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リーガライフラボ

自己破産するには?破産するとどうなる?法律に基づいて解説

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リーガライフラボ

毎月の借金返済が家計の負担になっているが、このまま返済を続けられるか不安……
いっそのこと自己破産した方がいいのかもしれないけど、何が起こるか分からない……

自己破産は借金の返済から解放され、生活を根本的に再建する方法ですが、言葉の響きからも踏み出しにくくなる人も少なくないでしょう。

この記事では、

  • 自己破産の制度
  • 自己破産を利用できる条件
  • 自己破産の手続の流れ
  • 自己破産による影響

について概要を解説していきます。

自己破産は「破産法」に基づいて行う手続

破産法とは、個人や法人が破産する際の手続内容や関係者の権利義務を定めた法律です。
自己破産は、破産法に基づき裁判所に破産の申立てをして、裁判手続として法的に行われます。

債務整理には、債権者と個別に交渉して返済負担の軽減を目指す任意整理などもあります。任意整理は、債権者が交渉に応じなければ頓挫する私的手続です。

一方自己破産は、裁判所が破産手続の開始決定をすれば、債権者は判決などを取得していたとしても破産財団に属する財産に対する強制執行をすることはできなくなり(破産法第42条1項)、さらに免責が認められれば、債務者は原則として非免責債権を除く全ての返済から解放され、一から生活を立て直すことができるようになります。

自己破産は、破産法に基づく法的な強制力のある債務整理の方法なのです。

(1)破産法の2つの目的

破産法第1条では、

この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

引用:破産法第1条

とされています。

これは、

  • 債務者の財産等を債権者に対して公平に分配して、清算すること
  • 債務者が経済的な生活再建をする機会を確保すること

の2つの目的に分けることができます。

(2)自己破産で借金が免除されるには、「破産手続」と「免責手続」が必要

裁判所で行われる自己破産の手続は、

  • 破産手続
  • 免責手続

の2つから成っています。

破産手続は、債務者の財産等の債権者へ公平に分配して清算するという破産法の1つめの目的を実現するためのものです。

申立をした人の財産等の確認や回収、換価、債権者への配当が行われます。
免責手続は、債務者の生活を経済的に立て直させるという破産法の2つめの目的を果たすためのものです。

破産の申立てをしている人は法律上の破産するための条件を満たしているのか、本当に借金から解放していいのかの審査が行われます。

2つの手続は法律上は別個の手続なので、破産法第248条1項では、破産手続の開始決定が確定した日から1ヶ月を経過する日までの間に免責手続について申立てをすることができると規定されています。

もっとも、個人の債務者による破産手続開始の申立てのほとんどは免責を目的として申立てられているものであり、免責不許可事由の有無は破産手続の中でも審理できることから、破産手続開始の申立ての際には、免責許可を求めないことを表示しない限り、破産手続開始の申立てと同時に免責許可の申立てをしたこととみなされます(破産法248条4項)。

「破産手続開始決定」を受けるために必要な要件

裁判所が申立人について破産手続を始めてよいと認め、「破産手続開始決定」を行うことで、破産の手続が進められていきます。

なお、破産手続開始決定は、2005年の破産法改正以前は「破産宣告」と呼ばれていました。

破産手続開始決定がなされるには、要件が定められています。

(1)申立人が「支払不能」の状態であること

破産手続が開始されるための要件として、破産法第15条1項において債務者が「支払不能にあるとき」と定められています。

支払不能とは、
一 債務者が支払能力を欠くために、
二 債務のうち弁済期にあるものについて、
三 一般的かつ継続的に弁済することができない状態

を指します(破産法第2条11項)。

弁済期にある債務について、一般的かつ継続的に返済することができない状況になってしまった場合には、もはや債務者に財産を自由に処分させることが妥当ではなく、債権者に厳格に平等弁済をするべき状況である、といえます。

一の支払能力があるかどうかについては、債務者の財産や収入、信用や、二の弁済期が既に来ている債務の金額等を総合して判断されます。

三の「一般的」とは、特定の債務のみならず債務全体の返済が困難なことを、「継続的」とは、突発的・一時的な支払困難ではなく、返済できない状況が長期的であることを指します。

