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第三者弁済とは?改正後の内容や利害関係の有無による違いなどを解説

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友人と食事した際、財布を忘れたことに気づいたらどうしますか。いったん立て替えてくれないか、と友人に頼むという選択肢があります。自分で使うもの、食べるものは自分のお金で買うのが基本です。しかし、何らかの事情で自分以外の誰かにお金を支払ってもらうことがあります。これを「第三者弁済」といいます。
今回は、弁護士が「第三者弁済」を解説します。

第三者弁済とは債務者以外の第三者が弁済すること

そもそも弁済とは、

債務の本旨に従った給付を行うこと

引用:三省堂編修所(編集)『デイリー法学用語辞典』三省堂

です。

たとえば、100円の文房具を購入するという契約なら、約束どおりに100円を支払うことが「弁済」です。弁済をすると、債務は消滅しますので(民法473条)、それ以後代金を請求されても「既に支払った」と拒絶することができます。

「弁済」はお金を支払う行為に限られません。
100円の文房具を購入するという契約を文房具屋からみると、文房具を提供する行為が「弁済」にあたります。

一般的に「弁済」は契約の当事者が行います。しかし、第三者が行える場合もあります。
その典型的なケースが債務者に代わってお金を支払う行為です。
たとえば、本人が返せなくなった借金を親が代わりに返済するケースが挙げられます。

第三者弁済が認められないケース

例外的に第三者弁済が認められないのは、次の2つです(民法474条4項)。

  • その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき
  • 当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたとき

お金を支払う行為であっても、債務者があらかじめ「私が必ず全額支払うから、親や友人には一切請求しないで」と伝え、債権者も了承していた場合には、第三者弁済は許されません。

第三者弁済の民法の規定

2020年4月に改正民法が施行されたことにより、第三者弁済に関する規定の内容にも変更が生じました。どのような改正が行われたのかを解説します。
この改正により、従来不安定だった債権者の地位の保護が図られたといえます。

(1)第三者弁済の認められる第三者の範囲

旧民法474条2項では、

利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

引用:旧民法474条2項

と定められていました。これに対して、現行民法474条2項では

弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

引用:民法474条2項

と定められています。

「利害関係を有しない第三者」と「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者」では文言が改められていますが、意味は異なりません。要は、債務者(例:借金をした人)の意思に反して弁済することのできない第三者がいるということです。例えば、単に「債務者の親族である」という理由だけで支払う場合には、債務者の意思に反しないことが必要となります。

「弁済をするについて正当な利益を有する者」とは、弁済しないと不利益を被る者です。
たとえば、次の人が「弁済をするについて正当な利益を有する者」にあたります。

  • 物上保証人(債務者の債務を担保するために、自身の不動産に担保権を設定した者)
  • 担保不動産の第三取得者(担保不動産を購入した者など)
  • 担保不動産の賃借人・留置権者・後順位抵当権者

(連帯)保証人は、自らの債務として支払うため、第三者弁済にあたりません。

(2)第三者弁済に対する債権者の対応

旧民法下では、利害関係を有しない第三者からの弁済であっても債権者(例:消費者金融)は拒否できませんでした。これに対して、現行民法474条3項では、弁済をするについて正当な利益を有する者でない

第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。

引用:民法474条3項

とされました。
つまり、民法改正によって債権者には第三者弁済を拒否する権利が認められたのです。

(3)弁済後に第三者弁済が債務者の意思に反していたことが判明した場合

旧民法では、弁済後に第三者弁済が債務者の意思に反していたことが判明した場合、第三者の弁済は無効となり、債権者は原状回復をしなければなりませんでした。後々無効となるかもしれないリスクがあるにもかかわらず、債権者には弁済を拒否することができなかったのです。これに対して、現行民法では原則無効となり、例外的にその第三者が債務者の委託を受けて弁済をすることを債権者が知っていたときは有効になります(474条3項)。

具体的な事例を想定してみましょう。

多額の借金を抱え、債務整理を検討しているAさん。弁護士から「自己破産が妥当であるが、そうなるとローンのある自動車は引き上げられてしまう」と聞かされました。仕事上、車はどうしても必要です。そこで、父親に頭を下げ、代わりにローンを完済してくれるように頼みました(なお、父親は車のローンの保証人ではありません)。

