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賃金とは何か?その考え方や未払い分の賃金があるときの対処法も紹介

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「『賃金』という言葉を使う場面があるけれど、『賃金』とはそもそも何のことを指すのだろう?」

「賃金」とは、使用者が労働者に対して労働の対価として支払う全てのもののことです。
また、賃金に関しては、法律上、「最低賃金を下回ってはならない」などのさまざまなルールが設けられています。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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賃金とは?

賃金とは、具体的にはいったいどのようなもののことを指すのでしょうか。
賃金の定義や、賃金にあたるもの・あたらないものについて、ご説明します。

(1)賃金の定義

「賃金」とは、使用者が労働者に対して労働の対価として支払う全てのもののことを指します(労働基準法11条)。

【労働基準法】
第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

(2)賃金にあたるもの

賃金にあたるものとして、例えば、労働の対価として支払われる次のものなどがあります。

  • 給与
  • 時間外手当
  • 休日労働手当
  • 深夜労働手当

「賃金」には基本給などだけしか入らないというわけではありません。
時間外手当などの残業代も、「賃金」にあたるので、注意が必要です。

(3)賃金にあたらないもの

賃金にあたらないものの具体例を紹介します。

賃金にあたらないものには、例えば、次のようなものなどがあります。

  • 任意的恩恵給付
  • 福利厚生としての給付
  • 企業設備・業務費
  • チップ(心付け)

(3-1)任意的恩恵給付

例えば次のもの(任意的恩恵給付)は、原則として賃金にはあたりません。

  • 結婚祝金
  • 出産祝金
  • 死亡弔慰金
  • 病気見舞金
  • 災害見舞金
  • 退職金(その支払いが会社の裁量に委ねられ、労働契約の内容とされているとは認められないもの) など

これらは、原則として労働の対償とはいえないからです。
ただし、これらの給付も、労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確になっていて、使用者に支払義務があるものは、賃金にあたります(昭和22年9月13日発基17号)。

参考:労働基準法の施行に関する件|厚生労働省

(3-2)福利厚生としての給付

例えば次のもの(福利厚生)は、原則として賃金にあたりません。

  • 生活費・教育費などの貸し付け(生活資金・教育資金など)
  • 労働者の福利の増進のための定期的な金銭給付
  • 労働者の資産形成のための金銭給付
  • 社宅の賃貸
  • 会社の浴場施設
  • 会社の運動施設
  • 会社のレクリエーション施設

これらも労働の対償とはいえないからです。
ただし、家族手当や、住宅手当は、会社内のルール(就業規則や賃金規程等)で制度化されていれば賃金にあたります。

(3-3)企業設備・業務費

例えば、次のもの(企業設備・業務費)は、原則として賃金にあたりません。

  • 作業服
  • 作業用品代
  • 出張旅費
  • 交際費(社用のもの)
  • 器具損料

これらも労働の対償とはいえないからです。
ただし、通勤手当・通勤定期券は、その支給基準が定められている限り賃金にあたります。
通勤費用は、本来は労働者が負担すべきものだからです。

(3-4)チップ(心付け)

客が従業員にチップを支払うことがありますが、チップは賃金にはあたりません。
賃金は、「使用者から」労働者に支払われるものであって、チップはこれに該当しないからです。

ただし、「客が払うサービス料を店側が受領し、このサービス料を労働者に、一定の計算に従って分配している場合」は、賃金に該当します。
この場合は、使用者が支払っているといえるからです。

賃金にはルールがある

さて、これまで賃金の定義についてご説明しましたが、賃金の額や支払い方法には、法律上、一定のルールが定められています。
賃金は、法令で定められた最低賃金を下回ってはいけません。
また、賃金の支払は労働基準法24条で定められたルールに従って行わなければなりません。

これらのルールについて説明します。

(1)賃金額は最低賃金を下回ってはいけない

使用者は、原則として最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません(最低賃金法4条1項)。
最低賃金額がいくらかは都道府県ごとに決まっており、毎年改定されます。

参考:最低賃金制度|厚生労働省

最低賃金について詳しくはこちらをご覧ください。

【2023年度最新版】最低賃金の仕組みと都道府県別金額を徹底解説

(2)賃金の支払い方法には4つの原則がある

労働基準法24条で、賃金支払いについて、次の4つの原則を定めています。

  1. 通貨支払の原則
  2. 直接払いの原則
  3. 全額払いの原則
  4. 毎月1回以上一定期日払の原則

賃金支払の原則について、詳しくはこちらをご覧ください。

(2-1)通貨支払の原則

賃金は原則として、通貨で支払わなければなりません。
通貨とは、日本の貨幣・日本銀行券(1万円札などの現金)をいいます。

例外的に、一定の場合に銀行口座への振込みによって支払うことなどは許されています。

銀行振込みで給与を受け取っている方も多いかと思います。
ですが、あくまでも法律上の原則は現金手渡しです。

(2-2)直接払いの原則

賃金は、原則として直接労働者に支払わなければなりません(労働基準法第24条1項本文)。

賃金を労働者本人以外の者(例えば労働者の親や配偶者など)に支払うことは、この原則に違反することになります。

(2-3)全額払いの原則

賃金は、原則として全額を支払わなければなりません(労働基準法第24条1項本文)。
会社が労働者に対する債権と労働者の賃金債権とを一方的に相殺することも禁止されていると考えられています。

