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離婚調停とは?有利に進める方法、手続きの流れ、費用などを徹底解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「話し合ったけど離婚に合意してくれない」
「離婚することになったけど、養育費について合意できない」
離婚や離婚条件について、当事者で話し合って合意できればよいのですが、お互いの意見が異なったりして、合意に至らない場合もあります。

そのような場合には、家庭裁判所に対して、離婚調停を申立てることで、継続して離婚や離婚条件の話し合いをすることができます。

本記事では、

  • 離婚調停の概要
  • 調停を有利に進める方法
  • 離婚調停の申立方法や費用
  • 離婚調停の流れ

などについて、弁護士が詳しく解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

目次

離婚調停とは

離婚は話し合いによって離婚に合意できれば、離婚届を提出するだけで成立します。
しかし、話し合いによって離婚に合意できない場合には、調停や判決などによって、離婚する必要があります。
話し合いで合意できなかったけれども離婚したい場合、まずは家庭裁判所に調停を申立てて、裁判所で話し合って合意を目指します。これを離婚調停と言います。

離婚調停は、話し合い(協議離婚)では離婚できない(離婚自体合意できない、離婚の条件が折り合わないなど)場合でも、裁判所に離婚調停を申立てることで、調停委員(2名)と裁判官に、間に入ってもらって話し合いをし、調停で離婚に合意することを目指す家庭裁判所の手続きです。
裁判に比べて費用は少額(多くはない)です。
調停で話し合って合意した内容は、裁判所の判決と同じ法的効力を持つ「調停調書」にまとめられます。
調停調書は裁判の判決と同じ効力を持つため、当事者は、合意内容を守る法的義務があります。
金銭の支払い合意などの約束を守らない相手に対しては、強制執行をすることにより合意内容を強制的に履行させることが可能です。

合意できなかった場合には、調停は成立しません。その場合でも、審判で離婚できることもありますが、あまり審判離婚は利用されていません。調停・審判で離婚できない場合には、離婚訴訟を提起することになります。
離婚調停の正式名称は、「夫婦関係調整調停(離婚)」と言います。

夫婦関係については、離婚を希望する調停であっても、離婚だけではなく関係修復が可能かどうかも調整してみることも含まれるので、そのように呼ばれています。
夫婦関係に何らかの問題があるが、夫婦の関係修復を希望する、「夫婦関係調整調停(円満調整)」も申立てることもできます。円満調停であっても、関係が修復できずに離婚に至ることもあります。

参考:夫婦関係調整調停(離婚)|裁判所 – Courts in Japan

(1)調停委員会とは

離婚調停は、ほとんどの場合、調停委員会が担当して行われます。
調停委員会は、裁判官と調停委員2名の合計3名で構成されることが多いです。
調停委員は、弁護士、医師、大学教授、公認会計士などの専門家のほか、社会で幅広く活躍した有識者や地元の名士など、事案の内容を考慮して適切な人物が選定されます。

離婚は夫婦間の問題であるため、調停委員は、通常は男女各1名です。
実際に当事者が会って話し合うのは、調停委員2名であることが多いです。裁判官は、特に裁判官が話すことが必要だと考えたときや、調停成立時、不成立で終わるときなどに顔を合わせて話すのみ、という場合が多いでしょう。
「裁判官と会わないけど大丈夫か」と心配になるかもしれませんが、裁判官は、当事者とあまり会わないだけで、調停委員とは話し合っており、事案は把握しています。

参考:調停委員|裁判所 – Courts in Japan

(2)離婚調停で話し合われる主な内容

離婚調停で話し合える事柄は、離婚だけではありません。未成年の子がいる場合には、親権者、面会交流、養育費などについても話し合う必要がありますし、金銭面では、財産分与、年金分割、慰謝料なども話し合う必要があるでしょう。

調停が不成立になった場合、裁判所が調停に代わる審判をすることもできますが、審判はあまり利用されていません。
調停が不成立になると、基本的に、離婚するためには離婚を求めて訴訟を提起する必要があります(裁判離婚)

