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横断歩道事故の歩行者と車の過失割合はどうなる?状況ごとに詳しく解説

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近年、交通事故発生件数や死者数は減少傾向にありますが、2018年の交通事故死者のうち高齢者の占める割合は過去最高の55.7%です。
また、同年度の交通死亡事故の発生原因の第2位が、横断中の事故となっており、死亡した人の状態は歩行中の人が最も多くなっています。
そして歩行者が道路を横断中に発生した死亡事故のうち、横断者の側に、車両の直前直後に横断するなどの法令違反があった割合が高くなっています(60.4%)。

このように、歩行者が道路横断中に交通事故に遭うと、死亡という重大な結果が生じてしまうことも少なくありません。歩行者の側に法令違反があると、そのおそれはさらに高まります。
また、高齢者は、死亡事故で占める割合が高くなっていますので、車両運転者は、道路を横断しようとする高齢者に対して、特に注意すべきだといえるでしょう。

今回は、重大な結果を起こしかねない歩行者横断中の交通事故のうち、特に、横断歩道上の歩行者と車両の交通事故について、弁護士が解説します。

参考:令和元年交通安全白書 第2節 平成30年中の道路交通事故の状況|内閣府

横断歩道事故では、自動車と歩行者のどちらの過失割合が大きいか―横断歩道では歩行者が優先される

車両は、横断歩道に歩行者がいる場合には、横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはならないとされており(道路交通法38条1項第2文、以下単に「道交法」といいます。)、横断歩道により道路を横断する歩行者は、法的に強く保護されています。
また、この規定に違反した場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金という刑事処分に課され(道交法119条1項2号)、他に行政処分の対象にもなります。
このように、横断歩道歩行中の歩行者優先のルールがありますので、横断歩道上の交通事故の過失割合は、原則として車両側がより大きくなります。

横断歩道付近等における交通ルールはどうなっているか

上記の他にも、車両と歩行者それぞれが守らなければならない横断歩道付近における交通ルールがありますので説明します。

(1)運転者側の主な交通ルール

  • 車両は、信号機の表示に従わなければならない(道交法7条)。
  • 横断歩道に接近する場合には、横断歩道により前方を横断しようとする歩行者又は自転車がいないことが明らかな場合を除き、その横断歩道の手前で停止できるような速度で進行しなければならない(道交法38条1項第1文)。
  • 車両は、横断歩道やその手前で停車している車両がある場合、その側方を通過して前に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない(道交法38条2項)。
  • 横断歩道や自転車横断帯とその手前から30メートル以内の場所では、原則として前方の車を追い越したり、追い抜いたりしてはならない(道交法38条3項、30条3号)。
  • 車両は、横断歩道上や横断歩道の前後5メートル以内の場所には、法令の規定や危険防止のための一時停止など例外的な場合を除き、停車も駐車もしてはならない(道交法44条1項)。

(2)歩行者側のおもな交通ルール

  • 歩行者は、信号機の表示に従わなければならず(道交法7条)、歩行者用信号機が設置されているときはその表示に従わなければならない(道交法施行令2条1項及び同4項)。
  • 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある付近ではその横断歩道によって道路を横断しなければならない(道交法12条1項)。
  • 歩行者は、道路標識により斜め横断できるとされている場合を除き、道路を斜めに横断してはならない(道交法12条2項)。
  • 歩行者は、車両等の直前直後で道路を横断してはならない。ただし横断歩道によって道路を横断するときや信号に従って横断するときなどは除く(道交法13条1項)。
  • 歩行者は、道路標識により横断が禁止されている場所では、道路を横断してはならない(道交法13条2項)。

信号機が設置されている横断歩道上の事故、基本の過失割合は?状況ごとに解説

車両及び歩行者は、双方が信号機の表示に従う義務がありますので、信号機の設置される横断歩道では、その信号の表示が過失割合の判断には重要となります。
そこで、信号機の設置の有無に分けて、それぞれの過失割合を検討します。
実務においては、『別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5番)』(東京地裁民事交通訴訟研究会編)という書籍に従って過失割合を判断していますので、この書籍を基本に説明していきたいと思います。

信号機が設置されている横断歩道上の交通事故の基本の過失割合(※)は、次のようになります。

※横断歩道上の事故の過失割合は、安全地帯(横断歩道が長く、途中で歩行者用信号が黄色や赤色に代わってしまったときに、歩行者が安全に待機できる地帯)がある場合とない場合とで分けられて考えられています。ここでは、安全地帯がない場合を基本として考えています。

