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個人再生の成功率と失敗する4つのパターン

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個人再生では、自己破産と異なり、手続き終了後、3~5年間支払いを続けていかなければなりません。経済的なメリットでみると、個人再生より自己破産のほうが経済的メリットが大きいでしょう。
それでも住宅など手放したくない財産があるとき、警備員など制限職種に就いているときなど、自己破産ではなく個人再生を選択したいと考える人が多くいます。しかし、もし途中で再生計画に沿った支払いができなくなれば、そのような個人再生をしたい目的を遂げることができません。また、その他にも個人再生の失敗のパターンがあります。
そこで、今回は個人再生を成功させたい方に向けて、弁護士が「個人再生の成功率と個人再生が失敗する4つのパターン」をお伝えします。

2019年度の個人再生の成功率は90%以上

そもそも個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。多くの人が小規模個人再生で手続きを進めることができるのですが、次のいずれかに該当する場合には、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生を選択することになります。

  1. 議決権を有する債権者の2分の1以上が再生計画案に反対である
  2. 再生計画案に反対した議決権者の議決権の額が、全議決権者の議決権の合計額の2分の1を超えている

ここで具体的なケースを想定してみましょう。

Aさんは、X社、Y社、Z社から1200万円を借りていたところ、返済できなくなったため、個人再生をすることになりました(住宅ローンはありません)。その金額は、X社300万円、Y社250万円、Z社650万円です。

  1. X社が反対した(議決権額300万円)
  2. Z社が反対した(議決権額650万円)
  3. X社とY社が反対した(議決権額550万円)

1~3のうち、小規模個人再生をすることができないのは、

  • 反対した議決権者(Z社)の議決権の額の合計(650万円)が全議決権者の議決権の合計額(1200万円)の2分の1を超えている2と、
  • 議決権者の2分の1以上(X社とY社)が反対した3です。

1については、いずれにも該当しないため、書面決議は可決されることになります。

裁判所の作成した2019年度司法統計(第109表)によると、小規模個人再生の成功率は94%(事件総数1万2628件のうち「再生手続終結(1万1860件)」した割合)、給与所得者等再生の成功率は91%(事件総数851件のうち「再生手続終結(772件)」した割合)となっています。
当該統計においては、「再生手続終結」に「取り下げ」は含まれていません。「取下げ」により申立てが終結した場合には、家族等からの援助の目処がつくなどして個人再生をする必要がなくなったケースも含まれています。一方で、「取り下げ」には個人再生を申立てたものの要件を満たさずに裁判所から取下げを促されたケースも含まれています。

一般に個人再生の失敗と評価されるのは、次の4つに該当する場合です。

裁判所の決定主な事情
棄却又は却下個人再生を申立てたものの手続開始の要件を満たさない
再生手続廃止再生計画案が提出されない、提出された再生計画案が否決されたなど
再生計画不認可再生計画の履行可能性がない、再生手続や再生計画に重大な法律違反があったなど
再生計画取消し返済期間中に返済ができなくなった

参照:第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所|裁判所 – Courts in Japan

失敗パターン(1)個人再生の申立てが棄却・却下される

個人再生の申立てが棄却・却下されるのは、次のようなケースです。

  • 申立人債務者が個人ではない場合
  • 「再生計画の対象となる借金総額」が5000万円を超えている場合

住宅ローンがあっても住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できる場合には、住宅ローンの残高は「再生計画の対象となる借金総額」に含まれません。

また、民事再生法25条では、個人再生の申立てを棄却するケースが定められています。

  • 再生手続の費用の予納がない場合
  • 裁判所に破産手続または特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合する場合
  • 再生計画案の作成・可決・認可のいずれかの見込みがないことが明らかである場合
  • 不当な目的で申立てがされたとき、申立てが誠実にされたものでないとき

個人再生の申立てが棄却・却下されるのは、全体のわずか1%にも及びません。棄却や却下をされる前に裁判所の求めに応じて取り下げているケースが多いためであるとも評価できますが、弁護士などの専門家を通じて個人再生を申立てているため要件を満たさない個人再生の申立てがそもそも少数にとどまっているともいえます。

たとえば、個人再生に関する知識・経験があれば、次の失敗は防げるはずです。

  • 住宅資金特別条項の利用要件を満たせず、借金総額が5000万円を超えてしまった
  • 納付期限内に再生手続の費用を納めることができなかった

個人再生には専門知識を要するため、弁護士に依頼することをおすすめします。

失敗パターン(2)個人再生の手続きが途中で打ち切り(廃止)になる

個人再生の廃止とは、再生手続きが開始した後、裁判所の決定により、目的不達成のまま再生手続きを打ち切ることです。個人再生が廃止される代表的なケースとしては、次のものが挙げられます(民事再生法191条、237条など)。

