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過払い金請求における住宅ローンの支払い・審査への影響と注意点

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「過払い金」という言葉を聞いたことがありますか。
過払い金とは、金融業者がかつて利息を取りすぎていたことがあり、その分をお金を借りていた人に返すべきものです。

住宅ローンを利用しようとしている人には、「昔の借入れにもしかしたら過払い金があるかもしれない。でも、過払い金を請求したら金融業者がブラックリストに載せてしまって住宅ローンの審査が通らなくなってしまうかもしれない」とお悩みの方もいるかもしれません。

しかし、過払い金返還請求をしたからといって必ずしもブラックリストに載るわけではありません(そもそも金融機関にブラックリストという名称の名簿は存在せず、信用情報の事故情報のことを、俗にブラックリストといいます)。

ここでは、

  • 過払い金請求をすると住宅ローンの審査に影響が出る場合と出ない場合
  • 住宅ローンを組もうとしている人が過払い金請求する際に注意すべきこと

について見ていきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

そもそも住宅ローンで過払い金は発生するのか?

結論から述べますと、住宅ローンに過払い金が発生することはほぼありません。
というのも、住宅ローンの金利は年2.0~4.0%程度の低いものに収まることが多く、利息の払い過ぎとなることがないためです。

過払い金というのは利息制限法で定められた年利の上限15.0~20.0%を超える利息を金融業者が取っていた場合に発生する可能性のあるものです。

細かい話になってしまいますが、かつて利息の取りすぎで出資法上の処罰対象となる利息は利息制限法のものより高く定められており、年利29.2%からでした。
そのため、利息制限法の利率を超えて取っていても出資法をクリアできていれば、金融業者が罰されるなどの不利益はないこととなっていました。
この、利息制限法と出資法の利率の差の、利息制限法上は違法なものの出資法による制裁はない部分の利率を「グレーゾーン金利」といいます。
このグレーゾーン金利は2010年6月18日の改正貸金業法の完全施行により撤廃されました。
利息制限法と出資法の利率が法改正により同一となり、利息制限法違反なものの罰則はないため取れる部分だったグレーゾーン金利が消滅したのです。

ですので、過払い金が生じている可能性があるのは、その日以前のまだグレーゾーン金利の残っている可能性があるタイミングで始まった借入れの中でも、利息が年15.0~20.0%を上回っているものについてということになります。

過払い金請求のタイミングと住宅ローン審査の影響

住宅ローン自体には過払い金が発生する可能性は乏しいのですが、住宅ローンとは別で2010年6月17日以前に借入れをしたことのある方はその借入れについて過払い金を取り戻すことのできる可能性があります。
それでは、過払い金を請求することで、住宅ローンに支障は出ないのでしょうか。

過払い金を取り戻す権利は「不当利得返還請求権(民法第703条)」といって、法律上認められた正当な権利です。そのため、住宅ローンの返済中であっても過払い金の請求はできないというわけではありません。

しかし、過払い金を請求するタイミングによっては現在組まれている住宅ローンや、あるいはこれから先の住宅ローンの審査に影響が生じる可能性はあります。
この項目では、過払い金請求を行うときの現在または将来の住宅ローンに生じる可能性のあるリスクについて、場合分けして見ていきます。

(1)借金の完済後に過払い金請求する場合

借金を全て返し終わった後で過払い金を請求する場合、過払い金の請求先の会社と住宅ローンを組む会社が同一の会社か同系列の会社ではない限り、過払い金請求がその後で組む住宅ローンに悪影響を及ぼすことはありません。

なお、以前は過払い金請求をした場合に「契約見直し」ということで信用情報に事故情報として登録されていました。
信用情報とは、信用情報機関で保管されているもので、クレジットカードやローンの申込、契約や返済の状況についての情報です。

「契約見直し」の記載があると、事故情報として扱われて、住宅ローンを組みにくくなることもありました。

もっとも、2010年4月19日以降は完済後の過払い金請求については事故情報が登録されることがなくなりました。金融庁が完済後の過払い金の請求について事故情報を登録しないようにという通達を出したためです。
そのため、現在はもう完済の後であれば問題なく過払い金を請求できるということになります。

(2)借金返済中に過払い金を請求する場合

  1. 残りの借金<過払い金の場合
    借金返済中であっても、発生している過払い金によってその借入先に対する借金を全て返済できる場合についてご説明します。借入れが残った状態で過払い金を請求すると、請求の時点で債務整理をしたと捉えられ事故情報が一時的に登録される場合もあります。
    しかしその借入先に対する過払い金の方が残りの借金の額より大きいと判明した段階で、事故情報は通常抹消されます。残りの借金と過払い金のどちらが大きいかは、「引き直し計算」という適正な利息に基づき負債の残高や払いすぎた利息を算出する方法によって判断されます。なお、既に住宅ローンを組んでいる人の場合、過払い金を請求したからといって住宅ローンの残りを一括で払うように求められたり、住宅ローンの契約について見直しを求められたりといったことはありません。
  2. 過払い金<残りの借金の場合
    一方で、引き直し計算の結果過払い金よりも残りの借金の額の方が大きい場合に、過払い金返還請求(任意整理)をしてしまうと、将来住宅ローンを組もうとしても、一定期間審査に通らなくなる可能性が高くなります。過払い金の額よりも残りの借金が多い場合、過払い金の請求の時点で「任意整理」という債務整理の一種を行った扱いとなって事故情報を登録される可能性があるからです。
    任意整理を行ったことについての事故情報の登録期間は信用情報機関ごとに異なりますが、最長で完済から5年間です。

