お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

借金トラブルでペットは差し押さえられる?手放さないための対処法を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

「借金を滞納したら、ペットを差し押さえられてしまう?」

新型コロナウィルスでステイホームを推奨されたこともあって、2020年中には新しく犬や猫を飼い始める人が増加しました。ペットロス(症候群)という言葉もあるように、ペットを大切な家族の一員であると考える人は多くいますし、ペットにとっても大切にしてくれる家族とともに生涯を終えるのが幸せなことでしょう。

では、借金トラブルによってペットを失うことがあるのでしょうか。

結論から言いますと、借金トラブルでペットが差し押さえられてしまうケースは非常に少ないです。借金トラブルで差押えのターゲットとなるのは、主に「給与」や「預貯金」です。

買い手が見つかるまでの餌代や世話などが必要となるペットよりも、給与や預貯金といったお金を差し押さえてしまう方が、コストパフォーマンスがいいからです。

ですが、たとえペットが差し押さえられなくても、給与や預貯金を差し押さえられてしまえば、家計が苦しくなり、結局ペットを手放さざるを得なくなるおそれもあります。

差押えリスクを下げるためには、早めの「債務整理」(支払いの負担を軽減するための方法)がおすすめです。

この記事では、次のことについて、弁護士が解説します。

  • ペットローンを利用するときの注意点
  • ペットローンや借金の返済が大変なときの対処法や注意点
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

債務整理に関するご相談は何度でも無料

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意

国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応

ペットは1つの大切な命

ペットは、現在の民法では、家具やアクセサリーなどと同様、「物」として扱われます。しかし、家具やアクセサリーなど一般的な「物」と異なり、ペットには命があります。購入して終わりではなく、日々餌代がかかり、病気をすれば治療費が必要となります。

また、暑さや寒さに弱い種類のペットであれば、光熱費も高くなります。犬の場合には、毎年のワクチン接種費用もかかります。

さらに、ペットと長く過ごせば過ごすほど、病気や介護の費用も高くなる可能性があります。ペットの種類にもよりますが、1年間で数十万円かかることも少なくないのです。

後先を考えずに、ペットショップで一目ぼれしたなどの理由でペットを飼ってしまうと、思わぬ場面でお金が足りなくなり、自分もペットも生活できなくなってしまうおそれがあります。

ペットローンを利用するときにはきちんと返せるかをよく考えよう!

ペットショップでは、1匹数十万円するものが販売されていることも珍しくありません。購入費用を一括で支払えない場合に、ペットショップが提携している信販会社などでペットローンを組むことがあります。

月々1万円、2万円であれば無理なく支払っていけると考えるかもしれません。しかし、それはあくまでもペットの購入代金であって、ペットを飼うには購入代金のほかに餌代など日常的に必要となるお金があります

ペットローンを利用するかどうかにかかわらず、ペットを飼うときには、餌代などで毎月どれくらいかかるかを調べたうえで、経済的にペットを飼う余裕があるかを慎重に検討する必要があります。

そして、特にペットローンを利用するときには、毎月の餌代などに加えてローンを支払っても家計をやり繰りできるのかを、より慎重に判断する必要があります。

ペットローンを滞納するとペットを没収される?

ペットは民法上は「物」という扱いですので、「所有者」がいます。

所有者は、飼い主(占有者)とは必ずしも一致せず、ペットローンを利用したときには、「完済までローン会社などが所有者である」とされることが多くあります。このような契約を「所有権留保(しょゆうけんりゅうほ)」といいます。

自動車ローンを組むときに、ローンを完済するまでディーラーや信販会社など債権者に所有権が留保されることがあります。所有権留保をしておくと自動車ローンの支払いが滞ったときに、債権者は自動車を売却して、その売却代金をローンの返済に充てられるのです。
そうなると、自動車は新たな購入者の手元に渡るため、最初の購入者は自動車を失います。

これに対して、ペットローンで所有権留保がされた場合、ローンの支払いが遅れたとしても、ローン会社がペットを第三者に売却するケースは多くありません

鑑賞用の錦鯉や熱帯魚、イグアナなどの希少動物のように高額で売却可能なペットを除き、ある程度成長したペットを売却しようとしても思うように買い手が見つからないケースのほうが多いです。そのため、買い手がつくまでローン会社側でペットを育てるにもお金がかかることを踏まえると、売却しようとするとかえって経済的に損することとなるリスクが大きいのです。

そのため、ペットローンで滞納してもペットを没収される可能性は高くはありません。

ペットローンや借金の返済が大変なとき、どうすればいい?