  • 債権者の書面決議で、再生計画案を否決されてしまった(小規模個人再生の場合)
  • 提出期限までに再生計画案を提出できなかった
  • 再生手続き開始決定後に支払不能のおそれがないことが判明した
  • 債務者が裁判所の命令や法律上の重大な義務に違反した
  • 財産目録への不記載や不正記載など財産隠しが発覚した

2019年度司法統計(第109表)では、「廃止」によって個人再生が失敗したケースは2.4%です。

法律上、個人再生の廃止が確定した際、裁判所の職権により破産手続きの開始決定をできることになっています(民事再生法250条1項)。これを「牽連(けんれん)破産」といいます。民事再生が失敗したら、裁判所の判断で自己破産に移行してくれる制度があるというわけです。もっとも、実務では債務者の意向を尊重するため、この制度はあまり利用されていません。

財産隠しをするとペナルティを課される可能性がありますので、保有財産を正直に裁判所や弁護士に申告してください。

失敗パターン(3)再生計画に不認可の決定が下る

再生計画が認可されなければ、借金の総額が圧縮されることがなく、個人再生を申立てた意味がないでしょう。再生計画が不認可となる代表的なケースとしては、次のものがあります(民事再生法174条、231条など)。

  • 履行テスト中に滞納してしまった、勤務先が倒産してしまったなど、再生計画を遂行する返済能力がないと判断された
  • 再生手続きや再生計画に補正不可能な法律違反があった(再生手続きの違反が軽微な法律違反であった場合を除く)
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立した(小規模個人再生の場合)
  • 手続内で確定した借金の総額が5000万円を超えていた
  • 再生計画上の返済総額が法律で定められた弁済額を下回っていた
  • 住宅資金特別条項を利用する旨を申述していたのに再生計画にその定めがない

なお、前提として、小規模個人再生であれば再生計画案が可決されていないと前述の通り廃止となります。

2019年度司法統計(第109表)では、「不認可」によって個人再生が失敗したケースは0.3%です。弁護士に依頼しても、再生計画案の作成段階で勤務先が倒産して収入確保の目途が立たない場合など、個人再生手続きが不認可で終了してしまうことを避けられないことがあります。

もっとも、弁護士に依頼すると、法律違反のせいで不認可にならないようにするなど、個人再生の成功率を上げることができます。

失敗パターン(4)再生計画の不履行によって再生計画の認可が取り消される

再生計画が認可決定されると、その約1ヶ月後から再生計画に従って、3~5年間返済をしていくことになります。もし予期せぬ家計状況の変化などによって再生計画の履行をしなかった場合には、所定の要件を満たす債権者からの申立てにより再生計画が取り消されることがあります。再生計画が取り消されると、減額された借金は元に戻ってしまいます。

ただし、勤務先の業績不振で給与が減額されたなど、「再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは」、再生債務者の申立てにより再生計画を変更して、返済期間を延長することができることがあります(ただし、延長の上限は、再生計画で定められた債務の最終期限から2年で、延長には裁判所の認可決定等が必要です 民事再生法234条1項)。

また、既に再生計画に定められた返済金額のうち、4分の3以上の金額を支払い終わっている場合、その他一定の要件を満たすと、残りの借金の返済について免除を受けることも可能です。これを「ハードシップ免責」といいます(民事再生法235条、244条)。

2019年度司法統計(第109表)では、「取消し」で個人再生が失敗したケースはありませんでした。

再生が失敗してしまったら……?

小規模個人再生で失敗しても給与所得者等再生で進められることがあります。
しかし、小規模個人再生のみならず給与所得者等再生でも手続きを進められない場合、自力で借金を完済できない限り、自己破産を申立てることになるでしょう。パチンコや競馬が原因で借金を抱えてしまったなど免責不許可になるリスクを避け個人再生をした場合には、一度個人再生を申立て失敗したことが自己破産にあたって有利に考慮されることがあります。

しかし、マイホームを残そうと住宅資金特別条項を利用したかった場合には、マイホームを諦めざるを得なくなる可能性が高いでしょう。

【まとめ】個人再生でお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談ください

個人再生は、少なくとも申立てに至った事件でみる限り、成功率の高い債務整理手続きということができます。そのまま自力で借金の返済を続けるよりも個人再生をした方が借金の総額が圧縮されることが多いため、返済の負担は軽減されることでしょう。

個人再生も、自己破産と同様、債務者が自分で申立てることは可能です。もっとも、個人再生では、再生委員面接や債権認否一覧表・再生計画案の提出等申立後の手続が複雑ですので、債務者が自分で申立てているケースは非常に少ないというのが実情です。弁護士に依頼したほうがスムーズに個人再生を進めることができることが多いでしょう。

借金の返済についてお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。