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精神的苦痛で慰謝料請求が成立するケースについて弁護士が解説

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リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

物が壊れるように、身体が傷つくように、心もまた傷を負います。
心の傷は目には見えませんが、傷を負って泣き寝入りしてしまうのでは、その傷が癒えるまでに長い時間がかかります。

法は、このような心の傷に対して慰謝料の請求を認めています。

例えば、配偶者の不倫やDV、職場でのパワハラやセクハラなどによって受けた精神的苦痛に対しては慰謝料請求が認められる可能性があります。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 慰謝料請求が認められる可能性のある精神的苦痛の例
  • 精神的苦痛で慰謝料請求が成立するケース
  • 精神的苦痛で慰謝料請求をする方法
この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

精神的苦痛に対する慰謝料とは

「慰謝料」とは、精神的苦痛に対する損害賠償請求のことです。

民法では、他人の行為によってケガをした場合やお金を損した場合などにその他人に対して損害賠償金を請求できると定めています(民法709条、710条)。

慰謝料請求が成立する可能性のある4つの例

お金を損してしまった場合や、ケガをした場合などとは異なり、残念ながら精神的苦痛は目に見えません。

そこで、精神的苦痛で慰謝料が請求できるかは、「精神的苦痛がどれくらいか」というよりも、「どういった行為を受けたか」をみて判断することになります。

ここで、精神的苦痛で慰謝料請求ができる可能性のある具体例について見ていきましょう。

  1. 配偶者や恋人から受けるDV(精神的DVや経済的DVを含む)
  2. 配偶者の不倫や浮気
  3. 職場でのパワハラやセクハラ
  4. SNSで悪口を書かれた     など

(1)配偶者や恋人から受けるDV(精神的DVを含む)

配偶者や恋人など親密な関係にある、または、あった者から振るわれるDVの場合には、慰謝料請求ができる可能性が高いといえます。

DVには、主に次の3種類があります。

  • 暴力を伴う身体的DV
  • 【例】
    • 首を絞められる、殴られる、叩かれる
  • 心無い言動や態度によって相手を傷つける精神的DV(モラハラ)
  • 【例】
    • 嫌がっているのに性行為を強要する
    • 見たくないのにポルノビデオや雑誌を見せる
    • 避妊に協力しない
  • 相手の金銭的な自由を奪い、精神的負担を与える経済的DV
  • 【例】
    • 生活費を渡さない、渡す際に過剰にへりくだることを要求する
    • 自由に使えるお金を認めない
    • 借金を作る、借金をすることを強制する

DVやモラハラをする配偶者から離婚する方法や慰謝料請求する方法についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

DV夫と離婚するために取るべき行動とは?慰謝料についても解説
家庭内で起こるモラハラ(モラルハラスメント)とは?5つの対応策を解説
生活費をくれない夫!モラハラ&経済的DVの対処法

(2)配偶者の不倫や浮気

法律上、婚姻は一種の契約とされており、その契約内容として夫婦は互いに「貞操義務(配偶者以外の者と性的関係をもたない)」を負います。

そのため、貞操義務に違反し、既婚者が不倫や浮気に及んだ場合、不倫や浮気を行った配偶者や不倫の相手に対し、は、慰謝料請求ができる可能性があります(慰謝料請求が成立するケースについては後で説明します)。

(3)職場でのパワハラやセクハラ

職場のパワハラやセクハラによる精神的苦痛に対しても、慰謝料請求が認められる可能性があります。

  • パワハラ
  • 【例】
    • 上司からの度重なる暴力や暴言で身体的・精神的に参ってしまった場合
    • いつも大声で怒鳴る上司に恐怖するあまり本来の能力を発揮できなくなった場合
    • 長期的に周囲から無視されて、身体的・精神的に不調をきたした場合
    • 長年にわたって能力に見合わない簡単な業務ばかりを与えられたりして就業意欲を失ってしまった場合
  • セクハラ
  • 【例】
    • 上司が部下に性的な関係を要求したが拒否されたので、その労働者に不利益となるような配置転換をした
    • 出張中の社内で上司が部下の腰や胸に触ったところ、抵抗されたので、その労働者を降格させた
    • オフィス内にヌードポスターが掲示されていることを従業員が苦痛に感じ、業務に専念できない
    • 同僚によって、自分の性的な情報を意図的かつ継続的に取引先にバラされたため、苦痛を感じ、仕事が手に付かない

パワハラやセクハラによる慰謝料請求が認められた裁判例について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

