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月50時間の残業はいくらになる?残業時間における割増賃金の率

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遅くまで残業をしたなら、それに見合う報酬が支払われるべきですよね。

月50時間の残業をした場合には、法律に基づいて計算すれば、月10万円以上の残業代が発生している可能性があります。

月50時間残業というと、「私はもっと残業している」と思われる方もいるかもしれませんが、これは実は、法律で原則とされる残業時間の上限を超える数字なのです。

それだけの残業をしながら、適正な残業代が支払われずに損をするような事態を防ぐためには、法定の割増率や計算方法の基礎を押さえておくことが有用です。

そこで今回の記事では、

  • 労働時間規制や残業代に関する基礎知識
  • 残業代の計算方法と割増率
  • 固定残業代制の場合
  • 未払い残業代についての対処法

といった点について、解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

労働時間規制と残業代の基礎知識

まず、残業代に関する基礎知識として、労働時間についての規制や、残業(時間外労働)ができる条件、残業代(割増賃金)が出る条件について解説していきます。

(1)労働時間の規制

残業代の額を把握するにあたっては、労働時間の上限に関する規定について知っておく必要がありますので、まずその点から説明いたします。

労働基準法32条は、労働時間について、原則として「1日8時間・1週40時間」を超えてはならないと定めています。
この労働時間の上限のことを「法定労働時間」といいます。

1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

引用:労働基準法32条

法定労働時間は長時間労働を強要されないためのルールであり、使用者が法定労働時間を超えて労働者を労働させることは、原則として違法となります。

この法定労働時間に対して、会社が独自に就業規則などで定めた労働時間のことを「所定労働時間」と呼んでいます。
所定労働時間は、法定労働時間を超えない限り、それぞれの会社で自由に定めることができます。

例えば、1日の所定労働時間を7時間とするなど、法定労働時間より短く設定することは問題ありません。

(2)時間外労働を行うためには36協定が必要

法定労働時間を超えて行われる労働のことを「時間外労働」といいます。
時間外労働を行うためには、労働基準法36条に基づく労使協定(いわゆる「36協定」)を使用者と労働者の代表との間で締結し、管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

36協定の締結・届出が行われると、適法に時間外労働を行わせることができるようになりますが、その場合でも、原則として「月45時間・年360時間」が時間外労働の上限とされます(労働基準法36条4項)。

そのため、毎月50時間の時間外労働を行っている場合には、36協定を締結・届出をしても、下記の特別条項の定めがなければ、労働基準法違反とされます。

もっとも、36協定に特別条項を定めた上で労使が合意すれば、臨時的な特別の必要性がある場合に限り、月45時間を超える時間外労働が認められます。

そうした例外的な場合についての時間外労働の上限規制は、以下のようになっています。

  • 時間外労働は年720時間以内(労働基準法36条5項かっこ書き)
  • 時間外労働及び休日労働の合計が、複数月(2~6ヶ月のすべて)平均で80時間以内(同法36条6項3号)
  • 時間外労働及び休日労働の合計が、1ヶ月当たり100時間未満(同法36条6項2号)
  • 原則である1ヶ月当たり45時間を超えられるのは1年につき6ヶ月以内(同法36条5項かっこ書き)

これらに違反した場合には、使用者に6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されるおそれがあります(同法119条)。

すなわち、月50時間の時間外労働は、こうした例外的な要件をみたした上で、はじめて適法になることとなります。

参考:時間外労働の上限規制|厚生労働省

(3)残業代が発生する条件

法定労働時間を超えた労働が行われると「時間外労働」となり、使用者に割増賃金を支払う義務が発生します。割増率は通常の賃金の25%以上となります(労働基準法37条1項)。

一方、所定労働時間を超えて労働したが、法定労働時間を超えない部分については、「法定内残業」として割増のない通常の賃金支払い義務が発生します。
例えば、所定労働時間が1日7時間である場合、7時間を超えて8時間(法定労働時間)までの部分につき、割増なしの残業代が発生することになります。

このように、所定労働時間を超えた場合と、法定労働時間を超えた場合とで、1時間あたりの残業代(割増賃金)の金額が異なってくるため、所定労働時間に関する定めについて就業規則等で確認しておきましょう。

月50時間の残業代の計算方法と割増率

続いて、残業代の基本的な計算方法や、割増率について解説していきます。

(1)残業代の計算方法

残業代は、基本的に以下の計算式にあてはめて算出します。
「1時間あたりの賃金(基礎賃金)×割増率×残業時間」

  1. 割増率と残業時間
    まず、1日8時間又は週40時間を超えて働いた分の残業時間(時間外労働時間)を算出します。
    時間外労働の割増率は「1.25」なので、通常の時間外労働のみの場合、割増率の部分には1.25の数字が入ります。

    あわせて、1日8時間・週40時間をいずれも超えない部分の残業時間(法定内残業)を算出し、これらを合計します。
    法定内残業については、割増なしの通常賃金が発生しますので、割増率の部分には1の数字が入ります。

  2. 1時間あたりの賃金(基礎賃金)
    1時間あたりの賃金(基礎賃金)は、月給から、個人の事情に基づいて支給される「手当」を除外した額を、月の平均所定労働時間で割ることによって算出します。

「1時間あたりの賃金(基礎賃金)=(月給-手当)÷(月の平均所定労働時間)」

※月の平均所定労働時間=(365日-年間所定休日日数)÷12×1日の所定労働時間

個人の事情に基づいて支給される手当とは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金がそれにあたります(労働基準法37条5項、同施行規則21条)。

第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は参入しない。

引用:労働基準法37条5項

法第37条第5項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第1項及び第4項の割増賃金の基礎となる賃金には参入しない。
1 別居手当
2 子女教育手当
3 住宅手当
4 臨時に支払われた賃金
5 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

