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自己破産のときにクレジットカードは残すことができる?

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リーガライフラボ

近年、クレジットカードを1枚も持っていないという方は少ないのではないでしょうか。
2020年3月末の調査では、クレジットカードの発行枚数は2憶9296万枚、成人人口比で1人当たり2.8枚所有している計算になるそうです。

現金を持たずに買い物ができる便利なクレジットカードですが、自己破産をする際、カードをそのまま使い続けることはできるのでしょうか。
結論から言うと、自己破産をする際、クレジットカードはカード会社から強制的に解約されて、使うことができなくなります。

今回は、自己破産をした時にクレジットカードはどうなるのか、ご説明します。

参考:クレジットカード発行枚数調査結果の公表について│一般社団法人 日本クレジット協会

自己破産ってなに?

自己破産とは、

借金を返せない人が、
財産を処分して少しだけでも借金を返して、
残った借金については返さなくて良くなるという手続

(※借金を返さなくても良くなるためには、裁判所から『免責許可決定』を得る必要があります。)
(※税金など一部の『非免責債権』は支払義務を免れません。)

です。
ですから、一定の基準を上回る財産を持っている場合には、それらは債権者への借金の返済の一部(配当)に充てるために手放さなければいけません。

クレジットカードはどうなるの?

それでは、破産の申立て前から持っていたクレジットカードはどうなるのでしょうか。

結論から言えば、原則としてクレジットカードは強制解約になり、カード会社から、カードの返却又は廃棄を求められ、いずれにしても使い続けることはできなくなります。

というのは、クレジットカードの所有権はあくまでもクレジットカード会社にあり、カードの保有者はあくまでも貸与されているにすぎないからです。
この時、なぜ強制解約になるのかと言えば、一言で言えば『信用できない顧客』とみなされるからです。

『自己破産』は、最終的には借金を支払わなくても良くなる手続です(ただし税金など、一部の負債は支払義務が残ります)。
クレジットカードについてもそれは例外ではなく、

  • ショッピング機能で利用した支払い
  • キャッシング機能による借入れ

については、破産手続で免責が認められれば、いずれも支払義務がなくなります。

ですから、クレジットカード会社にとっては、もはやこのような顧客にはクレジットカードを渡しておけないということになります。

クレジットカードが使えなくなるのはいつ?

それでは、クレジットカードは、いつから使えなくなるのでしょうか。
まず、クレジットカードの支払を滞納した場合、最短で数日以内にそのクレジットカードは使えなくなります。

その後、督促されても滞納分を支払わない場合、最短で1~2ヶ月ほどでクレジットカード会社から強制的に解約されます(強制解約までの時間等はカード会社によって異なります)。

さらに、滞納していないクレジットカードであっても、破産をする際には遅かれ早かれ強制解約されてしまいます。
滞納していないクレジットカードについて、いつ強制解約されるのか、ご説明します。

クレジットカードを強制解約されるのは『受任通知』を受けた時

これ以上、借金の支払が難しい、という場合、弁護士などの専門家に『債務整理』を依頼すると思います。

『債務整理』には、次の3種類があります。

『債務整理』には、上の図のとおり『任意整理』、『民事再生』、『自己破産』があります。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、どの方法で債務整理をするかは、専門家と話し合って決めることになります。

いずれにしても、債務整理の相談を受けた弁護士などは、クレジットカード会社に対し、

を発送します。
この「受任通知」には、

  • 債務者から、債務整理の依頼を受けたこと
  • 今後は、債務者から取立てをしないように依頼すること

が記載されています。
弁護士などから受任通知を受けたクレジットカード会社は、それ以上、債務者に対する請求をストップします。

弁護士などから『受任通知』が送られたクレジットカード会社のカードは、滞納がなかったとしても、その時点で、強制解約となります。

債務整理の『受任通知』が届くとその時点で契約通りに債務(ショッピングで利用した支払+キャッシングの借入)の支払を受けられなくなるということですから、それ以降は使用されないようにする必要があるためです。

使ってないクレジットカードはどうなの?

作ったものの、一度も使っていない、あるいは利用した分は全て完済しているというクレジットカードなどはどうなるのでしょうか?

このような場合、クレジットカード会社に対する債務がないということであり、クレジットカードのカード会社は「債権者」には当たりません。
ですが、弁護士などに自己破産や民事再生を依頼した場合には、通常は、一度も使っていない会社に対しても、『受任通知』を送りますから、この時点で強制解約になるでしょう。

というのは、『受任通知』を発送した後に債務者が一部の債権者に弁済をすると、それは『偏波弁済(へんぱべんさい)』となったり、そもそも、支払不能の状態にあるにも関わらず、クレジットカードを使うことが詐欺的な借入れ(返済する意思も能力もないのに借入れをすること)に該当するとして、のちのち、自己破産の手続で免責が認められなくなるおそれがあるからです。

また、古くからキャッシングの利用をしていた場合、過払金が発生している可能性があり、その調査のためにも受任通知を送る必要があります。
裁判所が免責を認めなければ、全ての借金の支払い義務残ってしまうおそれがあります。

後でもご説明しますが、弁護士などに相談する場合には、必ず使っていないカードも含めて全て申告してください(免責不許可事由について詳しくはこちらをご覧ください)。

免責不許可事由とは?該当すると自己破産できないって本当?