(4)SNSで悪口を書かれた

SNSでの誹謗中傷での精神的苦痛に対しても、慰謝料請求が認められる可能性があります。実際、SNSの誹謗中傷を理由に慰謝料を認めた裁判例も多数あります。

SNSの悪口についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

SNSで誹謗中傷されたら?3つの対策をアディーレの弁護士が解説
何を言ったら侮辱罪になる?被害にあったときの対処法も解説

ここでの具体例に当てはまらなくても精神的苦痛と評価される可能性があります。
精神的苦痛とされるかについて迷った場合には、一度弁護士に相談すると良いでしょう。

精神的苦痛で慰謝料請求できるケース

精神的苦痛で慰謝料請求をするためには、「違法に他人に精神的苦痛を与えた」ことが必要です。

相手の行為が、適法で許されるものであれば慰謝料請求はできません。

ここでは、次の4つの場合に、違法なものとして慰謝料請求ができるケースを見ていきましょう。

  • 不倫や浮気に対して慰謝料請求をする場合
  • 離婚に対して慰謝料請求をする場合
  • 不当解雇に対して慰謝料請求をする場合
  • 交通事故でのケガに対して慰謝料請求する場合

それぞれの場合の請求できるケースについて説明します。

(1)不倫や浮気に対して慰謝料請求する場合

配偶者や不倫・浮気相手に対して不倫や浮気で慰謝料請求する場合には、原則、配偶者と不倫・浮気相手に「肉体関係」があることが必要とされています。
そのため、単にデートしているだけであれば、慰謝料請求できない可能性が高いでしょう。

不倫や浮気に対して慰謝料請求する場合に必要となる条件や準備について、さらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

不倫の慰謝料請求は離婚しなくてもできる?慰謝料の相場や事例を紹介

(2)離婚に対して慰謝料請求する場合

離婚するときにも、離婚自体が精神的苦痛を発生させるものとして、相手に慰謝料請求できると考えられています。

ただし、離婚したからといって、常に慰謝料が認められるわけではありません。

例えば、配偶者による不倫やDV、モラハラや生活費不払いなどを理由に離婚した場合には、配偶者に対する離婚慰謝料の請求が認められます。

一方、離婚した原因が夫婦双方にある場合や性格の不一致にある場合には、離婚に対する慰謝料請求は認められません。

<コラム> 精神的苦痛を受けたことを理由に離婚することも認められる

精神的苦痛は慰謝料発生の理由ともなりますが、継続して精神的苦痛を与えられた場合には、慰謝料請求のほか、「婚姻の継続が困難な重大な事由がある」とされ、法的な離婚原因となり得ます。
特に夫婦間のDVといったものであれば、金銭的な賠償が得られれば、それで済む問題ではありません。
今後も継続した関係が続くことを念頭に、離婚も選択肢として考える必要があるでしょう。

(3)不当解雇に対して慰謝料請求する場合

会社から不当解雇された場合にも、慰謝料請求できる可能性があります。
ただし、不当解雇の場合にも、必ず慰謝料が発生するとは限りません。

パワハラやセクハラを受けて不当な取扱いを受けた末に解雇されたケースなど、会社の対応が非常に悪質な事案で慰謝料が認められると考えましょう。

不当解雇と不当解雇に対する対処法についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

解雇が無効となる場合とは?不当解雇への対処法も解説

(4)交通事故でのケガに対して慰謝料請求する場合

交通事故でケガした場合、交通事故でケガしたことによる精神的苦痛に対して慰謝料請求が可能です。一方、交通事故でケガをするまでは至らなかった場合(車が故障した場合も含む)では、被害者が、車が故障したことに精神的苦痛を感じたとしても、原則慰謝料請求することは認められていません。

交通事故の慰謝料の相場についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

慰謝料が高額化する可能性がある場合とは

精神的苦痛を受けたことについて、加害者に重い責任がある場合や、被害者側の精神的苦痛が通常のケースより大きいと裁判所が認めるような場合には、慰謝料が高額化する可能性があるといえます。

例えば、次のようなケースには慰謝料が高額化する可能性があります。

  • 行為が悪質(DVやパワハラやセクハラについて度が過ぎているなど)
  • 精神的苦痛を与える行為が長期間にわたって繰り返し行われていた
  • 被害者が精神病(うつ病など)になり、病院に通院中である など

