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勝手に親の借金の連帯保証人にされてた場合の対処法について弁護士が解説

作成日:更新日:
kiriu_sakura

親がした借金について、「親子だから」というだけの理由で子供が支払義務を負うことは原則ありません。
ただし、一定の例外にあてはまっていると、子供が支払義務を負う場合があります。
その例外のうちの一つが、子供が「保証人」になっている場合です。その他の例外については、こちらの記事をご覧ください。

無断で保証人にされてしまったという場合には、例外の場合を除き、支払義務を負うことにはなりません。

この記事では、

  • (連帯)保証人が負う義務
  • 保証についての民法改正のポイント
  • 無断で(連帯)保証人にさせられてしまったときの対処法

について弁護士が解説します。

例外について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

親の借金を子供が支払う義務はある?借金の支払いの回避方法や親の借金の調べ方を解説
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

(連帯)保証人はどのような義務を負う?

保証人は、もともとの債務者(主債務者)が債務を履行しない場合に、代わりに債務を履行する責任を負います(民法446条1項)。

お金の貸し借りの契約を消費貸借契約と言いますが、この契約とは別に保証人となるべき人が債権者との間で保証契約を締結すると、保証人の責任が発生します。

そして、連帯保証とは通常の保証よりも責任が重くなります。
保証人の場合、「分別の利益」「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」というものがありますが、連帯保証人の場合、これらがありません。

分別の利益とは、保証人が複数いる場合、その頭数で割った分だけ債務を履行すればいいというものです(民法456条)。

例えば500万円の借金に対して保証人が5人いれば、それぞれの保証人は100万円支払えばよいのが原則です。
しかし連帯保証人の場合、たとえ複数人いても請求を受ければ一人で全額を支払わねばなりません。

催告の抗弁権とは、債権者が保証人に履行を請求してきた場合に、まずは主債務者に請求(催告)するよう求め、保証債務の履行を一旦拒絶できるというものです(民法452条)。
連帯保証人は、債権者から請求を受けた場合催告の抗弁権により履行を拒絶することができません。

検索の抗弁権とは、債権者が主債務者への催告を行った後でも、主債務者に弁済の資力があり、執行も容易な財産がある場合に、保証人が債権者に対し、まずは主債務者への執行を行うよう求める権利です(民法453条)。

連帯保証人には検索の抗弁権もないため、たとえ主債務者に十分な資力があっても請求を受ければ保証債務を履行しなければなりません。

(1)連帯保証人による支払が必要となるタイミング

連帯保証人になった場合、主債務者に資力があったとしても債権者から請求を受ければ拒否することはできません。

親が借金を滞納し、連帯保証人として履行を求められた場合で連帯保証人となった子供自身も支払ができない場合には、子供も債務整理による返済の負担減を図る必要が出てきます。

(2)親が亡くなった場合はどうなる?

借金を完済する前に親がなくなっても、保証債務は消滅せず、連帯保証人の責任はそのまま残ります。

親の遺産について、預金や不動産といったプラスの財産よりも借金等のマイナスの財産が多い場合には相続放棄を行うことで、親自身の返済義務は相続せずに済みます。
しかし、相続放棄をしても保証債務はそのまま残ります。
これは、保証債務は子供自身が締結した保証契約に基づくものであり、遺産ではないためです。

保証についての民法改正

保証人は思わぬ大きな負担を負うことになりかねません。
そのため、保証人の負担の軽減や保証人になろうとする際に慎重になれるようにすることを図って民法が改正されました。

この項目では、改正の主なポイントを解説します。

参考:2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります|法務省

(1)根保証契約についての改正

一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を「根保証契約」というのですが、この中でも会社等の法人ではなく個人が保証する場合には「個人根保証契約」となります(民法465条の2第1項)。

根保証契約は、一定の範囲にあるものでさえあれば無限に保証人の負担が増え、個人の保証人に過大な義務を負わせかねないものです。

そこで、個人根保証契約の場合、保証人が支払うべきこととなる金額の上限である「極度額」を定めなければ、契約自体が無効とされました(民法465条の2第2項)。
また、主債務者が死亡した等の事由がある場合には、それ以降に増えた分の主債務は根保証の対象外とされました(民法465条の4第1項各号)。

(2)事業用融資についての改正

事業のための融資について、事業に関わっていないものが安易に保証人となると、思いがけない多額の負担につながりかねません。

そこで、個人が事業用融資につき保証人となる場合には、公証人による保証意思の確認を受けなければならず、意思確認がなされなかった保証契約は原則無効となりました(民法465条の6第1項)。

また、主債務者は保証を委託する人に対して、

1.財産及び収支の状況
2.主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
3.主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

