債権回収会社とは?手紙が届いたらどうすればいい?

突然、債権回収会社から手紙が届いたあなたは、「放置するべき?連絡するべき?」と悩んでいるのではないでしょうか。
結論からいうと、今すぐ連絡を取るべき場合と、焦って連絡を取らないほうがいい場合があります。
本ページで、「債権回収会社とは何なのか」、「債権回収会社から手紙が届いたらどう対応するべきか」を見ていきましょう。
債権回収とは?
債権とは、特定の人がほかの特定の人に対して、一定の行為(給付)を請求する権利のことをいいます。
そして債権回収とは、債権を行使して、実際に請求を行うことを指します。
たとえば、カード会社が支払いを滞納している利用者に対して取り立てることや、従業員が会社に対して未払いの給与を請求することなどが、債権回収に当てはまります。
債権回収会社(サービサー)とは?
少し乱暴な言い方になりますが、債権回収会社とは、借金の取立てを専門に行う会社です。
しかしこの1文だけ見ると、このように思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
「違法な団体なのかな?それなら無視しても問題ないのでは?」
「暴力団が関与していそう」
以下で債権回収会社について、詳しく解説していきます。
債権回収会社は法律で認められている業者
一般的な債権回収会社は、債権管理回収業に関する特別処置法(通称:サービサー法)という法律により、債権の回収業務を特別に認められている会社です。
最低限、次のような条件を満たした会社でなければ、金融機関などから委託されたり、債権を譲り受けたりして、債権の回収業務をすることはできません。
- 資本金が5億円以上ある
- 常務に従事する取締役に弁護士が1名以上いる
- 暴力団との関わりがない
- 法務大臣から許可が下りている
上記のように、暴力団を排除することや、取締役に弁護士がいることが条件となっています。
そのため、違法なことを行うあやしい会社ではないとご理解いただけると思います。
代表的な債権回収会社20社
令和4年11月4日の時点では、法務大臣から許可を得て、営業している債権回収会社が77社あります。
そのなかでも、代表的な債権回収会社として、以下の20社をご紹介します。
- 日本債権回収株式会社
- アビリオ債権回収株式会社
- ニッテレ債権回収株式会社
- SMBC債権回収株式会社
- オリックス債権回収株式会社
- ジャックス債権回収サービス株式会社
- あおぞら債権回収株式会社
- エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社
- ジェーピーエヌ債権回収株式会社
- 中央債権回収株式会社
- オリンポス債権回収株式会社
- 九州債権回収株式会社
- アイ・アール債権回収株式会社
- 株式会社セディナ債権回収
- アウロラ債権回収株式会社
- 株式会社住宅債権管理回収機構
- 株式会社エムアールアイ債権回収
- ジャパントラスト債権回収株式会社
- アルファ債権回収株式会社
- パルティール債権回収株式会社
法務大臣による許可順
今回紹介できなかった債権回収会社については、債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧にて公開されています。
債権回収会社と金融機関の関係
債権回収会社は、金融機関から回収業務の手数料を得たり、安く大量に買い取った債権の一部を回収したりすることで、利益をあげています。
通常、お金を貸した金融機関は、自分たちで債権の回収を行いますが、滞納が続くなど回収が困難になった場合には、自分たちで債権を回収することを諦めます。
そして、金融機関が自分たちで債権の回収をすることを諦めた際には、債権回収会社に回収業務を委託したり、債権を債権回収会社に譲渡したりします。