(1)歩行者が青色で横断開始した場合

交差道路の車両が赤信号で進入、直進したことにより事故が発生した場合の過失割合は、直進車に信号無視という重大な過失もあり、車両:100、歩行者:0となります。

車両が青信号で進入して、不注意で右左折したことにより、横断歩道上の歩行者に衝突して事故が発生した場合の過失割合は、右左折車が横断歩道上の歩行者優先ルールに反しているという過失がありますので、車両:100、歩行者:0となります。

歩行者が青信号で横断を開始したが、黄信号、赤信号でも横断を終わらず横断を続けていた場合はどうでしょうか。
このようなことは幼児や高齢者、身体障害者が横断する場合に起きうることですが、基本的に歩行者側に落ち度はないと考えられています。
したがって、このように青信号で横断開始した歩行者側の信号が途中で変わり、交通事故が発生しても、車両側の信号無視に変わりがなければ、横断歩道上の歩行者優先のルールがありますので、基本的に歩行者の過失割合は増えません。

ただし、歩行者側の信号が横断途中で赤信号になった後に、さらに交差道路の信号機が青色信号に変わり、車両が青信号で進入、直進して、交通事故が発生した場合には、車両側の信号無視はなく、歩行者の側も速やかに横断する義務に違反したとして過失割合は修正され、車両:80、歩行者:20となります。

歩行者との間で、「衝突した瞬間の信号機の色は〇〇だったが、歩行者が渡り始めたときは青色だった」という点で争いが生じることがあります。歩行者にとっては、渡り初めの信号が青であれば、基本的に自分に過失はなくなるためです。
また、運転者との間で、「交差点に進入したとき(又は、もう停止線で止まれないほどに接近したとき)の信号は青色だった」という点で争いが生じることもあります。運転者にとっては、交差点進入時の信号が青であれば、自身の過失が少なくなるためです。
一方で、衝突した瞬間の信号機の色が争われることは少なく、争いがあっても目撃者の証言による証明も期待できます。
しかしながら、歩行者が横断歩道を渡り始めたタイミングの信号機の色まで覚えている目撃者は少ないので、裁判で争う場合には証明が困難な場合があります。
そのような場合には、事故当時の信号機サイクルを調査したりして、衝突の瞬間から渡り始めの瞬間をさかのぼって信号機の色を特定することになります。また、車両側がドライブレコーダーを搭載していれば、録画データを確認して信号機の色がわかればそれで特定します。

(2)歩行者が黄色で横断開始した場合

車両が赤信号で進入、直進したことにより交通事故が発生した場合の過失割合は、歩行者にも黄色信号(青点滅信号も同じ)無視という一定の過失がありますので、車両:90、歩行者:10となります。

車両の赤信号無視はあってはならない危険な運転であるのに対し、歩行者の黄信号での横断開始はそれ自体では他人に危険ではなく、それで歩行者に過失ありとするのは歩行者に厳しいと思われるかもしれません。
しかしながら、黄色信号(青点滅)の場合、歩行者は横断開始してはならないというルールがあり(道交法施行令2条1項及び同4項)、青信号で横断開始した場合と差をつける交通政策上の必要もありますので、10の過失ありとされています。

車両が青信号で進入、右左折したことにより交通事故が発生した場合の過失割合は、車両が信号を守っている一方で歩行者には黄色信号無視という一定の過失がありますので、車両:70、歩行者:30となります。

車両が黄信号で進入、右左折したことにより交通事故が発生した場合の過失割合は、車両にも黄信号無視という過失がありますので、車両:80、歩行者:20となります。

(3)歩行者が赤色で横断開始した場合

歩行者が赤色信号で横断開始しており、そこに車両が青信号で進入、直進したことにより交通事故が発生した場合の過失割合は、歩行者に赤信号無視という重大な過失がありますので、車両:30、歩行者:70となります。

「赤信号無視の歩行者が悪いのに、交通ルールを守っている運転者側に30%とはいえ過失がつくのはおかしい」と思われるかもしれません。
しかしながら、車両の運転者には、歩行者を保護する安全運転の義務(道交法70条)が課せられており、赤信号横断中の歩行者だからと言ってこの安全運転義務が免除されるものではありません。
したがって、たとえ車両の進行方向が青色信号でも、前方に横断中の歩行者を見つけたら、車両の運転者はブレーキやハンドルを操作して事故回避に努めなければなりませんので、一定の過失が認められています。

