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【建設アスベスト訴訟】賠償責任が認められた建材メーカー10社

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yamazaki_sakura

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「アスベスト訴訟で建材メーカーの責任は認められているの?」

2021年5月17日、最高裁判所第一小法廷により、4つの建設アスベスト(石綿)訴訟(横浜訴訟、東京訴訟、京都訴訟、大阪訴訟)について、国及び建材メーカーの責任を認める判決が言い渡されました。
最高裁判決では、10社の建材メーカーの賠償責任が認められています。

本記事では、

  • 建設業とアスベストの関係
  • アスベストによる健康被害
  • 建設アスベスト訴訟とは?
  • 建材メーカーの責任|賠償責任が認められたメーカーは?
  • 被害者に対して訴訟によらずに給付金を支給する法律が成立

について解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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建設業とアスベストの関係

アスベスト(石綿)とは、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト等の繊維状鉱物の総称です。
アスベスト(石綿)は、ほぐすと綿のようになり、その繊維は極めて細かく、耐熱性、耐久性、耐摩耗性、耐腐食性、絶縁性等の特性に優れています。このようなアスベスト(石綿)の特性はアスベスト(石綿)以外の単一の天然鉱物や人工物質にはほとんどみられないことから、「奇跡の鉱物」と呼ばれることもありました。

このような特性から、アスベスト(石綿)は、建設業において、吹付材、保温材、断熱材、スレート材等の建材に使用されてきました。
アスベスト(石綿)のほとんどは輸入に依存していました。1942~1950年までの間は第二次世界大戦の影響により輸入が途絶えたものの、1950年以降、輸入量は増加の一途をたどり、1974年には約35.2万トンの最高輸入量を達した後、増減を繰り返しながら徐々に減少をしていきました。輸入されたアスベスト(石綿)の約8割は建材に使用されたとされます。

アスベストによる健康被害

アスベスト(石綿)の繊維は非常に細かいため、研磨機や切断機による作業や、吹き付け作業等を行う際に、所要の措置を行わないと容易に飛散、浮遊し、人体に吸引されやすいという性質を有しています。

そして、人体にいったん吸引されると、肺胞に沈着し、その一部は肺の組織内に長期間滞留することになり、この肺に長期間滞留したアスベスト(石綿)が要因となって、石綿肺、中皮腫、肺がんなどのアスベスト(石綿)関連疾患を引き起こすと現在では考えられています。

アスベスト(石綿)粉じんにばく露してもただちに症状がでることは稀です。通常、一定期間の潜伏期間をはさんで症状がでます。例えば、石綿肺は、通常であれば約10年程度の潜伏期間を経て症状が発生するといわれており、悪性中皮腫にいたっては、40~50年と非常に長い潜伏期間を経て症状が発生することもあるといわれています。

このように、アスベスト(石綿)による被害は潜伏期間を経て発生するため、近年にいたってアスベスト(石綿)による被害が顕在化しています。例えば、中皮腫による死亡者総数は、1995年の500人から2013年の1410人と約3倍に増加しています。

建設アスベスト訴訟とは?

アスベスト(石綿)は、その特性から、工業製品の原材料として優れた適格性を有していると考えられていました。そのため、吹き付け材、保温材、断熱材、耐火被覆板、成形板等の建材に多くのアスベスト(石綿)が使用されていました。1995年ころには、日本のアスベスト(石綿)消費量のうち、なんと約9割を建材製品が占めるようになっていました。

もっとも、アスベスト(石綿)には前記のように人体に対する非常に高い有害性があり、アスベスト(石綿)含有建材を用いて作業に従事していた建設作業員らにアスベスト(石綿)被害が多発するようになりました。

このようなアスベスト(石綿)の有害性を知り又は知ることができたのに、建材メーカーはその有害性について十分な警告をせず、アスベスト(石綿)含有建材を製造・販売して利益を上げ続け、国もこれらに十分な規制も課しませんでした。

このような国と建材メーカーの責任を問うため、2008年に東京地裁で集団訴訟が提起され、これを皮切りに、横浜、京都、大阪、福岡、札幌、さいたま、仙台の各地の地方裁判所で同様の提訴がなされました。

建設アスベスト訴訟で初の最高裁判決が言い渡される

2021年5月17日、最高裁判所第一小法廷により、4つの建設アスベスト(石綿)訴訟(横浜訴訟、東京訴訟、京都訴訟、大阪訴訟)について、国及び建材メーカーの責任を認める判決が言い渡されました。

また、同月18日、この最高裁判決を受け、国と建設アスベスト(石綿)訴訟の原告団・弁護団等との間で、和解のための要件等を定めた基本合意書を締結され、原告と国と間で和解が成立することとなりました。

参考:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日(第1447号,第1448号,第1449号,第1451号,第1452号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日(第491号,第495号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日(第596号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日(第290号,第291号,第292号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:基本合意書|厚生労働省

建材メーカーの責任|賠償責任が認められたメーカーは?

