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借金を残したまま死んだらどうなる?死ぬ前にとっておくべき対応などを解説

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自分の死後、遺された家族に迷惑をかけないように「終活」を行う人が増えてきています。
遺言書やエンディングノートの作成、遺品の整理など何を行うかは人それぞれです。
もし借金があるのであれば、それを綺麗にしておくのがいいでしょう。
今回は、「借主が死んだら借金がどうなるのか」を弁護士が解説します。

借金をしている人が死んだらどうなる?

私たちは、さまざまな財産を持っています。現金、預貯金、自動車、不動産、株―――。
これらの財産は、所有者が死ぬとその相続人に受け継がれることになります。

皆さんも、周囲で次のような事例をみたことがありませんか。

  • 親名義で所有していた家に親の死後もその子どもが住み続けている
  • 自分の生活費として使うため、親の預金を引き出した
  • 親名義の自動車を売却して得た代金を子どもが受け取った

これらは親の死後、親の財産が子どもに受け継がれているためにできることです。

相続に関して規定した民法896条には、次のように規定されています。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

引用:民法896条

「一切の権利義務」とあるように、現金、預貯金、自動車、不動産、株といったプラスの財産だけでなく、借金を支払う義務も相続によって受け継がれることになります。

では、誰が財産を受け継ぐのでしょうか。民法900条では次のように規定されています。

家族構成相続分
子及び配偶者
(例:妻・子が遺された)
子 2分の1
配偶者 2分の1
配偶者及び直系尊属
(例:妻・母が遺された。子どもなし)
配偶者 3分の2
直系尊属 3分の1
配偶者及び兄弟姉妹
(例:妻、弟が遺された)
配偶者 4分の3
兄弟姉妹 4分の1
複数名の子、直系尊属又は兄弟姉妹
(例:子どもが2人遺された)
それぞれの相続分は等しい

遺言書がある場合には、その遺言書の内容が優先されるため、この限りではありません。

子どもが親よりも先に死んでいた場合には、祖父母の財産が孫へと受け継がれます。
これを「代襲(だいしゅう)相続」といいます(民法887条2項)。

借金をしている人が死んだら遺族はどうすればいい?

借金をしている人が死んだら、遺された遺族(相続人)は借金を支払うか返済義務を免れるかを選ぶことになります。借金の額にもよるでしょうが、その方法をお伝えします。どちらかを選んだなら撤回することができない(民法919条1項)ので、注意してください。

(1)借金を返済することを選ぶ

借金を返済する方法には、全額借金を支払う方法(単純承認)とプラスの財産の限度で借金を支払う方法(限定承認)があります。

(1-1)全額借金を支払う(単純承認)

借金を全額返済することを選ぶ場合には、特段手続きは必要ありません。
相続放棄や限定承認をしなければ、自動的に「単純承認」をしたことになります。
ただし、この場合には借金を全額受け継ぐことになるので注意してください(民法920条)。

借金を支払うつもりがなくても、単純承認をしたとみなされる行為があります(民法921条)。これを「法定単純承認」といいます。

  1. 亡くなった人(被相続人)名義の預貯金の解約・払戻しをし、消費する
  2. 被相続人名義の不動産や自動車の名義変更
  3. 被相続人名義の不動産の賃貸料の振込先を自分の口座に変更
  4. 被相続人名義の家屋の取り壊し
  5. 生前被相続人が行った贈与契約に基づき、その不動産の登記を第三者に移転する

これらは法定単純承認の一例にすぎません。多額の借金が遺され借金を支払いたくないのであれば相続財産に手を付けないようにしましょう。何らかの処分をする必要がある場合には、あらかじめ弁護士に相談することをおすすめします。

(1-2)プラスの財産の限度で借金を支払う(限定承認)

借金を全額支払わずに、プラスの財産の限度で支払うことを「限定承認」といいます。
限定承認をするには、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続人全員が共同して裁判所に限定承認を申述します(民法923条、924条、915条1項)。ただし、相続財産の調査に時間を要するなどの場合には、3ヶ月の熟慮期間を延長することができます。

2021年1月現在、たとえば、新型コロナウィルスの影響によって熟慮期間内に相続の承認又は放棄をすることができない方も、熟慮期間を延長申請できるようになっています。なお、申請は、必要書類を郵送することによってもできます。

