「毎日毎日、長い荷待ち時間が発生してイライラ!ずっとトラックからも離れられないし、もう疲れた・・・」
このような悩みをお持ちではありませんか?
実は、長い「荷待ち時間」が発生する物流業界の現状は以前から問題視されており、同じように感じているトラックドライバーの方は少なくないようです。
また、運送会社における違法な長時間労働の摘発が相次ぐなど、ドラックドライバーの労働環境も問題となっており、「荷待ち時間」はその一因であるとも言われています。
この記事を読んでわかること
中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。
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荷待ち時間が抱える問題
「荷待ち時間」とは、 運搬した荷物の積み込みや、荷降ろしをするために、荷主や物流施設などの都合で発生する待機時間のことです。
他の運送会社のトラックと到着時間が重なるなどして、物流施設に長蛇の列ができることも少なくなく、 長時間労働の一因となっています。
国土交通省の行った調査によると、荷待ち時間の内訳は次のとおりです(荷主都合で30分以上の荷待ちが発生したものが対象)。
半数以上で1時間以上の荷待ち時間が発生しており、3時間以上の場合も、全体の約1割を占めていることがわかります。
荷待ち時間は荷主や物流施設の都合で発生するため、いくら効率的な作業を心がけたとしてもドライバーの側でコントロールすることはできません。
したがって、より一層イライラが募ってしまうのも無理はないでしょう。
しかも、運送会社にとって荷主は顧客であるため、荷主に対し、自社の従業員のために荷待ち時間を解消する手段を講じるように要求することは、なかなか難しいのが現実です。
長時間労働の常態化といった労働条件の悪さから、トラックドライバーの人手不足も問題になっています。2022年5月に厚生労働省が発表した労働経済動向調査によると、「運輸業、郵便業」の欠員率は4.2%となっており、全体と比較して高い水準となっています。
参照:労働経済動向調査(令和4年5月)の概況 | 厚生労働省
荷待ち時間の記録は会社の義務
かねてより、運送会社がトラックドライバーに違法残業をさせていた事例が多数あり、トラックドライバーの労働環境が問題になっていました。
そこで、2017年7月から、運送会社は主に次のような事項をドライバーごとに記録し、1年間保存する義務を負うこととなりました。
(車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上の事業用自動車に乗車する場合)
- 集貨または配達を行った地点
- 集貨または配達を行った地点への到着・出発日時
- 荷役作業などの開始及び終了の日時
- 荷役作業などの内容 など
参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索
この記録により、荷待ち時間が、いつ、どのくらいあったのかを明らかにし、ドライバーの労働環境の改善や業務の効率化につながることが期待されています。
また、荷待ち時間が労働時間といえるのであれば、労働時間を証明する重要な証拠になると考えられています。
荷待ち時間が「休憩時間」とされていませんか?
荷待ち時間は、荷物の積込みや、荷降ろしの荷役作業を開始できるとなれば、直ちに荷役作業に従事しなければならない状態にある時間であり、いつ荷役作業を開始できるのか分からなければ、いつでも直ちに対応できるようにしている必要があるという意味で、時間的・場所的に拘束され、その時間を自由に過ごすことはできないため、使用者の指揮命令下にある労働時間であると考えられております。
しかし、トラックが走行しておらず、利益を生む時間ではないため、荷待ち時間を「休憩時間」として扱い、残業代などの労働の対価を支払っていない運送会社は少なくありません。
この現状が、荷待ち時間が違法なサービス残業の温床となっている所以です。
なお、自分の荷役作業の開始時間が予め定められており、実際に予定より早い時間に荷役作業の開始を余儀なくされることがなければ、荷役作業開始の直前の時間まで、トラックを離れてゆっくり店舗で食事を取るなど、自由に過ごせることが多いといえます。そうした荷役開作業開始の直前までの時間は、労働時間ではなく、休憩時間であると考えられます。
このように、物流施設などにおける荷役作業が開始されるまでの時間について、必ずしも労働時間とされる訳ではありません。時間的・場所的に拘束され、自由に過ごすことができない場合、その時間は労働時間とされるのです。
トラックドライバーの労働は過酷になりがち
一般的な荷待ち時間は、荷物を長い時間運搬してきた後に発生します。
ただでさえ長時間・長距離の運転は緊張やストレスのかかる重労働であるにもかかわらず、その後に毎回長い荷待ち時間まで発生していれば、慢性的な疲労や睡眠不足が蓄積していることでしょう。
睡眠不足による居眠り運転や急病が、重大な交通事故を引き起こす可能性もあります。
また、長時間労働は過労死や過労自殺にもつながるリスクがあるため、自分の健康を最優先に考え、必要であれば働き方を見直すようにしてください。
長時間労働が慢性的に生じているのであれば、残業代が発生している可能性があります。もし、適正な金額の残業代が支給されていないようでしたら、弁護士に相談することを検討しても良いでしょう。
トラックドライバーの残業代請求について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】長い荷待ち時間はドライバーの長時間労働の一因として問題視されている
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 荷待ち時間とは、荷物の積み下ろしの時間や、荷主や物流施設などの都合で発生する待機時間
- 国土交通省の調査によると、半数以上で1時間以上の荷待ち時間が発生しており、3時間以上の場合も全体の約1割を占めている
- 以前からトラックドライバーの労働環境が問題になっていたため、2017年7月に、荷待ち時間などの記録が運送会社の義務とされた
- 荷待ち時間を「休憩時間」として扱っている運送会社は少なくなく、荷待ち時間が違法なサービス残業の温床となっている面がある
- 長時間労働は、居眠り運転などの事故の原因となる可能性があり、過労死などのリスクもあるため、場合によっては働き方を見直すことも必要
長い時間運転してきた後に、さらに荷待ち時間が発生すれば、疲労がどっと押し寄せてくることでしょう。
荷待ち時間の記録が義務化されたことにより、物流業界全体の労働環境改善が期待されますが、長時間労働の改善だけでなく、労働時間が適切に把握されることで、適正な残業代が支払われることも重要です。
労働時間とされるべき荷待ち時間が休憩時間として扱われており、未払いの残業代が発生しているのではないかと感じている方は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ、報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年11月時点
残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
(なお、現在、トラックドライバーなどの運送業者の残業代請求については、多くのご依頼をいただいており、一時ご相談をお断りさせていただいています)。
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