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それは誤解かも?自己破産のメリット・デメリットを正しく理解しよう

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借金の返済に苦しんでいる方であれば、一度は『自己破産』を考えたことがあるのではないでしょうか。
『自己破産』と聞いて、あまり良くないイメージや以下のようなよくある誤解を持たれる方もいらっしゃいます。

  • 自己破産をしたら、一文無しになる……
  • 借金があることが会社にわかって、くびになる……
  • 部屋を追い出されて住むところがなくなる……

そこで、よくある誤解の説明と、自己破産のメリットとデメリットをご説明します。

自己破産について理解していただき、むやみに自己破産を拒否するのではなく、選択肢の一つとして頭の片隅に残していただきたいと思います。

自己破産とは

まず自己破産とは、

借金などの債務どう努力しても返せない(支払不能)人が、必要最低限の生活費・財産以外をお金に換えて(換価)、債権者に返済し、残った借金については返さなくて良くなるという手続

(※借金を返さなくても良くなるためには、裁判所から『免責許可決定』を得る必要があります。)
(※税金など一部の『非免責債権』は支払義務を免れません。)

です。

債務者から見た時、自己破産の目的は、借金の返済に追われ経済的に行き詰まった債務者に、今一度立て直すチャンスを与えるということです。
他方、破産は債権者(お金を貸してくれた人)の犠牲の元に成り立っている制度であることは否定できません。

ですから、債権者を犠牲にして債務者の経済的な立ち直りを優先させるためには、債務者が、もう破産するしか他に立ち直れる余地がない、という状況が必要です。

そこで、破産の申立てをするためには、

債務者が『支払不能』であること(破産法15条)

が必要とされます。

『支払不能』とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち、弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(破産法2条11項)」です。

自己破産のメリット

それでは、自己破産のメリットについてご説明します。

まず、借金を減額したり、支払に猶予を持たせたりすることにより、借金のある生活から解放されるための手続のことを『債務整理』と言い、主に『任意整理』、『民事再生』、『自己破産』があります。

『任意整理』と『民事再生(個人再生)』に比べ、『自己破産』は、

(1)借金を返さなくても良くなる
(2)収入がなくてもできる
(3)債権者の同意がなくてもできる

というメリットがあります。

(1)借金を返さなくても良くなる

免責が認められると、借金を返さなくても良くなることが、自己破産の最大のメリットです。
『自己破産』をして、裁判所から免責許可が下りると、借金の返済義務がなくなります。

ただし、次の2つの点に注意が必要です。

  • 次のような『免責不許可事由』がある場合は、裁判所の『裁量免責』が認められないと免責されないこと

免責不許可事由について詳しくはこちらをご覧ください。

免責不許可事由とは?該当すると自己破産できないって本当?
  • 不当に財産を減少させた場合
  • 特定の債権者だけ利益となる支払いをした場合
  • 借金の主な原因が、ギャンブルや浪費の場合
  • 破産手続申立てにあたり、財産を隠している場合
  • 債権者一覧表に嘘を記載した場合
  • 過去7年間に免責許可決定を受けている場合

など

ただし、2017年に日本弁護士連合会が行った、個人で破産を申立てた方のうち1238件を調査した結果によると、免責不許可となった件数は7件で、全体の0.57%でした(申立てを取り下げているケース2.34%のうち、一部は免責不許可になりそうだということで取り下げている可能性はあります)。

免責申立の結果17調査14調査11調査08調査05調査02調査00調査
許可96.77%96.44%96.67%97.85%97.63%97.90%95.47%
不許可0.57%0.00%0.08%0.17%0.26%0.08%0.92%
申立却下・棄却0.08%0.24%0.24%0.08%0.26%0.34%0.67%
取下げ2.34%2.75%2.11%1.57%0.88%0.84%0.00%
死亡終了0.08%0.32%0.24%0.08%0.09%0.00%0.25%
不明(記入漏れ含む)0.16%0.24%0.65%0.25%0.88%0.84%2.69%

参考:2017年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会

実際の破産手続において、免責不許可事由が全くないというケースはそれほど多くはありません。

免責不許可事由のうち、過去7年以内に免責許可を受けている場合や財産隠し・虚偽申告は、裁判所も再度の免責は認めない傾向がありますが、それ以外の免責不許可事由については、悪質なケース以外については、比較的広く裁量免責が認められています。

  • 『非免責債権』(支払義務が消えない債権)は、自己破産しても免責にならず、支払わなければならないこと

非免責債権について詳しくはこちらをご覧ください。

自己破産の非免責債権とは?免責不許可事由との違いも解説
  • 税金、国民健康保険料、年金
  • 養育費
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 罰金

