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8年越しの勝訴「泉南アスベスト(石綿)訴訟」について弁護士が解説します

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「アスベスト被害について、国の責任は認められているの?」

2014年10月9日、アスベスト工場の元労働者やその遺族による泉南アスベスト訴訟について、最高裁は、国の賠償責任を認める内容の判決を言い渡しました。
現在、この判決をベースとして、国との和解要件が明確化されています。
アスベスト工場での元労働者やその遺族のうち、和解要件を満たす方については、国との間で和解を成立させ、最大1300万円の賠償金を受け取ることが可能となっています。

本記事では、

  • 泉南アスベスト訴訟の概要
  • 国との和解要件と賠償金額

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2012年弁護士登録。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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泉南アスベスト(石綿)訴訟の概要

大阪府南西部に位置する泉南(せんなん)。
「いしわた村」と呼ばれた泉南地区には、200ほどのアスベスト(石綿)工場が集まっていました。
約100年にわたって、アスベスト(石綿)産業で日本一を獲り続けた地域です。

工場で働く人々は、アスベスト(石綿)が危険な物だと知らずに、仕事中に大量のアスベスト(石綿)を吸い込みました。
このアスベスト(石綿)は、工場で勤務していた人々の体内で静かに眠り続け、30年、40年後に肺がんや中皮腫を発症させたのです。

家族のために一生懸命働いただけだったのに、なんでこんな目に……。
その無念は相当なものだったでしょう。

一方国は、アスベスト(石綿)の危険性を知りながら、経済成長のためと言い訳して、特段アスベスト(石綿)の使用を規制しませんでした。
もし国がアスベスト(石綿)工場の排気設備についてきちんと指導するなどしていれば、工場で働く人々はアスベスト(石綿)を大量に吸い込まずに、肺がんや中皮腫にならずに済んだでしょう。

「泉南アスベスト(石綿)訴訟」では、約8年間にわたって最高裁まで争われ、最終的に国の責任が認められました。

泉南アスベスト(石綿)訴訟をベースに、国との和解要件が明確化

現在、泉南アスベスト(石綿)訴訟判決の内容をベースとして、国との和解要件が明確化されています。

(1)賠償金を受け取るまでの流れ

すなわち、アスベスト工場での労働が原因でアスベスト被害に遭われた方またはそのご遺族のうち、和解要件を満たす方については、一定の手続きを経て、賠償金を受け取ることが可能となっています。
賠償金を受け取るまでの大まかな流れは次の通りです。

資料収集等の訴訟の準備

国を被告として国家賠償請求訴訟の提起

裁判上の和解の成立

賠償金の受け取り

参考:石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々との和解手続について|厚生労働省

(2)国との和解要件(工場で働いていた場合)

アスベスト工場での労働が原因でアスベスト被害に遭われた方またはそのご遺族のうち、次のすべての要件を満たす方に限り、国との間で和解をして、賠償金を受け取ることができます。

(ア)1958年5月26日~1971年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべきアスベスト(石綿)工場内において、アスベスト(石綿)粉じんにばく露する作業に従事したこと
(イ)石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚など一定の健康被害を被ったこと
(ウ)提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること

工場で働いていた人でもその工場が(ア)の条件を満たすかわからないかもしれません。
そのため、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚と診断された人やX線検査でアスベスト(石綿)がうつった人は弁護士に相談することをおすすめします。

(3)賠償額(工場で働いていて要件を満たす場合)

アスベスト工場での労働が原因でアスベスト被害に遭われた方またはそのご遺族のうち、次のすべての要件を満たす方が受け取れる賠償金の額は、次のとおりです。

病態
賠償金額
石綿肺(じん肺管理区分の管理2)550万円(合併症がない場合)
700万円(合併症がある場合)
石綿肺(じん肺管理区分の管理3)800万円(合併症がない場合)
950万円(合併症がある場合)
石綿肺(じん肺管理区分の管理4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚
1150万円
上記疾病による死亡
症状に応じて
1200万~1300万円

※上記の表にある「じん肺管理区分」とは、じん肺健康診断の結果を基に、じん肺を区分したものです(じん肺法4条2項)。
じん肺とは、「粉じんを吸入することによって肺に生じた繊維増殖変化を主体とする疾病」(同法2条1項1号)をいい、アスベスト(石綿)粉じんを吸入したことによる石綿肺もこのじん肺の一つとなります。
粉じん作業に従事した事業場に勤務している間は、事業者によりじん肺健康診断が行われ、じん肺管理区分の決定申請等についても事業者が行うこととなっています。

これに対して、離職後にじん肺管理区分の決定を受けるためには、ご自身でじん肺健康診断を受けて、お住まいの労働局へ申請をする必要があります。
じん肺管理区分の決定申請をお考えの方は、お住まいの労働局へお問い合わせください。

厚生労働省による和解の案内

厚生労働省は、和解の対象になる可能性のある人々に対して「アスベスト(石綿)訴訟和解手続きのご案内」を発送しています。
この通知を受け取ったのであれば、賠償金を受け取れる可能性が高いといえます。
賠償金を受け取っても国によって受けた苦しみが癒えるわけではありません。
工場で勤務した人が亡くなったのだとしたら、その人が戻ってくるわけでもありません。

しかし、その苦しみが国によるものだとけじめをつけられるのではないでしょうか。
国は全ての被害者を把握しているわけではありませんので、個別の通知がないからといって賠償金を受け取れないとは限りません。
アスベスト(石綿)に関連する病気にかかった、あるいは、親族を亡くしたのであれば、ひとまず弁護士に相談してみることをおすすめします。

参考:石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々に対する和解手続きによる賠償金のお支払いについての周知活動を強化します|厚生労働省

【まとめ】泉南アスベスト(石綿)訴訟で国の賠償責任が認められる

今回の記事をまとめると次のとおりになります。

  • アスベスト工場では、アスベストの吸入を防ぐための適切な防護措置が採られていなかったことから、アスベスト工場の労働者にアスベスト被害が多発した
  • 国はアスベスト工場の危険性を知りながら、局所排気装置の設置を工場側に義務付ける等の適切な規制を施さなかった
  • 規制措置を怠った国を相手に、アスベスト工場の元労働者やその遺族によって泉南アスベスト訴訟が提起された(泉南アスベスト(石綿)訴訟)。のちに、国の賠償責任を認める最高裁判決が言い渡された
  • 現在、泉南アスベスト訴訟最高裁判決をベースとして、国との和解要件が明確化された。アスベスト工場の元労働者やその遺族のうち、和解要件を満たす方については、国を被告とする国家賠償請求訴訟を提起した上で、国との間で裁判上の和解を成立させることにより、最大1300万円の賠償金を受け取ることが可能となっている
  • 厚生労働省は、和解対象者と考えられる方に対して、個別に和解手続きの通知を行っているが、和解対象者をすべて把握しているわけではないので、通知が来ていない方も和解をして賠償金を受け取ることができる可能性がある

アディーレ法律事務所では、工場型アスベスト(石綿)訴訟の手続きに関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した賠償金や給付金からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2021年8月時点

現在、アディーレ法律事務所では、アスベスト(石綿)被害に悩まれておられる方を一人でも多く救いたいとの想いから、アスベスト(石綿)被害についての相談をお待ちしております。
アスベスト(石綿)被害にあわれた方およびそのご遺族は、アディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。

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