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親の借金を子供が支払う義務はある?借金の支払いの回避方法や親の借金の調べ方を解説

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かつて日本では「親の面倒を子が看る」との考え方が支配的でした。
そのためか、悪質な貸金業者が親の借金の返済を子供に迫ることもあります。
果たして親の借金を子供が支払う義務はあるのでしょうか。
今回のテーマは「親の借金」です。

親の借金を子供が返済する義務はある?

借金の返済義務を負うのは、(1)借主(債務者)自身、(2)保証人です。
もし子どもがこのいずれにもあてはまらないのであれば、返済する義務はありません。
親が作った借金だからといって、無条件で子供が肩代わりするわけではないのです。

親の借金を債権者から取り立てられることはある?

お金を貸した人(債権者)は、債務者や保証人以外に取立てすることはできません。
特に、登録している貸金業者が第三者に請求することは違法です(貸金業法21条1項7号)。

ところが、闇金のような悪質な貸金業者の中には「子供には親を扶養する義務がある」と主張して、親の借金を肩代わりさせようとするところがあります。

扶養義務は、民法877条1項に規定されています。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

親子は、直系血族にあたるので、確かに子供には親を扶養する義務があります。

子供は、自身の生活をしても経済的な余裕がある場合に、親を援助する義務があります。
これを「生活扶助義務(せいかつふじょぎむ)」と呼びます。
注意すべきなのが、この義務はあくまで当事者間でのみ生じることです。
親から助けを求められたときに、生活に余裕があれば援助する必要があります。
しかし、他人である債権者がこの義務を理由に、借金の肩代わりを求めることはできません。

そのため、扶養義務を理由に親の借金の返済を求められたら、きっぱりと断りましょう。
闇金が嫌がらせをするようであれば、警察に助けを求めてください。

親の借金を肩代わりすることも可能

原則として、保証人になっていない子供に親の借金を返済する義務はありません。
もっとも、子供が自ら親の借金を肩代わりすることは可能です。
借金の総額を調べて自ら直接債権者に支払うのも1つの方法です。
あるいは、親の生活が苦しいときに援助してあげるのも1つの方法でしょう。
きちんと完済してあげるならば、その後親が借金を繰り返してしまわないように、借金の原因を把握しておくことをおすすめします。
ギャンブルが理由ならカウンセリングに付き合うことも検討してください。

法律上、誰かの借金を肩代わりすることを「債務引受(さいむひきうけ)」といいます。
親が引き続き借金の返済義務を負うかによって、免責的(めんせきてき)債務引受と併存的(へいぞんてき)債務引受に分かれます。

免責的債務引受…子供だけが借金の返済義務を負う
併存的債務引受…親と子供が借金の返済義務を負う

いずれも債権者と子供が合意をするか、親と子供が合意をして債権者の同意を得ることによって成立します(民法470条、472条)。親子だけで約束をしても効果は生じません。
借金を肩代わりされても債務者に不利益は生じないので、債権者と子供が借金の肩代わりについて合意すれば、法律上親の同意は必要ありません。もっとも、子供に迷惑を掛けたくないと考えている親にとって、子供に借金を肩代わりされることは抵抗があるでしょうから、あらかじめ親と相談しておくことをおすすめします。

肩代わりに関して、見返りを求めるかどうかは親子の関係性等によるでしょう。
現金や預金はないけれども不動産はあるというケースでは、不動産の相続にあたって多少優遇してもらう方法もあります。ただし、兄弟などほかの相続人がいる場合には注意してください。

親の借金を子供が返済しなければならない場合は?

基本的に、親の借金を子供が肩代わりする必要はありません。
しかし、子供が債務者や保証人になっている場合には、親の借金を返済する義務があります。

子供が親の借金の債務者になるケースとしては、次のようなケースが考えられます。
(1)「子供の名義」で親が借金をしていた場合
(2)借金を完済する前に親が死亡した場合
(3)子供が親の借金の保証人になっている場合

それでは、具体的にみていきましょう。

(1)「子供の名義」で親が借金をしていた場合

ブラックリストに載っており自分で借りられないなどの理由で、親から「お金を借りて欲しい」と頼まれることがあります。
自分の名前を貸して他人に契約をさせることを「名義貸し(めいぎがし)」といいます。
この場合、親の借金を子供が返済しなければなりません。

借金を借りたい親に名義を貸すことは、次の3点からリスクが大きいといえます。

  • 名義を貸した人に詐欺罪が成立しかねない(詐欺罪:10年以下の懲役)
  • 借金の返済義務は名義を貸した人(契約当事者)にある
  • 借金の返済を滞納すると名義を貸した人がブラックリストに載る