離婚調停を有利に進める方法

離婚調停を有利に進めるためには、自分の主張を調停委員会にしっかり伝えて、理解してもらう必要があるので、その方法を解説します。

(1)主張を整理する/証拠をまとめる

口頭では伝わりづらいこともあったり、誤解が生じたりすることもあるので、書面にまとめて、調停の期日前に提出しましょう。
話し合いたいことについて証拠がある場合は、用意しておき、写しを事前に提出するとよいでしょう。

  • 例)不貞行為:性行為がわかるような客観的な証拠(動画、写真、メール、SNS上のやりとり、録音、誓約書など)
  • DV:けがの写真、診断書、通院時の領収書など
  • 財産分与・養育費:相手方の預貯金口座、給与明細、源泉徴収票など
  • 親権:自分が主に子どもの世話をしていることや今後も世話を継続することができることを説明する陳述書、離婚しても子育てを手伝ってくれる人物(両親など)がいれば、その人物の陳述書など

(2)事前にリハーサルなど準備を行う

弁護士(弁護士に依頼している場合)、又は親族や友人に頼み、事前にリハーサルを行い、自分の主張が伝わっているかなどを事前に検討してみましょう。
準備した書面についても、信頼できる第三者に読んでもらい、内容が分かりやすいかどうか意見を聞いてみるとよいでしょう。
夫婦関係はプライベートにかかわるので話しにくいかもしれませんが、わかりにくい表現や曖昧な話し方だと自分の主張や思いが伝わりにくいので、事前に練習できるとよいと思います。

(3)調停委員に悪い印象を与えない

身だしなみや姿勢などにも気を配るようにしましょう。
基本的には、清潔できちんとした身なりを心掛けるようにします。
ただ、相手方がこちらを「浪費している」と責めることが想定されるような場合は、浪費と思われてしまうような高価な服やバックは身に着けない、というような配慮も必要です。
話をする際には、声のトーンやスピードなどにも気を配りましょう。
時間はありますから、落ち着いてゆっくり話すようにしましょう。

(4)法定離婚事由(民法770条1項)がある場合は伝える

次の法定離婚事由がある場合には、書面・口頭で伝えたり、証拠を提出したりすることで話し合いを有利に進められることがあります。
法定離婚事由があれば、裁判で離婚が認められるので、調停でも、調停委員が相手方に離婚を考えるよう説得してくれる場合があります。

  • 相手方に不貞行為があるとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

(5)弁護士に依頼する

専門家である弁護士は、スピード感をもって様々な書面の準備することができます。
また、弁護士は調停に本人と一緒に出席したり、代わりに出席したりして、自分の主張や考えをわかりやすく伝えることができます。
弁護士に依頼したとしても、本人も弁護士とともに調停に出席して本人の口から説明してもらうことも多いですが、緊張して、どのように話せばわからないときも、弁護士が同席していれば、必要なフォローをしてもらうことができます。

(6)離婚調停で気を付けたいコト(注意点)

離婚調停にあたり何点か注意点がありますのでご説明します。

(6-1)期日の決め方

離婚調停を申立てて1~2ヶ月すると、裁判所で話し合う第1回期日が指定されます。
第1回期日は、裁判所が申立てた側の都合のいい日(曜日)を考慮して指定します。
2回目の期日以降は、当事者双方の希望と裁判所の都合を考慮して決められます。

(6-2)申立てられた相手方は、調停を無視するのは避けたほうがよい

第1回の調停期日は、申立てられた相手方の都合は考慮されません。調停での話し合いを希望する場合で、第1回の調停期日の都合が悪く出席できないときには、事前に裁判所に欠席する旨連絡するようにしましょう。第2回の調停期日の希望日も複数伝えておくとよいでしょう。
第1回期日について、都合が悪く欠席したからといって、それだけで不利益を被ることはありません。

ですが、離婚調停を申立てられた側は、無断で欠席することは避けたほうがよいでしょう。調停が不成立となり、離婚訴訟となった場合、調停での態度が考慮され自分に不利になる可能性はゼロではありません。また、調停で事実無根なことを主張されるかもしれませんので、申立人側の主張を把握した上で適宜反論しておくべきだからです。