ただし、法令に別段の定めがある場合は、例外が認められています。
例えば、賃金から、源泉徴収、社会保険料の控除、財形貯蓄金の控除などをすることは、労働基準法違反とはなりません。

このほかにも、一定の要件を満たしたチェック・オフ(会社が労働組合の組合員の賃金から組合費を控除して、これを一括して労働組合に渡すこと)なども許されています。

(2-4)毎月1回以上一定期日払の原則

賃金は原則として、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければなりません。
ただし、臨時に払われる賃金や賞与などはこの原則の適用外です。

賃金が支払われていない場合は請求できる

賃金が支払われていない場合、労働者は未払い賃金を会社に請求できます。

未払い賃金を会社に請求する流れは、次のとおりです。

証拠を集める

未払い賃金の額を計算する

会社に未払い賃金を支払うように求めて交渉する

未払い賃金を会社に請求する方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

給料の未払いについて詳しくはこちらをご覧ください。

(1)賃金には「消滅時効」がある

未払い賃金は、請求しないまま一定期間が経過すると、会社側が時効を主張することで、未払い賃金を請求する権利を失ってしまいます(消滅時効制度)。

現在、未払い賃金(退職手当を除く)の消滅時効には、次のとおりです。

  • 2020年4月1日以降に支払日が到来する未払い賃金→時効は3年

※今後、法改正により時効が5年に延びる可能性がありますので、最新の情報にご注意ください。

一般の賃金に対して、退職手当の時効は5年です。
賃金支払日の翌日から各時効のカウントダウンが始まります。

例えば、2022年6月25日が支払日である賃金が未払いになっている場合、何もしないまま放っておいて2025年6月25日が経過すると、もはやその賃金を請求することができなくなってしまうということです。

このように未払い賃金には時効がありますので、未払い賃金を請求したいなと思ったら、早めに請求することが大切です。

未払い賃金を請求したい気持ちはあるけれど、自分ではなかなか会社に対して言い出せない……。

そんなときは、弁護士に相談・依頼して請求するという方法もありますよ。
弁護士に未払い賃金の請求を相談・依頼すれば、あなたの代わりに会社に対して請求してくれます!

(2)消滅時効の完成が迫っている場合の対処法

請求しても、会社が未払い賃金を認めてくれない場合には、消滅時効が完成する前に訴訟提起などをして、「消滅時効の完成を阻止する措置」や、「時効完成する時期を一時的に伸ばす措置」を取らないと、そのまま権利が消滅してしまいます。

しかし、訴訟提起などの準備をするには時間がかかることも多いです。
このような場合、内容証明郵便で未払い賃金を請求すると、訴訟提起するまでの時間を6ヶ月間稼ぐことができます(この6ヶ月間は消滅時効が完成しません)ので、内容証明郵便で請求するとよいです。

※ただし、この6ヶ月間の間に、訴訟提起などをしないと時効が完成してしまいますので注意しましょう。なお、内容証明郵便を繰り返し出すことによって、時効がさらに伸びることはありません(相手が未払い賃金の請求権の存在を認めた場合などは別です)。

こういった法律に関することは専門家である弁護士に相談することで、手続きがスムーズになるため、弁護士への相談がおすすめです。

【まとめ】賃金とは使用者が労働者に対して労働の対価として支払う全てのもの

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 賃金とは、使用者が労働者に対して労働の対価として支払う全てのもののこと。
    例えば、給与のほか、時間外手当などの残業代も含まれる。
  • 賃金には、法令で定められた最低賃金を下回ってはいけないなどのルールがある。
  • 賃金が支払われていない場合には、会社に対して請求できる。
    賃金には、請求しないまま一定期間が経過するともはや請求できなくなるという「消滅時効」があるため、早めに請求するべき。

働いた対価である賃金をもらうのは、労働者の当然の権利です。
そうであるにもかかわらず、賃金を支払ってもらえていないケースも多くあります。

また、賃金が未払いになっているケースの中でも特に多いのが、残業代が未払いになっているケースです。
残業代を含めた賃金が未払いになっている場合には、なるべく早めに会社に対して請求するようにしましょう。

自分ひとりで会社に賃金・残業代を請求することが難しい場合には、弁護士に相談・依頼して未払い賃金や残業代を請求するのがおすすめです。

アディーレ法律事務所は、未払い賃金の問題の中でも、特に残業代請求に力を入れている弁護士事務所です。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

※以上につき、2022年6月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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