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交通事故で膝を骨折!後遺障害や慰謝料、逸失利益についても解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「交通事故で膝を骨折してしまった!」

その結果、膝の関節が動かしにくくなったり、痛みやしびれが残ったりすることがあります。
その際、どうすれば後遺障害に認定されるのか、いくら慰謝料を請求できるのかは、被害者にとって最も関心のあることの一つでしょう。

この記事では、交通事故で膝を骨折した場合に認定される可能性のある後遺障害や、得られる可能性のある賠償金の項目について解説します。

この記事を読んでわかること
  • 膝の骨折で認定される可能性のある後遺障害等級
  • 膝の骨折による後遺障害で請求できる慰謝料の相場
  • 膝の骨折による後遺障害で請求できる逸失利益

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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後遺障害とは

 交通事故でケガを負った場合、治療してもこれ以上回復できない状態で症状が残ることがあります。これを「後遺症」といいます。

「後遺障害」とは、交通事故で負った後遺症のうち、自賠責保険の基準に基づき、所定の機関(損害保険料率算出機構など)により障害を認定されたものをいいます。

後遺障害は1~14級(および要介護1級・2級)の等級に分かれており、1級の症状が最も重く、症状が軽くなるに従って2級、3級……と等級が下がっていきます。
各等級で、眼・耳・四肢・精神・臓器などの部位、障害の系列などに応じた障害の認定基準(各号)が定められています。

参考:後遺障害等級表|国土交通省

後遺障害が認定されると、被害者は加害者に対し、治療費や休業損害(=ケガのために仕事を休んだことによって失った収入)などに加え、後遺症慰謝料や逸失利益(=後遺障害により得られなくなった・または減少した将来の収入)も請求できるようになります。

では、膝の骨折に関する後遺障害について具体的に見ていきましょう。

膝の骨折による後遺障害の種類

 普段私たちが「膝」と呼んでいる部分にある骨は、医学用語では「膝蓋骨(しつがいこつ)」といいます。

「蓋」とはふたのことで、文字通り膝の関節をふたのように覆っているのが膝蓋骨です。膝の「皿」と呼ばれることもあります。

膝蓋骨の骨折により生じる後遺障害の種類としては、主に次の3つがあります。

  1. 機能障害:膝関節の動かせる角度(「可動域」といいます)が制限されること
  2. 変形障害:骨の形が変形してしまうこと
  3. 神経症状:神経が圧迫されるなどにより、痛みやしびれなどが残ること

膝の骨折で認定される可能性のある後遺障害等級

次に、膝蓋骨の骨折で認定される可能性のある後遺障害等級について、機能障害、変形障害、神経症状に分けて見ていきましょう。

(1)機能障害

膝蓋骨には、膝の動きを滑らかにし、膝の曲げ伸ばしを効率よく行うための機能があります。そこで、膝蓋骨を骨折すると、その後遺症として、下肢(=足)の3大関節のひとつである膝関節の可動域が制限されてしまうことがあります。

膝蓋骨の骨折により、機能障害として認定される可能性のある後遺障害等級は次のとおりです。

等級認定基準
1級6号両下肢の用を全廃したもの
5級7号1下肢の用を全廃したもの
6級7号1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級7号1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

次に、これらの各等級が認定される具体的な基準を説明します。

(1-1)1級6号 両下肢の用を全廃したもの

両下肢の「用を全廃した」とは、両足の下肢3大関節(股関節、膝関節、足関節)のすべてが強直(※1)したことをいいます。

(※1)強直…関節が完全に動かない、またはそれに近い状態

(1-2)5級7号 1下肢の用を全廃したもの

1下肢の「用を全廃した」とは、片方の足の下肢3大関節(股関節、膝関節、足関節)のすべてが強直したことをいいます。

(1-3)6級7号 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

関節の「用を廃した」とは、次のいずれかの状態をいいます。

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの(※2)
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側(=正常な側)の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

(※2)完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態…体を動かそうとしても筋肉を動かせず常にだらんとした状態、または外から力を加えると動くものの、自力では関節の可動域が健側の可動域角度の10%程度以下となった状態

(1-4)8級7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

「用を廃したもの」の意味については、前項の6級7号に同じです。
つまり、左右いずれかの膝蓋骨を骨折し、治療後に、膝関節について前記(1-3)ア~ウのいずれかの症状が残る場合に8級7号に該当することになります。

