交通事故の被害にあうと、「何をしたらいいのか」「これからどうなるのか」などわからないことも多く、不安な気持ちを抱えていることでしょう。
交通事故にあったら、まずは落ち着いて車を路肩にとめ、ケガ人はいないかを確認するようにしましょう。そして、警察への連絡も忘れてはいけません。
落ち着いたら、保険金を受け取るまでに他にもしておくべきことがあり、ここできちんと対応しないと大きく損をしてしまうおそれがあります。
そこで、「これから何をすべきか」「これからどうなるのか」について知っておきましょう。知っておくことで、大きく損してしまう事態を防ぐことができるでしょう。
この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。
- 交通事故の被害にあったらまずすべきこと
- 交通事故の保険金を受けとるまでの流れ
- 交通事故の被害について弁護士に相談すべきケース

東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
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交通事故の被害にあったらまずすべき6つのこと

【交通事故の被害にあったらまずすべきこと】
- ケガ人の救護と二次被害の防止
- 警察に連絡
- 相手を確認
- 事故の状況を確認
- 保険会社に連絡
- 医師に受診
(1)ケガ人の救護と二次被害の防止
交通事故の被害にあった場合、直ちに車を停止させ、道路に生じている危険を防止するなどの必要な措置をとる必要があります(道路交通法72条1項前段。危険防止等措置義務)。
例えば、後続車の事故を誘発しないように、車を路肩に寄せて、ハザードランプをつけ、三角表示板を設置するなどする必要があります。
そして、交通事故によるケガ人がいればその人の救護も行う必要があります(道路交通法72条。救護義務)。ケガ人を安全な場所に移動させ、救急に連絡するなどしましょう。
(2)警察に連絡

交通事故が起きた場合には警察に連絡する必要があります(道路交通法72条。報告義務)。
警察への報告は、ケガ人が出た場合だけと思われている方もいるかもしれません。
しかし、単なる物損事故で遭った場合でも警察の報告が必要となります。警察の報告をしなかった場合には、道路交通法上の「報告義務違反」となり刑事罰に問われる可能性があります。
(3)相手を確認
相手の氏名住所・連絡先・自動車保険の会社名や保険番号・車のナンバーを確認しておきましょう。
後に保険の手続(車の修理費用やケガの治療費を請求する手続)を行う際に、必要となります。
(4)事故の状況を確認
事故の状況も確認しておきましょう。
できるかぎり事故現場の写真や車の故障の程度を写真で保存しておくとよいでしょう。
警察に連絡すると、事故後警察によって「実況見分」といって事故状況の検証が行われますが、当事者自身も行っておくことをおすすめします。
また、ドライブレコーダーで事故の状況が録画できている場合には、録画データを保存しておきましょう(容量がたまると自然に消えるものもありますので、DVDなどにバックアップをとっておきましょう)。
ドライブレコーダーが交通事故にどのように役に立つのかについてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
(5)保険会社に連絡
自身が加入している自動車保険会社にも事故の報告をしましょう。
加害者側であれば、被害者側に保険金の支払いをしなければなりませんので、保険会社は事故があったことを把握しておかなければなりません。
一方、被害者側であっても、保険会社が被害者に代わって加害者側の保険会社と示談交渉を代行してくれることがありますので、事故の報告が必要となります。
(6)病院に受診

交通事故によりケガをした場合には、可能な限り早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
交通事故から時間が経って診察を受け、ケガの治療を開始した場合には、ケガと交通事故の因果関係を疑われてしまうおそれがあります。
例えば、交通事故1ヶ月後に手の痛みで病院で診察を受けても、「仕事や家事の影響で手の痛みが出たのではないか?」など交通事故が原因とはいえないと思われてしまう可能性があるのです。
保険金を受けとるまでの流れ
次に、保険金を受けとるまでの流れについて知っておきましょう。
交通事故の被害にあい、加害者側の保険会社からケガの治療費や車の修理費用といった保険金を受けとるためには、加害者側の保険会社との「示談交渉」が必要となります。
加害者側の保険会社との示談が成立(加害者側・被害者側双方が合意)することで、保険会社から保険金を受けとることができます。
具体的な流れについては、次のようになります。

なお、示談交渉がまとまらずに、示談が成立しなかった場合には、裁判をして、賠償金を請求することが一般的です。
(1)ケガの治療が終わるまで通院を続ける
治療中は、必要な療養をし、ケガの治療と回復に努めるようにします。
治療が終わるまでは(ケガが完治する又は症状固定日(※)までは)、治療費や、入通院慰謝料等が日々発生し続けているので、全体の損害額が確定しません。
したがって、治療中は、交渉するタイミングには適していません。
ただ、自己負担している費用がある場合には、後々請求する場合に備えて,自己負担した費用についての証拠(交通費の領収書、自己負担した治療費の領収書など)は残しておきましょう。
※症状固定とは、治療を継続しても一定の後遺症が残り、治療の効果・症状の改善が期待できなくなった状態のことです。
(2)(後遺症が残った場合)後遺障害の等級認定
「後遺障害の等級」とは、後遺症の内容に応じて、重篤なものから順に1~14級に割り振られたものをいいます。
後遺障害の等級認定を受けることで、後遺症が残ったことについても保険会社からお金(後遺症慰謝料や逸失利益)を受けとることができます。
ただ、後遺障害の等級は、損害保険料率算出機構によって認定されることになります。そのため、後遺障害の等級認定を受けるためには、後遺症の症状がわかる資料などを集めて、後遺障害の等級認定の申請を行うことが必要となります。

