「長年B型肝炎にかかっている。給付金がもらえるという話を聞いたことがあるんだけれど、私も給付金の対象なのかな?」
B型肝炎給付金とは、幼少期の集団予防接種等が原因で、B型肝炎ウイルスに持続感染した方、または、そのご遺族に対して、国が50万~3600万円の給付金を支給するというものです。
あなたや、あなたのご家族も給付金の対象かもしれません。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- B型肝炎給付金制度の概要
- B型肝炎給付金の対象者
- B型肝炎給付金の給付内容
ここを押さえればOK!
この制度は、1948年から1988年までの間、国が集団予防接種で注射器の交換を指導しなかった結果、多くの人がB型肝炎ウイルスに感染したことに基づいています。2011年に「基本合意書」が成立し、和解条件や支払金額が定められ、その後、関連法が施行されました。
対象者は、集団予防接種で感染した一次感染者、その親から感染した二次感染者、その祖母から感染した親からさらに感染した三次感染者、およびその相続人です。
受給条件は、一次感染者の場合、1941年から1988年に生まれ、満7歳までに集団予防接種を受け、持続感染していることです。二次感染者は親が一次感染者の要件を満たし、本人が持続感染していること、母子または父子感染であることが必要です。三次感染者も同様に親が二次感染者の要件を満たし、本人が持続感染していることが条件です。
給付金の額は50万から3600万円で、症状によって異なります。請求には期間制限があり、一定期間を過ぎると給付金額が大幅に減少します。
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香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。
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B型肝炎給付金とは
B型肝炎給付金とは、B型肝炎ウイルス感染者のうち、所定の要件を満たす方がもらえる給付金です。
まずは、B型肝炎給付金がどのようなものかについて説明します。
(1)B型肝炎給付金って何?
B型肝炎給付金は、集団予防接種等でB型肝炎に持続感染した方やその相続人が、国からもらえる給付金です。
B型肝炎給付金を受給するためには、国を相手に訴訟提起(B型肝炎訴訟)をして和解し、さらに、社会保険診療保障支払基金に対し、給付金の支給の請求をする必要があります。
現在のところ、訴訟提起しなければならない期限は2027年3月末までとなっています。
この集団予防接種等により推計40万人以上の人が、B型肝炎に感染したといわれていますが、国がB型肝炎訴訟で和解したのは、12万541人しかいません(2024年1月31日時点)。これは、給付金を受け取れるのに、実際には受け取っていない方がまだ大勢いらっしゃることを示しています。
参考:B型肝炎訴訟|法務省
(2)給付金制度が成立するまでの経緯と現在
国が1948年7月1日から1988年1月27日までの間に、集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査をいいます。以下同じ)の際に注射器の交換をするよう指導しませんでした。
そのため、幼少期に集団予防接種等を受けて、推計40万人以上の方がB型肝炎ウイルスに持続感染してしまいました。
次の年表は、B型肝炎給付金の制度が成立するまでの経緯をまとめたものです。
年月日 | 出来事 | 内容 |
2011年6月 | 「基本合意書」の成立 | B型肝炎訴訟について和解要件や支払われる金額などが合意された |
2012年1月13日 | 「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行 | 基本合意書に基づいて和解をした人に対して、給付金等を支給することを定めた法律の施行 |
2015年3月27日 | 「基本合意書(その2)」が成立 | 死亡や発症後、訴訟提起するまでに20年の期間制限を経過した人に対しても一定の金額を払うことが合意された |
2016年8月1日 | 「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行 | 「基本合意書(その2)」が成立したことを受けて、法律が改正・施行された |
B型肝炎給付金の対象者とは
B型肝炎給付金の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる方です。
- 集団予防接種等の際注射器の連続使用でB型肝炎ウイルスに感染した方(一次感染者)
- 一次感染者である親から、B型肝炎ウイルスがうつった方(二次感染者)
- 一次感染した祖母から、親にB型肝炎ウイルスがうつり(二次感染)、その親からさらにB型肝炎ウイルスがうつった方(三次感染者)
