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育児休業期間の途中で職場復帰したら育児休業給付金はどうなる?

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kiriu_sakura

子どもが生まれ、育児休業をとる方は多いと思います。
育児も落ち着いてきたことなどから、予定していた育児休業期間の途中で、職場復帰しようと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「育児休業期間の途中で職場復帰したら、今受給している給付金はどうなるのだろう?」と気になって、復帰をためらわれる方もいらっしゃると思います。
結論としては、この育児休業給付金は、職場復帰すると、育児休業給付金は終了します。

職場復帰を迷われている方は、育児休業給付金の制度を理解した上で、職場復帰するかどうかを検討されてはいかがでしょうか。

この記事では、

  • 育児休業と育児休業給付金の制度
  • 育児休業期間の途中で職場復帰すると、給付金の受給も終了すること

などについて弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

「育児休業」と「育児休業給付金」

育児休業の取得率は、厚生労働省の2019年の調査によると、女性の取得率は概ね8割台で推移している一方、男性は低水準ではあるものの上昇傾向にあります。2018年度の男性の取得率は、6.16%です。

参考:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について│厚生労働省

育児休業期間の途中で職場復帰すべきかどうか検討する前提として、育児休業制度と育児休業給付金の関係について説明します。

(1)育児休業は、育児・介護休業法で認められた制度

育児休業制度とは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)に基づいて、子どもが原則として1歳(保育所への入所が困難といった事情がある場合は、最長で2歳になるまで延長可能)に達するまで、申請によって取得できる法律上の制度です。
育児休業の制度は、一定の要件を満たせば、原則として1歳に満たない子を育てる男女従業員が対象となります。
基本的に正社員であるかそうでないかといった区別はありませんので、一定の要件を満たせば、契約社員や派遣社員などの有期雇用契約労働者も育児休業を取得できます。

なお、育児休業中は、年金事務所又は健康保険組合に申請することによって社会保険料が免除されます。

参考:育児休業等期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の免除│厚生労働省

また、育児休業に付随する制度として、「パパ・ママ育休プラス」「パパ休暇」があります。

「パパ・ママ育休プラス」とは、両親がともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2ヶ月に達するまで(2ヶ月分はパパ(ママ)のプラス分)に延長されます。
要件は、
ア 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
イ 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
ウ 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
です。

「パパ休暇」とは、通常、育児休業の取得は原則1回までですが、子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、育児休業が取得できる制度です。
要件は、
ア 子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
イ 子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること
です。

参考:両親で育児休業を取得しましょう!│厚生労働省

(2)育児休業給付金は、育休取得者に対して雇用保険から支給される給付金

育児休業中の賃金支払いについて、法律上は何ら定められていません。
育児休業中は、基本的に、「ノーワーク・ノーペイの原則」(労働基準法24条)が適用され、働いていないことから賃金が支払われないことが一般的です。
多くの会社では、育児休業中は、就業規則などに特別の規定がない限り、無給となります。

そこで、育休取得中の収入低下を補償することを目的として、一定条件を満たす雇用保険加入者に、育児休業給付金が支給されます。育児休業給付金(金額は、給料の67%。ただし、6ヶ月以降は50%)を受け取ることが可能です。なお、育児休業給付金を受給している期間は、健康保険や厚生年金保険は被保険者のままですが保険料は免除されます。

育児休業給付金は、雇用保険法に基づく制度で、被保険者が、1歳に満たない子を養育するための育児休業を取得し、育児休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて80%未満に低下した等、一定の要件を満たした場合に、ハローワークへの支給申請により支給されるものです。

受給資格は、1歳(パパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2ヶ月、保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6ヶ月又は2歳)未満の子を養育する被保険者で、次のいずれにも該当する場合です。
イ 1歳未満の子を養育するために、「育児休業」を取得した被保険者であること。
(イ)ここでいう「育児休業」とは、職場復帰を前提に取得するものをいい、休業取得時に退職が確定(予定)している休業は支給の対象となりません。
(ロ)育児休業対象者は男女を問いません。
(ハ)育児をする子は実子・養子を問いません。
(ニ)期間雇用者も支給対象となります。
ロ 育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上(なお、育児休業開始日が2020年8月1日以降であって、育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月ない場合は、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヶ月として取り扱うこととする)あること。
(イ)育児休業を開始した日とは、産後休業から引き続いて育児休業を取得した女性の場合は出産日から起算し58日目をいいます。また、男性の場合は、配偶者の出産日当日から、育児休業を開始することができます。

