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民事再生の議決権とは?必要なケースと手続きの流れについて解説

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こんなことを聞いたことがありませんか。

「民事再生は、債権者(例:お金を貸した人)に反対されると進められない」
「〇〇銀行は、民事再生に反対するって有名」

民事再生を進めようと思っても、債権者の意見によって手続きを進められなくなるのであれば、民事再生の手続きを選択してよいのか不安になってしまうかもしれません。

しかし、民事再生の手続きで債権者が債務者(例:お金を借りた人)の再生計画案に同意するかどうかの決議がなされることは確かにあります。

そこで、今回は「民事再生の議決権」について弁護士が解説します。

民事再生の議決権について解説!

民事再生の議決権について解説するため、まずは民事再生の概要から説明します。

(1)民事再生(個人再生)とは?

民事再生とは、住宅等の財産を維持したまま、法律に基づき定められた返済額を、分割して返済していくという手続です。

不動産などの大きな財産がなければ、大幅に総返済額を減らせる可能性があります。
定められた返済額を完済すれば、再生計画の対象となった債務については、原則として法律上返済する義務を免除されます。

民事再生のうち、個人が利用するもので住宅ローンを除いた債務の総額が5000万円を超えない場合に、簡略化された手続きで進められるものを個人再生といい、個人の民事再生の申立てでは、多くの場合この個人再生の手続きを利用します。

(2)個人再生ができる人

個人再生ができるのは、次の3つの条件を満たす人です。

  • 住宅ローンや、個人再生手続に拘わらず支払い義務の残る債務を除いた債務総額が5000万円以下であること
  • 支払不能となるおそれがあること
  • 継続して収入を得る見込みがあること

(3)書面決議の行われる小規模個人再生

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
このうち小規模個人再生では、債務者から再生計画案が提出された後、債権者による書面決議が行われ、法定の過半数の債権者が反対すると再生計画案が否決となり、手続きが廃止されてしまいます。

そのため、債権者の顔ぶれ等から過半数の債権者が再生手続きに不同意の意見を出すと予想される場合には、小規模個人再生の手続きを選択してよいのかを慎重に検討する必要があります。

たとえば、定型的に反対をする傾向がある業者が過半数となっている場合や、負債額のうち半分を超える額を個人から借りていて、その人から個人再生の利用について同意を得られていない場合などが挙げられます。

もっとも、多くのケースでは、そもそも債権者が再生計画案に反対することは多くはないことに加え、仮に一部の債権者が反対したとしても法定の過半数に達しなければ手続きを進めることができますので、あらかじめ債権者が再生手続きに反対(不同意)の意見を出さないことが推測され、問題なく小規模個人再生を進められることが多いのが現状です。

個人再生のスケジュール

個人再生のスケジュールは、申立てをする裁判所の運用によって多少異なるため、ここでは再生委員が原則として選任される東京地裁を例に個人再生の手続きの流れをお伝えします。

(1)弁護士への相談・契約

債務整理の中で最も複雑な手続きが個人再生です。手続きを進めるためには多くの法的知識を必要としますので、自分で進めようとせず、弁護士に依頼して手続きを任せることを強くお勧めします。

(2)受任通知の送付と債権の調査

弁護士と契約すれば、直ちに弁護士から受任通知と呼ばれる書面をすべての債権者に発送するのが通常です。受任通知が債権者に届けば、それ以降、消費者金融や銀行などからの取立てはストップします。

その後、債権調査として、債務の内容や借入金額などを調査します。このとき、貸金業者から開示された取引履歴をもとに、法定金利(15~20%)に基づく引き直し計算を行い,過払い金が発生していれば、過払い金請求も行います。

弁護士が債権調査などを行う一方で、依頼者の方には申立てに必要な資料の収集を行っていただく必要があります。

(3)個人再生の申立て

裁判所に個人再生の申立てを行うと、遅くとも1週間程度で個人再生委員が選任されます。

その後、個人再生委員、申立人(債務者)、申立代理人(個人再生を依頼した弁護士)の三者で面談を行います。面談では、借金の内容や理由、返済の見込みなどについて質問を受けることが多いです。必要な資料があれば、追完を求められることもあります。

申立て日からおよそ6ヶ月間、再生委員に指定された口座に1ヶ月分の返済予定額を毎月振り込むことになります。これを「履行可能性テスト」とか「トレーニング期間」などと呼びます。

(4)個人再生の開始決定

申立てから3週間以内に個人再生委員が個人再生を開始すべきかどうかに関する意見書を裁判所に提出します。
その後、裁判所が審査をして問題なければ、申立てから約1ヶ月後に個人再生手続開始決定がされ、裁判所における手続が正式に開始することになります。