ペットを没収されてしまう可能性は決して高くはありません。

しかし、ローン会社などの債権者が、お金の回収を完全に諦めるとは限りません。ペットローンにせよ借金にせよ、滞納していれば債権者から財産を差し押さえられてしまうおそれがあります。そして、差押えのターゲットとなりやすいのは、給与や預貯金です。

(1)「給与」や「預貯金」への差押えリスク

先ほどもご説明したように、ペットを飼い主から没収しても、ローン会社などの債権者がお金を回収できずに終わるケースが多いです。一方、給与や預貯金を差し押さえてしまえば、債権者は確実にお金を回収することができます。

そのため、ペットローンや借金を滞納していると、給与や預貯金を差し押さえられてしまうおそれがあるのです。

例えばペットローンであれば、月々の支払いはせいぜい数万円程度であることが多いです。このペットローンすら支払えない状況で給与差押えに至れば、一層家計が苦しくなってしまいます(例えば手取り月収が24万円の人が給与差押えを受けると、手取りは18万円になってしまいます)。

給与や預貯金への差押えの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。

もし給料や預金が差し押さえられたら…差押えはいつまで続く?

(2)差押えのリスクを軽減するための、3つの対処法

しかし、「支払いが大変……。」と思った段階ですぐに行動すれば、こうした差押えのリスクを下げつつ、支払いの負担も軽減できる可能性があります。

主な対処法は、次の3つです(債務整理)。

  • 任意整理:毎月の支払額や総支払額の減額などを目指して、個々の債権者と交渉する手続き
  • 個人再生:裁判所から認可を得て、基本的に大幅に減額された額を原則3年間で分割払いしていく手続き
  • 自己破産:原則全ての支払義務を、裁判所から免除してもらうことを目指す手続き

※どの手続きであっても、税金など一部の支払義務は減らしたり無くしたりできません。

「任意整理」と「個人再生」であれば、きちんと支払い続けられていれば、ペットや財産を没収されてしまうことは基本的にありません。

一方、自己破産の場合、手続きが無事終われば原則全ての支払義務がなくなる代わりに、一定の価値がある財産については手放さなければならない可能性があります。そのため、法律上は「物」扱いされてしまうペットも、破産についての法律を厳密に適用すれば、手放さなければならないおそれが出てくるのです。

それでは、自己破産の手続きをする場合に、ペットとの関係で押さえておきたい4つの注意点をご説明します。

ペットの飼い主が自己破産する場合の4つの注意点

ペットの飼い主が自己破産する場合の4つの注意点をお伝えします。

(1)ペットに関する情報も嘘偽りなく報告!

自己破産の手続きをするには、申立書や必要な添付資料を裁判所に提出します。申立書や添付資料に記載された次のような情報から、裁判所は破産者(裁判所に自己破産の申立てをして、「破産手続開始決定」が出た人)がペットを飼っていることを把握します。

  • 家計表にペットの餌代やトリミング代などペットに関する費用があらわれる
  • 破産者名義でペット保険に加入している
  • 通帳にペット保険会社などペットに関する会社の入出金があらわれる
  • 申立書の「過去5年以内の20万円以上の購入物」欄にペットの記載がある
  • ペットの購入代金や維持費が借金を増額した理由になっている

ペットへの高額な支出が浪費と判断されるような場合に新たにペットを飼わないように指導することはあっても、個人が家族の一員としてペットを飼っている場合に、裁判所がペットを手放すように働きかけることはほとんどないと考えられます。裁判所や弁護士には、ありのままの状況を素直に伝えるようにしてください。

(2)持ち家でペットを飼っている場合にはペット可のマンションを探しましょう!

