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親の借金は放棄できる?借金を背負いたくない場合の対処法とは

作成日:更新日:
yamazaki_sakura

「親の借金を相続で支払わないといけなくなったら、どうしよう……」
親が借金をしていると、相続のことが心配になる人もいらっしゃることと思います。

親が借金をしている場合、「相続放棄」を行うことで基本的に親の借金の支払を免れることができます。
相続放棄の手続には、原則「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という短い期限がありますが、手続についてあらかじめ押さえておくことで安心して対処できるようになります。

この記事では、

  • 相続放棄の概要
  • 相続放棄の手続の流れ
  • 限定承認と相続放棄の選び方
  • 3ヶ月では相続放棄するかどうか決められない場合の対処法
  • 親の借金に、「過払金」が発生している可能性

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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親の借金を背負いたくない場合には「相続放棄」を!

親が亡くなると、その時点で相続が開始します(民法882条)。相続の対象となるのは、プラスの財産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金などの負債)もです。

相続が始まると、子供などの相続人の選択肢は主に次の3つがあります。

  • 単純承認
    プラスの財産もマイナスの財産も全て相続する
  • 限定承認
    プラスの財産の限度で、マイナスの財産を相続する
  • 相続放棄
    プラスの財産もマイナスの財産も全て放棄する

借金などのマイナスの財産については、相続放棄を行うことで支払を回避できます。

また、プラスの財産がわずかにマイナスの財産を上回っているものの、相続に伴う諸々の手続を避けたいという場合にも、相続放棄を行うことには一定のメリットがあるといえます(ただし、相続人全員が相続放棄を行った場合、最後に相続放棄を行った人は基本的に遺産を管理しなければなりません)。

ただし、相続放棄ではプラスの財産も手放さねばなりません。
そのため、本当にマイナスの財産の方が大きいのか、本当に相続放棄でよいのか、慎重に確かめる必要があります。

また、後述する「熟慮期間」のうちに相続放棄や限定承認をしなかった場合や、遺産の処分を行ってしまった場合などには、原則として「単純承認」をしたとみなされますのでご注意ください(民法921条)

※なお、子供が親の負債について保証人となっていた場合、相続放棄をしても保証人の義務はなくなりません。保証人としての支払が困難になってしまった場合には、子供自身が債務整理による支払いの負担減を検討する必要があります。

相続放棄の手続について

それでは、相続放棄の手続の流れを説明します。

(1)遺産の調査

まずは、相続放棄するメリットがあるかどうかを判断するために、遺産の調査をする必要があります。

プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれどのくらいあるのか調べましょう。

信用情報機関に対して信用情報の開示請求を行うことで、金融機関からの親の借金を調べることができます。

信用情報とは、個人のクレジットカードやローンの申込み、契約、支払状況などの情報です。
信用情報機関では、信用情報を管理しています。
国内に3つある信用情報機関の全てに対して開示請求を行うことで、漏れを防ぐことができます。

相続人(子供)の方が信用情報の開示請求を行う方法について、詳しくは次のリンクをご覧ください。

参考:開示対象者が亡くなられている場合の郵送開示のお申込み手続きについて|指定信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構(JICC)
参考:信用情報の確認 窓口での開示手続き|指定信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構(JICC)
参考:亡くなった父の情報開示をすることはできるのでしょうか?|割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)
参考:法定相続人による開示のお手続きについて|一般社団法人 全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

(2)相続放棄にかかる費用について

裁判所での手続には、次のような費用が必要です。

  • 収入印紙 800円分(相続放棄の申述を行う人1人あたり)
  • 連絡用の郵便切手(申述先の家庭裁判所にご確認ください)

参照:相続の放棄の申述|裁判所- Courts in Japan

また、裁判所に対して戸籍謄本などを提出する必要があるため((3)にて説明します)、そういった書類を取り寄せるための費用もかかります。

(3)必要書類の準備

相続放棄の申述を行う際には、次のような書類を提出する必要があります。

  • 相続放棄の申述書
  • 申立添付書類(戸籍謄本(全部事項証明書)など)
    親が亡くなって子供が相続放棄の申述を行う場合、必要なのは次のものです。
  1. 被相続人(亡くなった人)の住民票除票または戸籍附票
  2. 申述人(相続放棄の申述をする人)の戸籍謄本
  3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

参照:相続の放棄の申述書(20歳以上)|裁判所- Courts in Japan

(4)家庭裁判所に「相続放棄の申述」をする

必要書類を準備できたら、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に対して、相続放棄の申述を行います。

相続放棄の申述は、原則、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に行わねばなりません(民法915条1項)。
もっとも、「知った時」というのはあいまいで後で問題になってしまう可能性もあります。そこで、「被相続人が亡くなった日から3ヶ月以内」と捉えておくことが無難です。

(5)家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が届く

相続放棄の申述を行うと、家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が届きます。
この照会書では、申述人が本当に相続放棄の意思を有しているのかなどが確認されます。

回答を記入し、家庭裁判所へ返送してください。

(6)「相続放棄申述受理通知書」が届く

無事に相続放棄が認められると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
被相続人の債権者から支払を求められた場合には、このコピーを送るなどして支払を断ることができます。

相続放棄申述受理通知書は申述人1人につき1通のみ発行され、なくしてしまっても再発行は受けられません。大切に保管しましょう(なお、「相続放棄申述受理証明書」であれば、手数料がかかるものの発行してもらえます)。