もっとも、支払不能であるかどうかというのは、多くの観点からの総合的な評価を要し、証明を行うことは容易ではありません。

そのため、債務者が支払いを停止したら(「支払停止」といいます)、支払不能が法律上推定され(破産法第15条2項)、支払不能ではないことの証明がなされない限りは支払不能と判断されることとなっています。

「支払停止」とは、資力不足で借金の返済ができないということが客観的に明示または黙示に外部に表示する行為を言います。

一般の方が弁護士に自己破産を依頼した場合、弁護士から全ての債権者に対して「受任通知」を送付し、債権者一般に宛てて債務整理の開始を伝えると共に返済の催促や取立てを止めるよう要請します。

このような受任通知の送付は、「自己破産を予定している」などの明示の有無によらず、「支払停止」に当たると考えられています(最高裁判所判決平成24年10月19日)。

(2)「破産障害事由」がないこと

破産手続を始める上で障害となる「破産障害事由」がないことも要件の1つです。

破産障害事由としては、破産法第30条1項で

  • 破産手続の費用が予納されていないこと
  • 不当な目的での申立てや、その他不誠実な申立てであること

の2つが挙げられています。

破産の手続に必要な裁判所の費用が納められていなければ、当然破産手続は開始しません。

また、例えば真に破産手続を進める意思がないのに、一時的に債権者からの取立てを回避するためだけに破産を申立てることは、不当・不誠実な申立てであるといえ、破産障害事由に該当します。

破産法第30条1項で掲げられたもの以外にも、破産障害事由はあります。
繰り返しになりますが、破産手続というのは、原則として破産者の財産を処分し、清算する手続であり(清算型の手続といいます)、借金問題の解決策としては他の手段による再建、返済が無理な場合の、最終的なものです。

そのため、再建型の手続である民事再生手続や会社更生手続は、清算型の手続である破産手続に優先すると考えられています。

そこで、申立人が民事再生やを行っている場合には、裁判所が必要と認めるときは破産手続の中止を命ずることができます(民事再生法第26条1項1号)。

また、破産手続開始決定が出ている場合であってもその後再生手続が開始した場合には、特に中止命令などなくして破産手続は中止となりますし、再生手続開始の決定があったときに破産手続開始の申立てを行うこともできません(民事再生法第39条1項)。

そして、再生計画の認可決定が確定した時点で、民事再生手続開始決定が出されたことで中止されていた破産手続は効力を失います(民事再生法第184条本文)。

破産手続開始後、返済から解放してもらう「免責許可決定」までの道のり

自己破産の手続は、これまでの借金はもう返済しなくてよいと裁判所が認めてくれる「免責許可決定」の獲得が実質的なゴールとなります。
免責許可決定が出てから一定期間が経過すると、免責許可決定が確定します。

免責許可決定が確定すると、「非免責債権」という例外を除き、原則として全ての債務の返済から解放されることとなります。
非免責債権は、主に破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、破産者が故意・重過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権、租税等の請求権、扶養義務などがあり、これらは免責許可決定が出されても、免責の対象とならず、支払義務が残ります。

免責手続を含む自己破産の流れについて、詳しくはこちらも併せてご覧ください。

以下では、免責許可決定が出るまでの大まかな流れについて、自己破産の方法の種類ごとに分けてみていきます。

(1)自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の2つがある

自己破産の手続には、大きく「管財事件」と「同時廃止」の2種類があります。

管財事件が原則的な手続で、例外的により簡単な手続である同時廃止の手続が認められる可能性があります。

(1-1)管財事件

破産者に破産管財人による処分、換価、回収などが必要な一定の財産がある場合、「管財事件」となります。その他、免責不許可事由がある場合などにも「管財事件」とされることがあります。

管財事件では、裁判所から選任される「破産管財人」という弁護士が財産を換価の上債権者に配当したり、免責不許可事由等について調査を行ったりします。

破産管財人による処分等が必要な財産があるかどうかの判断基準は、裁判所ごとに異なっていますが、東京地裁の場合は33万円以上の現金や財産の類型ごとに合計評価額が20万円以上の資産がないかというのが判断基準です。

