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家庭内で起こるモラハラ(モラルハラスメント)とは?5つの対応策を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「パートナー(夫や妻)から、毎日ひどいことを言われる。これはモラハラ?」

モラハラ(モラルハラスメント)は、一般的に、精神的な嫌がらせや暴力を意味するものと捉えられています。
モラハラを受けていても受けた本人がモラハラとは気づけない場合もあり、被害が日に日に大きくなっていくケースもあります。
そのため、モラハラに該当する可能性があるような言動をあらかじめ知っておくことが重要です。

また、モラハラを受けた場合には、モラハラの証拠を集めたり、支援窓口、医師やカウンセラーなどに相談する等の対応が重要となります。

本記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • モラハラとは?
  • モラハラといえるような主な言動
  • モラハラに遭った場合にとるべき5つの対応策
  • モラハラ相手に要求できること
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

目次

モラハラとは道徳に反した嫌がらせのこと

モラハラとは、モラルハラスメントの略です。
モラルは道徳や倫理、ハラスメントは嫌がらせなどの意味をもった言葉ですが、モラハラは、一般的には、配偶者や恋人など親密な関係にあるパートナーから繰り返される精神的な嫌がらせや暴力を意味するものと捉えられています。
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)では、「配偶者からの暴力」を、次のように定義しています。

  1. 身体に対する暴力
  2. これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動

モラハラの一般的な意味を考慮すると、モラハラは、この2に該当する可能性がある行為といえます。
具体的には、次のような行為です。

  • 大きな声で怒鳴る
  • 人格を否定する
  • 実家や友人との付き合いを制限する
  • 仕事や外出を制限する
  • 知り合いの前でバカにしたりうそをついたりして貶める
  • 生活費を渡さずに経済的に苦しめる
  • 大切なものを壊したり捨てたりする
  • 存在自体を無視する  など

参考:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法)|内閣府 男女共同参画局

(1)なぜ家庭内でモラハラが起きてしまうのか?モラハラをしやすいタイプ

モラハラを起こしやすいタイプには、次のような特徴がみられやすいと言われています。

  • 自己中心的であり、自分の視点から判断することしかできない(パートナーの視点を考慮しない、否定する)。
  • 常に自分が正しく、パートナーは間違っていると思う。
  • パートナーが間違っているから、正しい自分に従うべきだと思う。
  • 自分が不愉快になったり、不幸だったりするのは、自分ではなく他の誰か(主にパートナー)の責任であると考える。
  • 小さなミスでも見逃さず、大事のように責め続けてパートナーを屈服させる。
  • 自分は立派な素晴らしい大人になりたいと思っており、実際にそのように装うので、外面はよい。

日々のストレスから、ついつい家庭内でパートナーを責めて傷つけるようなことを言ってしまった、ということは、誰しも経験したことがあるでしょう。
通常であれば、相手が傷ついていることに気づけば、「間違っていた」「言い過ぎた」などと反省・後悔し、次は気をつけようとするはずです。

しかし、モラハラをするような人は、人を傷つけて支配することで、自分の心の安定を得て満足する傾向があります。間違っていたなどとは思わず、反省・後悔することもなく、同じことを繰り返します。

(2)モラハラされやすいタイプの特徴

モラハラをされやすいタイプには、次のような特徴がみられやすいと言われています。ただし、モラハラを受けた結果、委縮してしまいこのような特徴が生じることになってしまった、というケースも多いです。

  • 場を収めるために、自分が間違いを認めたり謝ったりすることが多い。
  • 自分の考えや意見をパートナーに伝えても否定・非難されることが多く、考えや意見を伝えることをやめてしまった。
  • 自分の希望を伝えると、パートナーが怒り出して不愉快になるので、自分の希望は後回し。
  • 自分の行動の基準が、「自分がしたいかどうか」ではなく、「パートナーが気に入る(怒らない)かどうか」になっている。
  • パートナーの間違いに気づいても、笑って同意して、間違いを指摘できない。
  • パートナーが不機嫌になるので、実家や友人と距離を置くようになり、相談できる人がいない。
  • パートナーが自分を傷つけるのは、自分に原因があり、自分が悪かったせいだと思う。

