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配偶者居住権とは?(6)消滅したときに発生する権利義務

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リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

配偶者居住権について、これまで、次の5記事にて、ご説明してきました。
今回の記事では、配偶者居住権が消滅することで発生する権利義務(消滅の効果)について弁護士がご説明します。

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配偶者居住権が消滅すると、いろいろな権利義務が発生します。
なかには、居住建物の返還から1年以内に請求しなければ消滅してしまう権利もあります。
また、配偶者居住権の消滅により、居住建物所有者に税金が発生することもあります。
配偶者居住権が消滅した場合に、もらえるお金、そして、払わなければならないお金を見逃さないようにしましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

配偶者居住権の消滅で発生する権利義務(消滅の効果)

(1)居住建物の返還義務

配偶者は、配偶者居住権が消滅すると、居住建物の所有者に対して居住建物を返還しなければなりません(民法1035条1項本文)。
ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由に居住建物の返還を求めることはできません(民法1035条1項ただし書)。

(2)原状回復義務

配偶者は、居住建物の返還をするときは、相続開始後に居住建物に生じた損傷を、原状回復させる義務があります。「原状」とは、相続が開始した時の状態を指すと考えられています(配偶者居住権を取得した時ではありません)。
ただし、通常の使用によって生じた損耗や経年変化については、原状回復の義務はありません(民法1035条2項、621条)。

(3)附属物を撤去する権利と義務

配偶者は、居住建物の返還をするとき、相続開始後に居住建物に附属させた物がある場合には、これを撤去する権利がありますし、その義務があります(民法1035条2項、599条1項・2項)。
例えば、相続開始後に、配偶者が、畳を設置したという場合には、配偶者居住権消滅後に、この畳を撤去する権利が発生しますが、それと同時に、撤去する義務も発生します。

(4)損害賠償の請求権と費用を返してもらう権利

次の2つの請求は、居住建物の返還の時から1年以内に請求しなければならないため、注意しましょう(民法1036条、600条)。

  1. 配偶者が、次の態様で使用収益をしたことによって生じた損害の賠償請求(居住建物所有者の権利)
    • 用法義務・善管注意義務(民法1032条1項)に違反した場合
    • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、第三者に使用収益をさせた場合(民法1032条3項)
    • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、居住建物を増改築した場合(民法1032条3項)
  1. 配偶者が支出した居住建物についての費用の返還請求
    配偶者が、居住建物について費用を支出した場合に、配偶者は居住建物の所有者に対して、費用の請求をできる場合があります。


通常の必要費は配偶者に負担義務があり(民法1034条1項)、配偶者は、居住建物の所有者に対して、支出した費用の支払いを求めることはできません。
他方、特別の必要費や有益費については、居住建物の所有者に対して、費用の支払いを請求できることがあります。
例えば、災害で建物に損傷が発生した場合の修理費は特別の必要費に、リフォームの工事をした場合の工事費用は有益費にあたります。

特別の必要費を配偶者が支出した場合、民法196条1項の規定に従い、居住建物の所有者に対し、支出した費用の支払いを求めることができます。

また、有益費の場合は、民法196条2項の規定に従い、費用の支出による価格の増加が現存する場合に限り、居住建物の所有者の選択に従い、支出額または価値の増加分の請求ができます(民法1041条、1034条2項、583条2項)。

(5)税金の支払い義務

次の場合は、配偶者居住権の負担がなくなった分、居住建物所有者が利益を受けたとして、居住建物所有者に贈与税が課税されますので注意しましょう(相続税法基本通達9-13-2)。

参考:法第9条《その他の利益の享受》関係|国税庁

【消滅事由】

  • 配偶者所有権の放棄、合意解除
  • 民法1032条第4項の建物所有者による消滅の意思表示により、配偶者居住権が消滅した場合

配偶者居住権の消滅事由について、詳しくはこちらをご確認ください。

夫の死後も今の家に住める?配偶者居住権が消滅するのはこういう場合(5)

なお、次の事由による配偶者居住権の消滅の場合には、課税されません。

  • 配偶者の死亡
  • 配偶者居住権の期間満了
  • 建物の全部滅失

【まとめ】配偶者居住権が消滅すると、さまざまな権利義務が発生する

今回の記事のまとめは次のとおりです。

配偶者居住権が消滅すると、次のようにさまざまな権利義務が発生することがありますので、うっかり忘れないように注意しましょう。

  1. 配偶者:居住建物の返還義務
  2. 配偶者:原状回復義務
  3. 配偶者:附属物を撤去する権利と義務
  4. 配偶者:支出した費用を返してもらう権利(居住建物の返還から1年以内に請求)
  5. 居住建物所有者:損害賠償の請求権(居住建物の返還から1年以内に請求)
  6. 居住建物所有者:税金支払い義務(一定の場合に限る)

いかがでしたか?配偶者居住権の消滅の効果はさまざまです。
配偶者居住権の消滅によって、意図せぬ形で義務を負ったり、権利を行使しそこなったりする可能性がありますのでご注意ください。
なお、この記事は執筆時点の法制度や税制度を基に記載していますが、制度が変更されることもありますので、最新の法制度や税制度の確認をお願いいたします。
これはどうなるの?と迷ったら配偶者居住権を扱っている弁護士や税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年7月時点。