相続放棄の申述の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月」が原則

相続放棄の申述の期限は、先ほど述べたように3ヶ月が原則です。

しかし、遺産の状況などによっては、3ヶ月(熟慮期間といいます)では調査が終わらず相続放棄するかどうかを判断できない場合もあります。
このような場合に、熟慮期間を延ばしてもらえる可能性のある手続について説明します。

3ヶ月では足りない場合には「熟慮期間の伸長」の申立てを

3ヶ月では相続放棄などを行うか決められない場合、家庭裁判所(相続放棄の場合と同じところ)に対して期限を延ばしてもらう「熟慮期間の伸長」を申立てることができます。
裁判所が認めれば、熟慮期間を延ばすことができます。

参考:相続の承認又は放棄の期間の伸長|裁判所- Courts in Japan

限定承認とは?相続放棄とどっちがいい?

一方、過大な負債を抱え込まないための方法には、相続放棄だけでなく限定承認という方法もあります。

限定承認は、プラスの財産の限度でのみマイナスの財産を引き継ぐというものです。

例えば、次のようなケースを考えてみます。

  • 相続人はAさん1人
  • 遺産は、
    プラスの財産:現金180万円
    マイナスの財産:借金250万円

Aさんが限定承認をすると、遺された借金はプラスの財産である180万円の限度で支払えばよく、差額の70万円を支払う必要はなくなります。
このように、マイナスの財産があったとしても相続人が経済的損失を被ることを回避できるのが限定承認です。

もっとも、限定承認は次のような理由から、利用件数が非常に少ないです。

  • 相続人が複数いる場合、全員でしなければならない(民法923条)
  • 限定承認の手続は非常に複雑
  • プラスの財産よりマイナスの財産の方が大きい場合、相続放棄をすれば足りる

ただし、限定承認では遺産を手放さずに済むため、手元に残しておきたいものがある場合などには検討する価値があります。

相続放棄か限定承認かでお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

遺産を相続すると、過払金を受け取れる場合も!

親が借金していてめぼしい財産もなさそうな場合、相続放棄したいと思う方が多いのではないかと思います。
しかし、金融機関からの借金には「過払金」があるかもしれません。

既に完済していた場合も、亡くなるまで借金が残っていた場合も含め、これまでに借金をしていたことがあると、利息の払い過ぎが発生している可能性があります。

利息の払い過ぎが発生していると、借金を減額したりなくせたりできる可能性があるばかりでなく、逆に金融機関から過払金を取り戻すことのできる可能性もあります。
そのため、過払金の額によっては、相続放棄をするよりも単純承認した方が経済的にメリットがある、ということもありうるのです。

他方で、被相続人の過払金の返還請求をすると、相続について単純承認したことになり、原則として相続放棄や限定承認をすることができなくなりますので、過払金の返還請求をすることには注意が必要です。

過払金を回収できる可能性があるかどうかの大体の目安は、次の2つです。

  • 2010年6月17日以前に開始した借入れ
  • 最後に返済をしてから、10年以内

遺産に過払金があるかどうかの調査方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続放棄ちょっと待って!回収できるかもしれない過払い金

【まとめ】親の借金を相続したくない場合には、相続が発生したと知ってから3ヶ月以内に相続放棄の申述を行う

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 親の借金を相続したくないときは、「相続放棄」という選択肢がある。
  • 相続放棄の手続は、次のように進む。
    遺産の調査→必要書類や費用の準備→家庭裁判所へ相続放棄の申述→家庭裁判所から届く「相続放棄の照会書」に対応→「相続放棄申述受理通知書」が届く
  • 相続放棄の申述は、原則、自分が相続人になったと知ってから3ヶ月以内にしなければならない。財産調査などに時間がかかり3ヶ月では判断できない場合、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申立てることで、期間を延ばしてもらえる場合もある(熟慮期間のうちに相続放棄や限定承認を行わないと、単純承認をしたとみなされる)。
  • 相続によって過大な負債を抱えないための方法には、「限定承認」もある。もっとも限定承認は手続が複雑であることなどから、あまり利用されていない。
  • 親の金融機関からの借金には、過払金が発生している可能性がある。過払金があれば、負債の額を減らしたりなくしたりできる場合や、逆にお金を取り戻せる場合もある。ただし、過払金の返還請求をすることは単純承認に当たり、原則として相続放棄や限定承認をできなくなるので注意が必要。

「相続放棄を検討しているが過払い金が発生しているかも」という方は、相続放棄をする前に過払い金請求について弁護士に相談するようにしましょう。

相続放棄してしまうと、後で「過払い金が発生していて借金より財産の方が多かった!」と気づいても、過払い金を受け取ることはできないためです。

アディーレ法律事務所は、相続放棄・過払い金請求を取り扱っていますので、相続放棄と過払い金双方について相談することができます。相続放棄・過払い金請求に関するご相談は何度でも無料です。

アディーレ法律事務所では、負債が残っている業者に対する過払い金返還請求をご依頼いただいたのに所定のメリットがなかった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用を原則として全額ご返金しております。

また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として、弁護士費用は回収した過払い金からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません(2022年10月時点、業者ごとに判断します)。

調査の結果過払い金がないか、あっても借金の方が多いような場合には、相続放棄を検討ください。相続放棄については、フリーダイヤル「0120-406-848」までご相談ください。