困っている親から頼まれると「名前くらい貸してもいいか……」と思うかもしれませんが、キッパリと断るようにしましょう。

これに対して、親が子供の印鑑を勝手に持ち出してお金を借りることがあります。
これは名義貸しではなく、「名義冒用(めいぎぼうよう)」と呼ばれています。
親とはいえ、子供の名義で契約をする権限はありませんので、無効な契約です。
そのため、債権者から借金の返済を求められても、断ることができます。

しかし、債権者が借金の取り立てを諦めない場合には、裁判に発展するでしょう。
債権者が主張する可能性が高いのは、次の2つです。

  1. 名義冒用に関して名義を貸した人にも責任がある
  2. 契約当初は名義冒用だったかもしれないがその後の行為によって契約は有効になった

1. 名義冒用に関して名義を貸した人にも責任がある

他人が無断で行った契約の責任を本人が負う1つの類型が表見(ひょうけん)代理です。

そもそもどうして親は子供の名義で借りることができたのでしょうか。
子供が自分の財産の管理を親に任せて、印鑑等を預けていたなら、名義冒用は子供の責任ともいえます。一方、ローン会社が本人確認を怠っていたならローン会社の責任でしょう。

名義を冒用された経緯によっては、債権者に対して「親が無断で契約した」といえず、子供が借金を返済しなければなりません。

2. 契約当初は名義冒用だったかもしれないがその後の行為によって契約は有効になった

法律上、権限のない者がした契約でも、本人が追認(ついにん)すると契約当初から有効になるとされています(民法116条)。

たとえば、次のような行為があると、追認をしたと主張される可能性があります。
親が無断で借金をしたことを知った後で―――

  • 借金の一部を返済した
  • そのカードを利用した
  • しばらくの間債権者に連絡をしなかった

このような行為があると、親が無断でした借金でも子供に返済義務が生じかねません。

親が無断で子供の名義で借金をしたと知ったならば、すぐに弁護士に相談するのが良いでしょう。
もっとも、このようなトラブルにならないように、普段から親としっかり話し合うことが大切です。

(2)借金を完済する前に親が死亡した場合

親が親の名義で借金をした場合でも、子供が債務者になるケースがあります。
それが借金を完済する前に親が死亡したケースです。

子供は、親の財産を相続します。
何を相続するかについては、民法896条で、次のように規定されています。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

「一切」とあるように、銀行預金や不動産に限られず、借金も相続の対象になります。

遺言などのない限り、法律に従って相続することになります(民法900条1号)。
もし母親か父親が生きていれば親が財産の2分の1、2分の1を子供で均等に分配します。
もし既に両親が亡くなっていれば、財産を子供で均等に分配します。

親の借金について、子供同士で話し合って、1人が相続することもあるでしょう。
たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

300万円の借金を負っていたAさんが亡くなって、子供であるBさんとCさんが相続しました。Bさんは、CさんがAさんの老後の面倒をみたことから、300万円の借金を全額引き受けることにしました。

Bさんが借金を全て引き受けることは「免責債務引受」にあたるので、債権者の同意が必要です。
債権者が同意しない場合には、Cさんは150万円を返済しなければなりません。そして、その後、Bさんに対して150万円を請求することになります。

親が会社を経営していた場合には借金が多いこともあるので、注意しましょう。

(3)子供が親の借金の保証人になっている場合

奨学金を借りる際に親が子供の保証人となるように、親に「借金の保証人になってほしい」と頼まれることがあります。

保証人とは、主債務者が借金の返済をできなくなったときに代わりに返済する人です。
“連帯”保証人になると、次の2つの制限が付きます(民法454条)。

  1. 「私に請求する前に主債務者に請求してください」と言えない
  2. 「主債務者はお金があるのでそちらから回収してください」と言えない

つまり、親の借金について連帯保証人になると「親の借金なので親に請求してください」とも「親には支払うお金があるはずなので親から回収してください」とも言えません。
債権者があくまでも子供から回収しようとする場合、借金を返済せざるを得ないのです。

特に連帯保証人は、重い責任を負うので、しっかりと考えてから契約してください。

既に保証人なのであれば、親がきちんと返済できているかを把握しておくことが大切です。
もし返済に困っているようであれば、弁護士に債務整理を相談することを検討しましょう。
このとき子供が破産・再生をする場合を除き、親自身が債務整理をすることになります。