2019年度の限定承認の受理件数は、わずか728件でした。これは相続放棄の受理件数23万6565件の3%にすぎないので、どれだけ少ないかがわかるでしょう。相続放棄ではなく限定承認をすべき事案がそもそも多くないでしょうし、相続人全員で協力しなければならないのが煩雑なのでしょう。加えて、書類を提出すれば足りる相続放棄と異なり、相続財産を管理する必要があるので手続きが煩雑です。借金を受け継いでも残したい一定の財産があるなどの場合に採られる例外的な手続きと位置付けられます。

参照:相続の限定承認の申述|裁判所- Courts in Japan
参照:相続の承認又は放棄の期間の伸長|裁判所- Courts in Japan
参照:3 家事審判事件の受理,既済,未済手続別事件別件数 全家庭裁判所|裁判所- Courts in Japan

(2)返済義務を免れることを選ぶ(相続放棄)

返済義務を免れるためには、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に「相続放棄」を行います(民法938条、915条1項)。借金だけが遺された場合には、相続放棄をするのが一般的でしょう。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)ため、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も相続しないことになります。

相続放棄をしたとしても、借金を借りる時に保証人になっている場合には、返済を免れることができないので、注意してください。

相続を放棄するための手続きとその期間

相続を放棄するためには、裁判所に相続放棄の申述書等を提出します。
相続放棄にあたって、必要となる主な書類や手数料は以下のとおりです。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分(申述人1人につき)
  • 連絡用の郵便切手

相続放棄をする人の立場に応じて他にも必要な書類があるので、詳しくは被相続人が最期に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に尋ねてみてください。

相続放棄をした後、被相続人にお金を貸したと主張する人に対して、相続放棄が受理されたことを示す証明書を提示すれば、トラブルにならずに返済を免れられるはずです。相続放棄が受理されたことを示す証明書は、1通150円で、相続放棄をした家庭裁判所で発行してもらえます。ただし、遺族が保証人になっている場合等例外的に返済しなければならない場合もあるので、注意してください。

原則として、限定承認と同様、被相続人が死亡したこと及び自分が相続人であることを知った時から3ヶ月以内に行います。もし3ヶ月以内に、手続きを取らなかった場合は、単純承認をしたものとみなされることになるので、注意してください。

被相続人から借金を打ち明けられていなかった場合には、被相続人が死亡して数ヶ月が経過してから借金の存在を知ることもあるでしょう。例外的に、相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるときには、3ヶ月を超えても相続放棄や限定承認を行うことができます。後々借金の存在を知った場合にも、どのような経緯で借金を知ったのか、あるいは逆に知ることができなかったのかを弁護士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。

相続放棄をしても代襲相続は起こらないため、たとえば祖父母の財産が孫に受け継がれることはありません。

参照:相続の放棄の申述|裁判所 – Courts in Japan

住宅ローンを支払っている人が死んだらどうなる?

住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的です。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が返済途中に死亡した場合あるいは高度の障害を患った場合、残りのローンを保険で支払い、相続人には受け継がれないというものです。そのため、残りのローンを支払わなくても、遺族はその住宅に住み続けることができます。
残りのローンは保険によって支払われるため、その住宅は相続人の所有物となります。

住宅ローンもマイナスの財産であるため、相続の対象に含まれますが、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険への加入が必須となっており、住宅ローンの債務者が死亡するなどした場合には保険金で住宅ローンが返済されますので、実際に単純承認や限定承認が問題になることはあまりありません。
一般的に、住宅ローンを組む際にしか団体信用生命保険に加入することができないので、注意してください。「がん・脳血管疾患・心疾患」の三大疾病になった場合や「高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵(すい)炎」を加えた八大疾病になった場合にも住宅ローンの支払いが免除される特約が用意されているので、状況に応じて加入を検討しましょう。保険料や契約内容は、保険会社によって異なるため、加入前に不明点を解消しておくことをおすすめします。

参照:機構団体信用生命保険特約制度のご案内|住宅金融支援機構

借金をしている人は死ぬ前に債務整理を検討することも大切

借金をしているならば、「自分の死後に相続放棄してもらえればいい」と安易に考えずに、死ぬ前に債務整理を検討してみてはいかがでしょうか。債務整理をした後、借金をせずに年金で暮らすことができれば、わずかであっても財産を遺せる可能性があります。
相続財産を遺すことができなかったとしても、遺族にかける負担は軽減されるはずです。

【まとめ】借金でお悩みの方はアディーレ法律事務所へ

借金をしている人が死ぬと、その借金も相続の対象となります。相続人としては、その借金を全額または一部支払うのか、あるいは借金の返済義務を免れるのかを原則として3ヶ月以内に判断しなければなりません。相続人が複数名いる場合には、他の相続人とどうするかを話し合ったほうがいいでしょう。
借金の問題でお困りならば、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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