クレジットカードに関する、破産の際の注意点

自己破産をする際のクレジットカードに関する注意点は主に以下のとおりです。

(1)持っているクレジットカードは全て申告する

弁護士などに債務整理を依頼する際、使っていないクレジットカードも含めて、持っているカードは全て申告してください。
債務整理に当たっては、債務者の債務状況を正しく把握する必要があります。

クレジットカードを残しておいて、後から使用したりすると、最悪の場合には免責不許可となり、借金が残ってしまうおそれがあります。

また、後々、クレジットカードを全て申告していなかったことが依頼した弁護士などに発覚すると信頼関係が崩れるために辞任されることもある上、それまでの弁護士費用などは返金を受けられないことが多く、新たなトラブルを抱えることになってしまいます。

(2)一部のカードだけを返済することはしない

残したいカードの支払分だけを返済すると、『偏頗弁済(へんぱべんさい)』になります。

偏頗弁済を行った場合、その返済をなかったことにするため破産管財人に否認権を行使されて取り戻されたり(破産法162条1項)、その分の金額を破産者が支払うよう破産管財人に求められる可能性があります。
最悪、免責が認められず借金が残ってしまうおそれもあります。

(3)公共料金等の支払方法は変更しておく

共料金などの支払について、クレジットカード払いにしている方も多いと思います。
ガス・水道・電気などの公共料金は、日常生活に不可欠な費用ですから、滞納せずに支払うことは必要です。
ですが、これら公共料金の支払いをクレジットカード払いにすると、いったんカード会社が各公共料金を立替払いしますから、カード会社に対して公共料金相当額の支払債務を負うことになります(カード会社に対して新たな借金を負うことになるということです)。

弁護士などが『受任通知』を発送した後にクレジットカードを使ってしまうと、詐欺的な借入れとして、免責が認められないおそれがあります(破産法252条1項5号)。

ですから、公共料金の支払いをクレジットカード払いにしている場合は、必ず支払方法を変更し、口座引落や請求書払いにするなど直接支払う形に変更しておく必要があります。

さらに、弁護士などが『受任通知』を発送した後であれば、クレジットカードは強制解約になっているはずですから、そのままにしておくと、公共料金を滞納することになってしまします。

(4)その他の注意点について

その他、法律的な問題ではありませんが、

  • ポイントがあれば使っておく
  • クレジットカード付帯のETCカードも使えなくなる

点なども留意しておくと良いでしょう。

自己破産後のクレジットカードの代替手段について

自己破産をする場合、先ほどご説明した『事故情報』に載りますので、5~10年の間は新たなクレジットカードを作ることができなくなります。
そこで、その間の代替手段についてご説明しましょう。

(1)デビッドカードについて

デビッドカードとは、支払と同時に、登録してある銀行口座から利用金額が引き落とされるカードです。

  • 口座にある預金の範囲でしか利用できない
  • 一括払いしかできない

という特徴があります。
自分の預金の範囲内で利用できるだけで、借金をするわけではないので、カードを作る時に基本的には審査はありません。

ただし、(口座に残金のある限度で)カードを利用して気軽に買い物ができるという意味ではクレジットカードと共通しますので、お金の使い方を見直すという意味では極力現金払いをすることをお勧めします。

(2)プリペイドカードについて

プリペイドカードは、あらかじめカードに残高をチャージしてから利用するカードです。
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードがこれです。
これも、本人の残高の範囲で利用できるにとどまり、新たな借金をするわけではないので、破産をしていても問題なく使うことができます。
チャージしてある残高以上に利用することができませんから、使い過ぎを防ぐという意味でお勧めです。

ただし、高額チャージをして、気軽に決済してしまうと、思った以上にお金を使いすぎてしまうので、お金の使い方を見直すという意味では、現金払いにするか、高額チャージをしないように注意しましょう。

(3)家族カードについて

クレジットカードの「家族カード」とは、クレジットカードの本会員の家族が、本会員と同じカードを追加で発行してもらうカードのことです。
一般的に、安定した収入のない学生や専業主婦は本人名義のクレジットカードが作れないことがありますが、家族カードであれば、本会員の信用でカードを作ることができるのです。

このような家族カードの支払義務を負っているのは、本会員です。

自己破産の手続をすることになった人でも、家族が使っているクレジットカードで家族カードを利用できる場合もあります。

しかし、破産される方が、自身の負債になるわけではないとはいえクレジットカードを使い続けることは避けるべきですし、特に自己破産に至った原因がお金の使い方に問題があったという場合には、家族カードを利用することは特に慎重になるべきでしょう。

従前と同じように家族カードを使って、家族の債務を増やして返済に困るようになってしまっては元も子もありません。
自己破産で免責が認められたことは最後のチャンスと思い、それをきっかけにお金を使い方を見直すためにも、家族カードを作ったり利用してよいかどうかは債務整理を依頼した弁護士や本会員である家族としっかりと話し合うのが良いでしょう。

自己破産をしなくても、クレジットカードは強制解約されます

今回、自己破産とクレジットカードについてご説明しましたが、基本的には、債務整理を行うことになって受任通知を送付するとそのクレジットカードは強制解約されますし、それ以前に借金の返済を滞納していると、クレジットカードが強制解約されることもあります。

【まとめ】自己破産をする場合、クレジットカードは残すことはできない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • クレジットカードは、支払を滞納すると通常、数日以内に使えなくなり、1~2ヶ月程度で強制的に解約される。
  • 支払を滞納をしていないクレジットカードであっても、
  • 弁護士から受任通知が送られた時点
    でカード会社はカードを強制解約するため、カードは利用できなくなる。
  • 債務整理の際には、
  • 持っているクレジットカードは全て申告する
  • 一部のカードだけ返済することはしない
  • 公共料金の支払等をカード払いにしている時は、支払方法を変更する
    ことに注意する必要がある。

借金についてお悩みの方、自己破産をお考えの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。