引用:民法465条の10第1項各号

を伝えるべきこととされました。

(3)保証人になる際には慎重に

もっとも、これらの改正後でも保証人の負担は決して軽いものではありませんし、連帯保証人の場合はなおさらです。
保証人になってくれないか頼まれた場合には、慎重に検討する必要があります。

無断で借金の連帯保証人にされた対処法

ここからは、無断で借金について連帯保証人にさせられてしまった場合の対処法を説明します。

(1)無断で連帯保証人にするのは「無権代理」

親が子供の印鑑や身分証を勝手に使って、子供が連帯保証人となるかのような書面を作ってしまうことがあります。

第三者が本人のためにすることを示して法律行為を行った場合、本人が第三者にそのことを依頼していたならば「代理」として有効なのですが(99条1項)、本人からの依頼がなければ無権代理として原則無効となります(民法113条1項)。

(2)無権代理をされても、責任を負わねばならなくなる可能性

代理権がないにもかかわらず第三者が契約を結んだ場合でも、契約の相手方にはそのような事情が分からないことがあります。

そこで、相手方の保護と、本人の無権代理についての過失を考慮し、以下の場合には「表見代理」として契約が有効となることとされています(民法109条、110条、112条)。

  • 代理権授与の表示による表見代理等(同109条)
    実際には代理権を与えていないのに、与えたかのような表示を行った場合
  • 権限外の行為の表見代理(同110条)
    代理権は与えてあったが、代理人がその権限外の行為をした場合
  • 代理権消滅後の表見代理等(同112条)
    代理権がなくなった後に、代理人だった人がまだ代理権があるかのように振舞った場合

いずれも、一旦は本人が代理権を与える等の何らかのアクションを行ったことが前提です。

今回の相談者のように、無断で保証人にされてしまった場合は、この3類型のうちいずれにも当たりませんので、無効となると考えられます。

しかし、保証人としての責任を負う場合もあります。
例えば、保証契約書に実印が押してあり、印鑑証明書も添付されていたとすれば、どうでしょう。債権者は、実印と印鑑証明書を信用して、契約しています。

債権者も保証人に直接意思確認をしていない過失がありますが、保証人も印鑑証明書や実印の管理をしていなかった過失があります。
最終的に、裁判所で争うことになり、結果によっては、保証人としての責任を負うことになる可能性もあります。

(3)保証人として返済を要求されたらどうすればいい?

無権代理によって保証人にされてしまった場合、支払の義務は原則としてありません。
しかし、返済義務がないからと無視していては、債権者によって裁判所での手続を進められ、債権者のみの主張に基づき、差押えを受ける可能性があります。

この項目では対処法を説明しますが、自力での対処を誤ると、請求を覆せなくなってしまう危険性があります。
早めに、弁護士にご相談ください。

(3-1)焦って支払わない

請求を受けたからといって、焦って支払を行ってはいけません。
無権代理は、本人が「追認」を行うことで、有効になってしまいます(民法113条1項)。

追認とは、本来無効であるはずの法律行為をあとから有効なものとするための行為です。
支払に応じることは、自分が保証人となっていることを前提とした行為なので、追認と扱われてしまう危険性があります。

(3-2)すぐに保証契約書の内容を確認

保証契約書の内容を確認しましょう。
自分の知らないところで、保証人となってしまっていた場合、自分の手元には契約書はありません。

債権者に問い合わせて契約書の写しを送ってもらい、署名の筆跡や印鑑が自分のものかどうか確認し、主債務者に事情を聞きましょう。

(3-3)内容証明書を債権者に送付する

契約書を確認して、自分の意思によらず作成されたものであると判明したら、自分は保証人ではないことや支払を拒否する意思を明確にした内容証明郵便を債権者に送付します。

内容証明郵便は、意思を伝える効果がある他、のちに裁判となった場合に証拠とすることもできます。

(3-4)裁判になったら、保証契約が無効であることを主張する

その後、債権者から裁判を起こされてしまったら、裁判の手続において決着をつけることとなります。
裁判では、保証人になる意思がなかったこと等について、証拠を基に裁判官に判断されることとなります。

【まとめ】身に覚えのない保証の履行を求められても、覆せる可能性はある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 保証人は、主債務者が債務を履行しない場合に、債務を履行しなければならない。子供が親の連帯保証人となった場合には、親が亡くなっても保証債務は残る。
  • 民法改正により、根保証や事業用資金についての保証について保証人の負担が考慮されたものの、保証人になる際には慎重な検討が必要。
  • 無断で保証人にされてしまった場合、支払義務はない。
  • 請求を受けたからといって焦って支払を行わず、保証人にはなっていないことを債権者に伝え、保証契約書等を取り寄せ、内容を確認する。

無断で保証人にされてしまって困っているという方は弁護士へご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

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