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民事再生法とは?申請するための方法やメリットやデメリットを解説

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新型コロナウィルスの影響によって大打撃を受けた航空業界。2020年4月、オーストラリア第2の航空会社ヴァージン・オーストラリアが経営破たんしたというニュースを覚えている人も多いのではないでしょうか。事業を再建するために日本における民事再生手続きに相当する手続き(任意管理手続き)が採られました。
このような大規模な会社が事業再建を図るための「民事再生法」とはどのような法律なのでしょうか。弁護士が解説します。

民事再生法とは債務者の事業を再建するための法律

日本の倒産制度には、会社の解散を目的とする清算型と会社の継続が目的となる再建型の2つがあり、民事再生法は、経済的に困窮する事業者の経営を立て直すための法律として、再建型の法律に分類されます。

民事再生法における再建手続きのパターン

民事再生法における再建手続きは、以下の3つのパターンに分類することができます。

(1)スポンサー型

スポンサー型とは、メインバンクや同業他社、再生ファンドなどのスポンサーから借入れをしたり出資を受けたりすることにより、借金を返済し、再建を図る方法です。
経営状況の悪化により、取引先との信頼関係が失われている場合、安定した収益を確保することが困難であるため、自力再建は難しくなります。しかし、強力なスポンサーがつけば、再び取引先との信用を回復することができるため、再建を図れる可能性が高まります。
ただし、この方法を採ることができるのは、再生する会社において魅力的な技術力があるなど、スポンサーにとって魅力的な要素がある場合に限られます。自社の強みをきちんと理解して、スポンサーにアピールできるかが鍵になるでしょう。

(2)自力再建型

自力再建型とは、その名のとおり、自社の収益を原資として借金を返済し、自力で再建を図る方法です。収益が安定していることが条件ですが、スポンサーをつけることが難しくても採ることができます。

(3)清算型

清算型とは、事業の全部または一部を受け皿となる会社に譲渡したうえで、旧会社を清算し、受け皿となる会社において再建を図る方法です。事業譲渡により得た対価を借金の支払いに充てます。清算型とはいえ、会社のすべてが失われるわけではありません。
民事再生手続が開始された後に、裁判所の許可を受けて、事業譲渡を行うことになります。

民事再生法に基づく民事再生の申請費用

民事再生の申請にかかる費用は、民事再生を申立てるのが法人か個人かで異なります。
民事再生は、手続きが煩雑で、高度な法律知識を要するため、弁護士に依頼するのが一般的です。そのため、裁判所への予納金、申立実費のほかに、弁護士費用が必要となります。

(1)個人による申請の場合(個人再生)

民事再生を申立てるのに必要となる予納金は、以下のとおりです。

  • 官報掲載費用 約1万3000円
  • 申立て手数料 1万円
  • 郵便切手代(債権者数によって異なります)

参照:個人再生手続申立ての際に必要な費用等|裁判所- Courts in Japan

この費用に加えて、弁護士費用が必要です。弁護士は自由に弁護士費用を決めることができるため、弁護士によって多少異なるものの、弁護士費用の相場は40万~60万円です。
また、住宅資金特別条項の利用の有無によっても弁護士費用は変動します。

さらに、個人再生手続きを監督する個人再生委員が選任される場合には、その報酬(裁判所によって異なるものの、おおむね約15万円)を支払わなければなりません。東京地裁では全件再生委員が選任されるのに対して、弁護士が代理人として申立てた個人再生には原則として再生委員がつかないとしている裁判所も多くあります。法律上、裁判所が再生委員を複数名選任することも可能ですが、一般的に複数の再生委員がつくことはありません。

なお、個人であっても借金額が5000万円を超える場合には、個人再生ではなく通常の民事再生となるため、手続き費用・弁護士費用は高額になります。

(2)法人による申請の場合

予納金は、借金の総額に応じて金額が異なります。
東京地裁では、次のように決められています(2020年12月時点)。

負債総額基準額
5000万円未満200万円
5000万~1億円未満300万円
1億~5億円未満400万円
5億~10億円未満500万円

このように、借金の総額が多額になればなるほど、予納金の額も上がります。申立て時に6割を支払い、開始決定から2ヶ月以内に残りを分納することも認められています。

法人の再生の場合、弁護士費用も高額であり、負債総額が1億円以下であっても、800万~1000万円程度かかることが一般的です。

民事再生法と会社更生法の違い

民事再生法に似た法律として会社更生法があります。いずれも会社を建て直すことを目的としている点で共通していますが、どのような点で違いがあるのかを解説します。
簡単にいうと、会社更生法のほうが多くの人が関わることを想定しているため、手続きが非常に複雑になります。

