お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

ギャンブルしてたら自己破産は無理?弁護士への相談例を基に解説

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「ギャンブルにのめり込んで、返しきれないほどの借金を抱えてしまった……。ギャンブルの借金で自己破産は無理って本当?」

ギャンブルで借金をした場合、自己破産の手続きは絶対に無理なのだと思っている方が多くいますが、それは誤解です。

確かに、ギャンブルで過大な借金を抱えた場合、裁判所が支払義務を免除してくれず、負債が全て残ってしまうリスクはあります。
しかし、ギャンブルをしていた人であっても、裁判所が様々な事情を考慮のうえ、支払義務を免除してくれるケースも少なくないのです。

この記事では、ギャンブルをしているうちに生活費が足りなくなり、借金を重ねるうちに総額500万円となってしまったAさん(仮名)が、弁護士に相談した例を基に解説します。

※あくまで例ですので、実際のケースとは異なります。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

債務整理に関するご相談は何度でも無料

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意

国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応

ギャンブルが原因で借金が500万円に!

パチンコや競馬などのギャンブルにはまったAさん。
Aさんはギャンブルで負けたら負けた分を取り返そうと、近くの消費者金融でお金を借りて、ギャンブルを繰り返していました。

その内、Aさんはギャンブルのせいで生活費も足りなくなったため、どんどん借金の額が増えていきました。
気づけば、Aさんの借金の総額は500万円になってしまいました。

そして、Aさんの月収は手取り20万円ほど。
「ギャンブルをやめられたとしても、自力では500万円を到底返しきれない」と思ったAさんは、自己破産を考え始めました。

しかし、自己破産について調べてみると、「ギャンブルが原因で借金をした場合、自己破産は無理」と書いてある掲示板などが少なくありません。

「自分の場合も、自己破産は無理なの?」と困った Aさんは、自己破産を取り扱っている法律事務所の無料相談を利用してみることにしました。

法律事務所で相談の予約

相談予約のために法律事務所に電話をかけたAさんは、次のようなことを聞かれました。

  • 借入先
  • それぞれからの借入額
  • 収入や、おおよその支出額
  • 浪費(遊興費や高額な商品の購入、ギャンブルなど)の有無

Aさんは、それぞれについて答え、相談予約を取りました。

弁護士に相談

Aさんは、予約を取った時間に法律事務所を訪ね、全ての借入先のカードや利用明細などを弁護士に見せました。

<Aさんの借金状況>
  • 消費者金融X社 320万円 6年前から
  • 消費者金融Y社 120万円 3年前から
  • 銀行Z社    60万円 1年前から
(※会社名は全て仮称)

次に、弁護士はAさんにこれまでのお金の使い方について詳細に聞き始めました。

ギャンブルをしてきたということですが、大体いつからいつまでですか?

パチンコや競馬を中心に、大体8年くらい前からやっています。つい最近までやっていました。

毎月どれくらいの額を使っていましたか?

最初のころはそこまで使っていなかったと思います。
借金をしてまでギャンブルをするようになったのは、大体6年くらい前だったはずです。
ちょうどそのころが、X社から借り始めた時期です。
それ以降は、月によってまちまちですが、大体10万円以上はギャンブルに使っていたような気がします。

その他にも、Aさんは次のような質問にも答えました。

  • 現金や預貯金はいくらあるか
    →現金は約3万円、預貯金は銀行Z社の約10万円
  • 高額な財産を持っているか
    →20万円を超えるようなものはない
  • 過去に自己破産の手続きをしたことがあるか
    →ない

ギャンブルが原因の借金でも、自己破産できる可能性はある

ギャンブルをしていた場合自己破産は無理なのか、と聞いたAさんに対して、弁護士は次のように答えました。

  • ギャンブルをしていた場合、自己破産の手続きをしても裁判所が支払義務を免除してくれない(免責不許可)リスクはある
  • ただし、ギャンブルをしていたからといって、必ずしも自己破産が無理というわけではない(ケースによる)
    ギャンブルをしていた場合であっても、裁量免責といって、裁判所が支払いの義務を免除してくれるケースもある

それでは、Aさんと弁護士のやり取りをもう少し詳しく見ていきます。

(1)ギャンブルをしていたら、支払義務を免除してもらえないリスクがある

やっぱりギャンブルしてたら、自己破産は無理な可能性があるんですか?