(6-3)離婚調停でも離婚できない場合は訴訟を提起する必要がある

離婚調停は、相手方が全く期日に出席せずに調停不成立となることもあります。相手方が出席したけれども、合意に至らずに調停不成立となることもあります。そのような場合は離婚訴訟を提起することになります。
基本的に、調停を経ずに訴訟を提起することはできません(これを、調停前置主義と言います)。
調停前置主義がとられているのは、離婚は家族間の事柄であるため、裁判という手段をとる前に、当事者の話し合いで解決すべきと考えられているためです。
ですので、相手方が話し合いに応じず調停に出席しないことが見込まれても、訴訟を提起する前に調停を申立てる必要があります。

(6-4)遅刻はしない

期日に遅れないよう、裁判所までの行き方を事前に調べておくようにしましょう。
裁判所の使用できる部屋は限られていますし、調停委員が同じ日に複数の調停を担当していることもあり、遅刻してしまうと、十分な話ができないおそれがあります。時間の余裕をもって、裁判所に到着できるよう、裁判所までの行き方を事前に調べておくとよいでしょう。

(6-5)合意内容は詳細まで詰める

合意内容が調書に記載され、調停が成立すると、調停の内容に不服を申立てることはできません。合意内容については、詳細まで話を詰めるようにしましょう。

(7)離婚をしたくない人の対応法

離婚を求めているパートナーは、いかに離婚が妥当な結論であるかを力説することになりますので、離婚をしたくない場合には、端的に離婚は希望しないことを明確にしましょう。
離婚調停であっても、調停委員会は、夫婦関係の修復が可能だと思われる場合には、夫婦関係修復のために調整することがあります。ですので、調停には真摯な姿勢で向き合うようにしましょう。

離婚原因などの主張に対して、正しくない点は冷静に、毅然と反論しましょう。事実無根の主張であっても、感情的に取り乱したりしないように気を付けましょう。口頭で説明すると、わかりづらかったり、不十分だったりすることがあるので、主張や意見は書面にまとめ、証拠があれば証拠も提出するとよいでしょう。

調停委員は、当事者がどのような人物なのか、主張は正しいのかどうか、この夫婦は夫婦関係を修復できる可能性があるのかどうか、などを考えながら当事者の話を聞いています。
夫婦関係修復のために努力していること、夫婦関係は破綻していないことを伝えるようにしましょう。

離婚調停を申立てるために必要な書類と申立先

離婚調停の申立てに必要な書類について解説します。

(1)夫婦関係調整調停(離婚)の申立書

申立書には、定型書式があるのでそれを利用しましょう。
申立てる家庭裁判所のホームページからダウンロードしたり、家庭裁判所を訪ねて直接もらったりするとよいでしょう。
次の裁判所ホームページからも、書式と記入例がダウンロードできます。

参考:夫婦関係調整調停(離婚)の申立書|裁判所 – Courts in Japan

申立書は、裁判所用原本、相手方用控え、申立人用の控え、計3通を用意する必要があります。申立ての際に、裁判所用原本と相手方用控えの計2通を裁判所に提出します。
申立書は原則として相手方に送付されます。申立書に、申立人の現住所を記載すると、相手方に現住所が知られてしまいます。DVの被害に遭い既に別居している場合などで、現在の住所を相手方に知られたくないようなときには、申立書の住所欄には、同居していた当時の(過去の)住所を記載するとよいでしょう。

(2)夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は、調停の当事者の婚姻の事実を確認するために必要です。
基本的に、本籍地の役所に出向いて取得します。郵送でも取り寄せることができますので、郵送で取り寄せる方法について、本籍地の役所のホームページを確認したり、電話で問い合わせましょう。基本的には、切手を貼って宛先を記載した返信用封筒、郵送用の申請書式、発行費用分の定額小為替(郵便局で購入)、身分証明書のコピーが必要となります。

