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【借金・未払賃金・交通事故】遅延利息とは?発生条件と対処法を解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「支払が遅れると、その分『遅延損害金(遅延利息)』が発生すると聞いたけれど、遅延損害金(遅延利息)ってどんな時に、いつから、いくら発生するもの?」

実は、遅延損害金(遅延利息)は、日常生活のいろいろな場面で発生する可能性があります。遅延損害金(遅延利息)は、通常の利息と異なり、当事者が支払うという約束をしていなくても、時期がくれば当然に発生するものなのです。

お金を支払うべき立場の人であれば、遅延損害金(遅延利息)の上乗せで損することもあるでしょうし、逆に、受け取る立場の人は、受け取れる日は遅くなったものの金額が増えて多少の埋め合わせになることもあるでしょう。

この記事では、遅延損害金(遅延利息)について弁護士が解説します。

この記事を読んでわかること
  • 遅延損害金(遅延利息)の発生条件
  • 【借金】の返済が遅れた時の遅延損害金(遅延利息)
  • 【未払になっている賃金】を受け取る時の遅延損害金(遅延利息)
  • 【交通事故】の被害に遭った時に請求できる遅延損害金(遅延利息) など
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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遅延損害金(遅延利息)とは?

遅延損害金(遅延利息)とは、お金を支払う債務について、支払わないまま支払うべき日を過ぎてしまった場合に、遅れた日数分発生するものです。

支払期日を過ぎてしまった時のペナルティーですね。

「遅延利息」という言い方をされることもありますが、法律的には「遅延損害金」と言います。
遅延「利息」とは言っても、通常の利息とは別物です。

借金で言えば、契約から返済日までに発生するのが『利息』、返済日を過ぎて支払わなかったペナルティーとして、返済日の翌日から実際に返済した日まで発生するのが『遅延損害金(遅延利息)』です。

遅延損害金(遅延利息)については、民法419条で次のように定められています。

1.金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2.前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3.第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

引用:民法419条

1項が規定しているのは、次のことです。

  • 遅延損害金(遅延利息)の利率は、法律で決められていること(法定利率)
  • ただし、当事者の契約で法定利率より高い利率を定めた場合(約定利率)には約定利率によること

2項が規定しているのは、次のことです。

  • 遅延損害金(遅延利息)を請求する際、支払が遅れたことで実際に生じた損害を証明する必要がないこと

つまり、支払いが遅れたことで債権者に事実上なにも損害がなかったとしても、遅延損害金(遅延利息)は発生するのです。

3項が規定しているのは、次のことです。

  • 支払いが遅れた理由が、債務者にとってはどうにもならない災害等の事情による場合であっても、遅延損害金(遅延利息)は発生すること

例えば、返済日に返そうと思ってお金を銀行に預けておいたところ、銀行が倒産して預金が引き出せず返済日に貸主に返済できなかったとしても、返済日までに返済できない以上、遅延損害金(遅延利息)は発生します。

(1)遅延損害金(遅延利息)が発生するのはどんなとき?

遅延損害金(遅延利息)が発生するのは、「お金を支払う債務」を負っている債務者が、期限までに支払わないときです。

「お金を支払う債務」は、次のとおり、様々な場面で発生します。

【合意で発生する場合】
  • 金融機関からお金を借りて、返済期日までに借りたお金を返す債務
  • アルバイトなどを雇用して、給与日に給与を支払う債務      など
【合意なしで発生する場合】
  • 交通事故の加害者が、被害者に対して損害を賠償する債務   など

(2)遅延損害金(遅延利息)が発生するタイミングは?

遅延損害金(遅延利息)って、いつ発生するの?

遅延損害金(遅延利息)は、債務の履行が遅れたことのペナルティーです。
民法412条では、遅延損害金(遅延利息)を含む、債務の履行が遅れた場合の責任が発生するタイミングについて、次のように定めています。

1.確定期限(※)がある場合
(※到来する期日が確定していること)
【例】●●年●月●日に返済する など
期限が到来した時
2.不確定期限(※)がある場合
(※期日が到来するのは確実だが、いつ到来するのか決まっていないこと)
【例】父が死んだら返済する など
期限が到来した後に、
債務者が債権者から請求された時
       or           
債務者が期限が到来したことを知った時
のいずれか早い時
3.期限を決めていない場合債務者が債権者から請求された時

金融機関からの借金は、通常毎月の返済期日が決まっています。
そのため、借金の場合は「確定期限」があるということになり、決まった返済日を1日でも過ぎると遅延損害金(遅延利息)が発生します。

