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破産管財人とは?自己破産手続と銀行口座の解約・自由財産について

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弁護士に自己破産を相談すると、次のように言われることがあります。
「あなたの事件はショウガクカンザイ事件として処理される可能性が高いですね。ハサンカンザイニンが裁判所から選任されて、あなたの事件の処理にあたることになるでしょう。」
専門用語を並べられてもよくわからないと感じる人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、弁護士が「ショウガクカンザイ」事件で選ばれる「ハサンカンザイニン」について、銀行口座の解約・自由財産にスポットをあてて、解説します。

自己破産手続の種類と破産管財人の役割

そもそも自己破産とは、返済ができないような状態(支払不能)に陥っていると裁判所から認めてもらった上で、さらに裁判所の免責許可決定を得れば、一定の借金の返済義務を免れることができる手続です。
簡単に言うと、客観的にみて返済ができないので、原則として借金を帳消しにしてもらうよう裁判所に申立てする手続です(ただし、税金など一部の支払義務は自己破産をしても帳消しにはなりません)。自己破産の手続には、同時廃止事件と管財事件(通常管財・少額管財)の2種類があります。
管財事件が原則となっていますが、一定の要件を満たせば例外的に簡単な手続である同時廃止事件となる可能性があります。

(1)同時廃止事件

同時廃止事件とは、高価な財産がなく、「免責不許可事由」という裁判所が免責(返済義務の免除)を認めない可能性のある事由がないなど、破産管財人による調査が不要である場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させるという簡単な手続です。その手続は裁判所へ申立てをしてから、通常3、4ヶ月程度で終了します。しかし、破産手続が終わっても、それだけでは免責の許可がされるわけではなく、改めて免責をしてよいかどうかが判断されます。
自己破産をする方は、債務者審尋または免責審尋という裁判官との面接のために、通常1回裁判所へ行くことになります。

(2)管財事件

管財事件では、破産管財人と呼ばれる弁護士が裁判所から選任され、財産の調査(資産調査)・管理・処分、債権者への配当などを行い、さらに、免責を認めても問題ないか(免責調査)を行います。
同時廃止と異なり、裁判所へ申立てをしてから破産が認められるまでの間に半年~1年以上を要するケースもあります。
自己破産をする方は、債権者集会への出席(1回以上)のほか、破産管財人との面談(「管財人面接」といいます)のために破産管財人の事務所などに行くことになるのが通常です。

破産法上、規定されているのは通常管財のみで、少額管財の規定はありません。
通常管財で破産するには、予納金(手続費用)として50万円以上が必要なので、お金のない方は破産することさえできなくなってしまいかねない、また本来であれば管財人による調査をするのが妥当な場合でも同時廃止で処理されてしまうことがあるという問題点がありました。そこで、個人の方でも破産をしやすく、適正な破産手続を行えるように、裁判所は予納金(手続費用)を20万円以上と低額にした少額管財という手続を認めたのです。この少額管財は、裁判所によって「小規模管財」「簡易管財」などと呼ばれています。

(2-1)自己破産で管財事件になるケース

まず、一定の価値のある財産を有している場合には、管財事件となります。
裁判所によってその基準は異なりますが、東京地方裁判所であれば、33万円以上の現金を有している場合や、現金以外で、預貯金、不動産、自動車、保険の解約返戻金などの項目ごとに合計20万円以上の財産を有している場合には、管財事件(少額管財)となる運用です。
その他、管財事件となってしまう可能性が高いのは、たとえば次のようなケースです。

  • 借金の額が高額である
  • ギャンブルなど収入に見合わない浪費行為をしている
  • 隠し財産があると疑われる
  • 法人の代表者や自営業者である(かつてこれらの立場だった者も含まれます)
  • 一部の債権者にだけ優先的に返済してしまっている

これらのケースでは、破産管財人による財産調査(財産の換価、未回収の財産や流出した財産の回収なども含む)、免責不許可事由がないか、免責を認めてよいかを調査する免責調査の必要があると考えられるために、管財事件とされる可能性が高いことになります。
これらは一例にすぎず、破産を申立てる裁判所の運用によっても異なります。そのため、自己破産を依頼するときには自分の状況を正直に弁護士に伝えて、どちらの手続になる可能性が高いかの見通しを教えてもらいましょう。

(2-2)破産管財人の役割とは?

破産管財人とは、法律上、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」のことです(破産法2条12号)。
簡単に言うと、裁判所に代わって破産者の持っている財産を管理したり売却してお金に換えたりする人です。
もし回収可能な財産があれば、その財産を回収します。
たとえば、未回収の過払い金があれば、その回収を行います。
その上で、債権者に配当という形で、換価、回収したお金を債権者に分配されることになります。
そのほか、返済義務の免除(免責)を認めてよいかの調査もします。

管財事件について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

管財事件とは?手続きの流れや注意点についても解説

破産管財人について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

破産管財人が選任されるのはどんなとき?破産管財人の業務内容や対応も解説

自己破産をすると銀行口座を解約される!?

