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人身事故切り替えの届出期間とは?人身事故切り替えの手続きと注意点

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Sさんは、自動車運転中に脇道から飛び出してきた自動車に衝突されてしまいました。お互いそれほどスピードは出しておらず、自車のバンパー部分が凹んだ程度だったため、事故直後に現場に臨場した警察官に対しては物損事故ということで届出をしました。
しかし、事故の翌朝眠りから覚めたSさんは、首の部分に強い痛みを感じました。事故直後は興奮していてあまり意識していなかったのですが、よく考えると衝突の瞬間に頭部が横に大きく揺さぶられた記憶があります。
Sさんは、加害者に対して治療費などを請求できるよう、すでに物損事故としてなした届出を人身事故扱いに切り替えたいと考えています。
この記事では、

  • 物損事故と人身事故の違い
  • 物損事故から人身事故に切り替えるときの届出期間
  • 人身事故への切り替えに必要な手続き
  • 人身事故に切り替える際の注意点

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

物損事故と人身事故の違い

交通事故は、大きく物損事故と人身事故の2種類に分けられます。
そこでまず、物損事故と人身事故の違い、物損事故から人身事故に切り替えたほうがよい場合について説明します。

(1)物損事故とは?

物損事故とは、被害者にケガがなく、車やガードレール、家屋など、器物の損壊のみが生じた事故のことをいいます。
物損事故では、事故の相手方が加入する自賠責保険や任意保険の対人賠償保険は使用できず、使用できるのは対物賠償保険のみとなります。
物損事故では、加害者に対して懲役や罰金など刑事処分や、運転免許の違反点数加算といった行政処分がなされることは原則としてありません。
このように、刑事処分がなく行政処分が軽いことから、被害者がケガをしているにもかかわらず、加害者から「物損事故扱いにしてほしい」と頼まれるケースがあるので注意が必要です。

(2)人身事故とは?

これに対し、交通事故により被害者がケガをしたり死亡した場合が人身事故に該当します。
人身事故では、物損事故と異なり、加害者に対して刑事処分や運転免許の違反点数が加算といった行政処分がなされます。

(3)物損事故から人身事故に切り替えるべきケース

物損事故として届け出た場合、事故の相手方(加害者)が加入する自賠責保険や任意保険の対人賠償保険が使えない場合があります。そうすると、ケガの治療のために費やした治療費や慰謝料などを、加害者から支払ってもらうことが難しくなります。
したがって、事故直後は目立った外傷がないと判断し、物損事故として届け出たが、後から体が痛みだしてケガを自覚する場合などは、人身事故扱いに切り替えたほうがよいことになります。
このようなケースは、事故から数日経って症状が現れる、むち打ち症で多くなります。
むち打ち症は、事故の衝撃により首がむちのようにしなることで、首の神経や組織を痛める症状です。頚椎捻挫、頚椎打撲、外傷性頚部症候群と呼ばれることもあります。
むち打ち症になると、首の痛み、手足のしびれ、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が事故の数日後に現れることが多くなります。
事故直後に症状が現れないのは、事故のショックや興奮により痛みの感覚が麻痺し、ケガをしても痛みを感じないためと考えられています。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

追突事故でむち打ちになった!リハビリでの慰謝料請求のポイント2つ

物損事故から人身事故に切り替えるときの届出期間

物損事故から人身事故への切り替えには、厳密な期間の制限はありません。
しかし、警察から「切り替えは◯日以内に連絡を」という指示がある場合があります。その場合は、指示された期間内に連絡するようにしましょう。
なお、事故日から日にちが経ちすぎると、人身事故への切り替えができない場合があります。というのは、長期間の経過により当事者の記憶が薄れたり、ケガの原因が本当に交通事故によるものか信憑性を疑われるためです。

人身事故への切り替えに必要な手続き

それでは、人身事故への切り替えのための具体的な手続きと、切り替え後の流れを説明します。

(1)病院で診断書を作成する

物損事故から人身事故への切り替えには、ケガの症状や傷病名の証明となる診断書が必要となります。
むち打ち症の場合も、事故から数日後に痛みが現れたら、すぐに病院を受診することが重要です。
その際、ケガが交通事故によるものであること(=傷病と事故との間の因果関係)を記入してもらうことが重要です。

診断書の提出期限も厳密には決まっていませんが、できるだけ早めに(事故発生から10日程度までに)警察に提出したほうがよいでしょう。
なお、診断書は医師しか作成することができません。整骨院や接骨院で診断書を発行してもらうことできないので注意が必要です。

(2)警察に診断書などの書類を提出

担当の警察署に人身事故へ切り替えたい旨を連絡し、警察署を訪問して手続きを行います。診断書以外にも事故と関連する資料の提出を求められますが、管轄の警察の指示に従って提出してください。

(3)人身事故の捜査

事故を物損事故から人身事故に切り替えるかどうかは、警察が判断します。警察に必要書類を提出し、人身事故の切り替えが認められると、事件として捜査が開始されます。
具体的には、加害者・被害者の取り調べや、当事者立ち会いの上での実況見分が行われます。
この実況見分により実況見分調書が作成されます。実況見分調書には、事故時における現場の状況や、事故の態様についての詳しい情報が記載されます。そのため、後日事故状況を証明したり、当事者双方の過失割合を決める際に有力な資料となります。
また、人身事故と認められると、後日自動車安全運転センターより、人身事故の証明となる交通事故証明書を取得できるようになります。

【交通事故証明書(人身事故)の例】

人身事故への切り替えにおける注意点

最後に、人身事故の切り替えにおける注意点について説明します。

人身事故に切り替えられないときの補償

診断書などを警察に提出しても人身事故と認められない場合、最終的に物損事故として処理されることになります。
人身事故と認められないケースとしては、そもそも受傷が疑わしい場合の他、ケガと交通事故との因果関係が認められないと判断される場合などが考えらえます。
この場合、「人身事故証明書入手不能理由書」を保険会社に提出すると、人身事故扱いで補償が受けられることもあります。
人身事故証明書入手不能理由書とは、人身事故証明書を提出できない事情がある場合に、加害者側の保険会社に賠償金(保険金)を支払ってもらうための書類です。
加害者側の保険会社から用紙を取り寄せ、人身事故証明書を入手できない理由を書いて提出すると、物損事故扱いのままでケガの補償を受けることができます。
ただし、これはあくまでも軽傷の場合で人身事故扱いにできないときに補助的に使うための手段です。
人身事故の場合は、きちんと人身事故扱いにしておかないと後日の後遺障害等級認定(※)などで不利になるおそれがあります。
したがって、人身事故の場合はできる限り人身事故に切り替えるようにしましょう。
(※)後遺障害等級認定……交通事故によるケガで後遺症が残った場合に、所定の機関(損害保険料率算出機構など)により障害の部位や程度に応じた後遺障害等級を認定してもらうこと。これが認定されると、事故の加害者に対して後遺症慰謝料や逸失利益(=後遺障害のため得られなくなった将来の収入)を請求できるようになる。

【まとめ】人身事故への切り替えの届出については弁護士にご相談を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故には、大きく分けて人の死傷を伴わない物損事故と人の死傷を伴う人身事故の2種類があります。
  • 当初物損事故で届け出たものの、後日ケガの症状が出て人身事故に切り替えたい場合、切り替えの届出に期間制限はありません。しかし、できるだけ早く病院で診断書を作成してもらい、早めに警察に届けることが重要です。
  • 人身事故に切り替えるためには、診断書をはじめとする必要書類を担当の警察署に提出する必要があります。

交通事故で物損事故から人身事故への切り替えでお悩みの方は、弁護士へのご相談をおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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