(3)進行に関する照会回答書

家庭裁判所が、調停手続きの進行の参考とする目的で当事者に作成・提出を求める書面です。
当事者の期日出席の見通し、希望する曜日、警備の要否の判断に必要な情報などを記載します。
申立人は申立時、相手方は答弁書と共に提出します。相手方は、通常、家庭裁判所から第1回調停期日通知(呼出状)などとともに、封書で答弁書や、進行に関する照会回答書などの書式が届くので、その書式を利用して提出することが予定されています。申立人の主張を踏まえて、期限までに提出するようにしましょう。
進行に関する照会回答書は、相手方に開示されない取り扱いです。

DV等が原因で、当事者同士の同席を希望しない場合には、その旨も記載します。基本的に、離婚調停では、当事者の話は別々に分かれて聞きますが、調停開始時の手続き説明や、調停成立時は、当事者同席のもと行うものとされていますので、そのような場合も同席を希望しない場合には、事前に伝えておくようにします。

(4)事情説明書

家庭裁判所が調停手続きを円滑に進めるために必要な基礎的情報について、説明する書面です。
申立書は簡潔で必要十分な事項のみ記載することになっていますので、事情説明書には、申立ての内容について、申立書に記載できない細かな事情を記載します。
未成年の子どもがいる場合は、子どもの状況や考え、面会交流についての事情などを伝えるために、子どもの事情説明書も必要です。

相手方が事情説明書の開示を求めた場合には、閲覧謄写(裁判所で実際に見たり、コピーの交付を受けること)は許可される可能性が高く、相手方に開示されることになるでしょう。ただ、申立人も同じように、相手方が提出した事情説明書の開示を求めることができます。

(5)連絡先届出書

裁判所が、当事者の実際の連絡先を把握するための書面です。当事者は、連絡先(住所、電話番号)を届け出る必要があります。
相手方に現住所を知られたくない場合には、申立書に現住所を記載する必要はありませんが、連絡先届出書には現住所を記載して、裁判所に届け出ることになります。
連絡先届出書に、「非開示申出書」を添付して提出すれば、相手方に開示されません(相手方が閲覧謄写を希望しても、事件継続中は原則として許可されない)。

相手方に住所を知られたくない場合には、非開示申出書を添付して提出することを忘れないようにしましょう。
しかし、例外的な場合になりますが、婚姻費用の分担請求などの「別表第二事件」も申立てていて、調停不成立となり、婚姻費用の分担請求の審判手続きへの移行を希望するなどして、審判手続きに移行した場合には、原則として閲覧謄写が許可されて相手方に開示されることになるので、注意が必要です。

(6)その他、必要な書類

年金分割割合についての申立ても行うときには、「年金分割のための情報通知書」(発行から1年以内)の提出が必要です。情報通知書の請求手続きについては、年金事務所、各共済組合又は私学事業団の相談窓口に直接問い合わせます。
年金分割のための情報通知書は、申立書と共に相手方に送付されるので、原本と写しの計2通を裁判所に提出します。

年金分割のための情報通知書には、通常、情報を請求した者の住所が記載されるので、相手方に現住所を知られたくない場合には、現住所が記載されていない情報通知書を取得するとよいでしょう。具体的な請求方法は、年金事務所などに問い合わせます。取得できない場合には、相手方送付用の写しには、現住所がわからないように黒塗り処理をするようにしましょう。

養育費が必要な未成熟子がいる場合は、当事者の収入がわかる資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書、非課税証明書の各写しなど)を準備します。
財産分与を希望する場合は、夫婦の財産がわかる資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価額証明書、路線価、不動産業者による査定書、預貯金通帳写し、株式の取引明細書など)・別居中などで離婚するまでの婚姻費用を請求したい場合は、夫婦の収入がわかる資料(給与明細、源泉徴収票、確定申告書の写しなど)を準備します。

(7)離婚調停の申立先

原則として、相手方の住所地(住民票上の住所ではなく実際に住んでいる場所)を管轄する家庭裁判所に申立てます。
管轄は最高裁判所のホームページで調べることができます。

