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自己破産手続における要件とは?法律で定めている内容を解説

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月々の借金の返済がもう少し楽になると良いな……。
「債務整理」でご相談にいらっしゃる方の多くは、そんなぼんやりした気持ちからスタートします。

月々の返済の負担を下げる方法には、基本的に以下の3つの方法があります。

  1. 自己破産
  2. 民事再生
  3. 任意整理

これらのうち相談者の方のご状況に合った方法をご案内するのが債務面談の目的です。

どの方法が一番自分に合っているかをわかったうえでご来所される必要はありません。
もっとも、裁判所を利用する自己破産、民事再生と、裁判所を利用しない任意整理では弁護士費用も手続きも大きく異なります。
そこで、どのようなケースで自己破産をご案内するかを弁護士がご説明します。

自己破産手続を開始するには実体的要件と形式的要件が必要

自己破産手続きは、裁判所が「開始決定」をして初めてスタートします(破産法15条1項)。
開始決定がされるには、実体的要件と形式的要件の両方を満たしている必要があります。

自己破産手続の実体的要件

法律上、どのような場合に自己破産手続きを開始できるのかを解説します。

(1)破産手続開始原因があること

自己破産が認められるのは、自力では借金の返済ができない場合です。
具体的には個人ならば「支払不能」(破産法15条1項)、会社ならば「支払不能かつ債務超過」(破産法16条1項)であることが必要です。

(1-1)支払不能とは?

支払不能とは、債務者が借金を一般的および継続的に返済することができない状態のことです。支払不能であるかどうかは、一般的には、借入総額を36(ヶ月)で割った金額が毎月の返済可能額を上回っているかで判断されます。

具体例でみてみましょう。
Aさんはサラリーマン、一人暮らし、めぼしい財産はないとします。

Aさん 借入総額 500万
手取り月給 25万円
家賃8万5000円 食費5万円 水道光熱費7500円 通信費1万円 交通費5000円
タバコ代1万円 交際費5000円 雑費1万5000円 月々の支出18万7500円

借入総額500万円を36(ヶ月)で割ると、約13万9000円です。しかし、Aさんが返済に充てられるのは25(万円)から18万7500(円)を引いた6万2500円です。借入総額を36で割った金額が毎月の返済可能額を上回っていますので、支払不能といえるでしょう。

このように支払不能といえるかは、次のような流れで考えます。

  1. 借入総額を36(ヶ月)で割る
  2. 手取り月給から必要な支出を引き月々の返済可能額を割り出す
  3. 借入総額を36で割った数値1が月々の返済可能額2を超えているかをみる

注意すべきなのは、不動産や車など価値のある財産を持っている場合には、借入総額からその金額を差し引くということです。たとえば、1000万円相当の無担保の不動産を持っている人が850万円の借入れを返せないため破産しようとしても「支払不能」といえず、破産は認められません。

(1-2)債務超過とは?

債務超過とは、債務総額が資産総額を超過している状態のことです。

(2)破産障害事由がないこと

破産障害事由とは、それがあると破産手続を開始することができない事由のことです。
たとえば、次の事情が破産障害事由にあたります。

  • 裁判所に支払う必要のある金銭(予納金)が納付されていない
  • 虚偽もしくは不誠実な目的による自己破産(計画倒産等)である
  • 民事再生手続や会社更生手続、特別清算手続きが開始されている

免責不許可事由とは?

自己破産手続きが開始されても、借金の返済義務を免除してもらえない事情がいくつかあります。これを「免責不許可事由」といいます。
ここでは代表的な免責不許可事由を7つ解説します。
免責不許可事由のある場合でも、個別具体的な事情から借金の返済義務を免除してもらえることも多い(これを裁量免責といいます(破産法252条2項))ので、裁判所や自己破産を依頼した弁護士、破産管財人ひいては裁判所に事実をありのままに伝えることが大切です。

1.債務者の財産を不当に減少させる行為
破産法252条1項1号では、次の行為が免責不許可事由として定められています。

債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。

破産法252条1項1号

本来債権者に分配する資金となる財産(破産財団)の価値を減少させると、借金の返済義務が免除されないリスクが生じます。債務者が自由に処分できる財産を処分したり、不注意でその価値を損なったりしても、原則として免責不許可事由には該当しません。

2.不当な債務負担行為
破産法252条1項2号では、次の行為が免責不許可事由として定められています。

破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

引用:破産法252条1項2号

たとえば、次のケースが「不当な債務負担行為」に当たります。

  • 違法な高金利(ヤミ金)でお金を借り入れた
  • クレジットカードのショッピング枠で新幹線のチケットやゲーム機を購入して購入価格よりも随分と安い価格で売却した(換金行為)