など

(2)収入がなくてもできること

『民事再生(個人再生)』は、基本的に減額された借金を返済していくことが前提ですので、働いていない方や生活保護を受給している方は、申立てができません。

『任意整理』も、基本的には借金を返済していく手続きであるため、返済していくだけの資金の目途が立っていないと任意整理は困難です。
これに対して、『自己破産』は、収入がない方や生活保護を受給している方であっても申立てができます(ただし、自己破産の申立て等にかかる費用は準備する必要があります)。

(3)債権者の同意がなくてもできること

『民事再生』の手続には『小規模個人再生』と『給与所得者等再生』の2つのパターンがあります。
そのうち、『小規模個人再生』では、どのように借金を返していくのかという「再生計画案」(返済計画案です)について、債権者の決議が必要になります。

この債権者の決議では、債権者の数の2分の1以上の反対がなく、かつ反対した債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないことが必要となります。

債権者の同意が得られない場合には、『給与所得者等再生』を申立てることになります。

ただ、『給与所得者等再生』は、

  • 給与等の安定した収入があること
  • 収入の変動幅が小さいこと
  • 過去7年以内に破産法の免責決定を受けていないこと

などの条件があります。
また、一般的に『給与所得者等再生』の場合は、『小規模個人再生』よりも最終的に返済する金額は高額になります。

『任意整理』は、そもそも債権者と話し合う方法ですので、債権者の同意がなければ進めることができません。

これに対して、『自己破産』の場合、債権者の同意は必要ありません。

『自己破産』のデメリット

『自己破産』には、一般的に次のようなデメリットがあります。

(1)高額な財産を処分する必要がある
(2)一定の職業に就けない期間がある
(3)官報に掲載される
(4)免責不許可になると破産者名簿に載る
(5)いわゆる「ブラックリスト」に載る

一つずつご説明します。

(1)高額な財産を処分する必要がある

『破産手続』は、債務者の財産を少しでも債権者に公平に配る手続ですから、債務者の財産のうち、一定の価値のある財産は処分されます。

ですが、『自由財産』(=破産手続でも処分されない財産のこと)の範囲内であれば、処分されず持ち続けることができます。

『自由財産』について詳しくはこちらをご覧ください。

自由財産とは?自己破産をした後でも残せる財産について解説

『自由財産』にあたるのは次の5つです。

(1)破産手続開始後に取得した財産
(2)99万円以下の現金
(3)差押えが禁止されている財産
(4)破産管財人が破産財団から放棄した財産
(5)自由財産の拡張が認められた財産

(1-1)破産手続開始後に取得した財産

破産財団に含まれるのは、破産手続開始前の財産ですから、手続開始後の財産は、破産者の自由財産になります。

ですから、破産手続開始後に手に入れた財産(「新得財産」といいます。)は、破産手続によって処分されません。

(1-2)99万円以下の財産

破産申立て前から債務者が持っている現金のうち、99万円以下の現金は、債務者の『自由財産』です。

(1-3)差押えが禁止されている財産

法律上、強制執行における差押えが禁止されている財産は『自由財産』ですので、破産手続によって処分されません。

差押禁止財産について詳しくは、こちらをご覧ください。

差押禁止財産とは?差し押さえられない物をわかりやすく解説!

(1-4)破産管財人が破産財団から放棄した財産

破産管財人が破産財団から放棄した財産も、破産手続によって処分されません。

(1-5)『自由財産』の拡張が認められた財産

その他、破産者の生活保持のために、『自由財産』とした方が良いと裁判所が判断した財産は、『自由財産』として認められる場合があります。
『自由財産』の拡張が認められるかどうかの基準は、各裁判所によって異なります。

『自由財産』の拡張について詳しくはこちらをご覧ください。

自由財産とは?自己破産をした後でも残せる財産について解説

自己破産のお考えの方で、仕事の都合上などでどうしても処分されたくない財産がある方は、各裁判所などに確認することをお勧めします。

(2)一定の職業に就けない期間がある

次のデメリットは、破産手続においては、破産手続開始決定が出ると、手続期間中、一定の職種に就くことが制限されるという点です。
一定の職種に就くことが制限されることを資格制限といい、制限の対象となる職種を「制限職種」といいます。

「制限職種」は各法律に規定されていますが、資格制限をされてその職業に就けないにも関わらず、その資格が必要な仕事をすることは違法です。
制限職種は、たとえば弁護士、司法書士、税理士、宅地建物取引士、公認会計士、土地家屋調査士などのいわゆる「士業」のほかにも、警備員、生命保険募集人、証券外務員、貸金業者などがあります。

これらの制限職種は、「復権」すれば制限を解除されます。
「復権」とは、自己破産によって何らかの制限を受けた場合に、制限が法律上解除されて元の状態に戻ることです。免責許可決定が確定すれば復権します。

破産手続中の資格制限について詳しくはこちらをご覧ください。

【破産による欠格事由】制限される資格・職業とは?