参考:裁判所の管轄区域|裁判所 – Courts in Japan

当事者同士が「この家庭裁判所で調停をする」と決めて合意していれば、本来の管轄以外の家庭裁判所に申立てが可能です(管轄について合意した書面を提出します)。

離婚調停にかかる費用

離婚調停にかかる費用を具体的に解説します。

(1)離婚調停にかかる費用は約3000円

項目費用
収入印紙代
  • 夫婦関係調整調停(離婚)
  • 養育費請求調停
  • 面会交流調停
  • 財産分与請求調停
  • 年金分割の割合を定める調停
  • 慰謝料請求調停
  • 婚姻費用の分担請求調停
(※1)
1200円
1200円(子ども一人につき)
1200円(子ども一人につき)
1200円
1200円
1200円
1200円
戸籍謄本(全部事項証明書)発行費用450円(郵送で取得する場合には別途郵送費などが必要)
切手代1000円程度(※2)
その他必要な資料についての取得費用資料によって異なる
※1 調停については、1件につき1200円の収入印紙が必要。例えば、離婚調停と婚姻費用分担調停を同時に申立てる場合には2400円(1200円+1200円)。申立てる件数が複数にわたる場合には、合計の印紙代について事前に家庭裁判所に問い合わせるとよい。
※2 申立てる家庭裁判所によって異なる。家庭裁判所のホームページに掲載されていることもある。100円切手2枚、というように切手の値段と枚数が指定されているので、購入する前に事前に家庭裁判所に問い合わせるとよい。

(2)弁護士に依頼する場合の費用(相場)は約70万~100万円

弁護士に依頼すると、別途弁護士費用も必要です。次の表は弁護士費用の参考です。実際の弁護士の費用は、事務所ごとに異なるので、不明な点は事務所に尋ねるようにしましょう。

項目費用
相談料1時間など一定時間は初回無料~1時間1万円程度
着手金(調停申立て依頼時に発生する費用)20万~50万円程度(※1)
日当(調停・審判期日への出頭費用)0~5万円程度(※2)
報酬金(※3)
  • 基本報酬金(調停・審判終了時に発生)
  • 成功報酬金(成功時に発生)
    離婚成立
    親権獲得
    慰謝料や財産分与など

20万~40万円

20万~50万円
10万~20万円
合意金額又は回収金額の10~20%
実費印紙代、切手代、交通費など
※1 離婚調停だけの場合と、婚姻費用請求調停も一緒に依頼する場合とでは、一般的に一緒に依頼する場合のほうが高くなる。依頼する案件が多くなったり、請求する金額が高額になったりすると、50万円以上になる場合もある。
※2 日当がかからない法律事務所もある。そのような場合、一般的に、着手金が少し高めになることが多いよう。3回までの期日出頭は無料や着手金に含まれるとして、4回目からは発生するなどと定めている事務所もある。また、裁判所に出向かず、事務所で電話やオンライン会議で裁判所の期日に対応することがあり、別途その費用について取り決めのある事務所もある。
※3 報酬金も事務所ごとに異なる。一般的に、着手金が低いと報酬金は高め、着手金が高いと報酬金は低めとなる傾向があるようだが、着手金と報酬金が同程度という事務所も多い。また、慰謝料や財産分与の額によって、成功報酬のパーセンテージが異なる場合がある。

(2-1)弁護士に依頼するメリット

離婚調停について自分で調べて、自分で対応することも可能ですが、時間や労力がかかります。仕事や子育てをしながら、締め切りまでに書面を準備するのは大変です。専門家に依頼すれば、事情を伺った上で、締め切りまでに裁判所に提出する書面などを作成できるので、離婚の手続きなどにかかる時間や手間を最小限にすることができます。
また、離婚など家族に関することはどうしても感情的になりがちですが、弁護士が入ることで、法的観点から冷静かつ論理的な主張・反論が可能です。

当事者同士で接触したくない場合には、弁護士によりますが、調停外の相手方とのやりとり(別居中の私物の取り寄せや、子どもについて緊急に話し合って解決すべき問題について話し合うなど)も弁護士が対応できる場合があります。

(2-2)弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼する場合のデメリットとして、次の点を挙げることができます。

  • プロに依頼するので当然ではあるが弁護士費用が発生する。
  • 弁護士は結果を保証できない。希望した成果を獲得できないこともある。
  • 弁護士であっても得手不得手がある。経験豊富で専門部署がある弁護士事務所に依頼するなど、弁護士選びには注意が必要になる。