また、「免責不許可事由」とは、原則としてそのようなことがあると原則として免責を許可されないこととなる事由のことで、破産法第252条1項に挙げられており、ギャンブル等の浪費行為などがあります。
免責不許可事由が存在する場合でも、事情によって、裁判所がその裁量で免責許可決定を出す余地はあります(裁量免責)。

管財事件の運用も裁判所ごとに異なりますが、東京地裁等では管財事件は「特定管財(通常管財)」と「少額管財」に分かれています。

少額管財は、特定管財と比べて、破産管財人に破産者が支払うべき予納金が少額になります(東京地裁では最低20万円とされています)。

個人の破産者の場合は、通常少額管財として処理されますが、弁護士に自己破産を依頼せず、本人が申立てしている場合や、債権者が多数存在するなど管財人の業務負担が著しく重くなることが予想されるような場合などには、「特定管財」となって、高額な予納金が必要となる可能性があります。

(1-2)同時廃止

同時廃止は、

  • 破産者に破産管財人による処分、換価、回収等が必要な財産がない
  • 破産者に免責不許可事由がない、または免責不許可事由があっても軽微で、管財人による調査をするまでもなく裁量免責とすることが見込まれる

など、管財事件とする必要がないと認められる場合に用いることができる、簡易な手続です。

破産管財人が処分して債権者に配るほどの財産がなく、その他破産管財人が調査等をする必要もないと裁判所に判断されると、破産手続の開始が決定されたと同時に破産手続が廃止され、裁判官により免責の審査が行われることになります。

(2)「管財事件」になった場合の「免責許可決定」までの道のり

管財事件になると、裁判所が選任した破産管財人が、破産者に免責不許可事由がないかを調査します。

破産者が破産手続開始決定時において有している財産は、「破産財団」とされ、債権者への配当を行うための財産となります(破産法34条1項)。

もっとも、自己破産は債務者の生活再建のためのものなので、全ての財産を手放さなければならないというわけではありません。一定の範囲の財産は「自由財産」として、手元に残すことができます(破産法34条3項、4項)。

破産管財人は破産財団の財産を換価処分し、配当を行うほどの金額に達していれば、債権者平等の原則に則って債権額に応じて債権者に現金を配当します。

管財事件となった場合には、手続中に次のような影響も生じますので注意が必要です。

  • 引っ越しや旅行・出張など、居住地を離れることが制限されることがある(破産法第37条1項)
  • 一定期間、破産者宛ての郵便物が破産管財人に転送される(破産法第81、82条)

自己破産することで生じる、財産処分以外の影響

自己破産をすると、財産を手放さなければならない可能性がある他、次のような影響も生じます。

  • 官報に公告される
  • 自己破産したことが信用情報機関に登録される
  • 自己破産の開始決定から復権(免責許可決定が確定することで認められる場合が多い)までの間、破産が資格制限の事由とされている一部の地位や職業、業務に従事することができなくなる

【まとめ】自己破産は生活再建に大きく資する、裁判所で行う手続

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自己破産は「破産法」に基づく手続である
  • 破産手続開始決定を受けるためには、支払不能に陥っていることと破産障害事由がないことが必要
  • 原則として管財人による配当や調査が行われる「管財事件」の手続によるが、管財人による処分を要するような一定の財産がなく、免責不許可事由もない等、破産管財人による調査が不要である場合には、より簡易な「同時廃止」を利用できる可能性がある・免責許可を受けられるのは、免責不許可事由がないか、免責不許可事由があっても、それが軽微であるなど、裁判所の裁量による免責(裁量免責)が認められる場合である。
  • 自己破産すると、官報に氏名と住所が掲載され、信用情報機関に自己破産の事実が登録される他、手続中は一部の職業に従事できなくなる等の影響がある

自己破産の手続は、自力で行うことも不可能ではありません。

しかし、自己破産手続では全ての債権者との連絡が必要であるなど精神的にも負担が大きく、裁判所に提出する必要書類の作成などでつまづく可能性もあり、意図せぬトラブルを引き起こしてしまうリスクがあります。

自己破産を含め、債務整理を行うことを検討されている方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。