一般的な金融機関がお金を貸してくれなくなった後でこれらの行為を行う人が多くいます。
しかし、借入限度額に達したのであればその段階で破産を検討しなければなりません。
そのため、借入限度額に達した後で、これらの行為をすると「破産手続の開始を遅延させる目的」があったと認められやすいといえます。

3.特定の債権者に利益があるように支払いをする行為
破産法252条1項3号では、次の行為が免責不許可事由として定められています。

特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと

引用:破産法252条1項3号

特定の債権者にだけ返済する行為を「偏頗(へんぱ)弁済」といいます。

4.浪費やギャンブルによる借金
破産法252条1項4号では、次の行為が免責不許可事由として定められています。

浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

引用:破産法252条1項4号

趣味などに収入に見合わない支出をした結果またはギャンブルや投資で多額の借金をした結果、破産をしようとしてもスムーズには認められません。免責不許可事由に当たるかは、収入や借金の総額にもよるため、弁護士にアドバイスを求めるのが良いでしょう。

5.裁判所への説明を拒絶したり、うその説明をしたりする行為
破産法252条1項8号では、次の行為が免責不許可事由として定められています。

破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。

引用:破産法252条1項8号

数多くある免責不許可事由のなかでも免責が不許可になるリスクが非常に高いため、裁判所の調査には素直に協力するようにしてください。

6.過去7年以内に免責を受けたことがある場合
一度免責を受けたり、免責と同じような法律上の保護を受けたりしたことが7 年以内にある場合、原則として2度目の免責は認めてもらえません(破産法252条1項10号)。

7.破産法上の義務違反行為
破産法で定められている破産者の説明義務(破産法40条1項)、重要財産開示義務(41条)、免責調査協力義務(破産法250条2項)に違反する行為は、免責不許可事由に該当します(破産法252条1項11号)。

自己破産手続の形式的要件

法律上自己破産が認められる場合であっても、手続き上問題があれば、自己破産は認められません。そこで、今度は自己破産手続の形式的要件を解説します。

(1)申立書の内容に不備がないこと

自己破産手続を開始するためには、事実に基づいた申立書を作成し、必要な書類を添付しなければなりません。不備があれば裁判所から補正を求められ、補正に応じなければ破産手続開始の申立てが却下されることになります。
申立書は、裁判所によって異なるため、自己破産を申立てようとする裁判所にあらかじめ確認しましょう。もっとも、弁護士に依頼すれば、申立書を弁護士が作成するため、申立書の内容に不備があるとの理由で自己破産手続きが開始されない可能性は低いでしょう。

(2)申立人に申立権があること

借金を返すかどうか、破産するかどうかは、基本的に自分で決めなければなりません。隣に住んでいるからといって、自己破産を申立てられても余計なお世話としか言いようがありません。そこで、法律上自己破産を申立てられる人が決まっています。

個人の自己破産を申立てられるのは、債務者(借金をした人)と債権者(お金を貸した人)です(破産法18条1項)。法人の自己破産を申立てられるのは、法人の理事・会社の取締役等や清算人、監督庁(一定の種類の法人の場合のみ)です(破産法19条)。

(3)債務者に破産能力があること

債務者に、破産者になることができる一般的な地位または資格(破産能力)があることも必要です。もっとも、個人や一般的な法人であれば破産能力を持っているため、実務において破産能力が問題となるケースはほとんどありません。

(4)予納金など手続き費用を納付したこと

自己破産を申立てるときには、次の費用が必要です。

  • 収入印紙代(申立手数料)1500円
  • 郵便切手代 84円×(債権者数+若干数)
    目安3000~1万5000円(債権者数が多いほど金額が高くなります)
  • 官報広告費 目安1万1859円
  • 予納金 最低20万円

そのほか住民票など必要な資料を集めるための手数料がかかります。

これらの費用を納めなければ、破産手続きは開始されません。

参考:破産(同時廃止) 破産申立てに際しての注意事項など|裁判所- Courts in Japan

【まとめ】自己破産手続の要件を満たしているか不安な方はアディーレ法律事務所へ

破産手続を開始するためには実体的要件と形式的要件を満たす必要があります。
もっとも、破産手続きを開始できるかどうかは弁護士がアドバイスしますので、弁護士に相談する前に何かを決める必要はありません。「月々の返済額が下がれば良いな……」という漠然としたお気持ちで構いません。
自己破産手続きを進められるかどうか詳しく知りたい方はアディーレ法律事務所にご相談ください。

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