なお、民事再生や任意整理の場合は、資格制限はありません。

(3)『官報』に掲載される

官報とは、いわゆる「国の新聞」です。
官報には、法令の公布、会社や裁判所の公告などが掲載されていますが、

  • 破産手続が開始したこと
  • 破産手続が終了したこと
  • 免責許可決定がでたこと

については、官報に掲載されることになっています。

金融関係や不動産関係の職種の方であれば、官報を確認されている方もいらっしゃるので、そのような会社に勤務している場合には、官報を通じて破産をしたということが勤務先に知られてしまうおそれはあります。

ただ、官報は、毎日、全国の裁判所における破産の情報が何百件と掲載されますので、これまで官報を見たことがないという方が、たまたま官報を通じて破産を知るということはほとんど考えられません。

過去30日分の官報であれば、国立印刷局のホームページで見ることができますので、どのようなものか気になる方は、ご確認ください。

参考:インターネット版 官報|国立印刷局

(4)『破産者名簿』に掲載される可能性がある

『破産者名簿』とは、「破産手続開始決定確定等の通知を受けた場合」に本籍地の市町村役場にて作成される名簿です。
かつては、破産開始決定が出たら必ず「破産者名簿」に掲載されていました。

ですが、2004年の破産法改正により、2005年以降破産者名簿に載るのは、

破産開始決定が出たものの、免責を受けられなかった破産者

だけです。
「免責不許可決定」を受けてそれが確定した場合には、『破産者名簿』に載りますが、免責不許可決定を受ける破産者は、破産申立てをした人の中でも1%にも満ちません。

ですから、ほとんどの方は破産者名簿に載ることはありません。
また、万が一掲載される場合であっても、一般には非公開とされるものですので、日常生活には影響はありません。

破産者名簿について詳しくはこちらをご覧ください。

破産者名簿に載るとどうなる?載るケース、載らないケースを解説

(5)いわゆる『ブラックリスト』に載る

『ブラックリスト』とは俗称であって、そのようなリストが存在しているわけではありません。

ただ、信用情報機関が管理している信用情報のうち「事故情報」の部分を、いわゆる『ブラックリスト』と呼んでいます。

信用情報とは、借入状況や返済状況に関する情報のことです。
信用情報機関には、以下の3つがあり、どこの金融機関から借り入れたかによって、登録される信用情報機関が異なります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
    :主にクレジットカード会社が加盟する信用情報機関
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
    :主に消費者金融が加盟する信用情報機関
  • 全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC)
    :銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟する信用情報機関

自己破産をした場合には、その情報が登録され、新たな借入れやクレジットカードを作ることができなくなります。

登録期間は、最長でも10年程度です。
登録期間が終了すれば事故情報は抹消されますので、事故情報に登録があることを理由に新たな借入れが出来ないということはなくなります(ただし、自己破産をした際の借入先やそのグループ会社には、その社内において、半永久的に事故情報が記録され続けている可能性がありますので、そのグループ会社からの借入れは基本的にはできないことに注意が必要です)。

『ブラックリスト』や情報登録期間について詳しくはこちらをご覧ください。

何をするとブラックリストに載るの?載るのはいつまで?

『自己破産』のメリット・デメリットのウソ/ホント

それでは、最後に、自己破産についてよく語られる『ウワサ』について、その真偽を確認します。

自分にあった『債務整理』を

これまで、『自己破産』の手続とメリット・デメリットについてご説明してきました。
今までの『自己破産』の印象は、少しは変わったでしょうか?
『自己破産』は、債務の支払義務が免除される(=借金を返さなくても良くなる)というのが最大のメリットです。

しかし、『自己破産』は最後の手段です。
1回『自己破産』をしてしまったら、その後、7年間は基本的にできません(厳密には、7年以内に免責を受けたことは、次回の免責手続では『免責不許可事由』に該当します)。

また、後々『破産した』ということが、必要以上に心の重荷になる方もいらっしゃいます。
どの債務整理が一番ご自身にベストかということは、債務内容や経済状況によって異なります。

弁護士などの専門家に相談した上で、ご自身にあった形の債務整理を行い、一日でも早く経済的に立ち直ることをお勧めします。

【まとめ】『自己破産』のメリット・デメリットを正しく理解しよう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 『自己破産』の申立てができるかどうかは、今ある借金を今後3年間程度で弁済できるかどうかが目安となる。
  • 債務整理には、『任意整理』、『民事再生(個人再生)』、『自己破産』がある。
  • 『自己破産』のメリットは、主に
  • 借金の返済義務がなくなる
  • 収入がなくてもできる
  • 債権者の同意がなくてもできる
    ことにある。
  • 『自己破産』のデメリットは、主に
  • 高額な財産を処分しないとけない
  • 一定期間、就けない職業がある(制限職種)
  • 官報に掲載される
  • 免責不許可になると破産者名簿に載る
  • いわゆる『ブラックリスト』に載る
    ことにある。
  • 専門家に相談して、借金の状況や経済状況に応じて、自分に合った債務整理をするのが良い。

債務整理をご検討中の方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。