債務整理を進めるにあたって、このような第三者弁済の事例は珍しくありません。
本人が他の債権者を差し置いて車のローンだけ完済した(偏頗弁済)と指摘されないようにするために、このケースでは父親から車のローン会社に直接支払ってもらう必要があります。もっとも、父親は単なる親族であって、「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者」にあたります。そのため、父親は債権者の意思に反して弁済することができないので、Aさんはその弁済が自分の意思に反しないことを示すため委任状を父親に渡しておいた方がスムーズです。
なお、一般的には、自己破産手続きを進めるうえで、父親から「立て替えた分は返さなくて良い」ことを記載した債権放棄書をもらうことになります。
そうしないと、今度は父親が債権者としてAさんの自己破産手続きに関与しなければならないことになるからです。

第三者弁済と代位弁済の違いをわかりやすく解説

第三者弁済とよく似た制度として「代位弁済」と呼ばれるものがあります。
代位弁済とは、債務者が返済できなくなった場合に、そのような場合に備えて委託されていた保証人などが債務者に代わって債務を弁済することです。代位弁済された場合、代位弁済者が従来の債権者に代位して債権者となります。

借金を抱えている人が遭遇する代位弁済の典型例は、次のようなケースです。

Aさんは、父親に車のローンを完済してもらい、心おきなく自己破産手続きを進められることになりました。Aさんが弁護士に申告した債権者のうち、銀行であるX社からの借入れには、消費者金融P社が保証会社としてついていました。弁護士からX社に受任通知を送ると、数ヶ月後、P社からX社に“代位弁済”したことを示す通知が届きました。

銀行は、お金を貸すときに、消費者金融を保証会社としており、今回のように銀行に対する支払いができなくなると、保証会社が銀行に残債をすべて支払います。そうなると、自己破産手続きにあたっては、銀行(X社)ではなく保証会社(P社)が債権者として扱われます。

自己破産の場合に限られず、任意整理や民事再生でも同様の事態は起こります。

もっとも、契約時にいなかった保証会社と名乗る会社が突然現れて弁済することは考えられません。身に覚えのない会社が突然現れたなら、契約書など客観的な資料を確認させてもらいましょう。

弁済による代位の効力の有無

第三者が弁済する行為のうち、弁済による代位の効力(民法501条)が認められたものを代位弁済と呼びます。弁済による代位の効力とは、一定の第三者が弁済した場合に、求償権の範囲で債権者が有していた権利を行使できる効力のことです。求償権とは、債務を肩代わりした者が、債務者に対して肩代わりした分を返還するよう請求できる権利のことです。

第三者弁済のうち、弁済をした第三者が弁済につき正当な理由を有している場合には、法定代位により、当然に債権者に代位することになります。債務者に肩代わりして支払った分(求償権)の範囲で、債務者に対して請求でき、債務者から返済がない場合には、例えば抵当権など担保権を実行することもできます。

これに対して、弁済をした第三者が弁済につき正当な理由を有しない場合であっても、当然に代位することができるようになりました(民法499条)。改正前民法では必要とされていた債権者の同意が代位の要件ではなくなったのです。ただし、弁済が債務者の意思に反する場合には、原則として弁済が無効になる(民法474条2項)ので、注意してください。

弁済による代位は法定代位と任意代位の2種類

弁済による代位には、法定代位と任意代位の2種類があります。
弁済につき正当な理由を有している者(物上保証人、連帯保証人など)がした弁済した場合が法定代位、正当な理由を有しない者が弁済した場合が任意代位です。

【まとめ】借金返済でお悩みの方はアディーレ法律事務所へ

契約で負った債務は、当事者が弁済するのが基本です。もっとも、何らかの事情によって債務者本人が弁済できない場合に、第三者が弁済できるケースがあります。条件を満たした第三者が支払うことを「第三者弁済」といいます。
自分の借金を自力で返すことができず、第三者に返済してもらった場合、支払ってもらった分だけ第三者にお金を支払わなければなりません。第三者から「返さなくていいよ」と言われない限り、借金の金額は変わらないのです。また、第三者がお金を支払えなくなってしまったときに、第三者を巻き込んで途方に暮れてしまいかねません。
借金の返済でお困りであれば、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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