ブラックリストに載ってしまった場合のデメリット

 これまでご説明したとおり、借金の額が過払い金の額よりも大きい場合、過払い金請求を行うと任意整理をしたという扱いになって事故情報が登録されてしまうので、事故情報が登録されている期間は、通常住宅ローンを組めなくなります。

また、事故情報が載ってしまった場合のデメリットは、住宅ローンが組めなくなることだけではありません。
原則として、新しくカードローンを組むことができなくなったり、誰かの保証人になることができなくなったり、今使えているクレジットカードが更新のタイミングで使えなくなったりというのが代表的なデメリットです。

過払い金請求と住宅ローンにおける注意点

ここまでは、過払い金請求をした場合に住宅ローンに生じる可能性のあるリスクを見てきました。
それでは、過払い金請求と住宅ローンを両立させるための注意点を解説していきます。

(1)住宅ローン審査と過払い金請求を同時にしない

既に完済している場合を除き、住宅ローン審査と過払い金の請求を同時に行うことは避けるべきです。

というのも、引き直し計算をすればその借入先で発生している過払い金の方が残っている借金より大きい場合であっても借金が残った状態での請求を行うと、借入先によっては過払い金返還請求の時点で一時的に事故情報を登録する可能性があるためです。
引き直し計算の結果、その借入先について過払い金の金額の方が残っている借金の額より大きいと判明すれば、事故情報の記載は通常抹消されますが、載っている期間は住宅ローン審査でマイナスに働く可能性を否定できません。

過払い金請求が完了して、事故情報が抹消された状態となってから住宅ローン審査を受けるのが安心です。

(2)過払い金請求した業者やそのグループ企業での住宅ローンの借り入れは避ける

また、過払い金を請求した金融業者や、その金融業者のグループ企業への住宅ローンの申し込みは避けておくのがよいです。
なぜなら、過払い金請求をしたという事実がその業者の中では社内情報として残り、同系列の企業内でも共有されているためです。

企業のグループについては、銀行だとグループ名称が用いられていて分かりやすいのですが、クレジットカードの社名にはグループ名称が使われていないこともありますので注意が必要です。よく調べておくことをおすすめします。

(3)属性によって住宅ローンが組めない場合も

属性とは、これまで見てきた事故情報とは別のローン審査の判断資料です。
ローンを組もうとしている人が本当に数十年もの期間毎月の返済が可能かという視点から、その人の年収や雇用形態、勤務先、勤続年数などといった仕事の安定性、健康状態や家族構成、結婚歴、世帯年収、持ち家の有無など多岐に渡って審査を受けることとなるのです。

そのため、過払い金請求をしても事故情報に載っておらず、信用情報についてはクリアできていたとしても、他の理由によって住宅ローンの審査を通過できないということはあり得ますのでご留意ください。

借金の借り換えで過払い金請求できる?

借金の借り換えを行っていた場合、過払い金を請求することはできるのでしょうか。

借り換えとは、複数の金融業者からお金を借りていたのをどこかの金融業者に全て返済してもらって、以降はその返済してくれた金融業者に返済をしていくというものです。よく「おまとめローン」とも言われていて、返済先を一つにまとめられて簡便になるのがメリットです。

貸金業者からの複数の借金を銀行などのおまとめローンに一本化した場合、おまとめローンによって完済となった元々の借り入れ先に対しての過払い金請求が可能です。
この場合、完済してからの過払い金請求と同じこととなり、事故情報が載ることはありません。

【まとめ】過払い金返還請求をしても住宅ローンの審査には影響が出ない場合がある

今回の記事をまとめると、次の通りです。

  • 借金の完済後に過払い金請求する場合は、住宅ローンの審査には影響が出ない
  • 借金返済中に過払い金を請求する場合は、事故情報に載って住宅ローンの審査に影響が出る場合がある。

ただし、同一の借入先につき、過払い金の方が残りの借金の額より大きい場合は、事故情報に載ったとしても一時的であるため、過払い金返還請求が終わって事故情報が削除された後に住宅ローンの審査を申し込めば、影響はあない。

  • 住宅ローンの審査を申し込む際には、住宅ローン審査と過払い金請求を同時にしないようにする。
  • 過払い金請求した業者やそのグループ企業での住宅ローンの借り入れは避ける
  • 過払い金返還請求とは関係なく、収入等の他の事情によって住宅ローンが組めない場合があることに注意が必要

過払い金返還請求をしたいけれども、住宅ローンへの影響が心配という方はアディーレ法律事務所へご相談ください。

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(1月14日更新)

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弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

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