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老齢年金の受取開始年齢は原則65歳!繰上げ・繰下げ受給とは?

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LA_Ishii

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「老齢年金はいつからもらえるんだろう?」

老齢年金は、老後の生活資金などとしてとても大切なもの。
60歳台に差し掛かると、老齢年金をもらい始める時期が見えてきて、正確にはいつからもらえるのか気になりますよね。

老齢年金は、原則65歳からもらうことができます。
もっとも、65歳よりも繰り上げたり繰り下げたりしてもらい始めることもできます。

65歳よりも繰り上げたり繰り下げたりしてもらい始めることで、もらえる年金の額も変わってきます。

このことを知っていれば、ご自身の状況に最も合った時期から年金をもらい始めるようにうまくタイミングを計ることができるようになります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 老齢年金の基礎知識
  • 老齢年金の「繰上げ受給」の仕組みとメリット・デメリット
  • 老齢年金の「繰下げ受給」の仕組みとメリット・デメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

老齢年金の基礎知識

老齢年金は、何歳からもらい始めることができるのですか?

老齢年金は、原則65歳からもらい始めることができます。
もっとも、65歳よりも一定の年数まで繰り上げたり繰り下げたりしてもらい始めることもできます。

原則65歳からもらい始めることのできる老齢年金は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2階建てになっています。
国民年金の加入者は老齢基礎年金を受け取ることができ、厚生年金保険の加入者は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ることができます。
まずは、この基本について確認してみましょう。

(1)老齢基礎年金

老齢基礎年金の受給者は、次の3種類に分けられます。

  • 第1号被保険者:自分で国民年金保険料を納めていた自営業者など
  • 第2号被保険者:厚生年金保険などに加入していた会社員など
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されていた専業主婦(主夫)など

20歳から60歳までの40年間保険料を全て納めると、次のとおり満額の老齢基礎年金を受け取ることができます(※2022年度の金額です)。

年金額(満額)=年額77万7800円(月額6万4816円)

年金額は、国民年金保険料を納めていない月の数や、一部または全部を免除された月の数に応じて、この満額よりも少なくなることがあります。

参考:老齢年金ガイド 令和4年度版|日本年金機構

(2)老齢厚生年金

老齢厚生年金の受給対象となる方は、厚生年金保険などに加入していた方です。
これは、典型的には、会社員として厚生年金保険料を支払っていた方などです。

老齢厚生年金の年金額は、厚生年金保険に加入していた時の給与等の額や、加入期間に応じて計算されます。
基本的には、給与等の額が高ければ高いほど、また加入期間が長ければ長いほど、多くの年金をもらうことができます。

老齢厚生年金に関する制度は、2022年4月以降改正され、「在職老齢年金」(働き続けながら年金をもらう60歳以上の方を対象とする制度)の支給停止基準額が緩和されたり、年金受給開始時期の選択肢が拡大するなどの変更があります。

2022年からの老齢厚生年金に関する変更点について、詳しくはこちらをご覧ください。

定年後も働くと年金は減る?『在職老齢年金』について弁護士が解説

(3)老齢基礎年金・老齢厚生年金の資格期間

老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取るためには、10年以上の「資格期間」が必要です。
※平成29年7月以前に受給開始年齢に達した方は、原則25年以上の資格期間が必要です。

資格期間は、次の式で算出します。

資格期間=保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間

※合算対象期間とは、年金額の算定には反映されないものの、年金受取に必要な資格期間に含むことのできる期間のことです。

例えば、10年以上サラリーマンとして厚生年金保険料を納め続けていた方は、資格期間が10年以上あり、老齢年金を受け取れます。
また、国民年金保険料の納付が5年間免除されておりその後さらに5年以上国民年金保険料を納めた方も、合計10年以上の資格期間があることとなり、老齢年金を受け取ることができます。

参考:新たに年金を受けとれる方が増えます|厚生労働省

老齢年金の「繰上げ受給」の仕組みとメリット・デメリット

老齢年金は、65歳からもらい始める以外の選択肢はないのですか?
65歳以外の時期からもらい始めることができると聞いたことがあるのですが……。

老齢年金は、65歳からだけでなく、一定の範囲でもらう時期を早くしたり遅くしたりしてもらい始めることもできます。
これを、「繰上げ受給」「繰下げ受給」といいます。
「繰上げ受給」「繰下げ受給」について、詳しくご説明します。

老齢年金(基礎年金・厚生年金)は、本人の希望によって、65歳より早い時期に受給開始時期を繰り上げることができます。
これを「繰上げ受給」と言います。
繰り上げることのできる時期は、60歳〜65歳(月単位)の間です。

(1)「繰上げ受給」の仕組み

「繰上げ受給」とは、毎年の年金支給額を減額する代わりに、受給開始時期を60歳〜65歳の間で選んで繰り上げることができる制度です。
繰上げによって年金が減額される率は、手続きを行った時点で決まり、減額率は生涯変わりません。
また、一度繰上げ受給を開始すると繰上げ受給を取り消すことはできません。