「免責不許可事由」というものに当てはまっていると、裁判所が免責許可決定を出さず、借金を始めとする負債が全てそのまま残ってしまう可能性があるのです。

免責不許可事由にはいくつかの種類がありますが、ギャンブルがもとで過大な負債を抱えてしまうことは、免責不許可事由のうちの1つに当てはまっています。
そのため、自己破産の手続きがうまく行かない可能性があるのです。

(※)税金など、一部の負債の支払義務は免責許可決定が出てもそのまま残ります(非免責債権)。
非免責債権にどのようなものがあるのかについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

非免責債権とは?自己破産しても支払い義務があるものについてくわしく解説

免責不許可事由にどのようなものがあるのかについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

(2)ギャンブルをしていても、支払義務を免除してもらえるケースはある

ケースにもよりますが、免責不許可事由があっても、裁判所が免責許可決定を出すことはあります(裁量免責)。
裁量免責が出れば、原則全ての負債について支払義務を免除してもらえます。

たとえギャンブルなどが原因の借金であっても、そのギャンブルの額や、期間などは人それぞれに事情が異なります。

そのため、多少ギャンブルをしているけれども、様々な事情を総合的に考慮すると、免責許可してもよいだろう、というケースもあるのです。

したがって、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が裁量で免責許可を出す場合があります(破産法252条2項)。
裁量免責を出すかどうかは、主に次のような事情などを考慮し、裁判所が総合的に判断します。

  • 破産者は、どのような事情で借金などの負債を抱えたのか
  • 破産者は、どのような経緯で自己破産を申立てるに至ったのか
  • どのくらいの金額をギャンブルに使ったのか
  • どのくらいの期間、ギャンブルをしていたか
  • 破産者は、浪費などについて反省しているか
  • 破産者は、誠実に手続きを進めているか
  • 破産者は、生活を立て直すために意欲的に努力しているか

など

※破産者……裁判所から破産手続開始決定が出た人のこと

Aさんも、もうギャンブルを一切やめて誠実に手続きを進めれば、免責許可が出る可能性は0ではありません。

実際、免責不許可事由があっても免責許可となる人は少なくありません。

2017年の調査結果によると、 自己破産の免責申立てをした人1238人のうち免責不許可となった人は7人と、約0.57%にとどまっています。
一方、この調査によると、ギャンブルが原因で債務を抱えて自己破産を申立てることとなった人は、申立てた人のうちの約2.16%です。

※なお、免責不許可の可能性が高い場合には、裁判所からの勧めに応じて、破産の申立て自体を取り下げているケースもあります。

参照:2017年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会

自己破産の費用が高くなる可能性に注意

ギャンブルなどの免責不許可事由がある場合、裁判所での手続きが「管財事件」という複雑なものになる可能性があります。
今回の場合、借金の額の相当部分がギャンブルに充てられているなどの理由から、管財事件になる見込みです。
管財事件となると、費用が高くなることについてはご注意ください。

免責不許可事由があると、免責許可決定を出していいのかどうかについて慎重な調査が必要となります。
そのため、免責不許可事由の深刻さなどによっては、裁判所が、調査などを任せる「破産管財人」という弁護士を選任する場合があります。これが 「管財事件」です。

管財事件となると、破産管財人のための報酬として 「引継予納金」というものを支払う必要があります(東京地裁:20万円~)。

また、管財事件となると弁護士費用も高くなりがちです。自己破産を依頼する弁護士の負担も、破産管財人への対応などで重くなるためです。

お金がなくて困っているのに、そんな費用払えません……。

弁護士費用と、引継予納金など裁判所費用を合わせた額を分割払いにしている法律事務所も少なくありません。
また、自己破産を弁護士に依頼した場合、通常は、債権者への返済はストップすることとなります。そのため、今まで返済に充てていたお金を費用の積立てに回すことができます。