期間雇用者(期間を定めて雇用される者)の方は、上記イ及びロに加え、休業開始時において、次の(イ)(ロ)のいずれにも該当しなければなりません。
(イ)同一事業主のもとで1年以上雇用が継続していること。
(ロ)同一事業主のもとで子が1歳6ヶ月までの間(保育所における保育の実施が行われない等の理由により、子が1歳6ヶ月後の期間について育児休業を取得する場合は、1歳6ヶ月後の休業開始時において2歳までの間)に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないこと。

この受給資格の確認を受けた被保険者であって、育児休業中に支払われた賃金の額が、休業開始時の賃金月額に比べて、80%未満である等、支給要件を満たした場合に、育児休業給付金を受けることができます。

参考:第11章 育児休業給付について│厚生労働省

育児休業給付金の受給期間と支給額

次に、育児休業給付金の支給の仕組みを説明します。

(1)受給期間は、原則最大10ヶ月間だが、場合によっては延長可能

出産した女性が育児休業給付を申請する場合、産後休業期間が終了し、育児休業が開始する日から(産後8週間)、育児休業給付金の支給対象期間となります。

そして、育児休業給付金は、次のいずれかが到来したときに終了することとなります。

  • 子どもが1歳を迎える前日
  • 育休取得者の職場復帰、退職

ただし、保育園に入所できないなど特段の事情がある場合は、例外的に子どもが1歳6ヶ月又は2歳を迎える前日まで受給期間を延長できます。
育児休業給付の受給期間中は、原則2ヶ月ごとに2ヶ月分まとめて申請をすることが必要です。

(2)支給額は、育休開始からの日数によって変わる

育児休業給付金の支給額は、休業期間中に賃金が支払われていない場合には、
「休業開始時賃金日額×支給日数×給付率」で計算します。

給付率は、2021年時点において、「育休開始から180日まで」は67%、「181日から育休終了日まで」は50%となっています。

支給額には上限が設けられており、給付率67%の場合は、至急上限額が30万5721円、給付率50%の場合は、22万8150円(2021年6月時点)となっています。
支給限度額は毎年8月1日に変更される場合があります。
なお、会社から一定額以上の給与が支払われる場合は、育児休業給付金が減額またはゼロになります。

具体的には、

  • 会社から支払われた賃金が休業開始時賃金の月額30%以下の場合
    →減額はありません。
  • 会社から支払われた賃金が休業開始時賃金の30%超~80%未満の場合
    →支給額は、休業開始時賃金日額×支給日数の80%相当額と賃金の差額、になります。
  • 会社から支払われた賃金が、休業開始賃金月額の80%以上の場合
    →支給されません。

なお、育児休業給付金の受給について会社が手続きしてくれない場合等は、会社の雇用保険を管轄しているハローワークに相談することができます。

育児休業期間の途中で職場復帰すると、育児休業給付金の受給も終了する

育児休業を予定より早く切り上げて職場復帰することは、可能です。
ただし、子どもが1歳を迎える前に育児休業を終了して職場復帰した場合は、職場復帰時点をもって育児休業給付金の受給も終了します。
この場合、最後の月は日割計算で育休最終日の分までは受給できます。

なお、2010年3月31日までは「育児休業者職場復帰給付金」という制度がありました。
これは、復帰したからといって収入が育児休暇をとる以前の収入まですぐに戻るわけではないため、復帰直後の労働者を保護するための制度でした。具体的には、保険料を納めている労働者が、育児休暇が終わった日から6ヶ月以上引き続き雇用された場合に支給される給付金で、受給できる金額は育児休暇をとったときの給与日額の20%の額でした。

しかしながら、法改正によって2010年4月1日以降は育児休業給付金に一本化して支給されることになり、育児休業者職場復帰給付金はなくなりました。

【まとめ】育児休業期間の途中で職場復帰すると、育児休業給付金の受給も終了する

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 育児休業給付金は、育休取得者に対して雇用保険から支給される給付金
  • 育児休業給付金は、「子どもが1歳を迎える前日(原則)」もしくは「育休取得者の職場復帰」で受給終了となる
  • 子どもが1歳を迎える前に育児休業を終了して職場復帰した場合は、職場復帰時点をもって育児休業給付金の受給も終了する

育児休業給付金の受給などのことでお困りの方は、ハローワークなど公的機関にお問い合わせください。

参考:全国ハローワークの所在案内│厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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