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源泉徴収票に住民税の記載がない!給与から天引きされているのになぜ?

作成日:更新日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「源泉徴収票をもらったけれど、住民税については何も書かれていない。
住民税も給与から天引きされているのに、どうして源泉徴収票には住民税について何も書かれていないの?」

源泉徴収票には所得税について記載があります。
このため、住民税についても何か記載されているはずだと思い、源泉徴収票の記載項目を探してしまう方もいるのではないでしょうか。

実は、源泉徴収票は所得税に関する書類であるため、住民税についての記載はありません。

したがって、源泉徴収票には住民税についても記載されているはずだと誤解し、不安になる必要はありません。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

住民税の納め方とは?住民税は原則給与から天引きされる!

いわゆる住民税とは、都道府県民税と区市町村民税とを合わせた「個人住民税」のことです。
住民税の納め方には、次の2種類のものがあります。

  • 特別徴収
  • 普通徴収

(1)特別徴収とは?

「特別徴収」とは、給与所得者(会社などで働く労働者の方)に対して会社が給与を支払う際に、あらかじめ住民税を差し引いておき(住民税の天引き)、会社があとで給与所得者本人に代わって住民税を納める方法のことです。

特別徴収の対象となる方は、原則として全ての給与所得者です。
もっとも、一定の要件を満たした場合には、給与所得者であっても後でご説明する普通徴収の方法によることとできます。

特別徴収を行う会社は、「住民税決定通知書」に記載された1年間の住民税について、6月~翌年5月の毎月の給与からそれぞれ均等に割ったうえで天引きを行います。
「住民税決定通知書」とは、労働者個人の1年間の住民税の額を知らせる書類のことです。
「住民税決定通知書」は、市区町村から会社を通じて毎年6月に給与所得者本人に交付されます。

簡単に言えば、「特別徴収」は、給与から住民税を天引きして徴収する方法のことです。
天引きされるために、納税者本人は何もしなくても住民税を納めたことになります。
「特別」という名前がついていますが、実際には後でご説明する「普通徴収」と比べてより多くの人が「特別徴収」により住民税を納めており、原則的な住民税の納め方となっています。

(2)普通徴収とは?

個人事業主などの給与所得者ではない方などは、「普通徴収」という方法によって住民税を納めます。
「普通徴収」とは、市区町村から届く納税通知書に基づいて、年4回に分けて納税者本人が自ら住民税を納める方法のことです。

「特別徴収」の対象となる方以外の方は基本的に「普通徴収」の方法によって住民税を納めることとされています。

おおざっぱに言えば、会社から給与を受け取っている方は原則として特別徴収、そうでない方は普通徴収により住民税を納めるということになります。

「源泉徴収票」と「住民税決定通知書」の違い

源泉徴収票に住民税の記載がなかった……。
これはなぜ?

源泉徴収票は所得税に関する書類なので、住民税の記載はありません。

そうなんだ!
それじゃあ住民税について確認したい場合は何を見ればいいの?

「住民税決定通知書」という書類がお手元にあれば、それを確認してみてください。
特別徴収の場合、住民税決定通知書は原則として会社に対して送付されるので、会社から交付を受けていない場合には会社に請求してみると良いです。

源泉徴収票は、所得税に関する書類です。
これに対して、住民税決定通知書は、住民税に関する書類です。

所得税は国税(国に対して納める税金)であるのに対して、住民税は地方税(地方自治体に対して納める税金)です。

このように、源泉徴収票と住民税決定通知書は、どの税に関する書類かという点で違いがあります。

源泉徴収票は、原則として翌年1月中に会社から交付される書類です。
これに対して、住民税決定通知書は、毎年6月頃に会社を通じて交付されることが多いです。

住民税の納付に関するよくある質問

住民税の納付方法に関して、次のようなよくある質問について、ご説明します。

  • 所得税が発生しなければ住民税も発生しない?
  • 会社が「特別徴収」をしてくれない場合はどうしたら良い?
  • アルバイトやパートも「特別徴収」の対象となる?
  • 給与所得者が住民税を「普通徴収」で納めることは可能?

(1)所得税が発生しなければ住民税も発生しない?

所得税が発生しない範囲内の収入しかない場合には、住民税も発生しない?

所得税が発生しなくても、住民税が発生するケースはあります。
これは、所得税と住民税では計算方法が異なるからです。

(2)会社が「特別徴収」をしてくれない場合はどうしたら良い?

会社が住民税の「特別徴収」をしてくれません。
どうすれば良いですか?

源泉徴収票を持参して市区町村の役所に相談に行くと良いでしょう。

住民税の納付方法に関して、会社や労働者が特別徴収か普通徴収かを自由に選択できるわけではありません。
また、所得税の源泉徴収を行う事業主は、原則として、住民税も特別徴収する義務があります。

会社が特別徴収をしないことは、誤った運用である可能性があります。
このような誤った運用がなされている可能性がある場合には、源泉徴収票を持参して市区町村の役所の住民税を担当する窓口まで相談に行ってみると良いでしょう。

(3)アルバイトやパートも「特別徴収」の対象となる?

アルバイト・パートとして働いているけれど、私は「特別徴収」の対象となる?

アルバイト・パートの方も、基本的には特別徴収の対象となります。

特別徴収によって住民税を納付するのは、正社員に限られません。
給与の額によりますが、アルバイト・パートとして働く方なども含め、雇用形態を問わず、給与所得者であれば基本的には特別徴収の対象となります。

アルバイト・パートだからという理由で、正社員と違って特別徴収されないなどといった例外的な取扱いは基本的にはありません。

(4)給与所得者が住民税を「普通徴収」で納めることは可能?

会社に勤めていて給与を受け取っている給与所得者だけど、住民税を「普通徴収」の方法で納めたい。
これは可能?

いいえ、できません。
給与所得者であれば、基本的には特別徴収の方法で住民税を納めることになります。
特別徴収か普通徴収かを自分で自由に選ぶことはできません。

特別徴収か普通徴収かを自分で自由に選ぶことはできないため、給与所得者であれば原則として給与から住民税が天引きされることになります。

もっとも、産休・育休中の住民税の納税は、給与から毎月天引きすることができないので、普通徴収に切り替えられることがあります。詳しくは、会社の人事などの担当者に聞くようにしましょう。

【まとめ】「源泉徴収票」は所得税に関する書類であるため、住民税については記載されない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 住民税の納め方には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類がある。
    「特別徴収」は、給与所得者に対して会社が給与を支払う際にあらかじめ住民税を天引きして納付する方法。
    「普通徴収」は、個人事業主などの納付方法で、納税通知書に基づいて年4回に分けて納税者本人が自ら住民税を納める方法。
  • 「源泉徴収票」は所得税に関する書類であるのに対して、「住民税決定通知書」は住民税に関する書類であるという違いがある。
  • 給与の額によっては、アルバイトやパートも「特別徴収」の対象となる。
    また、給与所得者が住民税の納付方法を自由に選んで「普通徴収」の方法で納付するということは原則できない。

源泉徴収票に住民税についての記載がなければ、給与から天引きされているはずなのにおかしいと感じてしまうかもしれません。

しかし、源泉徴収票に住民税の記載がないことは間違ったことではありません。
源泉徴収票がどのような書類なのかを正しく把握すれば、納税についての意識も高まるでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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