参照:民事再生と会社更生|愛知県弁護士会

(1)申請手続きが行える対象者

民事再生法と会社更生法では、手続きを行える主体が異なります。

民事再生法個人・法人(会社の種類は問わない)
会社更生法株式会社のみ

(2)財産の管理者と経営陣

民事再生では、裁判所により再生委員が選任されますが、再生委員はあくまでも監督する立場にすぎず、財産を管理する権限は認められていません。そのため、再生会社では現経営陣が主体となって再生委員の監督の下、会社の財産を管理することができます。

これに対して、会社更生では、その時点での経営陣はすべて交代することが原則です。裁判所により更生管財人が選任され、更生管財人は会社の財産や業務を管理すると同時に、経営を行っていくことになります。

(3)担保権実行の可否

民事再生では、自由に抵当権などの担保権を実行し、お金を回収することができます。
これに対して、会社更生では、担保権を実行することはできません。更生管財人による担保目的物の評価に基づいて、不動産を強制競売するなどして得た配当を受けることになるのです。

(4)返済期間

民事再生において、返済期間は5~7年(最長10年)であることが一般的であるのに対して、会社更生において、返済期間は15年以内と会社更生法で定められています。会社更生手続きは、大手の企業がとる手続きであるため、借金の総額も高額であることが多く、10年を超えることも珍しくありません。

(5)手続きに要する時間

民事再生では、裁判所に申立てた後、再生計画案について認可が出るまでにはおよそ半年かかるのに対し、会社更生では、申立後、更生計画案について認可が出るまでに数年かかるケースさえあります。

民事再生法のメリットとデメリット

民事再生にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。

(1)民事再生を申請するメリット

  • 事業を継続できる
    民事再生は、事業を継続しながら、事業を再建することを目的としています。
  • 経営陣が交代しなくてもよい
    会社更生のように経営陣が交代せずに、現状の経営陣で再建を図ることができます。一方、再生委員が付く場合には、その監督に服するため不正な行為を行うこともできません。

(2)民事再生を申請するデメリット

  • 担保権を実行される可能性がある
    担保権を実行されると、不動産などの担保目的物を失うことになります。
  • 世間、取引先、顧客、従業員などからの信用を失う可能性がある
    もっとも、経営状況が悪化したことによるデメリットなので、必ずしも民事再生のデメリットだとはいえないでしょう。

民事再生法に基づく民事再生の申請手続きの流れ

では、民事再生がどのように進められていくのか、その流れを解説しましょう。

(1)民事再生法による民事再生の申立て

会社の本店所在地を管轄する裁判所に民事再生を申立てることになります。

必要な主な書類は、以下のとおりです。

  • 債権者一覧表など民事再生申立書
  • 保全処分申立書
    手続きを終えるまで、担保権の実行を猶予してもらうために必要となります。
  • 定款の写し
    定款とは、会社を運営していく上での基本的ルールを定めたものです。
  • 資格証明書(会社にかかる全部事項証明書)
    裁判所の判断次第では、上記の資料以外にも提出を求められることがあります。

(2)再生手続きの開始決定

申立てから2週間程度で、裁判所により再生手続きの開始決定が出て、具体的に手続きが開始されることになります。通常、裁判所は弁済禁止の保全処分決定を下しますので、そうなると、債権者は、保全処分命令により担保権を実行することができないため、手続きに則って進めていかざるを得ません。

(3)貸借対照表と財産目録の提出

開始決定の約1ヶ月後に、貸借対照表と財産目録を裁判所に提出します。

貸借対照表会社の財務状況が記載されているもの
財産目録会社が保有する財産や負債を区分、種類ごとに記載しているもの

(4)再生計画案の提出、認可

再生計画案とは、借金をどのようにして返済していくかを定めたものです。その作成にあたっては、各債権者から提出された債権届を踏まえ、また、大口債権者への返済方法をどのようにするかを重点的に考慮することが大切となります。債務者は、債権届出書に記載された債権額について、認めるかどうかを判断して、裁判所に債権認否一覧表を提出します。

再生計画案を提出した後、債権者集会が開かれます。出席した債権者の過半数の同意、かつ、債権総額の2分の1以上の債権者の同意により、債権者集会で再生計画案について可決されると、裁判所により再生計画案の認可が下りることになります。

【まとめ】民事再生法申請でお困りの方は弁護士へ

民事再生法とは倒産法の1つであり、債務者の事業を再建するための法律のことです。会社更生のように経営陣を交代することなく、現状の経営陣で再建を図ることができるメリットがあります。法律知識がなければ、民事再生を進めることはできません。民事再生法申請でお困りであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
個人再生はアディーレ法律事務所にご相談ください(法人のお客様からの民事再生のご依頼は現在(※)お請けしておりません)。
※2020年12月現在