「自己破産だと仕事ができなくなってしまうから、個人再生したい。でも、将来結婚することになった時に困ったことにならないか心配……」
個人再生の手続について、将来像にこのような心配を抱かれる方も少なくないのではないでしょうか。
例えば、個人再生を行うと数年間はクレジットカードやローンの利用等が困難になりますが、手続から一定期間すればまた利用できるようになります。
個人再生による将来への影響は、思っているよりも小さく済む可能性があります。
この記事では、
- 個人再生をしたら、結婚できなくなってしまうのか
- 個人再生は、結婚後の生活にどのような影響があるのか
- 結婚後に個人再生についてバレることはあるのか
を、弁護士が解説します。
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
個人再生したら、結婚できなくなってしまう?

個人再生等の債務整理を行ったからといって、法律上結婚できなくなってしまうわけではありません。
ただし、手続を行ったことによる事実上の支障はあり得ます。
それでは、個人再生が結婚することにどのように影響するのかを説明します。
(1)ブライダルローンが組むことが困難

個人再生を行うと、「事故情報」が信用情報機関に登録される関係で、5~10年程度ブライダルローンを組むことが困難になります。
事故情報や信用情報機関については後述します。
そのため、結婚を考えている時期によっては、ブライダルローン以外の資金繰りを検討する必要が出てきます。
(2)結婚相手の親族から、借金歴について調べられてしまう可能性

結婚相手の親族が、探偵や興信所に依頼して結婚調査を行う場合があります。
借金問題を隠していたことが調査で判明すれば、結婚に反対を受ける可能性があります。
借金問題について自分で対処を終えておき、結婚相手には心配をかけたくないと思って伏せている方もいるかもしれません。
しかし、自力での完済や任意整理すら厳しいほどの借金を抱えてしまっていたことを伏せていて、調査やその後の結婚生活のふとしたタイミングで発覚すれば、かえって不信感につながってしまうかもしれません。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。
結婚前に個人再生について伝え、安心してもらうことがおすすめです。
個人再生を行うと、結婚後の生活にどのような影響がある?
結婚生活でも、個人再生を行ったことで影響が出てくる場面がありえます。
それでは、個人再生による結婚後の影響を説明します。
(1)「個人再生するとブラックリストに載る」?事故情報とは
「債務整理をするとブラックリストに載る」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ブラックリストなる名称のリストがあるわけではありません。
個人のクレジットカードやローンの申込み、契約、支払の状況等の情報(信用情報といいます)を管理している信用情報機関という組織があります。
延滞や債務整理等、当初の契約どおりの支払ができていないという情報を信用情報の中でも特に「事故情報」と呼ぶことがあります。
クレジットカードやローン等の審査時に、金融機関は信用情報の照会を行うので、事故情報があると審査を基本的に通らなくなります。
事故情報が載っていることを俗に「ブラックリスト入り」と言うのです。
個人再生も債務整理の一種なので、事故情報による支障が生じることとなります。
(2)事故情報による影響
事故情報が登録されていることによる主な支障には、次のようなものがあります。

(2-1)クレジットカードについて

個人再生の手続を行う場合、それまで持っていたクレジットカードは原則として全て手放すこととなります。
また、事故情報が登録されることで、新しくクレジットカードを作成することや、持っていたカードを更新することが基本的にできなくなります。
個人再生を行うとクレジットカードがどうなるのかについて、詳しくはこちらもご覧ください。
(2-2)ローンについて

事故情報が登録されている間は、住宅や車等のローンを組むことも基本的にできません。賃貸物件への入居の際の制約は限定的です。詳しくはこちらをご覧ください。
家族で住む家や、一家の車等でローンを組みたいと話し合っている方も多いと思います。
個人再生を行った本人は一定期間ローンを基本的に組めないので、将来設計について話し合っておくとよいでしょう。
(2-3)保証人になれないことについて
後述するように、事故情報を登録されるのは個人再生を行った本人のみです。
そのため、配偶者名義のローン等には影響がありませんが、事故情報の登録されている本人が保証人となることは困難です。
保証人が必要な場面では、保証会社や他の親族への依頼等を検討する必要が出てきます。
(3)事故情報が載るのは本人だけ!5~10年程度で事故情報は削除

よく、「家族までブラックリストに載ってしまうのではないか」と心配される方がいますが、事故情報を登録されるのは債務整理を行った本人だけです。
そのため、家族のクレジットカードやローン等の利用には支障が出ません。
また、事故情報も永遠に登録されているわけではありません。
期間は信用情報機関ごとに異なりますが、個人再生の場合、事故情報は5~10年程度で抹消されます。
個人再生を行った場合の事故情報の登録期間について、詳しくはこちらをご覧ください。
5~10年後に「住宅ローンを組みたい」等の決心をした場合には、確実に事故情報が抹消されているか、事前に信用情報の照会を行うことがおすすめです。
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結婚後に個人再生がバレることはある?
結婚前に個人再生について伝えておくことを先ほどおすすめしましたが、「それでも伝えないでおきたい」と思っている方もいるかもしれません。
それでは、結婚前に行った個人再生について、結婚後に配偶者に伝わる可能性はあるのかについて説明します。
(1)官報には載るが、バレる可能性は低い
個人再生の手続を取ると、最低でも2回(無事に手続が終わった場合には3回)官報に掲載されることとなります。
「官報なんて載ったら、個人再生がばれてしまう」と思われるかもしれません。
しかし、一般的に、官報は日常生活では極めて馴染みの薄いものです。
官報から結婚相手や親族に個人再生の事実が伝わることは、起こりにくいと言えます。
(2)事故情報の影響で気づかれる可能性はある
繰り返しになりますが、事故情報が登録されている間はクレジットカードやローンの利用等が困難です。
そのため、日常生活の何気ないやり取りで「ひょっとして、ブラックリストに載っているのでは」と伝わり、過去の借金問題や個人再生について気づかれる可能性があります。
(3)やはり、事前に結婚相手に伝えておくことがおすすめ
官報から個人再生が発覚する可能性は低いものの、日常生活で伝わってしまう可能性は否定できません。
隠していた個人再生の事実が後から発覚するよりは、最初に伝えておく方が気持ちの負担は少なくなるでしょう。
また、配偶者に安心してもらうためにも、個人再生後の新たな借金は禁物です。
事故情報があることで一定期間は借金ができないので、これをきっかけに借金に頼らないお金のやり繰りを確立しましょう。
【まとめ】個人再生したからといって結婚できないわけではないが、ローン審査等でバレる可能性はあり
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 個人再生を行ったことが結婚するに際し事実上影響することは否定できないものの、個人再生をしたからといって法律上結婚できなくなるようなことはない。
- ただし、本人は個人再生の手続に伴い事故情報を一定期間登録されるため、クレジットカードやローン利用の場面等で、結婚生活に一定の制約は生じる。
- 個人再生を行った事実が官報から発覚する可能性は低いが、結婚生活のささいなことがきっかけで過去の借金問題が伝わる可能性がある。事故情報による支障もあるので、結婚前にしっかり説明して理解と安心を得ておくことがおすすめ。
アディーレ法律事務所では、万が一再生不認可となってしまった場合、当該手続にあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2021年7月時点)。
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