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配偶者居住権とは?(6)配偶者居住権の消滅で発生する権利義務

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配偶者居住権について、これまで、以下の記事にて、ご説明してきました。

配偶者居住権とは?(1)意味とメリット編
配偶者居住権とは?(2)配偶者のデメリット・注意点編
配偶者居住権とは?(3)配偶者居住権付きの建物の所有のデメリット編
配偶者居住権とは?(4)配偶者居住権を取得するための要件編
配偶者居住権とは?(5)配偶者居住権が消滅するのはこういう場合編

配偶者居住権が消滅すると、いろいろな権利義務が発生します。
中には、居住建物を返還してから1年以内に請求しないとお金が返ってこないという権利もあります。
また、配偶者居住権の消滅により、居住建物所有者に税金が発生することもあります。
配偶者居住権が消滅した場合に、もらえるお金、そして、払わなければならないお金を見逃さないようにしましょう。
では、詳しくご説明します。

配偶者居住権の消滅で発生する権利義務

(1)居住建物の返還義務

配偶者は、配偶者居住権が消滅すると、居住建物の所有者に対して居住建物を返還しなければなりません(民法1035条1項本文)。
ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができません(民法1035条1項但書)。

(2)現状回復義務

配偶者は、居住建物の返還をするときは、相続開始後に居住建物に生じた損傷を、現状回復させる義務があります。
ただし、通常損耗、経年変化の場合は、原状回復する必要はありません(民法1035条2項、621条)。

賃貸物件を返すときと同じと理解していただければいいです。
こちらの記事で、賃貸物件を返還する際、どのような損傷があれば賃借人に原状回復義務が生じるのか、原状回復義務の範囲をご説明していますので、参考にしてください。

(3)附属物の撤去の権利と義務

配偶者は、居住建物の返還をするとき、相続開始後に居住建物に附属させた物がある場合には、これを撤去する権利がありますし、その義務があります(民法1035条2項、599条1項・2項)。

例えば、相続開始後に、配偶者が、畳を設置したという場合には、配偶者居住権消滅後に、この畳を撤去する権利がありますが、撤去する義務もあります。

(4)請求期限は1年!損害賠償の支払い義務と費用を返してもらう権利

次の2つの請求は、居住建物の返還のときから1年以内に請求しないと、請求できなくなりますので注意しましょう(民法1036条、600条)。

1.配偶者が、以下の態様で使用収益をしたことによって生じた損害の賠償の請求

  • 善管注意義務(民法1032条1項)に違反した場合
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、第三者に使用収益をさせた場合(民法1032条3項)
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、居住建物を増改築した場合(民法1032条3項)

2.配偶者が支出した費用の返還請求
配偶者が、自身に負担義務のない費用を支出した場合に、配偶者はこの費用の返還請求ができます。

例えば、通常の費用は配偶者に負担義務がありますが(民法1034条1項)、特別の費用は配偶者に負担義務はありません。
災害で建物に損傷が発生した場合の修理費は特別の費用にあたります。
この特別費用を配偶者が支出している場合には、返還請求ができます。

(5)税金の支払い義務

以下の場合は、配偶者居住権の負担がなくなった分、居住建物所有者が利益を受けたとして、贈与税が課税されますので注意しましょう(相続税法基本通達9-13-2 ※法務省のホームページに記載されています)。

【消滅事由】

  • 配偶者所有権の放棄、合意解除
  • 民法1032条第4項の建物所有者による消滅の意思表示により、配偶者居住権が消滅した場合

(※「配偶者居住権とは?(5)配偶者居住権が消滅するのはこういう場合編」の消滅事由6)

この消滅事由のいずれかに該当し、かつ、居住建物の所有者または、居住建物の敷地の所有者が、消滅したことの対価を払わなかったとき、または著しく低い価格の対価を支払ったとき

なお、以下の事由による配偶者居住権の消滅の場合には、課税されません。

  • 配偶者の死亡
  • 配偶者居住権の期間満了
  • 建物の全部滅失

【まとめ】

いかがでしたか?
以上のように、配偶者居住権が消滅すると、次の権利義務が発生しますので、うっかり忘れないように注意しましょう。

  1. 居住建物の返還義務
  2. 現状回復義務
  3. 附属物の撤去の権利と義務
  4. 損害賠償の支払い義務と費用を返してもらう権利
  5. 税金の支払い義務

なお執筆時点の法制度や税制度を基に記載していますが、制度が変更されることもありますので、最新の法制度や税制度に注意するようにしましょう。
これはどうなるの?と迷ったら専門家に相談するのも一つの方法です。

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