自己破産手続をすると、後述する自由財産の範囲を超えるものについて、破産管財人の処分に委ねられます。

法人破産では、破産によって法人自体が消滅するため原則としてすべての口座が解約されるのに対して、個人の破産の場合には、たとえば東京地裁では預貯金の残高が合計20万円以下である限り、通常、自由財産の範囲内であると扱われますし、合計20万円を超えている場合でも、口座自体は通常日常生活に必要な財産であるため、口座に入っている預貯金の額を破産管財人に支払うことになる可能性はありますが、破産管財人によって口座が解約されることはあまりありません。

自由財産とは?

自由財産とは、いわば破産者が手元に残しておける財産の総称です。

(1-1)自由財産にあたるもの

破産手続後でも所持できる自由財産。

  1. 破産手続開始後に取得した財産(新得財産)は自由財産
    自己破産を行う際、自由財産以外は手放して債権者への配当に充てなければなりません。
    この、破産手続開始によって破産管財人に管理されることとなり、配当に充てられる財産を「破産財団」といいます。
    破産財団を構成する財産について、破産法34条1項で次のように定められています。

    破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。 引用:破産法34条1項

    つまり、破産をすると手放さなければならないものは、破産手続開始の時点で破産者が保有していた財産に限られます。破産手続開始後に破産者が手に入れた財産は「新得財産」といわれ、自由財産として扱われることになります。
  2. 99万円以下の現金は自由財産
    99万円以下の現金は、自由財産として認められます(破産法34条3項1号)。
    預貯金は含まれません。
  3. 差押えが禁止されている財産は自由財産
    差し押さえることができない財産は破産財団に含まれません(破産法34条3項2号)。
    そのため、差押えが禁止されている財産は破産をしても手元に残せます。

(1-2)自由財産の範囲は拡張することができる可能性がある

本来的に自由財産として認められるのは、99万円以下の現金と差押禁止財産、新得財産です。
これに加えて、裁判所ごとに一律に自由財産の拡張を認める基準(換価基準)を設けています。本来的には自由財産に当たらないけれどもそれを保有する必要性・相当性が認められる場合には、自由財産の拡張を求めて、裁判所に自由財産拡張の申立てを行います(破産法34条4項)。

どの範囲のものが自由財産と認められるかは裁判所ごとに変わってきますが、東京地方裁判所の基準では、次のものは自由財産として認められます。

  • 残高20万円以下の預貯金(複数ある場合は合算して20万円以下)
  • 見込額が20万円以下の保険解約返戻金(複数口ある場合は合算して20万円以下)
  • 処分見込額が20万円以下の自動車
  • 居住用家屋の敷金債権
  • 電話加入権
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当
  • 家財道具

退職金については、たとえば、退職金の金額が160万円なら全額自由財産にあたります。
また、退職金の金額が240万円なら210万円が自由財産にあたります。
もっとも、退職間際の場合など一定の場合には8分の1ではなく4分の1が基準となることがありますので、注意してください。
(なお、東京地方裁判所では、上記の基準に当てはまる財産については、自由財産拡張決定がなされた扱いとなるため、自由財産拡張の申立ては不要となります。)

自己破産をしても、財産全てを失ってしまうわけではありません。

自由財産について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

自由財産とは?自己破産をした後でも残せる財産について解説

自己破産をすると銀行口座が凍結する!?

口座解約と違い、自己破産をするときに発生する可能性が高く、注意しなければならないのが「口座の凍結」です。
自己破産には限りませんが、債務整理を弁護士に依頼して、弁護士が借入れ先でもある銀行に対して自己破産などの債務整理を行うとの通知(受任通知といいます)を送ると、口座を凍結します。銀行は、債務者に対する債権と口座に入っている預金とを相殺することで、債権を回収することができます。そこで、相殺の準備のためにその人の口座からお金が出ていかないように、その口座を凍結します。その後、銀行は受任通知を受け取るなどした時点の預貯金と借金を相殺します。

銀行は、自己破産や民事再生の受任通知を受け取った後に入金されたお金を、相殺の対象とすることができないので、一般的には口座凍結された後に入金されるお金は、口座凍結終了後に受け取ることができます(別途、差押えなどをされた場合を除きます)。また、給与振込口座で、口座からお金を引き出せないと生活できない場合などにおいては、口座凍結中でも銀行の窓口に行けば、預金を手にすることができることもあります(ただし、口座凍結中に引き出すためには受任弁護士などから銀行への連絡が必要になるなど、一定の手続が必要となることもあります)。

相殺について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

「相殺」とは?具体的な事例をとりあげて自働債権や受働債権、その方法について解説

銀行口座の凍結について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

自己破産における銀行口座の凍結期間や新規開設について解説

【まとめ】借金問題についてはアディーレ法律事務所にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自己破産の裁判所での手続には、破産管財人が財産の換価や配当を行う原則的な手続である「管財事件」と、要件を満たしていれば例外的に利用できる可能性がある、より簡便な手続である「同時廃止事件」がある
  • 自己破産をする場合、高価な財産があると原則破産管財人によって換価配当されることとなり手放さなければならないが、生活に必要最小限の範囲の財産は「自由財産」として手元に残せる可能性がある
  • 自己破産に限らず、債務整理を開始して受任通知を銀行に送ると、口座が凍結されるリスクがある自己破産手続は専門性が高く複雑ですが、アディーレ法律事務所は、「申立代理人」として皆様の手続を進める味方となり、自己破産手続を進めていきます。

自己破産を含め借金問題について検討していて、借金に関するお悩みを抱えた方は、アディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。