最高裁判決では、建材メーカーの責任についてどのように判断されたのでしょうか。
ここでは、

  • 加害行為をどのように考えるか
  • 共同行為者の特定方法
  • 屋外作業者に対する責任の有無
  • 賠償責任が認められた建材メーカー

について解説します。

(1)加害行為

最高裁判決では、

「石綿含有建材を製造販売する際に、当該建材が石綿を含有しており、当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務」

最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日

が建材メーカーにあるとされ、このような警告表示義務を行わなかったことをもって加害行為であると判断されています。

引用:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日

(2)共同行為者の特定方法

最高裁判決では、民法719条1項後段の類推適用により建材メーカーの共同不法行為責任が認められています。
民法719条1項後段が類推適用されるためには、被災者との関係で、被告である建材メーカーが共同行為者と認められることが必要になります。そして、被告である建材メーカーが共同行為者であると認められるためには、当該被告建材メーカーの製造した建材が原告の建築現場に到達した事実を立証する必要があり、その立証方法について争いがありました。

原告側は、被災当時における被告建材メーカーのマーケットシェアを主軸とした立証方法により、その事実を立証しようとしていました。この立証方法は、被災者ごとに特定した石綿含有建材のうち、同種の建材の中での被告建材メーカーが製造した石綿含有建材の市場占有率がおおむね10%以上であれば、当該被告建材メーカーが製造した石綿含有建材が当該原告らが就労する建築現場に到達した蓋然性が高いとするものです。

東京高裁平成30年3月14日判決では、この方法による立証を否定されていたのですが、最高裁判決は、

「本件立証手法により建材現場到達事実が立証され得ることを一律に否定した原審の判断には、経験則又は採証法則に反する違法がある」

引用:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日

として、東京高裁の判断を否定し、マーケットシェアを主軸とする立証方法によって当該被告建材メーカーの製造した建材が原告の建築現場に到達した事実を立証できる場合があることを認めました。

引用:最高裁判所第一小法廷 判決 令和3年5月17日

(3)屋外作業者に対する責任の有無

屋外作業者に対する建材メーカーの責任については、これまでこれを否定する判決と、肯定する判決で分かれていました。
今回の最高裁判決では、

「上告人建材メーカーらにおいて、平成13年から平成15年12月31日までの期間に、自らの製造販売する石綿含有建材を使用する屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはできない」

引用:最高裁判所第一小法廷 判決令和3年5月17日 破棄自判

「被告積水化学工業が、昭和50年から平成2年までの期間に、自らの製造販売する石綿含有建材を使用する屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはできない」

引用:最高裁判所第一小法廷 判決令和3年5月17日

と判断され、被告建材メーカーが屋外作業者に対する危険性を予見することはできなかったとして、屋外作業者に対する責任を否定する判断がなされています。

引用:最高裁判所第一小法廷 判決令和3年5月17日 破棄自判
引用:最高裁判所第一小法廷 判決令和3年5月17日

(4)賠償責任が認められたメーカーは?

最高裁判決により賠償責任が認められた建材メーカーは以下の10社となっています。

  • エーアンドエーマテリアル
  • ニチアス、エム・エム・ケイ
  • 大建工業
  • 神島化学工業
  • ノザワ
  • 日鉄ケミカル&マテリアル
  • 太平洋セメント
  • 日東紡績
  • 日本バルカー工業

クボタケイミュー積水化学工業については、建材メーカーの屋外作業者に対する責任が否定されたこととの関係で、賠償責任が否定されました。

国の責任|被害者に対して訴訟によらずに給付金を支給する法律が成立

2021年6月9日、『特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律(以下、「給付金法」といいます。)』が成立しました。
給付金法は、建設業務に従事したことによってアスベスト(石綿)にばく露し、中皮腫や肺がん等の疾病にかかった方に対して、訴訟手続によらずに、最大1300万円の給付金を支給するというものです。

これまで、建設業務に従事したことによるアスベスト(石綿)被害について国の責任を問うためには、国を被告とする損害賠償請求訴訟を起こす必要がありました。
しかし、給付金法の成立によって、このような損害賠償請求訴訟を起こすことなく、被害者の金銭的な救済が図られることとなります。

【まとめ】賠償責任が認められた建材メーカーは、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、大建工業、神島化学工業、ノザワ、日鉄ケミカル&マテリアル、太平洋セメント、日東紡績、日本バルカー工業の10社

本記事をまとめると以下のようになります。

  • 建設業では、かつて多くのアスベストが建材に利用されていた。そのことが原因で、現在、元建設作業員のアスベスト被害が問題となっている
  • 建設アスベスト訴訟とは、アスベスト含有建材を用いて建設作業に従事していた元建設作業員やその遺族が、国及び建材メーカーに賠償を求める訴訟をいう
  • 2021年5月17日、建設アスベスト訴訟で初となる最高裁判決が言い渡された。最高裁判決で、国と建材メーカーの責任が認められた
  • 最高裁判決で賠償責任が認められた建材メーカーは、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、大建工業、神島化学工業、ノザワ、日鉄ケミカル&マテリアル、太平洋セメント、日東紡績、日本バルカー工業の10社
  • 2021年6月9日、参院本会議で、『特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案』が可決された
  • この法律によって、建設アスベスト(石綿)被害者は、訴訟によらずに、最大1300万円の給付金の支給を受けることが可能となる

アディーレ法律事務所では、アスベスト(石綿)被害に悩まれておられる方を一人でも多く救いたいとの想いから、アスベスト(石綿)被害についてのご相談もお待ちしております。
アスベスト(石綿)被害にあわれた方またはそのご遺族は、アディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。

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