離婚調停の流れ(時間)

離婚調停の開始から終了までの流れを解説します。
開始から終了までの流れは次のようになります。

離婚調停の申立てと調停期日の調整

家庭裁判所から呼出状の通知

第1回調停期日

第2回以降の調停期日

離婚調停の終了

開始から終了までの期間は3~6ヶ月程度で、その間の調停期日は2~4回程度です。案件によってはそれ以上かかることもあります。

(1)離婚調停の申立てと調停期日の調整

管轄の家庭裁判所に申立書類一式を提出します(持参又は郵送)。
家庭裁判所は、調停の申立てを受理した後、事件番号を付与して、担当裁判官、担当調停委員を決めます。
その後、第1回調停期日を調整します。
申立てて1~2ヶ月後に第1回調停期日が指定されます。その後は1ヶ月に1回程度の期日設定となることが多いです。

(2)家庭裁判所から呼出状の通知

第1回調停期日が決まると、家庭裁判所から申立人・相手方に呼出状(通知書)が送られます。
相手方は、期限までに、通知書に同封されている答弁書等に記入して、期限までに家庭裁判所に送付します。

(3)第1回目の調停

当日は、期日通知書・印鑑(認印で可)・身分証明証を持参しましょう。
申立人と相手方の待合室は別々なので、それぞれの待合室で、調停委員に呼ばれるまで待ちます。

初めに、調停委員から、当事者双方立会のもと、離婚調停手続きについて説明があります。
ただ、DVなどで双方立会を避けたい理由があって、別々の説明を希望する場合には、別々に手続きの説明が行われます。弁護士に依頼して弁護士が同席している場合は、弁護士から説明を受けているものとして、説明が省略される場合もあります。
調停委員が、申立人、相手方からそれぞれ話を聞きます(30分~1時間程度ずつ)。申立人→相手方→申立人→相手方という流れが多いです。

第1回調停期日で合意が成立せず、調停成立とならない場合には、調停期日を続行するかどうかを検討します。相手方が第1回期日には欠席したけれど、第2回期日には出席することが予定されている場合や、継続して話し合いの余地がある場合などは、続行となります。
続行となった場合には、第1回期日の話し合いの進展や当事者双方の次回期日までの検討事項、事前に準備する資料、提出書面などを確認し、次回の調停期日を調整します(約1ヶ月後)。
第1回調停期日にかかる時間は、相手方が出席すれば3時間程度です。

(4)第2回目の調停以降

申立人・相手方がそれぞれ1~2回調停室に呼び出され、話し合います。
第1回期日は申立人から話を聞くことが多いので、公平の観点から、2回目は相手方から話を聞くことが多いです。
話し合いが終わらず、調停を続行する場合には、第1回期日と同じように次回期日までの検討事項などを確認し、次回期日を調整します(約1ヶ月後)。

(5)家庭裁判所調査官(家裁調査官)の調査

親権や面会交流など、子どもに関する件についても調停を申立て、当事者間に主張や意見の対立がある場合には、家裁調査官による子の状況などの調査が実施されることがあります。
これは、どちらに親権を認めたら子の福祉にかなうか、どのような面会交流が子の福祉にかなうかという観点から、専門家が調査を行うものです。

調査が実施される場合には、家裁調査官は、案件を把握するために、調停委員と共に期日に立ち会って当事者の話を聞くことがあります。家裁調査官は、子どもの行動科学や心理の専門家で、家裁調査官の調査とは、調停期日外で、家裁調査官が自宅を訪問して子の様子を調査したり、家庭裁判所内で親との面会の様子を調査したり、学校などの関係機関に問い合わせたりするものです。
案件によって、調査の方法や内容は異なり、調査結果は書面で報告されます。