自己破産の手続きにどれくらい費用がかかるかについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

破産費用はどの程度かかる?安く抑える方法や弁護士費用を解説

自己破産にあたって注意を受けたこと

「裁量免責の可能性も0ではない」ということで安心したAさんは、この弁護士に自己破産の手続きを依頼することにしました。
依頼の際、Aさんは次のような注意を受けました。

  • ギャンブルをきっぱりやめること
  • 手続きを誠実に進めること

それぞれについてご説明します。

(1)ギャンブルをきっぱりやめること

まず、Aさんは 「ギャンブルをきっぱりやめるように」と弁護士から言われました。

先ほどご説明したように、裁量免責を出すかどうかを裁判所が判断する際には、次のような事情も考慮されます。

  • 破産者は、ギャンブルなどについて反省しているか
  • 破産者は、生活を立て直すために意欲的に努力しているか

弁護士に自己破産を依頼した後でもギャンブルを続けていては、ギャンブルについて反省していないと判断される可能性が高いです。
ギャンブルが主な原因となって返しきれないほどの借金を抱えたにもかかわらず、ギャンブルを続けているというのでは、生活を立て直す意欲があるとは言い難いからです。

そのため、「このような人には、たとえ裁量免責を出しても生活を立て直せる見込みがない」と判断され、免責不許可となってしまう可能性が高いのです。

ですから、 自己破産の手続きをすると決めたからには、ギャンブルをきっぱりやめることが肝心です。

「お金を返すためには、ギャンブルでお金を調達するしかない」と思ってギャンブルをしていた方もいるかもしれません。
しかし、ギャンブルは業者が利益を上げられるようにできているので、返済の充てにできるほどのお金を稼げる可能性は低いです。
もうギャンブルはやめましょう。

(2)手続きを誠実に進めること

また、Aさんは 「手続きを誠実に進めることが大切です」とも言われました。

繰り返しになりますが、手続きを誠実に進めているかどうかは、裁量免責の判断の際には参考にされます。
そのうえ、裁判所や破産管財人の調査に協力しなかった場合や、説明を拒否した場合などはギャンブルとは別の免責不許可事由に該当するおそれがあります(破産法252条第1項8号、9号、11号)。

自己破産を申立ててもなお、免責不許可事由に該当する行為をしている場合、免責不許可となることが少なくありません。そのため、 裁量免責となる可能性を少しでも高くするためには、誠実に手続きを進めることが欠かせないのです。

裁判所や破産管財人からは、「なぜそんなにギャンブルに使ってしまったのか」「ギャンブルに使うお金があったなら、返済できたのではないか」など厳しい質問をされることがあります。
このような厳しい質問についても、嘘をついたりせずに冷静に答え、反省していることを示すことが大切です。

【まとめ】ギャンブルが原因の借金でも、自己破産で支払義務が免除される可能性はある!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • ギャンブルで過大な借金を抱えた場合(免責不許可事由)、免責許可が出ず負債が全て残ってしまうリスクはある
  • しかし、ギャンブルをしていた場合でも、自己破産の手続きをすれば支払義務を免除される可能性はある(裁量免責)

「ギャンブルで抱えた借金だから自己破産は無理」と、諦めてしまっている人は少なくありません。
しかし、ギャンブルで借金を抱えた全てのケースで自己破産を選択できないというわけではありません。

ケースによっては、無事に支払い義務免除(免責)にまでたどりつけるのです。
自己破産に詳しい弁護士に相談すれば、自分の場合には自己破産で免責される可能性はあるのか、見通しがわかる可能性があります。
もし自己破産が厳しいケースでも、借金返済の負担を減らすためには他の方法もあります。
例えば、任意整理や個人再生です。

これらの方法の場合、支払い義務は基本的に免除されませんが、借金が減額される可能性はあります。また、借金を抱えた原因は基本的に問題になりません。
自己破産の見込みがあるかどうかにかかわらず、債務整理を扱っている弁護士に相談することで、返しきれないほどの借金を抱えている今よりは生活が楽になる可能性があるのです。

自己破産は無理、とあきらめる前に、弁護士に相談してみませんか。

アディーレ法律事務所では、万が一免責不許可になってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております。

(2023年8月時点)

自己破産でお悩みの方は、個人の破産や民事再生を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。