後遺障害の等級認定についてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
(3)示談交渉
ケガの治療もしくは後遺障害の等級認定がされたら、示談交渉を行います。
示談交渉では、加害者側の保険会社から治療費や車の修理費用などをそれぞれいくら支払うのかなどを話し合いで決めることになります。
例えば、次のようなお金を保険会社に請求することができます。

(4)示談成立・保険金の受けとり
示談案の内容に納得できたら、示談書を作成し示談成立となります。
示談金(保険金)は、示談が成立した後に振り込まれることが一般的です。示談金(保険金)の振込先は、弁護士に交渉を依頼している場合には弁護士名義の口座となることが多いです。本人が交渉している場合には、本人名義の口座に振り込まれます。
ただ、ここで注意してほしいことは、いったん示談が成立してしまうと、原則、示談のやり直しをすることはできないということです。示談内容に納得がいかない、不当に金額が低く感じるという場合には、絶対に示談に合意してはいけません。
弁護士に相談・依頼すべき6つのケースとは?

交通事故の被害に遭ったら、必ず弁護士に相談・依頼すべきというわけではありません。
実際、弁護士に相談・依頼せずに解決される方も多くいらっしゃいます。
しかし、次の6つのケースの場合には、弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。
- 保険会社に提示された示談金額が適正な金額かどうかわからない
- 保険会社に提示された過失割合に納得ができない
- 交通事故によるケガが重傷な場合や死亡事故の場合
- 保険会社から治療費を打ち切られた
- 後遺障害等級の認定に不安がある・認定結果に不満がある
- 保険会社の対応に不満がある
この6つのケース以外でも、少しでも不安がある方は、弁護士へ相談・依頼されるのがよいでしょう。弁護士からアドバイスを貰うことができます。
(1)保険会社に提示された示談金額が適正な金額かどうかわからない
保険会社に提示された示談金の金額が適正な金額かどうかわからない場合には、弁護士への相談をおすすめします。
保険会社から提示された示談金の金額であれば適正な金額だろうと思われているかもしれません。
しかし、保険会社が提示する示談金の金額は弁護士が基準とする金額よりも低いことも多いです。
どういうことかというと、示談金の算定基準は、実は、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」の3つがあり、保険会社が使う「自賠責の基準」や「任意保険の基準」は弁護士が使う「弁護士の基準」よりも低いことが多いのです。
【示談金の算定基準】
- 自賠責の基準:自賠責保険により定められている賠償基準
- 任意保険の基準:各損害保険会社が定めている自社独自の支払基準(非公開)
- 弁護士の基準:これまでの裁判所の判断の積み重ねにより認められてきた賠償額を目安として作成された基準

上でご紹介した3つの基準を金額の順に並べると、基本的には次のようになります(※)。

※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者側の過失が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。
このように弁護士の基準が一番高額になりやすい傾向にあります。
自賠責の基準や任意保険の基準の提示額に対して、被害者本人(弁護士なし)が増額を求めても保険会社が相手にしてくれることはほとんどないでしょう。
これに対し、被害者に代わって弁護士が示談交渉や裁判を行う場合は、通常最も高額な弁護士の基準が用いられることが一般的であるため、当初の提示額より示談金(賠償金)が増額できる可能性があるといえるでしょう。
弁護士に依頼することで示談金(賠償金)が増額される可能性について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

(2)保険会社に提示された過失割合に納得ができない
保険会社に提示された過失割合に納得ができない場合も弁護士への相談がおすすめです。
そもそも「過失割合」とは、簡単にいえば、「交通事故が起きたことについて、どっちが、どのくらい悪いのか」ということを示すものです。
そして、事故の被害者に過失があるとされた場合には、示談金の金額が、被害者に過失があるとされた分だけ減額されることになります。そのため、過失割合がどれくらいになるかが示談金(賠償金)の金額に大きく影響することになるのです。

ただし、ここで注意が必要なのが、保険会社の提示する過失割合は、被害者にとって不利な形になっているケースも少なくないことです。
例えば、事故当事者の主張(信号の色など)が異なる場合には、被害者側の主張ではなく、加害者側の主張する事実に基づいて過失割合を提案してきている可能性があります。
【例】相手側が飛び出してきたにもかかわらず、一時停止したと主張しているなど

