のうち、それを上回る部分は本来無効であり、消費者金融はその部分の利息を受け取ることはできません。
仮にX社が29.2%もの金利に基づく利息を受け取れると考えていても、受け取りすぎた利息を過払い金(不当利得)としてAさんに返さなければなりません。

悪意の受益者とは

民法704条では、悪意の受益者について次のように規定されています。

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

引用:民法704条

悪意の受益者とは、

法律上の原因のないことを知りながら利得した者

引用:我妻榮他『第5版 我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権』株式会社日本評論社

です。“悪”とあるものの、倫理的に悪いとの意味は含まれず、あくまで事情を知っていたか否かが基準です。過失があったとしても、事情を知らなければ「悪意の受益者」にはあたりません。

過払い金を請求する場合、消費者金融等が悪意の受益者にあたるとして5%の利息を含めて請求します。これに対して、消費者金融等は「結果的に無効な金利に基づく利息を受け取っていたことは認めるが、その当時は有効なものだと思っていた」、つまり悪意の受益者にはあたらないと主張してきます。

しかし、本当にお金の貸し借りのプロであるはずの消費者金融が利息制限法に反する29.2%もの金利で利息を受け取れると考えていたのでしょうか。
次に、消費者金融がその利息を受け取れると考えた理由と消費者金融の言い分に対する裁判所の判断をお伝えします。

払いすぎでも有効?みなし弁済とは

消費者金融などが言い訳に使うのがかつて存在した「みなし弁済」制度です。
貸金業者からの借入れであること、貸金業者が一定の書面を交付したこと等いくつかの条件を満たす場合に、お金を借りた人が“任意に(自らの判断で)”した支払いは有効だとする制度です。

実際のところ、親族や友人間なら、お礼の意味で、借りたお金に多少色を付けて支払うこともあるかもしれません。しかし、消費者金融等からお金を借りた人が、返す必要はないと知りながら、わざわざ返す必要のある以上のお金を支払うことはほとんどないでしょう。請求されたとおりに支払わなければより高い金利で遅延損害金を支払わなければならないから、あるいは、一括で返済を求められるから、事実上強制されて消費者金融などに支払っているにすぎません。
そのため、裁判所は違法な金利で利息を支払うことがみなし弁済により有効になる条件をかなり厳しく判断しました(その後、みなし弁済制度は撤廃されました)。
そして、ほとんどすべてのケースにおいて、消費者金融等は、受け取りすぎた利息を過払い金として返還することとなり、さらに「悪意の受益者」として扱われることになりました。

確かに、多くの消費者金融等は困ったはずです。法律に従っていたつもりでいたのに、突然、受け取ったお金に過去数年、場合によっては数十年分の利息を付けて支払わなければならなくなったのです。しかし、最初に利息制限法を超える利率で貸付を行ったのもまた消費者金融です。「法律に従っていたつもりでいた」とはいえないでしょう。
実際、消費者金融の中にも利息制限法を遵守していたところがあり、そのような消費者金融に対しては過払い金請求をすることができません。

不当利得返還請求には時効がある

不当利得返還請求権には時効があるため、いつまでも請求できるものではありません。
2020年4月1日以降、時効は2つの基準によって判断されるようになり、いずれか早いほうで時効期間が満了します。時効期間が満了すると、相手方に「時効を援用する」と言われると請求できなくなってしまいます。そこで、時効期間が満了する前に請求しなければなりません。

民法166条1項では、債権の消滅時効について、次のとおり規定されています。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

引用:民法166条1項

過払い金は、最後に借入・返済をした日から10年(または権利が行使できることを知ってから5年)が経過すると時効で消滅してしまいますので、注意してください。

悪意の受益者は過払い金に5%の利息を上乗せして債務者に支払う

判決により、消費者金融等は、原則として受け取りすぎたお金に5%の利息(受領時から返済日までのもの)を付けて、消費者に返さなければならないことになりました。
5%の利息を請求するためには、一般的には請求者側が相手方の悪意を主張して証明しなければならないところ、過払い金請求では、消費者金融等が原則として悪意の受益者として扱われるため、請求者側の負担は軽減されているといえるでしょう。
なお、704条では損害賠償も規定されていますが、過払い金請求訴訟において損害分まで認められることはほとんどないといってよいでしょう。

【まとめ】過払い金の請求はアディーレ法律事務所へご相談を!

過払い金請求は、弁護士に依頼しなくても自分で行うことができます。もっとも、複雑な引き直し計算をしなければならず、また、消費者金融等とも自ら交渉しなければなりません。場合によっては、平日毎月のように裁判所に出廷しなければならないこともあるでしょう(弁護士に依頼しても、裁判所に1日、2日程度出廷しなければならないこともあります)。
消滅時効の問題もあるため、過払い金請求は弁護士に任せた方が安心といえます。
過払い金請求のご相談なら、アディーレ法律事務所にご相談ください。