モラハラを受けやすい性格については、はっきりとは言うことはできないように思われます。
モラハラを受け続けると、どんな性格であっても、心が深く傷つき、自信を失い、常にパートナーの顔色をみながら、自分を押し殺して生活することを強いられるようになります。
モラハラをするパートナーは、そのように相手方をコントロールすることで、自分の心の安定を得て、いびつな自尊心を満足させているのです。

ただ、被害者の性格によっては、いち早くモラハラを受けていることに気づいて、そこから脱却することができるかもしれません。

(3)モラハラによって引き起こされる病状

モラハラの被害を受けている当初は、「パートナーは疲れているから不愉快なのだろう」「私が悪かったからひどいことを言ったのだろう」などと思い、モラハラを受けている事実、それにより心が傷ついている事実に気づかないことも多くあります。
モラハラを受け続けたことが原因で、心身に次のような症状が出ることもあり、被害が深刻になるケースもあります。

  • うつ病
  • 適応障害
  • 睡眠障害
  • 頭痛、腹痛
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 過呼吸
  • 動悸・息切れ  など

モラハラとパワハラの違い~おこなわれる場所と暴行の有無~

モラハラと似て異なるのは、パワーハラスメント(パワハラ)ですので、少し説明します。
パワハラは、モラハラと同じように法律上の定義はありませんでしたが、パワハラによる自殺など痛ましい事件が社会問題化して対策の必要性が広く理解されることとなり、労働施策総合推進法が改正され(2020年6月1日施行)、法律上、パワハラの考え方が明確になりました。

法律によれば、パワハラとは、次のことを言います。

優越的な関係に基づいて、業務上必要かつ相当な範囲を超えて、労働者の就業環境を害されるもの

モラハラは、パワハラと比べて、次のような特徴があります。

モラハラは言葉や態度などで相手に嫌な思いをさせる行為(精神的暴力)で身体的暴力は含まない。パワハラは精神的暴力と身体的暴力を含む。
モラハラは職場に限らず、家庭内や友人知人の間でも起こりえる。パワハラは勤務先・出向先など仕事に関連して、優越的な関係を利用して行われる。

参考:NO パワハラ なくそう、職場のパワーハラスメント|政府広報オンライン

家庭内でモラハラととれる主な言動

家庭内で次のような言動がある時は、それはモラハラかもしれませんので、注意してみるようにしましょう。
客観的にみると、このような行動をとる側が悪い(モラハラをする側が悪い)とわかるのですが、当事者だと、そのことに気づかず、モラハラをされている側が自分を責めてしまうことがあります。

(1)パートナーをおとしめる

友人や親族、ご近所の方などの前で、パートナーをおとしめたりバカにしたりする言動をとる。
友人や親族、ご近所の方などの前で、パートナーの失敗や間違いを延々と攻めたり、笑いの種にしたりする。

(2)暴言を吐く

日常的に、価値観や自信を傷つけるようなひどい言葉を投げつけて、精神的に相手を傷つける。
自分が暴言を吐いてパートナーを傷つけて満足したいだけなので、暴言に理由はないし、理由があっても一貫性がない。

(3)常に相手を否定して認めない

相手の意見や考え、希望を否定し、相手に、自分の意見の間違いを指摘されたり、意に沿わない希望を伝えられたりすると、不機嫌になったり怒り出したりする。
作ってもらった料理に対して、ほめたり感謝したりすることはなく、「食べられない」「まずすぎる」「これが足りない」などと非難する。
相手の意見を踏まえて努力しても、その努力を認めないばかりか、さらに非難される。
相手が謝っても許さなかったり、無視したりする。

(4)うそをつく

パートナーについてうそを広めて、その評判を貶める。
パートナーの友人や親族にも、事実を歪曲して、パートナーに悪印象をもたせる言動をとったりする。

(5)自分を正当化して間違いを認めない

常に自分の考えは正しく、その結果、想像通りにいかず失敗したり間違ったりしても、その原因は自分ではなく、パートナーにあるという態度を取り続ける。
整合性・一貫性のないことを言い続け、それを指摘すると憤慨したり、逆に責めたりする。

