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建設アスベスト給付金┃「建設業」と「アスベスト」の関係について

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kiriu_sakura

「建設業とアスベストってどういう関係にあるの」

かつて、建設業において、大量のアスベストが建材の原料として使用されていました。
1970~1990年にかけて約30万トン前後もの大量のアスベストが日本に輸入されていましたが、このうちの約8割が建材に使用されていたとされます。
アスベストは工業製品としての適格性に大変優れており、建材の原料としても大変重宝されましたが、その反面、人体に対する非常に高い有害性から、現在では建設作業員への被害が問題となっています。

本記事では、

  • アスベストとは?
  • 建設業におけるアスベスト
  • 建設アスベスト被害者による集団訴訟|建設アスベスト訴訟とは?
  • 建設アスベスト給付金とは?

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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アスベストとは?

アスベスト(石綿)とは、繊維状鉱物の総称で、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種に分類されます。

アスベストは、ほぐすと綿のようになり、その繊維は極めて細かく、耐熱性、耐久性、耐摩耗性、耐腐食性、絶縁性等の特性に優れています。このようなアスベストの特性はアスベスト以外の単一の天然鉱物や人工物質にはほとんどみられないことから、「奇跡の鉱物」と呼ばれることもありました。アスベストは工業製品の原材料として優れた適格性を有していると考えられ、建材などの様々な工業製品の原材料に使用されていました。

しかし、アスベストには、人体に対する非常に高い有害性があることが明らかになりました。石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚などの肺の疾病の原因となることが明らかになったのです。そのため、現在では、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。

参考:アスベスト(石綿)とは?|独立行政法人 環境再生保全機構
参考:アスベストQ&A基本的知識|東京都環境局

建設業におけるアスベスト

建設業において、アスベストとはどのようなものだったのでしょうか。

(1)輸入されたアスベストの多くが建材に使用されていた

日本で使用されていたアスベストのほとんどは外国から輸入されたものでした。
特に、1970~1990年にかけては、年間約30万トン前後もの大量のアスベストが外国から輸入されていました。

参考:アスベスト(石綿)はどのくらいの量が使われてきたのか|独立行政法人環境再生保全機構

この大量に輸入されたアスベストのうち約8割が、建材に使用されていたとされます。
次のような建材にアスベストが使用されていました。

  • 吹き付け材
  • 吹き付けロックウール
  • 保温材
  • 内装材(天井、壁、床材)
  • 外装材
  • 摩擦材
  • 円筒 など

参考:石綿(アスベスト)含有建材データベース|国土交通省 経済産業省
参考:2 取り扱っていた石綿製品はありますか?|厚生労働省
参考:アスベスト(石綿)はどのような場所に使用されていたか|独立行政法人環境再生保全機構

(2)アスベストに対する規制

1975年、特定化学物質等障害予防規則(「特化則」といってご説明します)の改正により、5重量%を超えるアスベストの吹き付け作業が原則として禁止される等の措置がなされました。
なお、ここでいう重量%とは、物質100gの中に含まれる特定の物質の割合を示すものであり、1975年の特化則に改正によって、吹き付け材100gあたり5g以上のアスベストを含む吹き付け作業が原則として禁止され、事実上、吹き付け作業はできなくなりました。

そのほかにもこの特化則の改正には、局所排気装置の性能要件の改正、石綿等の作業環境測定記録の保存期間の延長、特殊健康診断の実施等、アスベスト対策の強化が含まれています。

1995年、労働安全衛生法(「安衛法」といってご説明します)施行令、労働安全衛生規則、特化則がそれぞれ改正され、安衛法施行令の改正では、クロシドライト(青石綿)及びアモサイト(茶石綿)の使用等が禁止となりました。
アスベストは6種類に分類され、このクロシドライトとアモサイトは、最も使用割合が高かったクリソタイルに比べ、発がん性が高いものでした。

労働安全衛生規則の改正では、吹付石綿除去作業の事前届出等が定められ、特化則の改正では、1重量%を超えるアスベストの吹き付け作業が原則として禁止されたほか、吹き付けられた石綿の除去作業における作業場所の隔離や呼吸用保護具・保護衣の着用が義務付けられる等、アスベスト(石綿)対策のさらなる強化が図られています。

2004年の安衛法施行令の改正では、1重量%を超えるアスベスト含有建材、摩擦材、接着剤等の10品目の製造、使用等の禁止がなされ、2006年の安衛法施行令の改正では、0.1重量%を超えるアスベスト含有製品の全面禁止がなされ、アスベスト規制が大幅に強化されています(一部の製品については猶予措置がとられていましたが、2012年に猶予措置は終了しています)。

1975年特化則改正5重量%を超えるアスベストの吹き付け作業が原則として禁止される
1995年安衛法施行令、労働安全衛生規則、特化則改正クロシドライト(青石綿)及びアモサイト(茶石綿)の使用等が禁止される
2004年安衛法施行令改正1重量%を超えるアスベスト含有建材、摩擦材、接着剤等の10品目の製造、使用等の禁止
2006年安衛法施行令改正0.1重量%を超えるアスベスト含有製品の全面禁止(当初は一部猶予措置があったものの、2012年に猶予措置終了)