また、残業代であれば、例えば4月25日が給料日なのに、その日支払われるべきだった残業代が含まれていなければ、その翌日である4月26日から未払いの残業代に対する遅延損害金(遅延利息)が発生します。

他方、交通事故など不法行為に基づく損害賠償債務は、加害者に賠償責任が発生すると同時に、加害者は支払義務を負います。
そのため、基本的には交通事故当日から遅延損害金(遅延利息)が発生する扱いとされています。

(3)遅延損害金(遅延利息)の計算方法

遅延損害金(遅延利息)の金額は、次の計算式で求めることができます。

※うるう年は365ではなく366で計算します。

ここでは、上記の「遅延損害金の利率」は年率のことを指します。

遅延損害金(遅延利息)の利率には、法定利率と約定利率の2種類があります。
遅延損害金(遅延利息)の利率について何も決めていなかった場合には、法定利率で計算します。
法定利率は、遅延損害金(遅延利息)が発生したタイミングによって変動します。

  • 2020年3月31日以前に発生した場合………………………年5%
  • 2020年4月1日~2026年3月31日に発生した場合………年3%
  • 2026年4月1日以降に発生した場合…………………………未定(3年ごとに見直し)

(改正前民法404条、改正民法404条2項、3項)

法定利率は、未払賃金や交通事故の被害等、あらかじめ当事者間で遅延損害金(遅延利息)の利率を定めなかった場面で用いられます。

例えば、2023年4月1日以降の未払賃金がある場合、基本的には支給日の翌日から実際に支払われるまでの間、年3%の割合で遅延損害金(遅延利息)が日々発生します(なお、時効があります)。

ただし、未払賃金(※退職金は除く)の場合、退職後であれば遅延損害金(遅延利息)の上限は年14.6%となります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項)。

一方の約定利率は、借金等の場面で用いられます。
借入れの際の契約書を確認すると、年何%かを確認することができます。
遅延損害金(遅延利息)の利率の上限は、次のように元本の額により異なります(利息制限法4条1項、1条)。

借金の金額上限金利
10万円未満年29.2%
10万円以上100万円未満年26.28%
100万円以上年21.9%

※ただし、消費者金融などの貸金業者からの借金は、遅延損害金(遅延利息)の上限は年20%です(利息制限法7条1項)。

これらを超える利率が契約で定められていても、超過する部分は無効となります。
例えば、15万円借りた場合、契約では遅延損害金(遅延利息)の利率が年28%と定められていても、年26.28%分払えば足りることとなります。

借金を滞納して遅延損害金(遅延利息)を請求された!

返済期日を1日でも過ぎてしまうと、法律上遅延損害金(遅延利息)が発生します。

消費者金融などは、法律上の上限利率の遅延損害金(遅延利息)を設定していることも多く、返済期日を遅れると、どんどん遅延損害金(遅延利息)が膨らんでしまいます。

例えば、金融機関から、遅延損害金(遅延利息)の利率20%の約束で100万円を借りた場合、1年間支払いが遅れると20万円分の遅延損害金(遅延利息)が発生します。遅延損害金(遅延利息)の発生を防ぐには、早めの対応が大切です!

借金の遅延損害金(遅延利息)への対処法については、こちらをご覧ください。

遅延損害金とは?計算方法や支払が不安なときの対処法を解説

借金の支払が難しい時は債務整理を

「遅延損害金(遅延利息)が膨らむとは言っても、借金の返済が難しい…」

借金の返済を滞納すると、遅延損害金(遅延利息)が発生する以外にも、主に次のようなリスクがあります。

  • 貸主から督促される
  • 裁判所に支払督促を申立てられたり、裁判を起こされる
  • 給料や預金などの財産を差し押さえられる      など

特に、給料が差し押さえられると、勤務先に借金を滞納していることを知られてしまいます!

借金問題について、返済の負担減による解決を図る方法が債務整理です。
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

『任意整理』とは、支払い過ぎた利息はないか、利息制限法の上限利率に基づいて正確な負債を計算し、残った負債について、将来利息のカットや数年間での分割等による返済の負担減を目指して個々の債権者と交渉する手続です。

『個人再生』とは、負債が返済できないおそれがあることを裁判所に認めてもらい、法律に基づき決まった額を原則3年間で分割払していく手続です。
支払うことになる金額は、負債の額や財産価額等をもとに決まるのですが、高価な財産がなければ総返済額を大幅に減額できる可能性があります。

『自己破産』とは、債務者の収入や財産からは返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、原則全ての負債の支払について免除を受ける手続です(※税金など一部の債権については支払は免除されません)。

どの方法が一番適しているかは、借入れの額や収入等から人によって異なります。
弁護士に相談の上、自身に最適な方法を選ぶことをおすすめします。

未払賃金を請求する際に、遅延損害金(遅延利息)も請求したい!