(6)パートナーに異常に嫉妬したり、束縛をしたりする

SNSやメールでの頻繁な連絡を命じ、従わないと不機嫌になって怒る。
事前に伝えて同意を得て外出したのに、帰宅すると不機嫌で、当たり散らすので、外出自体を控えるようになる。

(7)子どもにパートナーの悪口を言って、利用する

子どもに対して、「料理が下手だ」「こんな母親(父親)でかわいそうだ」などと、子どもにパートナーの悪口を言ったり、うそをついたりして、パートナーを家庭内で孤立させる。
子どもがいる前で、子どもに配慮することなくパートナーを罵倒したりして、親としての立場を傷つける。

(8)傲慢な態度をとったり、細かいルールをおしつけたりする

「自分が働いているからお前や子どもは食べていける」「文句を言うなら同じように働いて稼いでみろ」など傲慢な態度をとる。
自分がよしとする細かいルールを押し付け、それに従わないと不機嫌になって責めたりする。
相手の考えを理解したり、折り合いをつけたりしようとする話し合いを受け入れず、「こんなこともわからないのか」「だからお前はダメなんだ」などと非難する。

(9)パートナーが生き生きと活動することの邪魔をする

パートナーが仕事や趣味に時間を使うことを認めない。
パートナーが仕事や趣味に時間を使うことを認めても、家事や子育てを完璧にすることを要求し、自分からは一切協力しない。
努力して家事や子育て、仕事や趣味をこなしても、努力を認めないし、些細なミスがあればことさらに指摘して責め、不機嫌になり、自主的に仕事や趣味をやめるように差し向ける。
パートナーが成功した体験を話しても、喜ぶことはなく、かえって傷つけたり責めたりするような発言をする。

モラハラに遭った時にとるべき5つの対応策

実際にモラハラの被害に遭っている人は、自信を失い、「自分が悪い」「相手も変わってくれるはず」などと思わされ、精神的にコントロールされている状態にありますので、モラハラの被害に遭っていること自体に気づかないことも多くあります。
ですが、何らかのきっかけで「これはモラハラだ!」と気づき、その環境から抜け出そうとし、自分を取り戻そうとします。
モラハラに遭っていることに気づいときにとるべき対応策を、5つ紹介します。

(1)モラハラの実態を録音する

ICレコーダーなどでモラハラの実態を録音・録画しておきましょう。
モラハラの客観的な証拠があれば、「モラハラなどしていない」という言い逃れに反論することができます。

(2)モラハラのメールやSNSのスクリーンショットをとる

録音・録画できなくても、モラハラがわかるSNSのやり取りやメールを保存しておきましょう。保存方法は、別媒体にバックアップを取ったり、スクリーンショットを取ったり、プリントアウトしたりする方法があります。
これらも、内容によっては、モラハラがあったことの客観的な証拠となります。

(3)モラハラの記録として日記をつける

モラハラの実態を日記につけて記録しておくのも、証拠となります。
ポイントは、できれば毎日継続してつけること、行間を開けないこと、ボールペンなど消せないペンで書くことです。
毎日記載すれば、記憶が新しいうちに書き留めていることになりますから、内容への信用性が高まります。

また、行間なくボールペンで記載していれば、後で修正したり付け加えたりすることは困難ですから、これも内容への信用性が高くなります。

(4)証拠を集めて別居する

モラハラの被害に耐えられなかったり、一旦冷静になって客観的に現状を考えたかったり、「モラハラはもうたくさんだ」と離婚を前提として自立の道を探していくと決意したりした場合は、別居という選択肢があります。
特に、モラハラの程度がひどく、心身に悪影響を及ぼしているような場合には、身体の安全のために、別居して物理的な距離を置くのがよいでしょう。
別居後は関係を断つことになるでしょうから、モラハラの証拠を入手することは困難です。可能であれば、別居前に証拠を入手できるとよいでしょう。