(1-5)10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

ア 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの、または
イ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されていないもの

つまり、左右いずれかの膝蓋骨を骨折し、治療後に、膝関節について上記ア・イのいずれの症状が残る場合に10級11号に該当することになります。

(1-6)12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものをいいます。

つまり、左右いずれか膝蓋骨を骨折し、治療後に膝関節の可動域が健側の角度の4分の3以下に制限された場合に12級7号に該当することになります。

(1-7)動揺関節の場合

なお、機能障害の一種として、動揺関節が認められる場合があります。
動揺関節とは、関節の可動性が正常より大きくなったり、異常な方向に動くようになってしまうなど、関節がぐらついてしまうことをいいます。

動揺関節により認定される可能性のある後遺障害等級は次のとおりです。

等級認定基準
8級相当常に硬性補装具(※1)を必要とするもの
10級相当時々硬性補装具を必要とするもの
12級相当重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの

(※1)硬性補装具…プラスチックや金属製で作られた補装具。

(2)変形障害

次に、変形障害です。膝蓋骨の骨折に伴い、隣接している大腿骨や脛骨、腓骨が骨折してこれらが変形してしまうことがあります。膝蓋骨の骨折に伴う変形障害で認定される可能性のある後遺障害等級は次のとおりです。

等級認定基準
7級10号1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級9号1下肢に偽関節を残すもの
12級8号長管骨に変形を残すもの

(3)7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

7級10号は、「1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とされています。

「下肢」とは、股関節・膝関節・足関節と足指までを含めた部分をいい、普段私たちが「足」と呼んでいる部分のことです。
「1下肢」とは、左右いずれか一方の足のことをいいます。
「偽関節」とは、骨折した骨が癒合(=くっつくこと)せず、その部分が関節のようにグラグラ動くようになった状態を指します。

7級10号は、左右いずれかの足の大腿骨や脛骨、腓骨に偽関節が残ること等により、著しい運動障害が生じた場合であって、常に硬性補装具を必要とする場合などに該当します。

(4)8級9号 1下肢に偽関節を残すもの

8級9号は、「1下肢に偽関節を残すもの」とされています。

例えば、左右いずれかの足の大腿骨や脛骨、腓骨に偽関節が残ってしまったものの、常に硬性補装具を必要とはしない場合に8級9号に該当します。

(5)12級8号 長管骨に変形を残すもの

12級8号は、「長管骨に変形を残すもの」とされています。

例えば、左右いずれかの足の大腿骨や脛骨が変形してしまった場合には、12級8号に該当することになります。

(6)神経症状

最後に、神経症状です。膝の骨折等による神経症状で認定される可能性のある後遺障害等級は次のとおりです。

等級認定基準
12級13号局部にがん固な神経障害を残すもの
14級9号局部に神経障害を残すもの

12級13号は、局部に頑固な神経障害(痛みやしびれなど)を残すもののうち、障害の存在が医学的に証明可能なものをいいます。
つまり、MRIやレントゲン、CTなどの画像診断で神経の圧迫が認められ(他覚的所見あり)、医学的な検査で神経の圧迫と症状の関連が確認できるものです。

これに対し、痛み・しびれなどの自覚症状があっても、MRIやレントゲン、CTなどの画像診断で神経圧迫が確認できない場合(他覚的所見なし)や、医学的な検査で神経の圧迫と症状の関連が確認できない場合は、12級13号は認められず、14級9号になることが多くなります。

14級9号の認定を受けるためには、ジャクソンテストやスパーリングテストなどの神経学的検査を受けることが重要となります。

ジャクソンテスト、スパーリングテストについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ジャクソンテストとは?むち打ち症の後遺障害等級認定に必要なこと

膝の骨折による後遺障害で慰謝料の相場は?