- 上記感染者の相続人の方
B型肝炎給付金を受け取るための条件とは
B型肝炎給付金の受給条件を、受給対象ごとに解説します。
(1)一次感染者
次の条件をすべて満たしている必要があります。
- 1941年7月2日から1988年1月27日までに生まれていること
- 満7歳の誕生日前日までに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていること
- B型肝炎ウイルスに持続感染していること
※HBs抗原、HBV-DNA、HBe抗原、HBc抗体などの検査結果や医学的知見を踏まえて持続感染しているか判断されます。 - 母子感染、輸血による感染など、集団予防接種等以外の感染原因がないこと
(2)二次感染者
- 親が一次感染者の要件を全て満たすこと
- 本人(上記親の子)がB型肝炎に持続感染していること
- 母子感染又は父子感染であること
※母子感染の場合、妊娠中または出産の際にB型肝炎ウイルスがうつることを念頭におかれています。
なお、1986年以降は、母子感染を防止する措置が徹底されています。しかし、確率は低いながらも、1986年以降の妊娠または出産でも母子感染している事例はあります。
※父子感染の場合は、唾液などを介して父親から子にB型肝炎ウイルスがうつることを想定しています。
(3)三次感染者
- 本人の母親か父親が祖母から母子感染し、母親と父親が二次感染者の要件をすべて満たしていること
- 本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 二次感染者(親)から三次感染者(子)への感染原因が母子感染または父子感染であること
給付金の金額一覧
B型肝炎給付金の額は50万~3600万円ですが、症状により、もらえる給付金の額が異なります。
ここで、期間制限に注意が必要です。
期間制限とは、「一定の期間を経過すると法的な請求権が消滅する」というものです。
B型肝炎給付の場合、期間制限が経過した後に請求しても、B型肝炎給付金はもらえるものの、期間制限経過前の給付金を大幅に下回る金額となります。
期間制限の起算点は次の通りです。この起算点から20年経過すると期間制限が経過し、B型肝炎給付金の額が減ってしまいます。
- 無症候性キャリア(無症状)の場合:集団予防接種等を受けた日(二次感染者、三次感染者については生まれた日等)
- 慢性肝炎など特定の症状を発症した場合:その症状が発症した日
- 亡くなった場合:亡くなった日
【給付金の額一覧】
症状 | 給付金 (期間制限経過前) |
給付金 (期間制限経過後) |
---|---|---|
死亡・肝がん、 肝硬変(重度) |
3600万円 | 900万円 |
肝硬変(軽度) | 2500万円 | (1)現に治療を受けている方等 →600万円 (2)上記以外 →300万円 |
慢性肝炎 | 1250万円 | (1)現に治療を受けている方等 →300万円 (2)上記以外 →150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 | 50万円 +定期検査費の支給等 |
【まとめ】B型肝炎給付金を受給するには所定の要件を満たすことが必要
この記事をまとめると次のようになります。
- B型肝炎給付金とは、B型肝炎ウイルス感染者のうち、所定の要件を満たす方が受給することができる給付金(要件については、本文を参照)
- 給付金額は、50万~3600万円
- 20年の期間制限を経過してしまうと、受給金額が減ってしまうので注意が必要
国が給付金制度を設けているのに、気づかないで受け取ることができない方がいるとしたら大変残念なことです。長年B型肝炎にかかっている方や、B型肝炎で亡くなられた方のご遺族である方などは、もしかしたら気づいていないだけで、B型肝炎給付金の対象である可能性があります。
アディーレ法律事務所はB型肝炎訴訟の資料収集の代行(※)から、B型肝炎訴訟、同給付金の申請まで全て代わりに行います。
(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。
また、アディーレ法律事務所では、B型肝炎訴訟・給付金請求に関し、着手金、相談料はいただいておらず、原則として報酬は給付金受け取り後の後払いとなっております。
なお、B型肝炎給付金の支給が決定すれば、和解協議にあたり、弁護士等に報酬を支払った方に対して、各給付金額の4%の額が訴訟手当金として国から給付されます。
※以上につき、2024年8月時点
アディーレ法律事務所では、B型肝炎に悩まれている方を一人でも多く救いたいという思いから、B型肝炎給付金の受給をお考えの方のご相談を心からお待ちしております。
B型肝炎訴訟・給付金請求に関しては、B型肝炎訴訟・給付金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。