(5)支援窓口、医師・カウンセラーなどに相談する

「これはモラハラなのだろうか?」と疑問に思っているだけの段階でも、相談を受けてくれる次のような窓口があります。

相談を希望する方は、事前に電話連絡をするとよいでしょう。
モラハラにより心身に影響が出ている場合には、心療内科を受診したり、カウンセラーに相談したりして、症状の改善に努めましょう。

モラハラをしてくるパートナーに要求できる3つのこと

モラハラの被害に気づいて、客観的にパートナーと自分を考えられるようになったら、「自分は悪くない」「パートナーが理不尽に自分を傷つけてコントロールしようとしている」ということも分かるはずです。

モラハラの被害を受ける立場から脱却し、自分の人生を取り戻して自分らしく生きるためには、パートナーのコントロール外に出ていく必要があります。
パートナーのコントロール外に出ていくために、モラハラをしてくるパートナーに要求できる事項を知っておくようにしましょう。今回は、3つの要求事項を説明します。

(1)モラハラ行為をやめるよう請求

モラハラによって傷ついているのですから、自分を守るために、そのような言動をやめてほしいと伝えることができます。
今まで、自分の考えや意見を伝えることを我慢してきていると、伝えること自体難しいかもしれません。
当事者同士だけで伝えるのが難しい場合には、信頼している第三者(家族など)に同席してもらうのもよいでしょう。

(2)慰謝料請求

モラハラによりPTSDを発症するなど、刑法上の傷害といえるほどの精神障害に至った場合には、モラハラは、刑法上の傷害罪で処罰されることもあります。
モラハラという不法行為によって、傷害という被害を受けて精神的苦痛を被っていますから、それに対する損害賠償を請求することができます。

そこまではいかなくとも、モラハラの態様がDV防止法でいうような暴力に至っている場合には、同じように不法行為として、受けた精神的苦痛に対する損害賠償を請求することができます。
また、次で説明するように、モラハラを行っている相手方に離婚の責任があるといえるような場合には、離婚に伴う慰謝料を請求することができます。

(3)離婚請求

モラハラは多種多様であり、その態様が法律上の離婚原因とされる程度に至っているなら、相手方が離婚に合意しなくても、調停や裁判で離婚を求めることができます。
しかし、モラハラは法律上定義されていませんので、調停や裁判でのモラハラの取り扱いも決まりがありません。
「モラハラされたから離婚原因がある」といえることは、大変少ないです。

  • モラハラが精神的暴力といえるようなレベルに至っており、その証拠がある
  • モラハラが存在する夫婦関係をみると夫婦関係が破綻しているといわざるを得ない

と判断されたりすると、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)として、法律上の離婚原因となります。

モラハラをするパートナーと冷静に離婚について話し合うのは極めて難しく、精神をすり減らしてしまいます。パートナーは、その話し合いで、さらに精神的な攻撃を加えてくるでしょう。
弁護士は、冷静に、法的な知識をもって依頼者の希望を実現するために交渉し、必要であれば調停・訴訟などの裁判手続きをとることができます。
話し合いが難しいと感じたら、無理をせずに弁護士に相談してみることをお勧めします。

【まとめ】モラハラを我慢せずに専門家に相談するなど解決に向けた行動を!

本記事をまとめると次のようになります。

  • モラハラは、一般的には、精神的な嫌がらせや暴力を意味するものと捉えられている
  • モラハラは、DV防止法の「配偶者の暴力」に該当する可能性がある
  • モラハラをする人には、一定の特徴がある
  • モラハラとパワハラは異なる
  • モラハラを受けた場合、その証拠を集めたり、支援窓口、医師やカウンセラーなどに相談する等の対応をとるべき
  • モラハラを受けた場合、慰謝料請求や離婚請求ができる場合がある

モラハラをするようなパートナーは、基本的に変わらず、同じことを繰り返すと考える必要があります。
モラハラの被害に遭っていると気づいたら、そのままの状態に甘んじることなく、自分の人生のために、解決に向けた行動をとっていただきたいと思います。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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