持ち家でペットを飼っている場合、持ち家を失うと、ペットを飼える環境まで失いかねません。もっとも、自己破産の手続きではペットを飼っているからといって優遇されることはなく、不動産を所有している場合には、基本的にその不動産を手放さざるを得ません。

今の持ち家に住み続けられなくなった場合、今後もペットと暮らしていくためには、ペット可の賃貸物件などを探す必要があります。

自己破産の手続き後も持ち家に住み続けるための方法について、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

自己破産したら持ち家は失う?今の家を残す方法を弁護士が解説

(3)ペットの価格が20万円を超えると別途お金が必要?

所有するペットの市場価格が20万円を超えるなど高額である場合には、自由財産であると判断されない可能性があります。そうなると、原則として、破産管財人はペットを売却してお金に換える必要があります。

破産管財人とは、裁判所から選任されて、財産の調査・配当や、借金の膨らんだ経緯の調査などをする人です。

そのような場合には、自己破産を依頼した弁護士を通じて自由財産を拡張する手続きを行ったり、破産管財人に売却価格に相当するお金を支払う代わりにペットを返してもらったりすることなどが考えられます。

もっとも、成犬や成猫などは、市場価値がつかないことが多く、個人が犬や猫をペットとして飼っているケースで、実際にそのような手続きをしたという話は聞いたことがありません。

ペットと異なり、家畜であれば差押禁止動産に該当することがあります(民事執行法131条4号)。この場合には、その価格に関係なく、手元に残すことができます。

(4)ペットを無料で誰かに引き取ってもらう場合には要注意!

ペットが「物」として扱われる以上、その取扱いには破産手続においても注意しなければなりません。自己破産の手続きにあたって、財産を無料で第三者に渡すなどしないようにしなければなりません。

「原則全ての支払義務が免除になる代わりに、できるだけ債権者に配当を行う」というのが自己破産の大前提です。

そのため、財産を無料で第三者に渡してしまうと、「代金をきちんと受け取って、債権者に配当すべきだったのではないか?」と問題視されてしまうおそれがあるのです。

たとえば、車の所有者名義を無料で自分の配偶者に変更すると、破産手続上問題になる場合があります。これと同様、ペットを無料で引き取ってもらうと、別途問題が生じかねません。

もっとも、自己破産するほど自身の生活が経済的に悪化している中、ペットを手放さざるを得ない状況もあるでしょう。ペットとしても、保健所に連れて行かれるよりきちんとした里親に引き取ってもらえるほうが幸せなはずです。

自己破産するにあたってペットを手放さざるを得ない場合には、事前に弁護士に相談しましょう。特に、高額で売却可能なペットの場合には問題視される可能性があります。

【まとめ】借金トラブルでペットが差し押さえられてしまうケースは非常に少ない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • ペットにも命がある。ペットを飼いたいときは、自分の家計の状況で本当に無理なく飼えるのか慎重に検討する必要がある。
  • ペットローンを組みたいときは、「餌代など+ローン」を毎月支払えるのかを考える。
  • ペットローンや借金を滞納しても、ペットが差し押さえられてしまうことは稀。むしろ、給与や預貯金の方が差押えのターゲットになりやすい。

    →差押えリスクを下げるためには、早めに債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を検討することがおすすめ。
  • 任意整理や個人再生で支払えていれば、ペットや財産の差押えは基本的に回避可能。
  • ペットを飼っている人が自己破産をするときの注意点は主に次の4つ。
    1. ペットに関する情報も嘘偽りなく報告する
    2. 持ち家でペットを飼っている場合にはペット可のマンションを探す
    3. ペットの価格が20万円を超えると別途お金がかかる可能性がある
    4. ペットを誰かに引き取ってもらう場合には、価格などに注意する

ペットローンを滞納したときや自己破産をするときでも、ペットを差し押さえられ、手放さざるを得ないケースはあまり多くありません。しかし、自己破産などで持ち家を失うことになったときに、ペットを飼えなくなることは十分に考えられます。また、給料を差し押さえられた結果、ペットを飼う余裕がなくなることもあるでしょう。

大切なペットを手放したくないのであれば、早期に弁護士に債務整理を依頼することでペットを手放さなくて済むこともあるかもしれません。

借金は、そのまま抱え込んでいても利息や遅延損害金で膨らむばかりです。これからもペットと共に生活するために、一人で悩まず、まずは相談だけでもしてみませんか?

アディーレ法律事務所では、債務整理についてのご相談を承っております。

また、アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております(2022年11月時点)。

ペットローンや借金についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。