金融機関は、回収が難しい債権を自社から切り離し、債権回収の専門会社に丸投げができるため、こんなに便利な存在はありません。
このため、債権回収会社は、大手金融機関の子会社や関連会社であることも多いです。
債権回収会社には消費者金融からの借入以外の債権も譲渡される
サービサー法では、債権回収会社は「特定金銭債権」に限って引き受けることができるとされています。
特定金銭債権とは、金融機関の貸金や、クレジットカードを利用して分割払いで購入した代金などです。
そのほか、破産手続をしている人が持っている債権や保証会社との契約に基づく債権などが、特定金銭債権として定められています。
そして特定金銭債権には含まれませんが、携帯料金や水道光熱費も、集金代行として債権回収会社が請求することがあります。
債権回収会社から連絡がきた時点での信用情報は?
債権回収会社から連絡がきたということは、すでに何度も滞納をしており、滞納を理由に信用情報機関の事故情報(いわゆるブラックリスト)に登録されている状態だと思われます。
この状態になると、新たな借入やクレジットカードの作成ができないのが通常です。
もし、事故情報に登録されることを懸念して、債務整理を避けたいと考えるのは、今の状況にとって最悪の選択かもしれません。
早めに弁護士へ相談し、今後のアドバイスをもらったり、債務整理を依頼したりしたほうが、給与の差押えなど、将来的なリスクを避けるのに有効といえます。
債権回収会社から連絡がくるときの流れと取るべき行動
債権回収会社から連絡がくるときの大まかな流れは、以下のとおりです。

具体的にどのような手順で、債権回収会社が債権を回収するのかをご説明します。
債権譲渡または債権回収の委託をしたとの通知がくる
金融機関から、債権回収会社に債権を譲渡した、または回収を委託したという通知書が届きます。
通知と同時に、督促も行われることが多いです。
債権回収会社から督促がくる
債権回収会社から、全額を一括で支払うように督促がきます。
ここでの全額とは、元金に利息や遅延損害金を加えた金額であることが多く、何年も滞納している場合は、元金の2倍以上の金額を支払うよう督促されることもあります。
まずは書面が送られてきますが、電話や自宅訪問による督促もあります。
督促がきて放置するのは危険!
督促がきたら、”絶対に”放置せず、ご自身で債権回収会社の連絡窓口に電話したり、弁護士などに相談したりしましょう。
ご自身で電話をされる場合は、今後の支払いについて、債権回収会社と話し合いましょう。
誠実に対応すれば分割払いや、遅延損害金の減額に応じてくれることもあります。
訴状の送付や支払督促により裁判所から連絡がくる
督促を無視したり、今後の支払いについて話がまとまらなかったりすると、債権回収会社は裁判を起こしてきます。
裁判には、大きく分けて訴訟と支払督促の2つの方法があります。
訴状が届いたら
訴訟の場合、まず裁判所から訴状が届きます。そして、あなたの言い分も聞くために、答弁書を提出するように指示されます。
訴状が届いた場合は、具体的な分割払いの希望を答弁書に書いたり、呼出期日に裁判所に出頭して口頭で希望を伝えたりといった対応をしなければいけません。
答弁書を提出せず、出頭もしなかった場合は、債権回収会社の言い分をすべて認めたと扱われて、遅延損害金も含めて全額を一括で支払うようにとの判決が出てしまいます(欠席判決)。
支払督促が届いたら
支払督促は、訴訟に比べてより簡易な裁判制度です。
手元に裁判所からの書類が届いてから、異議を出す期間が2週間設けられます。厳密には2段階に分かれていますが、書類が届いてから2週間以内に異議を出すと考えておくのがよいでしょう。
期間内に異議を出せば、通常の訴訟に変更されますので、訴訟のときと同様に、分割払いの希望を出すなどの対応をすることになります。
支払督促も、放置すると裁判に負けたのと同様の結果となり、強制執行もできるようになってしまいます。
債権回収会社から手紙が届いたら弁護士に対応を任せるのが安心
弁護士に依頼すると、債権回収会社との対応を任せることができます。
そのため、あなたご自身の負担は最小限になりますし、法律に詳しくない個人が対応するよりも、よい結果が期待できます。
また、このあとご紹介する「借金がゼロになる方法」を使えなくなるリスクを避けるうえでも有効です。
返済せずに5年経っていれば、消滅時効により借金をゼロにできる可能性がある
5年以上にわたって支払いを一切していない場合、督促が届いてもすぐに連絡しないよう注意する必要があります。
もしかすると、消滅時効を迎えていて、そのことを主張(時効の援用)すれば返済が不要になる可能性があるためです。
もし消滅時効を迎えているのに連絡を取ってしまうと、時効がリセットされてしまい、時効の援用をできなくなるリスクがあります。
このページの監修弁護士
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。