毎月の給料や残業代に未払があると、法律上は給料日の翌日から遅延損害金(遅延利息)が発生することとなります。

遅延損害金(遅延利息)を実際に受け取れるかどうかはケースバイケース

遅延損害金(遅延利息)は、未払賃金を請求する際、上乗せして請求することができます。
しかし、実際に遅延損害金(遅延利息)を受け取れるかどうかは場合によって異なります。

未払賃金を会社に請求し、交渉の中で、遅延損害金(遅延利息)については譲歩する場合もあります。
遅延損害金(遅延利息)なしでもそれなりに大きなお金を受け取れる場合等には、そういった選択をする場合もあります。

一方、会社との交渉では納得のいく金額で折り合えなかった場合には、裁判所での手続を取ることもあります。
裁判所が労働審判や判決で未払賃金の支払を命じる際には、遅延損害金(遅延利息)も併せて支払うよう命じます。

会社とのやり取りの負担を軽減し、遅延損害金(遅延利息)もしっかり上乗せして受け取りたい、消滅時効を阻止したい、という場合には、労働問題を取り扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

【未払賃金を請求する流れ】

未払賃金の請求のための証拠収集の方法や請求の流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。

交通事故の損害賠償請求で、遅延損害金(遅延利息)を受け取れる?

交通事故の被害に遭った場合、事故当日から遅延損害金(遅延利息)が発生します。
ただ、法律上遅延損害金(遅延利息)を受け取る権利があっても、実際に遅延損害金(遅延利息)を受け取ることができるかどうかは、やはりケースバイケースです。

交通事故で遅延損害金(遅延利息)を受け取れるかはケースバイケース

交通事故の被害に遭った際、加害者が任意保険に加入している場合には、通常加害者の任意保険会社に賠償金を請求し、保険会社との交渉がまとまらなければ裁判所での手続(訴訟)に移ることが多いです。

しかし、保険会社が裁判前の交渉段階で遅延損害金(遅延利息)の請求に応じることはほとんどありません。
また、裁判所での手続でも、裁判上の和解をする場合には、遅延損害金(遅延利息)がカットされることが少なくありません。
きちんと遅延損害金(遅延利息)を全額受け取るためには、判決を得る必要があります。

裁判所での手続は、遅延損害金(遅延利息)を上乗せできる可能性があるというメリットの一方、被害者側にも過失があった際にはその分きっちり減額されること、保険会社との交渉よりもお金を受け取れるまでに時間がかかる等の注意点もあります。
これらを考慮の上、訴訟を提起するか否かを決める必要があります。

交通事故の被害にあった時の保険会社との交渉の流れなどは、こちらをご覧ください。

交通事故の発生から保険金支払いまでの流れとは?支払いまでの期間も解説

交通事故裁判の流れや、訴訟を行うメリットデメリットについて詳しくはこちらをご覧ください。

【解決事例入り】交通事故裁判における流れや費用について弁護士がくわしく解説

【まとめ】遅延損害金(遅延利息)は、支払が遅れたことへのペナルティー

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 支払うべきものが期日までに支払われない場合には、遅れた日数分の遅延損害金(遅延利息)が発生する。
  • 消費者金融などからの借金の場合、通常、遅延損害金(遅延利息)の利率は利息よりも高い。遅延損害金(遅延利息)が膨らんで支払が困難になったら、債務整理によって支払の負担を軽減できる可能性がある。
  • 未払賃金の場合、遅延損害金(遅延利息)を上乗せして回収するためには、裁判所での手続を取らねばならないことが多い。遅延損害金(遅延利息)を受け取る可能性を上げるためには、弁護士に依頼することがおすすめ。
  • 交通事故の被害に遭った場合、保険会社が任意に遅延損害金(遅延利息)の支払に応じることは少ない。遅延損害金(遅延利息)を受け取るためには訴訟を提起する必要があるが、訴訟の長短を検討の上決める必要がある。

遅延損害金(遅延利息)を含む借金の返済が困難な方は、遅延損害金(遅延利息)が膨らんでしまう前に、早めの債務整理をご検討ください。
借金問題は、早めに対応することによって、より負担の小さい方法で解決できる可能性があります。

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