参考:アスベスト全面禁止|厚生労働省
参考:アスベスト含有製品の輸入禁止について|厚生労働省

(3)多数の建設作業員がアスベストばく露作業に従事していた

厚生労働省により、『石綿ばく露作業による労災認定事業場一覧表』が公表されています。
この一覧表によれば、1万2440の事業場で石綿ばく露作業による労災が認定されており、その半数を超える7540事業場が建設業の事業場です。
このことから、多数の建設作業員がアスベストばく露作業に従事していたものと考えられます。
また、2020年度のアスベスト関連疾患による労災認定件数1059件のうち、建設業が589件を占めており、職業性ばく露によってアスベスト関連疾患を発症した方々の多くが、建設業に従事していた方々であることが分かります。

なお、アスベストを原因とする疾病は、アスベストにばく露してすぐに発症するというものではなく、数十年という長い潜伏期間を経てから発症するのが通常です。そのため、現在は症状がなくても、過去にアスベストばく露作業に従事したことがあるのであれば、注意が必要となります。

例えば、中皮腫の場合、潜伏期間は20~50年程度といわれており、1995年では全国の中皮腫での死亡者は500人であったのに対して、2007年には1068人、2020年には最高値である1605人を記録しており、年々増加傾向にあります。

参考:石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表(令和元年度以前認定分)|厚生労働省
参考:都道府県(特別区-指定都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~令和2年)|厚生労働省

建設アスベスト被害者による集団訴訟|建設アスベスト訴訟とは?

建設現場では、長い間、アスベスト含有建材が用いられていましたが、建材メーカーはその有害性について十分な警告をせず、アスベスト含有建材を製造・販売して利益を上げ続け、国も十分な規制を課しませんでした。
このような国と建材メーカーの責任を問うため、2008年に東京地裁で建設アスベスト被害者らが集団訴訟を提起し、これを皮切りに、横浜、京都、大阪、福岡、札幌、さいたま、仙台の各地の地方裁判所で同様の裁判が起こされました。

2012年5月25日の横浜地裁判決では、国の責任が否定されたのですが、その後の裁判では、責任期間や賠償額等について差はあるものの、全ての判決で国の責任を認められました。
建材メーカーの責任については、2016年1月29日の京都地裁判決ではじめて認められました。

その後、札幌地裁判決、東京高裁判決では建材メーカーの責任が否定されたものの、平成28年1月29日京都地裁判決、平成29年10月24日横浜地裁判決、平成29年10月27日東京高裁判決、平成30年8月31日大阪高裁判決、平成30年9月20日大阪高裁判決、令和元年11月11日福岡高裁判決、令和2年8月28日東京高裁判決、令和2年9月4日東京地裁判決の8つの判決で、建材メーカーの責任を認められました。

そして、最高裁判所は、2021年5月17日、建設型アスベスト訴訟について、国及び建材メーカーの責任を認める判決を下しました(「建設アスベスト訴訟最高裁判決」といってご説明します)。

建設アスベスト訴訟最高裁判決について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

【弁護士が解説】建設アスベスト 国と企業の責任認める 最高裁が初判決

参考:最高裁判決裁判所第一小法廷判決 令和3年5月17日(第1447号,第1448号,第1449号,第1451号,第1452号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判決裁判所第一小法廷判決 令和3年5月17日(第491号,第495号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判決裁判所第一小法廷判決 令和3年5月17日(第596号)|裁判所 – Courts in Japan
参考:最高裁判決裁判所第一小法廷判決 令和3年5月17日(第290号,第291号,第292号)|裁判所 – Courts in Japan

建設アスベスト給付金とは?

建設アスベスト訴訟最高裁判決を受けて、建設アスベスト給付金制度が創設されました。
この制度は、『特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律(「給付金法」といってご説明します)』に基づき、建設業務に従事したことによってアスベスト関連疾病にかかった方に対して、訴訟手続によらずに、最大1300万円の給付金を支給するというものです。

これまで、建設業務に従事したことによるアスベスト被害に対する損害の填補を受けるためには、国や建材メーカーを被告として裁判を起こす必要がありましたが、建設アスベスト給付金制度の創設によって、国が負うべき責任との関係では、裁判を起こすことなく、金銭的な救済が図られることになります。

もっとも、建材メーカーが負うべき責任との関係では、建設アスベスト給付金制度のような特別の制度は創設されていないため、今後も損害賠償請求訴訟を提起することが必要となっています。

過去にアスベストばく露作業に従事していたことがある方またはそのご遺族は、給付金の対象となる可能性がありますので、給付金法の内容を必ずチェックしておきましょう。
建設アスベスト給付金について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

建設アスベスト被害者に対する給付金に関する法律が参院本会議で可決

参考:建設アスベスト給付金制度について|厚生労働省

【まとめ】建設現場では多くのアスベスト含有建材が使われていた

本記事をまとめると次のようになります。

  • 日本で使用されていたアスベストのほとんどは輸入アスベストであり、1970~1990年にかけて、年間約30万トン前後もの大量のアスベストが外国から輸入されていた
  • 輸入されたアスベストのうち約8割が、建材に使用されていた
  • 多数の建設作業員がアスベストばく露作業に従事していたものと考えられる
  • 2021年5月17日、最高裁判所が、建設型アスベスト訴訟について、国及び建材メーカーの責任を認める判決を下した
  • 建設アスベスト訴訟最高裁判決を受けて、建設アスベスト給付金制度の創設により、国が負う責任との関係では、損害賠償請求訴訟を提起することなく、金銭的な救済が図られることとなった

アディーレ法律事務所では、建設アスベスト給付金の手続きに関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した賠償金や給付金からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年3月時点

現在、アディーレ法律事務所では、アスベスト被害についてのご相談をお待ちしております。
アスベスト被害にあわれた方およびそのご遺族は、アディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。

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