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別除権(べつじょけん)とは?意味や効果について具体例を用いながら解説

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支払不能状態に陥った債務者が自己破産や個人再生を申立て、貸したお金が戻ってこなくなるとすると、債権者は怖くてお金を貸すことができなくなってしまいます。
大きな金額の場合だと、債権者はお金を貸し出すことになおさら躊躇してしまうでしょう。
そこで、債務者がお金を返さなくなったり返せなくなったりした場合に備えて、債権者が担保を取っておくことがあります。
このような担保は、自己破産や民事再生といった債務整理の場面では「別除権」と呼ばれています。別除権は、破産法や民事再生法において特別の効力が認められており、原則として破産手続や民事再生手続の規制に服さずに権利行使が可能であるとされています(破産法65条以下、民事再生法53条2項)。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

「担保権」とは?

担保権とは、上記のように、債務者がお金を返さなくなったり返せなくなったりした場合に備えて、債権者が債権の回収を確実にするために設定しておくものをいいます(当事者間の契約などに基づくことなく法律に定められた要件を満たしていれば当然に発生する担保もあります)。保証人や連帯保証人のように、「人」に対する権利を担保に取ることを人的担保と言い、「物」に対する権利を担保に取ることを物的担保と言います。このうち、別除権として扱われるのは物的担保の一部です。
物的担保の例として、住宅ローンを組む際に設定される抵当権や自動車ローンを組む際に設定される所有権留保などが挙げられます。
住宅ローンや自動車ローンの支払いが滞ると、あらかじめ担保を取っていたローン会社は、担保権を実行して、不動産を競売にかけたり、自動車を引き揚げて換価したりすることによって、債権を回収することができます。

破産手続や個人再生手続における別除権の種類

破産手続や民事再生手続における別除権の種類を解説します。

(1)先取特権

先取特権とは、一定の類型に属する債権を有する債権者に与えられる、他の債権者に優先して債務者の財産から返済を受けられる権利のことをいいます(民法303条)。
先取特権には、債務者の全財産について優先的に弁済を受ける権利である一般先取特権(民法306条以下)と、債務者の特定の財産について優先的に弁済を受けられる権利である動産先取特権(民法311条以下)及び不動産先取特権(民法325条以下)、マンション管理費の先取特権(区分所有法7条)などがあります。
このうち、動産先取特権とは、動産つまり不動産以外の物を売却した者が、その動産の代金と利息について、その動産から、他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利をいいます。
例えば、売却した宝石が売却したときと同じ状態で買主の元にある場合には、売主は裁判所の執行官に対して動産競売の申立てを行い、その宝石を差し押さえて競売にかけます。そして、競売にかけられた宝石の売却代金から配当を受けることにより債権の回収を図ることになります。
既に宝石が第三者に転売されており、購入者が転売先の第三者からまだ宝石の代金を受け取っていない場合には、債権者はこの売買代金の債権を差し押さえることによって、他の債権者に優先して弁済を受けることになります。

(2)質権

質権とは、債権の担保として債務者から受け取った物を債権者が手元で保管(占有)し、その物について他の債権者より優先的に弁済を受けることができる権利のことをいいます(民法342条以下)。
質権には、動産を担保の目的物として設定される動産質権、不動産に設定される質権である不動産質権、著作権、特許権などの知的財産権、債権に設定される権利質権がありますが、不動産質権は実際にはあまり利用されていません。
質権者は、債務者から返済がない場合に、質権を実行して、質権の対象を換価し、債権を回収することになります。
例えば、Aさんが、質屋から100万円を借り入れるために、自身の所有するヴァイオリンに質権を設定したとします。この場合、Aさんから100万円の弁済を受けるまで、質屋は、そのヴァイオリンを占有することができます。また、Aさんが100万円を弁済できなくなった場合には、質屋は、そのヴァイオリンを換価し、優先的に弁済を受けることができます。

(3)抵当権

抵当権とは、債務の担保に供した物について他の債権者より優先的に弁済を受けることができる権利をいいます。質権と異なる点は、原則として引渡しを要しないことです(例外的に引渡しを要する場合もあります)。そのため、通常、所有者が抵当権設定後も物を使用・収益することができます。
住宅ローンを組む際には、通常、不動産に抵当権が設定されます。
債務者から返済がない場合に、抵当権を持つ債権者は、抵当権を実行して不動産を換価し、債権を回収することになります。