ここで、不倫や浮気に対する慰謝料が増額する場合と、減額してしまう場合を見てみましょう。

不倫や浮気に対する慰謝料を増額する可能性がある場合

不倫や浮気に対する慰謝料は、不倫や浮気の期間や肉体関係の回数などによって慰謝料が増額する・減額してしまうことがあります。

そして、増額する事情がたくさんある場合には、慰謝料が高額化する傾向にあります。

例えば、慰謝料が増額・減額される要素は次のようになります。

不倫や浮気の慰謝料の金額についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

不倫の慰謝料金額の決め方についてくわしく解説【高額請求の2つの裁判例も紹介】

精神的苦痛による慰謝料請求の3つの方法

慰謝料請求は大まかに次のような流れで進みます。

話し合いの中で慰謝料請求

裁判所の調停手続を利用する

慰謝料請求で裁判を起こす

それぞれ説明します。

(1)話し合いの中で慰謝料請求

慰謝料請求をし、慰謝料の支払いについて当事者同士で話し合う方法です。

話し合いの中では、どのような事実関係があったのか、どのような被害が生じたのかをお互いで確認し、慰謝料の支払い意思があるかを確認します。

また、DV、不倫・浮気やハラスメントが行われている状況であれば、それをやめるよう求めることになります。

ただし、DVやハラスメントを受けている場合など、自分で直接相手と話し合いを持つことが難しい場合や、直接自分で話しても相手は聞く耳を持たないと思われる場合には、弁護士から内容証明郵便で通知書を送ってもらうと良いでしょう。

(2)裁判所の調停手続きを利用する

話合いが上手くいかない場合には、裁判所を仲介者にして話し合う調停という手続きが利用できます。

調停は裁判所を通してする手続きで、調停委員が選任され、当事者の話を交互に聞いて、妥当な案を示してくれるシステムです。その際に慰謝料についても話し合うことが出来ます。

ここで事案を整理し、調停案にお互い納得できれば、合意内容をまとめた調停調書が作られ、手続は終了します。

話合いで合意ができない場合には、調停は不成立となります。慰謝料を請求するためには、裁判手続きを選択することになります。

(3)慰謝料請求で裁判を起こす

話合いや調停で納得できる結論が出ない場合には裁判をすることになります。

裁判では、訴状や証拠書面を作成するなど、知識と手間が必要になります。

どのような精神的苦痛を受けたのかなどをこれまでの裁判例や法的知識を前提に、裁判官に説得する形で主張し、証拠を提出することが必要になります。

裁判の可能性があれば、出来る限り早い段階で弁護士に相談に行くことをお勧めします。

慰謝料請求するには「証拠集め」がポイント

精神的苦痛それ自体は目には見えないものです。
そのため、精神的苦痛を理由として慰謝料を請求するためには、それが裁判官や相手方にも分かるよう、精神的苦痛を受けた証拠を集めることが大切です。

例えば、次のような証拠を集めてみることをおすすめします。

証拠内容
録音・録画、診断書DVやパワハラやセクハラの場合は、録音や録画で相手からされたことを残しておくことをおすすめします。
うつ病になり、診療内科で治療をした場合は診断書をとっておくのも良いでしょう。特に診断書は比較的容易に入手が可能な上、精神的苦痛の立証として強いものです。
写真・メール、通話履歴など不倫・浮気の場合は、不倫・浮気の写真、メールなどを集めることも考えられます。
電話の履歴や通話記録、その他、LINEやSNSで不倫の事実が推測できる記載が見つかるのであれば、集めておきましょう。日付を入れた状態で相手の携帯の画面を撮影して証拠にしておくといった工夫をしておくと、いつのことなのかがわかります。
通帳のコピーや家計簿、レシート生活費を入れてもらえないといった経済的DVの証拠としては、通帳のコピーや家計簿、レシートなどをとっておくことが大切です。
相手の言動の日時と内容を詳細にメモする相手の言動や日時をメモしておくことは全ての場合においておすすめです。
相手方がどのような暴言を放ったか、それを逐一メモしておいたものが証拠として価値が認められる可能性があります。
継続的で詳細なものほど証拠としての信用性が高まります。

これらの証拠が集まったら、これらの証拠で慰謝料請求が可能かどうか弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

【まとめ】精神的苦痛に対しては慰謝料請求を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 慰謝料請求が成立する可能性のある4つの例
  1. 配偶者や恋人から受けるDV(精神的DVや経済的DVを含む)
  2. 配偶者の不倫や浮気
  3. 職場でのパワハラやセクハラ
  4. SNSで悪口を書かれた など
  • 精神的苦痛を受けたことについて加害者に重い責任がある場合や被害者側の精神的苦痛が通常のケースより大きいと裁判所が認めるような場合には、慰謝料が高額化する可能性がある。
  • 慰謝料請求をする場合には、1.話し合いの中で慰謝料請求、2.裁判所の調停手続を利用する、3.慰謝料請求で裁判を起こす、3つの方法をとることが一般的。

精神的苦痛は、誰かに相談すること、助けを求めることが大事です。
信頼のおける人に相談し、一人で抱え込まないようにしましょう。

ただ、知り合いには言いづらいこともあるかもしれません。
その場合には、医師や弁護士などの専門家に相談することにより、解決への糸口が見つかるかも知れません。

精神的苦痛による慰謝料請求についてお悩みの方は、一度男女問題や労働問題などをとり扱う弁護士への相談をおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。