(6)離婚調停の終了

  1. 調停成立
    当事者が納得できる合意ができ、合意内容も相当であるときは、調停条項として調書に記載され、調停成立となります。
    どれくらいの確率で離婚調停が成立するのでしょうか。
    下記の統計によれば、2020年度の離婚調停の申立件数が3万6399件で、そのうち約1万6356件で調停離婚が成立しています。
    およそ半数弱で、調停が成立していることになります。
    調停成立時は、調停委員のほかに、裁判官と書記官も立ち会います。
    裁判官が合意内容(調停条項)を読み上げるので、間違いがないかよく確認するようにしましょう。

    調停調書については、忘れずに謄本を郵送してもらうようにします。基本的に、書記官から「謄本を作成しますか」、「謄本は郵送でいいですか」などと聞かれるので、お願いしますと答えて、申請用の書面をもらいましょう。離婚届提出用に1通必要なので、自身の保管用1通を含めて、最低2通の謄本作成を申請するとよいでしょう。
    謄本作成には費用がかかるので、調停成立が見込まれる場合には、事前に準備して持参しておくとよいです。家庭裁判所の近くにコンビニがあれば、書記官に費用を確認した後でそのコンビニで印紙や切手を購入し、提出することもできます(コンビニによっては収入印紙がおいてなかったり、おいてあっても金額が限られていたりするので注意しましょう)。
    費用は、収入印紙が、調書1ページあたり150円(2通申請する場合は×2)、郵送用切手が84円(調書のページ数が多くなる場合は94円)で、住所氏名を記入した返信用封筒も必要です。

    家庭裁判所が遠くなければ、後日謄本を取りに行くこともできます。その際には、収入印紙のほかに、身分証明書と認印を持参しましょう。
    調停離婚が成立したら、成立日から10日以内に、離婚届を提出する必要があります。その際には、調停調書謄本も提出する必要がありますので忘れずに持参しましょう。

  2. 調停不成立(不調)
    相手方が期日に出席せずに話し合い自体ができなかったり、出席はしたけれども話し合っても合意できなかったりして、審判もなされない場合には、調停は不成立として、調停手続きは終了します。
    参考サイトによれば、離婚調停の件数が約3万6399件で、そのうち9318件で不成立となっています。

  3. 申立人による調停取下げ
    申立人はいつでも調停を取り下げることができるので、取下げによって調停手続きが終了することもあります。取下げの理由は様々です。例えば、調停外で協議離婚が成立したり、夫婦関係が修復したりすると、調停が取り下げられます。
    参考サイトによれば、離婚調停の件数が約3万6399件で、そのうち6758件が取下げとなっています。

参考:令和2年度 第15表 姻関係事件数 終局区分別申立人及び申立ての趣旨別 全家庭裁判所|裁判所 – Courts in Japan

(7)調停が不成立となったら、離婚するために離婚裁判

調停が成立しない場合、離婚するためには、審判又は裁判で離婚が認められることが必要です。
調停が成立しない場合でも、調停に代わる審判によって離婚が認められる場合があります。しかし、審判離婚は離婚に合意しているものの細かな事項で合意できず当事者が裁判所に判断を任せている場合など、例外的に利用されています。異議を申立てれば効力がなくなることもあり、審判離婚が利用される場合はあまりありません。

調停が不成立となった場合には、離婚するために、離婚訴訟を提起する必要があります。話し合いが主体の調停とは異なり、裁判は、法律的知識を有することを前提とした主張及び証拠の提出が求められるため、弁護士に依頼すべきでしょう。

予想される調停委員からの6つの質問項目

調停委員からなされることが多い質問を紹介します。当日は緊張すると思いますので、事前に確認して伝えるべき内容を準備しておくとよいでしょう。

(1)結婚した経緯について

出会った経緯、結婚した経緯について簡潔にまとめて伝えます。
離婚に向けての話し合いなので、離婚につながる話があれば、忘れずに伝えるようにしましょう(例えば、DVが理由で離婚したいのであれば、結婚前から暴力はあったので結婚するかどうか悩み、もう二度としないと誓ったので結婚したのに、暴力は止まなかったなど)。

(2)離婚を決意することになった理由について

離婚に至る経緯を、時系列にまとめてわかりやすく伝えます。書面化して、写しを提出すると、よりわかりやすいでしょう。
実際に話をすると、感情的になってしまうかもしれませんが、冷静に端的に事実を伝えるよう努めましょう。