このような場合に、過失割合について検討せずに示談を成立させてしまうと、被害者が本来受け取るべき示談金(賠償金)を受け取れなくなるおそれがあります。
交通事故の経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士は、道路状況や車の損傷部分や程度などのさまざまな証拠をもとに正しい事故状況を検討します。
そして、弁護士はその結果を基に保険会社と交渉します。これにより、妥当な過失割合で保険会社と示談できる可能性が高まります。
(3)交通事故によるケガが重傷な場合や死亡事故の場合
交通事故によるケガが重傷な場合や死亡事故であった場合にも弁護士への相談がおすすめです。
ケガが重傷な場合や死亡事故の場合には、被害が大きく、示談金(賠償金)の金額も当然に高額となります。そのため、示談金(賠償金)が高額となるケースでは、加害者側の保険会社と話し合うべき事項も多くなり、争いとなってしまうケースも多いです。
特に、ケガが重傷な場合や死亡事故の場合には、本来受けとるべき示談金(賠償金)よりも低くなっていることが多く、実際弁護士に相談したことで、1700万円以上の増額に成功した事例もあります。
(4)保険会社から治療費を打ち切られた
保険会社から治療費を打ち切られた場合にも弁護士への相談がおすすめです。
ケガの治療期間が長期間にわたる場合には、治療中であるにもかかわらず、保険会社から治療費を打ち切られてしまう事態が生じる場合もあります。
この場合、被害者本人が対応しても、加害者側の保険会社も交渉のプロですので、なかなか取り合ってもらえないケースも少なくありません。
こうした場合でも、弁護士に相談することで、治療費の打ち切りが妥当として通院をやめるか、それとも治療費の打ち切りが不当としてもっと通院した方がよいのか見極めることができるでしょう。
弁護士に依頼している場合は、治療費の打ち切りが不当であれば、治療費の支払を継続するよう、弁護士が保険会社と交渉してくれます。
(5)後遺障害等級の認定に不安がある・認定結果に不満がある
後遺障害等級の認定に不安がある場合や認定結果に不満がある場合にも弁護士への相談がおすすめです。
後遺障害等級によって慰謝料などの賠償金(示談金)の金額のおおまかな目安が決まるため、後遺障害等級が何級になるかで最終的に受け取れる賠償金の金額が大きく変わってしまう可能性があります(後遺症があっても後遺障害認定が受けられないケースもあります)。
ここで、知ってほしいことは、後遺障害等級認定の手続は保険会社に任せることも出来ますが、保険会社はあなたのために積極的に動いてくれるわけではありません(あくまでも機械的な手続しかしないでしょう)。
そのため、保険会社に任せたままにしておくと、納得のできない後遺障害等級認定結果となってしまう可能性があります。
しかし、 弁護士に依頼することで、後遺障害等級認定手続に必要な資料の内容を弁護士がチェックするなど後遺障害等級認定手続をトータルサポートします。
また、認定結果に不満がある場合でも、弁護士に依頼いただければ、認定結果に対して異議申立てを行うなどサポートを行います。
後遺障害等級認定や後遺障害の異議申立てについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
(6)保険会社の対応に不満がある
保険会社の対応に不満がある場合にも弁護士への相談をおすすめします。
保険会社のやり方や対応が必ずしも正しいわけではありません。
弁護士が入ることで、保険会社も被害者に対して不当な主張や対応をしにくくなるため、弁護士に相談することで保険会社に対して適切な対応を促すことができる場合もあります。
また、保険会社との対応が苦痛に感じている場合でも、弁護士に依頼することで被害者や被害者家族の方が保険会社に直接応対する必要もなくなります(弁護士が示談交渉に必要な資料の収集もサポートいたします)。
適切な額の保険金を受け取るためには、相手の保険会社の立場からすれば嫌がるようなこともきちんと主張することが必要です。このことについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【まとめ】交通事故にあったらまず警察に連絡を!損をしないためには弁護士への相談も検討しましょう!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 交通事故の被害にあったらまずすべきこと
- ケガ人の救護と二次被害の防止
- 警察に連絡
- 相手を確認
- 事故の状況を確認
- 保険会社に連絡
- 医師に受診
- 保険金を受けとるまでの流れ
- ケガの治療が終わるまで治療を続ける
- (後遺症が残った場合)後遺障害の等級認定
- 示談交渉
- 示談成立・保険金の受けとり
- 弁護士に相談・依頼すべき6つのケース
- 保険会社に提示された示談金額が適正な金額かどうかわからない
- 保険会社に提示された過失割合に納得ができない
- 交通事故によるケガが重傷な場合や死亡事故の場合
- 保険会社から治療費を打ち切られた
- 後遺障害等級の認定に不安がある・認定結果に不満がある
- 保険会社の対応に不満がある
まだ弁護士に相談・依頼することまで考えられないかもしれません。
しかし、弁護士に相談・依頼するのであれば、早めの相談・依頼がおすすめです。
実際、アディーレ法律事務所にご相談いただいた方のうち、約70%の方がケガの治療中に相談されています。(「アディーレお客様相談室」による集計(2016年6月1日~2018年5月31日))
「弁護士に相談・依頼するのはトラブルになってから」と思われているかもしれませんが、少しでも不安な気持ちがあれば、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください(上記の6つのケースに当てはまらない場合でもご相談ください)。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
すなわち、 弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2022年11月時点)
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
