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破産法で特に注意すべき3つの義務違反と詐欺破産罪

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自己破産を依頼された弁護士は、依頼者の方にいくつか禁止行為をお伝えしています。

  • 受任後の借入れ、返済(携帯電話を使った後払いを含む)
  • 自動車や住宅など財産の処分(適正価格での売却として弁護士の了承を得た場合を除く)
  • 浪費、ギャンブル

自己破産を依頼すると、多かれ少なかれ生活に変化が生じるため、不便を感じるでしょう。
しかし、これらは借金の返済義務を免除してもらう、いわば代償のようなものです。
また、一生その不便さが続くわけではありません。
なぜこれらの行為をしてはいけないのか、その理由を含め、今回は破産をする際の注意事項を弁護士が解説します。何歳になっても「注意される」のは気分のいいものではありませんが、大切なことなので、ぜひご一読ください。

自己破産が認められない「免責不許可事由」とは?

個人の自己破産手続きにおける最終的なゴールは、借金の返済義務を免除してもらうことです。これを「免責(許可)」と呼びます。免責不許可事由とは、その免責が認められない事情であり、破産者が債権者の利益を害したことなどがその根拠とされています。

破産手続きの開始を申立てると同時に、申立人が反対の意思表示をしない限り、免責許可の申立てをしたものとみなされることになります(破産法248条4項)。簡単に言えば、破産を申立てると同時に「借金の返済義務を免除する許可をください」と裁判所にお願いしているということです。ただ、反対の意思表示もできますよ、と。
裁判所は、免責不許可事由のない限り、免責許可の決定をしなければなりません(破産法252条1項)。
つまり、「基本的に自己破産を申立てれば借金の返済義務は免除されるけれども債権者に酷な行為をしたケースなど例外的に借金が免除されない場合があります」ということです。

破産法で定められている11の免責不許可事由

破産法252条1項では、次の11個の免責不許可事由が定められています。

  1. 不当な破産財団価値減少行為(1号)
  2. 不当な債務負担行為(2号)
  3. 不当な偏頗行為(3号)
  4. 浪費または賭博その他の射幸行為(4号)
  5. 詐術による信用取引(5号)
  6. 業務帳簿隠滅等の行為(6号)
  7. 虚偽の債権者名簿提出行為(7号)
  8. 裁判所への説明拒絶・虚偽説明(8号)
  9. 管財業務妨害行為(9号)
  10. 7年以内の免責取得等(10号)
  11. 破産法上の義務違反行為(11号)

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

免責不許可事由とは?該当すると自己破産できないって本当?

ここでは、11号について詳しく解説します。

自己破産で絶対にやってはいけない3つの義務違反

破産法252条1項11号には、次のように規定されています。

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

引用:破産法252条1項11号

居住等の制限義務(破産法37条1項)など破産法に規定された義務に違反すると免責不許可となる可能性があります。特に気を付けなければならないのが説明義務(破産法40条1項1号)違反、重要財産開示義務(破産法41条)違反、免責手続きにおける協力義務(破産法250条2項)違反というわけです。

破産法による免責というメリットを得るためには、破産法上の制約も遵守しなければならず、不誠実な対応をするのであれば免責を許可する必要がないと考えられています。

(1)破産者の説明義務(破産法40条1項1号)の違反

破産法40条1項1号をみてみましょう。

次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。
一 破産者

引用:破産法40条1項1号

破産者は、破産管財人等から、破産理由や財産状況などについて説明を求められた場合には、回答する義務がありますし、必要に応じて書面を提出しなければなりません。
合理的な理由なく説明を拒絶した場合には、免責不許可事由になるとともに、説明及び検査の拒絶等の罪(破産法268条)に問われるおそれがありますので、注意してください。

(2)重要財産開示義務(破産法41条)の違反

破産法41条をみてみましょう。

破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。

引用:破産法41条

破産法41条は、破産管財人などからの求めがなくても、破産者が自ら積極的に財産の内容を書面で開示しなければならないとし、説明義務を強化した規定とされています。
開示義務の対象となるものは、破産手続き開始決定の時点で破産者が所有する財産です。破産手続き後においても自身で保有できる自由財産を含めて、開示する必要があります。海外にあるもの、第三者が占有しているものも例外ではありません。
通常、破産申立てにあたって資産目録・財産目録を提出しますので、自己破産を依頼した弁護士を通じて、嘘偽りなく報告しましょう。