老齢基礎年金と老齢厚生年金はあわせて繰上げ受給の請求をする必要があり、原則としてどちらか一方のみを繰上げ受給することはできません。

(2)「繰上げ受給」の主なメリット・デメリット

繰上げ受給には、次のようなメリットがあります。

  • 60歳で定年となるなどして収入が減った分、早くから老齢年金をもらい始めることで経済的にゆとりができる

これに対して、繰上げ受給には、次のようなデメリットがあります。

  • 65歳から老齢年金をもらい始める場合と比べて、年金額が一定の率で減額され、その減額された年金額が生涯にわたり続く
  • 障害基礎年金を受け取れる障害の状態になっても、障害基礎年金を請求できない
  • 繰上げ受給開始後は、寡婦年金を受け取れない

繰上げ受給をしたほうがいいのはどんな人ですか?

経済的な都合などにより、年金が減額されてもいいからとにかく少しでも早く老齢年金を受け取りたいという方は、繰上げ受給を選ぶほうがよいです。

老齢年金の「繰下げ受給」の仕組みとメリット・デメリット

老齢年金(基礎年金・厚生年金)は、本人の希望によって、65歳より遅い時期に受給開始時期を繰り下げることができます。
これを「繰下げ受給」といいます。
繰り下げることのできる時期は、66歳〜75歳(月単位)の間です。

(1)「繰下げ受給」の仕組み

「繰下げ受給」とは、受給開始時期を65歳より遅い時期(66歳以降)に繰下げ、その分増額して老齢年金を受け取れる制度です。

これまでは繰下げは最大「70歳」まででしたが、2022年4月1日以降に70歳を迎える人については「75歳」まで繰り下げられるように制度が変わりました。
また、これまでは70歳まで繰り下げたときの最大の年金増額率が「42%」でしたが、2022年4月以降は75歳まで繰り下げられるとともに最大の年金増額率が「84%」となります。

(2)「繰下げ受給」の主なメリット・デメリット

年金をもらい始める時期を繰り下げることに何かメリットはあるのですか?
できるだけ早く年金をもらい始めたほうが良いような気がするのですが……。

繰下げ受給のメリットは、なんといってももらえる年金額が増えることです。
働き続けているなどの理由により経済的にゆとりがある方であれば、繰下げ受給をするほうがお得な可能性もあります。

繰下げ受給には、次のようなメリットがあります。

  • 受給開始時期を繰り下げるほど、繰下げた期間に応じて受け取れる老齢年金の金額が増える
  • 長生きをすれば、65歳から老齢年金をもらい始めるよりも多くの年金を受け取れる

一方で、繰下げ受給には、次のようなデメリットがあります。

  • 繰下げ期間中は、「加給年金」を受け取ることができない
  • 早く亡くなってしまった場合、65歳から老齢年金を受給開始していた場合と比べて、受け取れる総額が少なくなる可能性がある

加給年金とは、65歳になって年金を受け取る権利が発生した場合に、一定の要件にあてはまる配偶者や子がいると老齢厚生年金に上乗せしてもらえるお金です。
加給年金額は、配偶者22万3800円(年額)などです(※2022年度の金額)。

加給年金は決して少なくないお金なので、加給年金が受け取れなくても差し支えないかをしっかりと確認するようにしましょう。

老齢年金の繰下げ受給をするのは、どんな人ですか?

65歳以降も働いてお金を稼いでおり、それだけで生計を立てられるなど、すぐに老齢年金をもらい始めなくても差し支えない方などが繰下げ受給を選ぶことが多いです。
繰下げ受給を検討している場合は、まずはご自身の家計を確認し、老齢年金がなくても生活ができるのかを確認してみるとよいでしょう。

【まとめ】老齢年金の受取開始年齢は原則65歳!一定の繰上げ・繰下げ受給も可能

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 老齢年金は、原則65歳からもらい始めることができる。
  • 老齢年金は、本人の希望によって、65歳よりも一定の年数まで繰り上げたり繰り下げたりしてもらい始めることもできる。
  • 「繰上げ受給」は、最も早くて60歳から老齢年金をもらい始められるが、65歳よりも早くもらい始める分、毎年の年金支給額が減額される。
  • 「繰下げ受給」は、最も遅くて75歳まで老齢年金の受給開始を遅らせることができ、65歳よりも遅くからもらい始める分、毎年の年金支給額が増額される。

老齢年金は、老後の生活を支える重要な収入源です。
老齢年金の受取開始年齢がいつなのかは、ぜひ正確に把握しておきたいですよね。
また、繰上げ受給・繰下げ受給をすることもでき、それによってもらえる年金の額が増減します。

繰上げ受給・繰下げ受給のメリット・デメリットをしっかりと把握して、ぜひご自身の状況に合わせてもっともお得なもらい方を選ぶようにしましょう。

年金についての相談は、全国の年金事務所や街角の年金相談センターなどで行うことができます。
また、電話によって相談することもできます。
分からないことがあれば、年金事務所などに相談してみるようにしましょう。

参考:年金のご相談(電話・窓口)|日本年金機構

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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