引用:労働基準法施行規則21条

(2)割増賃金の率と計算例

続いて、法定内残業、時間外労働(法定外残業)、深夜残業、休日労働、月60時間超の時間外労働の場合の割増率について、それぞれ解説していきます。

(2-1)法定内残業の場合

法定内残業は、所定労働時間が1日7時間などの場合に、法定労働時間(1日8時間・1週40時間)の範囲内で残業した場合が該当します。
この法定内残業で残業代が支払われる場合には、割増なしの「基礎賃金×残業時間数」にあたる残業代が発生することになります。

(2-2)時間外労働(法定外残業)の場合

法定労働時間を超えて労働した場合にあたる時間外労働(法定外残業)の場合、割増率は25%となります。
したがって、月50時間の時間外労働を行った場合(かつ深夜労働がない場合)、
「基礎賃金×50時間×1.25」が残業代となりますので、基礎賃金が2000円であれば、1ヶ月あたりの残業代は12万5000円となります。

(2-3)深夜残業の場合

22~5時の間に行われた労働(深夜労働)に対しては、25%の割増賃金が発生します。
ただし、法定労働時間を超えて22時以降に働いた場合(深夜残業)は、時間外労働に対する25%の割増がさらにプラスされ、50%の割増率となります。

(2-4)休日労働の場合

労働基準法35条において、使用者は労働者に対し、1週間あたり1日又は4週間あたり4日以上の休日を付与しなければならないと定めています。
法律によって定められたこの休日のことを「法定休日」といい、法定休日に行う労働のことを「休日労働」といいます。

休日労働を行った場合、35%の割増賃金を支払う義務が使用者に生じます。
休日労働が深夜労働となった場合には、その部分について25%の割増率がさらにプラスされ、合計で60%の割増率となります。

これに対して、「法定外休日(所定休日)」における労働は、休日労働とは扱われません。
例えば、週休2日で土日休みという会社の場合、日曜日を法定休日、土曜日を法定外休日(所定休日)などと定めたりします。
この場合、日曜日の労働は休日労働(割増率35%)として割増賃金が発生しますが、土曜日の労働は休日労働ではないため休日労働としての割増賃金は発生せず、法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えた場合に時間外労働(割増率25%)としてカウントされることになります。

(2-5)時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合

1ヶ月60時間を超える時間外労働をした場合、超えた時間分に対する割増率が通常の25%から50%になります。
この時間外労働が22~5時の深夜時間帯に行われると、深夜割増としてさらに25%がプラスされ、割増率が75%となります。

この規定は、労働環境の実情なども踏まえて、これまで中小企業に対しては適用が見送られてきました。しかし、2023年4月1日からは、既に適用されている大企業と同様に、中小企業にも50%の割増率が適用されることになっています。

参考:しっかりマスター労働基準法―割増賃金編―|厚生労働省 東京労働局

固定残業代制の場合は?

ここからは、固定残業代制の場合の残業代について、解説していきます。

(1)固定残業代とは?

固定残業代とは、給与のうちであらかじめ基本給に加算されて支払われる、あるいは特定の手当として支払われる、「想定される一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対する定額の割増賃金」のことを指しています。
想定される残業代は、実際の労働時間にかかわらず固定給として支払われます。

「固定残業代制」の場合、その名称や性質から、追加の残業代は発生しないと思われがちですが、固定残業代に相当する残業時間を超えて労働した場合には、超えた分に対する残業代を請求できます。

(2)固定残業制の残業代

固定残業制における残業代は、通常の計算方法と同じで、「残業時間×1時間あたりの賃金(基礎賃金)×割増率」という計算式によって算出されます。

ただし、本来支払われるべき残業代が、固定残業代よりも多い場合には、その差額分、すなわち「労働基準法上支払われるべき残業代-固定残業代」を、固定残業代に上乗せして請求できることになります。

未払い残業代が発覚したら?

残業代が未払いである場合には、通常の月給制であるか、固定残業代制であるかを問わず、未払い残業代を会社に請求することができます。

もっとも、未払い残業代を請求するためには、残業の証拠を集めることと、正しい残業代を計算することが必要となります。

残業代の計算は複雑なものになりがちですし、証拠に関しても有用なものを多く集めることが重要であることを考えれば、弁護士への相談がおすすめです。

会社と直接交渉するのは気が引けるものであり、あきらめてしまうケースも多いものです。しかし、弁護士に依頼することで、適切な証拠収集についてのアドバイスも期待でき、また残業代の計算、会社との交渉についても代理してもらうことができます。
その結果、残業代を早期に回収できる可能性が高くなります。

なお、アディーレ法律事務所のウェブサイトには「残業代メーター」という請求可能な残業代を簡単に計算できるページがあります。
ただし、簡易的に計算するものであるため、実際の請求額とは異なることがあります。
請求額のイメージをつかむためにお役立てください。

【まとめ】月50時間の残業代は「基礎賃金×割増率×50時間」

今回の記事のまとめは以下のとおりです。

  • 割増賃金は、法定労働時間を超えて働いた時間外労働に対して発生します。
  • 月50時間の残業をさせるためには、時間外労働の上限の原則である月45時間を超えるため、特別条項付き36協定の締結が必要です。
  • 残業代は「残業時間×1時間あたりの賃金(基礎賃金)×割増率」で計算することができます。割増率は、時間外労働、深夜労働、休日労働など残業の種類によって規定の数字があります。
  • 固定残業代制では、固定残業代の額より残業代が上回った場合は差額分を請求することができます。
  • 未払い残業代は会社に請求が可能であり、弁護士への相談がおすすめです。

月50時間レベルの時間外労働がありながら適正な残業代が支払われず、未払い残業代の請求を検討している方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。

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弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

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