借金の支払いを回避する方法

親の借金を肩代わりしないようにするには、債務者にも保証人にもならないことです。
名義貸しや保証人になるのを断ることで、借金の支払いを回避できるでしょう。
もっとも、親が親の名義で借金するのを子供は止められません。
親の借金を相続してしまわないように、相続放棄・限定承認をお伝えします。

相続を放棄する

銀行預金や不動産のようなプラスの財産よりも借金のほうが明らかに多いなら、「相続放棄」を検討しましょう。相続放棄とは、相続する権利を放棄することです。借金だけでなくすべての財産を相続できなくなるので、注意してください。

相続放棄をするためには、親の死亡を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所で手続きをしなければなりません(民法915条1項、938条)。
具体的には、相続放棄の申述書や戸籍謄本等必要書類を亡くなった親が最期に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に提出します。
ここで注意していただきたいのが、家族間で「相続放棄する。あとは勝手にしておいて」と言うだけでは相続放棄にならないことです。

次のような行為をすると、相続放棄をできなくなるので、注意しましょう(民法921条)。
親が亡くなった後で―――

  • 親の口座からお金を引き出した
  • 不動産を親から自分に変更した
  • 親の借金を返済した

相続放棄をしたからといって、親の借金がなくなるわけではありません。
相続放棄をすると、相続をする権利は次順位の相続人に移ります。
たとえば、祖父や祖母が生きていれば、その人が借金を相続します。
借金が多すぎて相続放棄をするのであれば、相続人全員で相続放棄するのが良いでしょう。
少なくとも後順位の相続人に対して借金の総額を伝えておくと波風が立たないはずです。

限定承認を行う

限定承認とは、プラスの財産の限度で、借金を相続することです。
たとえば、700万円の資産、300万円の借金がある場合には、資産のほうが多いので400万円を相続します。一方、300万円の資産、700万円の借金がある場合には300万円分の資産と借金をそれぞれ相続することになります。
どうしても相続したい財産があるケースでは、限定承認を検討することになるでしょう。

相続人が複数いるときには、相続人全員で限定承認をする必要があります(民法923条)。相続放棄と同様、親の死亡を知ってから3ヶ月以内に、限定承認の申述審判申立書等を家庭裁判所に提出することになります。

親の借金の調べ方を解説

相続をどうするかを決めるためにも、親の借金の総額を知ることが大切です。
親から借り入れた貸金業者を聞いたなら、直接借金の額を問い合わせてみても良いでしょう。
もっとも、子供から直接「借金はあるのか?」と質問するのは抵抗があるかもしれません。
また、親としても弱みを見せたくない等の理由で正直に打ち明けにくい可能性があります。
生きているうちに親の借金を把握することはなかなか難しいのが実情でしょう。
次は、親の借金を把握する方法を紹介します。

親が生きている場合は抵当権を調べる

親が建物や土地を所有している場合には、抵当権が設定されているかを調べてみましょう。
インターネット上の「登記情報提供サービス」や「登記・供託オンライン申請システム」で簡単に登記情報を調べることも可能です。
抵当権が付いている場合には、かなり高い確率で、借金があります。
抵当権は、保証人同様、借金の返済ができなくなったときに備えるものだからです。

郵便物や通帳をチェックする

親が生きている場合にはなかなか確認しにくいでしょうが、郵便物や通帳をチェックするのも親の借金を知る有効な手段です。
債権者からの督促状や裁判所からの書類が届いているかもしれません。
あるいは、通帳をみると毎月債権者からお金を引き落とされているのがわかるかもしれません。

親が亡くなった場合は信用情報機関に情報開示請求を行う

親が亡くなった場合には、信用情報機関に情報開示請求を行うのが良いでしょう。
法定相続人であることを証明する書類を同封すれば、郵送でも開示請求ができます。

信用情報機関は、次の3つです。心配であれば、3つ全てに開示請求するのが良いでしょう。

  • シー・アイ・シー(CIC)
  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター

ただし、友人や知人から借りていた場合には信用情報からは把握できないので、注意してください。

借金問題は早期解決が重要、親の借金に関するご相談はアディーレ法律事務所へ

親が借金をしているからといって、連帯保証人でもない限り、基本的に親の借金を子供が肩代わりすることはありません。もっとも、親が子供の名義で借金をした場合や借金を残して亡くなった場合のように親の借金を肩代わりする可能性はゼロでもありません。
親の借金について債権者から返済を求められた場合には、早めに借金の総額を把握して、弁護士に相談しましょう。弁護士に相談すれば、スピーディーに正しい解決策が見つかるはずです。また、必要に応じて債務整理も提案してもらえるでしょう。
親の借金でお困りならば、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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