交通事故で、膝蓋骨の骨折等により上記の後遺障害等級のいずれかに認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料を請求できるようになります。

後遺症慰謝料の金額(相場)を決める基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責の基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、最低限の賠償基準
  • 任意保険の基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
  • 弁護士の基準……弁護士が、加害者との示談交渉や裁判の際に用いる賠償基準(「裁判所基準」ともいいます)

どの基準を用いるかによって慰謝料の額が変わります。
3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般に、

弁護士の基準>任意保険の基準>自賠責の基準

となります。

膝蓋骨の骨折等による後遺障害が認定された場合の後遺症慰謝料(相場)を、自賠責基準と弁護士基準で比べると、下の表のようになります(2020年4月1日以降に起きた事故の場合)。

等級自賠責基準弁護士基準
1級1150万円2800万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
10級190万円550万円
12級94万円290万円
14級32万円110万円

被害者が、自分自身(または加入している保険会社の示談代行サービス)で示談交渉を行うと、加害者側の保険会社は、自賠責の基準や任意保険の基準を用いた低い金額を提示してくるのが通常です。
これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、一般に最も金額の高い弁護士基準を用いて交渉します。
つまり、示談交渉を弁護士に依頼すると、後遺症慰謝料を含む賠償金の増額が期待できるのです。

交通事故慰謝料は弁護士基準(裁判所基準)でいくらになる?増額のコツも紹介

膝の骨折による後遺障害で逸失利益も請求できる

 交通事故による膝の骨折等で後遺障害が認定されると、加害者に対して逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなった将来の利益のことをいいます。

例えば、タクシードライバーとして生計を立てている人が、交通事故の膝骨折により関節が曲がらなくなり、ドライバーとしての仕事ができなくなってしまった結果、将来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入などです。
逸失利益の金額は、

基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

という計算式で算出します。

「基礎収入」は、原則として事故発生前の収入の金額が基準となります。
「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。後遺障害等級ごとに目安が定められており、例えば、1級・5級・6級・7級・8級・10級・12級・14級の場合は次のとおりです。

【労働能力喪失率】
1級5級6級7級8級10級12級14級
100%79%67%56%45%27%14%5%

なお、この労働能力喪失率はあくまで目安であり、具体的な業務内容や後遺障害が業務に与える影響等を鑑みて、労働能力喪失率が調整されます。

「ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことで得られた利益(利息など)を差し引くための数値です。
ライプニッツ係数における就労可能年数(=働くことができる年数)は、原則として67歳までの期間で計算します。

症状固定時点または死亡時点で、67歳に近い(または67歳を超えている)場合、平均余命の原則2分の1を就労可能年数とします。
ただし、神経症状などについては、14級では5年程度、12級では10年程度に限定される例が多く見られます。

逸失利益について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

逸失利益とは?計算方法や慰謝料・休業損害との違いを弁護士が解説

交通事故による膝の骨折で後遺障害認定を受けるポイント

後遺障害認定を受けるためには、等級に関わらず次の3つが必要となります。

  • 交通事故と後遺症の間に因果関係があること
  • 医師により、症状固定(=これ以上治療しても改善も悪化もしないこと)の診断を受けること
  • 医師により後遺障害診断書を作成してもらうこと

この点を踏まえた上で、交通事故による膝の骨折等で後遺障害認定を受けるポイントをご説明します。

(1)検査を早めに受ける

 後遺障害の原因が交通事故にあると証明するためには、事故後すぐに検査する必要があります。期間があくと、本当に交通事故が原因なのか因果関係を疑われてしまうからです。
事故後すみやかに、検査を受けるようにしましょう。

(2)後遺障害診断書は適切に記載してもらう

後遺障害の認定を受けるためには、医師により、これ以上治療しても改善の見込みがない(これを「症状固定」といいます)という診断を受ける必要があります。
後遺障害の認定を受けるためには、内容を適切に記載してもらう必要があります。
たとえば変形障害については、変形が残った部分について丸印を付けてもらうこと、神経症状については、自覚症状や検査結果を漏れなく適切に記載してもらうことが重要です。

【まとめ】交通事故で膝を骨折し、後遺障害が認定されると、治療費や後遺症慰謝料、逸失利益を請求できる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故で膝を骨折した場合、機能障害・変形障害・神経症状の後遺障害が認定される可能性がある
  • 後遺障害認定がされると、治療費などに加えて、後遺症慰謝料や逸失利益も請求できるようになる
  • 後遺症慰謝料の額を算定する基準としては、自賠責の基準・任意保険の基準・弁護士の基準の3つがある
  • 示談交渉などを弁護士に依頼すれば、一般的に最も高額な弁護士の基準による交渉により、賠償金の増額も期待できる

交通事故で膝を骨折し、後遺症が残った場合、まずは後遺障害認定を受ける必要があります。
弁護士は後遺障害が認定されやすくなるコツを知っていますし、弁護士が代わりに保険会社と交渉することで、慰謝料などの増額も期待できます。

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(以上につき、2023年8月時点)

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