(5)債権者から債権の届出がある

裁判所より、「再生手続開始決定」が債権届出書とともに全債権者に送付され、各債権者はそれぞれが主張する債権額を裁判所に届け出ることになります。裁判所へ届け出られた債権は、債権届出書として弁護士のもとへ届きます。

(6)再生計画案の作成と提出

債務者は、債権者から提出された債権届出書に記載された債権額について、認めるかどうかを判断し、債権認否一覧表を裁判所と個人再生委員に提出します。異議がなければそれで債権額が確定しますが、もし債権届出書の債権額に異議があれば異議申立てを行います。

異議申立てがなされると、原則として異議を述べられた債権者が、裁判所に債権の評価申立てをすることができ、裁判所が債権額等を定めます。議決権を持つのは、異議なく確定した債権と、裁判所の評価によって定められた債権を持つ債権者です。

債務者は、上記のようにして債権額が確定された後、法律の規定に従って定められた返済額を、原則として3年(最長5年)で支払うことなどを内容とする再生計画案を作成し、出来上がった再生計画案を裁判所に提出します。

小規模個人再生では、再生計画において、

  1. 法律で定められた最低弁済額
  2. 自己破産した場合に債権者へ配当される金額(これを「清算価値」といいます)

のいずれか多いほうの金額を最低限支払う必要があります。
なお、住宅ローンの残った家を残すために住宅貸金特別条項付の個人再生をする際は、住宅ローン債権者には議決権はなく、住宅ローンが減額されることもありません。

個人再生で住宅ローンを残せるかについて、詳しくはこちらをご覧ください。

民事再生法の住宅資金特別条項でマイホームを残す方法

(7)書面による決議

再生計画案が法律上の要件を充足している場合には、小規模個人再生では、裁判所から各債権者に再生計画案と議決書が郵送され、書面決議が行われます。

(8)再生計画案の認可と確定

書面決議で再生計画案が可決され、さらに法定の不認可事由がなければ、裁判所により再生計画の認可決定が出されます。東京地裁の標準スケジュールでは申立てから再生計画の認可・不認可決定までが6ヶ月間です。

(9)返済の開始

再生計画案で毎月返済するとした場合には、再生計画認可決定が確定した月の翌月から、再生計画で定めた返済計画に沿って、各債権者の指定する口座に毎月入金します。

履行可能性テストのために個人再生委員の指定口座に振り込んでいたお金は、個人再生委員の報酬(東京地裁では15万円)を除き、債務者に返還されることになります。

小規模個人再生の議決権とは?

では、7つめのステップ「書面決議」についてもう少し詳しく解説しましょう。

債務者から再生計画案が提出されると、裁判所は、原則として再生計画案を書面決議に付する決定をし、その旨を公告します。
このとき、裁判所は議決権者に対し、「再生計画案に同意しないのであれば、回答期間内に書面で不同意と回答する」ように求めます。

そうして、再生計画案が可決されるためには、正確には、議決権を持つ債権者の数の2分の1以上の反対がなく、かつ反対した再生債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないことが必要です。

ここで、簡単な事例を想定してみましょう。

個人再生を申立てたAさんの債権者は、X社(借金額500万円)、Y社(借金額200万円)、Z社(借金額30万円)の3社。

このうち、X社、Y社など2社が不同意であれば、再生計画案は否決されます。
全債権額の2分の1を超える金額の債権を有するX社が反対すれば、他2社が不同意でなくても否決されるのに対して、Y社やZ社が1社のみ不同意であっても可決されます。

ローンを支払っている住宅を手元に残したいなど、何らかの理由で個人再生を進めたいものの再生債権者の反対により小規模個人再生を進めることができない場合には、給与所得者等再生を進めることになります。

給与所得者等再生には債権者による決議はなく、意見聴取が行われますが、債権者の反対によって手続きが頓挫することはありません。

しかし、給与所得者等再生は、より返済額が大きくなりうる手続きであるため、小規模個人再生以上に収入の安定性が必要となります。

そのため、給与等の定期的な収入を得る見込みがあり、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる方しか申立てすることができません。

給与所得者等再生では、1.最低弁済額と2.清算価値の他、3.可処分所得(収入から所得税等を控除し、さらに政令で定められた生活費を差し引いた金額)の2年分のうち、最も多い金額を最低限支払う必要があります。

3において差し引かれる生活費は、生活保護世帯の生活必要費を基礎に定められています。そのため、3の金額は1や2を大幅に上回る傾向があり、一般的には小規模個人再生よりも返済額が高額になります。

【まとめ】個人再生をご検討の方はアディーレ法律事務所にご相談ください

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があり、小規模個人再生の場合に債権者による決議が必要となります。書面決議で再生計画案が否決されるケースは多くはないものの、経験の豊富な弁護士に依頼すれば、再生債権者の反対により手続きが頓挫するリスクを予測することができ、個人再生の手続きをスムーズに進められるでしょう。

個人再生をご検討中の方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。