(4)その他の担保権

留置権とは、他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置することによって債務者の弁済を促す権利のことをいいます。
民法295条以下に規定されている民事留置権のほかに、商法に規定されている商事留置権があります。
民事留置権には、物を留置することによって債務の弁済を促すという効力はあるものの、優先的に弁済を受ける効力はありません。そのため、民事留置権は、破産財団に対しては効力を失うとされています(破産法66条3項)。すなわち、民事留置権は、担保権ではあるものの、破産手続における別除権にはなりません。
これに対して、商事留置権を有する者は、債務者が弁済をしない場合には、商事留置権を実行して換価・債務への充当をすることもできます。
例えば、倉庫業者が取引先より機械を預かって保管していたところ、取引先が倉庫の使用料を支払わずに破産してしまった場合、倉庫業者は倉庫の使用料の支払いを受けるまで機械の引渡しを拒むことができます。
このほかにも、法律上の規定はありませんが、実務上所有権留保や譲渡担保権が別除権として扱われています。
所有権留保とは、売主が売買代金を担保するために、代金が完済されるまでの間、目的物の所有権を留保(留めおく)することをいいます。
例として、自動車を割賦販売で購入する場合に、ディーラーを所有者、購入者を使用者とするといったケースが挙げられます。この場合、質権と異なり購入者は自動車を占有して自由に利用できますが、自動車の真の所有権はディーラーが保有していることになります。
譲渡担保権とは、債権を担保するために、債権者が目的物の所有権を譲り受け、完済されるとともに所有権を債務者に戻すことをいいます。
例として、メーカーが卸売業者に製品を納入し、卸売業者が製品を小売業者に転売しているという場合に、卸売業者が小売業者に対して取得する売買代金債権をメーカーが債権譲渡担保にとっておくといったケースが挙げられます。このようなケースにおいて、仮に卸売業者がメーカーに対する代金の不払いを起こしても、卸売業者が小売業者に対して持っている売買代金債権を回収することによって、メーカーは代金に充てることができます。

破産財団に属しなくなった担保目的物についての担保権も別除権(任意売却等)

破産財団に属しなくなった担保目的物の例としては、破産財団に属していた債務者所有の不動産を任意売却したことにより不動産が破産財団から外れる場合が挙げられます。
任意売却等をしてもなお債務が残ったことにより、担保権が存続する場合、存続する担保権は別除権として扱われます。

破産手続や民事再生手続における別除権の効果とは?

通常の債権は、それぞれの手続きの中で処理されます。
破産の手続きにおいては、破産者の財産が換価され、その中から配当を受けることになります。
民事再生の手続きにおいては、債務が大幅に減免されます。
いずれの手続きにおいても、原則として、債権全額について回収することはできません。
別除権として扱われる担保権については、これらの手続きによらずに設定した担保権を行使することができ、担保を設定した目的物の価値によっては債権の全額を回収できる可能性もあります。
別除権を行使してもなお債務が残る場合、残った債務については、通常の債権者と同じ扱いになり、それぞれの手続きの中で処理されます。

別除権が行使されるケースをわかりやすく解説

別除権が行使される2つのケースを以下で解説します。

(1)住宅ローンを組んだ金融機関が別除権者である場合

住宅ローンを組む場合、金融機関が住宅に抵当権を設定することが一般的です。
債務者が破産を申立てた場合、破産者の不動産、自動車、株式といった財産は換価され、債権者に配当されます。それでもまかないきれない部分については、支払い義務を免れることになります。そのため、不動産等を換価したお金が他の債権者も含めた総債務額に満たないと、金融機関は住宅ローン全額の返済を受けられなくなります。しかし、抵当権を行使して住宅を売却した場合には、抵当権者は住宅の売却額全額を自己の債権に充当することができます。
そこで、住宅ローン債権者である金融機関は、あらかじめ抵当権を設定することにより、破産手続きによらずに、別除権である抵当権を実行し、住宅を換価することによって住宅ローンの残りに充当することができるようにしておくのです。

(2)リース会社が別除権者である場合

リース契約とは、機械などを利用者に代わってリース会社が購入し、利用者に一定の期間有償で貸し出すことを内容とする契約をいいます。主として、高額な機械やパソコンなどがリース契約の対象となります。
リース契約が結ばれる場合、代金が完済されるまでの間、目的物の所有権がリース会社に留保されることが一般的です。
債務者が自己破産の申立てをすると、リース会社は、通常、代金の返済を受けることができなくなりますし、債務者が民事再生の申立てをすると、債務は大幅に減免されます。そのため、どちらの申立てがされたとしても、リース会社は、通常代金の全額について返済を受けることができなくなります。
他方、リース会社がリースの目的物に所有権留保を設定していた場合には、リース会社は、それぞれの手続きによらずに、別除権たる所有権留保を実行し換価して残りの債務に充当することができます。

【まとめ】破産や個人再生を検討されている方はアディーレ法律事務所へ

別除権とは、債務者が破産や民事再生を申立てた場合に、それらの手続きによらずに優先的に返済を受けられる権利のことをいい、破産の手続きや個人再生の手続きにおいて認められている別除権には複数の種類があります。
そして、別除権を行使した場合、破産や民事再生の手続きに拘束されることなく、債権回収を図ることができます。
債務者やその代理人の立場からすると、別除権者がいる場合には、適切な対応が求められます。
そのため、別除権者がいる案件の債務整理をする場合、債務整理の案件を多く扱っている法律事務所に相談することが望ましいでしょう。
借金問題でお困りの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

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