なお、このような交通事故が発生した本当の原因は赤信号で横断した歩行者側と考えられますので、刑事事件として運転者が処罰されることは、まずないと考えてよいでしょう。もちろん、運転者の側に、別途酒気帯び運転や速度超過等の交通事故の発生原因や救助義務違反(ひき逃げ行為)がある場合には、刑事事件として処罰される可能性はあります。

車両が黄信号で進入、直進した時には、車両側にも黄信号無視という過失がありますので、車両:50、歩行者:50となります。
車両が赤信号で進入、直進した時には、双方に赤信号無視という重大な過失があるものの、歩行者優先のルールから、車両の過失の方が大きくなり、車両:80、歩行者:20となります。

(4)歩行者が赤色で横断開始しその後青色に変わった場合

車両が赤信号で進入、直進して、又は車両が赤信号で進入、右左折して交通事故が発生した場合の過失割合は、車両:90、歩行者:10となります。

信号機が設置されていない横断歩道上の事故、基本の過失割合は?

横断歩道を通過する車両には、横断する歩行者がいないことが明らかな場合を除き、直前で停止できるスピードで進行しなければならず、また歩行者がいる場合には停止して通行を妨げなければならないという重い注意義務があります。
したがって、信号機が設置されていない横断歩道上であっても、基本的に交通事故の過失責任は車両側にあり、車両:100、歩行者:0となります。

道路上のひし形「◇」表示は、「この先に(信号機のない)横断歩道または自転車横断帯あり」のマークです。このマークを見かけたら、前方に歩行者がいないか注意するようにしましょう。

横断歩道上に歩行者が寝ていた場合

歩行者が横断歩道を通行中の事故ではないので、横断歩道上であっても路上であっても、歩行者が寝ていた場合には次のような過失割合になります。

昼間の場合は、車両から路上に寝ている人物の発見は比較的容易であることから、基本の過失割合は車両:70、歩行者:30となります。
一方、夜間の場合は、昼間と比較して人物の発見が困難であることから、基本の過失割合は車両:50、歩行者:50となります。

過失割合の修正要素によって基本の過失割合がかわるので注意

信号の色や、車両の進行方向別の基本的な過失割合は説明したとおりですが、個々の交通事故の発生状況や環境などにより、基本の過失割合が修正されることは少なくありません。
実際に過失割合を判断する際には、基本の過失割合をベースにして、その過失割合を修正する要素の有無について一つ一つ確認する必要があります。
基本の過失割合を修正する主な要素は、次のようなものがあります。

(1)車の過失割合に加算されうる修正要素

  • 歩行者が幼児(6歳未満)、児童(6歳以上13歳未満)、高齢者(65歳以上)など
    (歩行者の中でも判断能力や行動能力が低い社は特に保護する必要があるため)
  • 歩行者の集団横断
    (車からの発見が容易であるため)
  • 住宅街・商店街
    (人の横断が激しく、車両は歩行者により注意すべき)
  • 酒気帯び運転やハンドル操作の著しいミス、居眠り運転、無免許運転など重い過失

(2)歩行者の過失割合に加算されうる修正要素

  • 夜間
    (ライトにより歩行者が車の存在に気づきやすいため)
  • 幹線道路
    (車両の通行が激しい車幅14メートル以上の幹線道路は歩行者がより横断に注意すべきと考えられるため)
  • 歩行者による車両の直前直後横断、特段の事情のない立ち止まりや後退
    (歩行者のルール違反や通常と異なる行動には車両の対応が困難なため)

【まとめ】横断歩道上の交通事故の被害に関する相談はアディーレ法律事務所へ

横断歩道上の交通事故は、歩行者優先のルールがあり歩行者が強く保護されているので、原則として車両の過失割合が大きくなります。
しかしながら、歩行者にもルール違反があったり、事故発生の具体的状況から修正要素が存在したりすることもありますので、車両側の過失割合が100になるとは限りません。
交通事故の被害に遭ったけれども、加害者側から自分にも一定の過失割合があると言われて、納得できない方もいるかもしれません。
横断歩道上の事故の被害に遭ってお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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