開示を拒絶した場合には、免責不許可事由になるとともに、重要財産開示拒絶の罪(破産法269条)に問われるおそれがありますので、注意してください。

(3)破産者の免責調査協力義務(破産法250条2項)の違反

破産法250条2項をみてみましょう。

破産者は、前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。

引用:破産法250条2項

調査協力義務違反の具体的な内容としては、次のとおりです。

  • 正当な理由なく審尋期日に出頭しない、あるいは、陳述を拒絶する
  • 審尋期日において虚偽の説明をする
  • 裁判所からの質問に対して回答を拒絶する、あるいは、虚偽の回答をする
  • 裁判所や破産管財人から求められた資料を提出しない
  • 正当な理由なく管財人面接に出席しない、あるいは、管財人面接で虚偽の説明をする

免責調査に協力しない場合には、免責不許可事由になるとともに、説明及び検査の拒絶等の罪(破産法268条)や破産管財人等に対する職務妨害の罪(破産法272条)に問われるおそれがありますので、注意してください。

自己破産で絶対にやってはいけない詐欺破産

最後に、破産犯罪の中で特に重要である詐欺破産罪について解説しましょう。

(1)詐欺破産罪とは?

詐欺破産罪は、債権者を害する意図で次の行為をしたときに成立します。

  • 破産者が自分の財産を隠し、またはあえて破壊した
  • 破産者が自分の財産を第三者に譲渡し、または第三者から債務を負担したように見せかけた
  • 破産者が自分の財産の価値を損なわせた
  • 破産者が債権者に不利益になるように財産を譲渡し、または債務を負担した

(2)詐欺破産罪に処されるとどうなるのか?

破産法による免責のメリットを受けられないばかりか、刑務所に入る可能性もあります。
具体的に、詐欺破産罪の刑罰は、以下のとおりです(破産法265条)。

  • 1ヶ月以上10年以下の懲役
  • 1000万円以下の罰金

懲役と罰金が両方とも下される可能性もあります。
さらに、窃盗罪や横領罪、器物損壊罪など刑法上の他の犯罪が成立する場合には、さらに重い処罰が科せられるでしょう。

自己破産は生活に必要な範囲を超える財産をすべて手放す代わりに、借金の支払いを免除してもらう手続きです。生活に必要な財産かどうかは法律や裁判所の判断によって決まります。そのため、財産を隠し持とうとすると逮捕・起訴される可能性があります。

義務違反行為では裁量免責も難しい?

免責不許可事由に該当しても、裁判所の判断で免責が許可される「裁量免責」という制度があります(破産法252条2項)。そのため、免責不許可事由があっても、実際には裁量免責によって免責許可が下りるケースが多いといえます。
ところが、裁量免責の可否の判断にあたっては、破産者の誠実性の有無・程度、免責不許可事由の種類・内容・程度が考慮されるため、破産者自ら破産法に違反する不誠実な態度をとった以上、免責許可が認められない可能性は高いでしょう。

免責不許可となった場合の対処法

免責不許可になってしまった場合には、次の対処法を採ります。
いずれの方法を採るにしても専門家である弁護士に指示を仰ぎましょう。

(1)即時抗告をおこなう

免責不許可になった場合、その決定に対して異議申立てを行うことができます(即時抗告、破産法252条5項)。
免責不許可の決定の官報公告から2週間以内に行わなければなりません。
ただし、明らかな免責不許可事由がある場合は、即時抗告しても決定が覆らない可能性が高いので、改めて民事再生の手続きをすることが考えられます。

(2)民事再生の手続きをする

免責が許可されなかった場合には、免責不許可事由の規定のない民事再生を検討します。
ただし、民事再生は減額された借金を3~5年で返済していく手続きなので、安定した収入がなければ個人再生をすることもできません。

【まとめ】破産法に違反せずに自己破産を進めるには弁護士へご相談ください

自己破産は、専門的な知識がない中、一人で行うのはなかなか難しい手続きです。
自己破産についてお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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