(3)夫婦関係修復の可能性について

離婚を希望していても、調停委員は、夫婦関係修復が可能かどうかも検討します。
ですので、法定の離婚事由があれば説明し、夫婦関係の修復に努めたが、修復はできなかったし、今後も無理だと考えていることを説明しましょう。
安易に決断したわけではなく、熟考の上、離婚せざるを得ないという判断になったことを、自分の言葉で説明しましょう。

(4)具体的な現在の夫婦関係について

離婚やむなし、という現在の夫婦関係をありのまま伝えます。
不貞が原因であれば、不貞相手や人数、不貞の内容、配偶者の態度(浮気を認めているかどうか、反省しているかどうかなど)などを説明します。
DVが原因であれば、暴力の内容、被害の程度、被害の場所、通院状況、警察への被害報告などを説明します。
既に別居している場合は、別居に至った経緯を伝えるようにします。
恥ずかしい、言いにくいからという理由で、伝える事実を曖昧にしないようにしましょう。

(5)財産分与や養育費、親権などについて

財産分与や慰謝料、婚姻費用などお金にまつわる事については、可能であれば具体的な数字(希望額)とその根拠を示して話をします。
親権については、子どもの福祉のために、なぜ自分が親権者として指定されるべきだと考えるのか、具体的に、自信をもって伝えるようにしましょう。

養育費・婚姻費用については、事前の合意があればその額を支払うように、合意がなければ希望額を伝えます。養育費・婚姻費用については、裁判所が公表している算定表があるので、最低でもその額を主張するとよいでしょう。
話し合う事柄について、根拠となる証拠を持参できれば、説得力が増します。

(6)離婚した後の生活について

親権についての調停を申立てたときは、子どもの福祉にかかわるので、特に、離婚した後に住む場所や仕事など、調停後の生活について細かく聞かれることが多いです。
専業主婦(夫)やパートタイムで収入が低い場合には、今後仕事して収入を増やす予定であることをアピールできるとよいでしょう。
子どもがまだ幼くて働けない場合でも、実家を頼ったりすることができるのであれば、その旨を説明しましょう。
また、離婚後の生活を具体的に説明できれば、離婚への本気度を伝えることができるでしょう。

【まとめ】離婚調停は、第三者が間に入って話し合いで離婚の合意を目指す手続き

本記事をまとめると次のようになります。

  • 離婚調停とは、話し合い(協議離婚)では離婚できない(離婚自体合意できない、離婚の条件が折り合わないなど)場合でも、裁判所に離婚調停を申立てることで、調停委員(2名)と裁判官に、間に入ってもらって話し合いをし、調停で離婚に合意することを目指す家庭裁判所の手続き
  • 離婚調停を有利に進めるためには、自分の主張を調停委員会にしっかり伝えて、理解してもらう必要がある。事前に主張や証拠をしっかりと整理し、リハーサル等を行うことが重要となる
  • 離婚調停の第1回目の期日は、調停を申立てた側の都合のみが考慮される点に注意が必要
  • 調停で離婚の合意に至らなかった場合には、訴訟を提起する必要がある

離婚調停では、事前にしっかりと準備して調停委員に的確な内容を伝えることが必要です。
調停の段階で、法律知識を有する弁護士のサポートを受けて手続きを進めたほうがよいでしょう。弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。

  • 期日で弁護士が同席してくれる
  • 本人が話しにくいことでも弁護士が説得的に説明できる
  • 本人が感情的になって、話題がそれてしまったり、自分に不利なことを話しそうになったりしても、弁護士が同席していればフォローすることができる
  • 調停の段階で、訴訟を見越した主張書面と証拠の提出をすることができる
  • 紛争の長期化を希望しない場合には、相手方と交渉し、話し合いで譲るところは譲るなど、早期解決のためのアドバイスができる

離婚調停を検討しているが自分でするのは不安に思っている方、突然裁判所から連絡がきて困っている方は、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所への相談をご検討ください。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)


さらに、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることはありません(2023年1月現在)。

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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