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自動車税を払えないとどうなる?滞納のリスクや猶予制度について解説

作成日:更新日:
s.miyagaki

「自動車税の納付書が届いたけれど、支払が苦しいな。これって支払わないとどうなるの?」

「自動車税(種別割)」(単に「自動車税」と言ってご説明します)は、4月1日時点での自動車(*二輪の小型自動車、軽自動車及び特殊自動車を除く。単に「自動車」と言ってご説明します)の所有者が、4月1日から翌3月31日までの分を各都道府県に支払わなければいけない税金です。

なお、軽自動車の場合には、同様に1年分の「軽自動車税(種別割)」(単に「軽自動車税」と言ってご説明します)を各市区町村に支払わなければいけません。

自動車税や軽自動車税を滞納すると、いずれ財産が差し押さえられる可能性があります。

今回の記事は、次のことを弁護士がご説明します。

  • 自動車税を滞納したときのリスク
  • 自動車税に関する猶予制度
  • 税金などの支払が苦しいときの対処法

自動車税について詳しくはこちらの記事をご確認ください。
自動車税はいつ払う?年度途中で廃車・購入した場合についても解説

自動車税はいつ払う?年度途中で廃車・購入した場合についても解説
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

自動車税を滞納したときのリスクとは?

自動車税を払えずに滞納してしまった場合、次の4つのリスクがあります。

自動車税・軽自動車税を滞納した時のリスク

(1)車検をとおせない
(2)車両の売却が困難になる
(3)延滞金が発生する
(4)財産が差し押さえられる可能性がある

それぞれご説明します。

(1)車検をとおせない

車を運転される方には釈迦に説法ですが、自動車であっても軽自動車であっても、法律上、定期的に車検(自動車検査)を受けなければいけません。
この時、自動車税・軽自動車税の未納があると車検はとおりません。

4月中や5月中に車検を受ける場合はどうなるんですか?
その年の自動車税を納付していなくても車検はとおりますか?

納税証明書に有効期限が記載されていますのでご確認ください。
5月末が納付期限の場合には、通常は翌年の5月末が有効期限となっています。
有効期限内であれば、有効に車検を受けることができます。

車検を通っていない車両を運転することは次の可能性がありますので、車検が切れた車両は絶対に運転してはいけません。

  • 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される(道路運送車両法58条1項・108条1号)
  • 6点分の交通違反点数が加点される
  • 免許停止等の行政処分を受ける

参考:交通違反の点数一覧表|警視庁
参考:行政処分基準点数|警視庁

無車検車の運転は犯罪です。
自動車税・軽自動車税を払えずに車検を通せない場合には運転はしてはいけません。

(2)車両の売却が困難になる

車を売却する際は、通常は自動車税・軽自動車税を納付したことを証明する納税証明書が必要です。
もっとも、納税証明書がなければ法律上売却できないというわけではありません。
あくまでも事実上の話ですので、自動車税・軽自動車税が未納であっても買いたいという第三者がいれば売却は可能です。

ただし、通常は税金が未納になっている車両を購入しようとする相手は多くはありませんし、場合によっては足元を見られるリスクがあります。

(3)延滞金が発生する

自動車税・軽自動車税を納付期限までに支払わないと納付期限の翌日から「延滞金」が発生します。
延滞金の率は、各地方公共団体や年度によって異なりますが、納付期限から1か月以内に支払う場合には大体3%未満、1か月を超えると9%未満程度の延滞金が課されます(1000円未満は切捨て)。

例えば、東京都の自動車税の場合は、納付期限の翌日から1か月を経過するまでの期間は2.4%、1か月を経過した日以降は8.7%の延滞金が発生します(2022年5月時点)。

参照:税金の支払い| 東京都主税局

(4)財産が差し押さえられる可能性がある

自動車税も軽自動車税も「税金」ですから、滞納したままというわけにはいきません。
自動車税や軽自動車税について規定する地方税法によれば、それらを滞納した場合には、いずれ財産が差し押さえられることとされています。

「差押え」をするには、まずは裁判をしないといけないと聞いたことがあります。税金を滞納すると、裁判を起こされますか?

借金などについて財産を差し押さえるためには「債務名義」と言って確定判決などが必要ですが、税金を滞納した場合には、差押えのために裁判は必要ありません。
自動車税・軽自動車税を滞納について、都道府県や市区町村が差押えをしようとすれば、借金などよりも迅速に財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

財産が差し押さえられる流れは?

自動車税・軽自動車税を滞納して財産を差し押さえられる場合の流れは、通常は次のとおりです。

督促状が届く

催告状が届く

差押予告通知書が届く

財産が差し押えられる

納付期限からどのくらいで財産が差し押さえられますか?

各地方公共団体によって違いますので、一概には言えません。
法律上は、自動車税・軽自動車税とも、基本的には納付期限から20日以内に督促状を発送し、督促状を発した日から10日を経過しても完納されなければ財産を差し押さえるとされています。


もっとも、実際の差押えはこれほど早くなく、督促状も1回だけではなく2回以上送られたり、電話や訪問によりまずは自発的な納付を促されます。ただ、あくまでも法律上は納付期限から1か月程度もあれば差押えが可能な状態になりますので、もしも納付期限までに支払えないという場合には、後でご説明する猶予制度などの利用をご検討ください。

差し押さえられる財産はどんなもの?

差押えを受ける財産は、次のようなものが対象となります。

  • 預金
  • 給料の一部
  • 不動産
  • 車両
  • 日常生活に特に必要のない高価な動産  など

自動車税や軽自動車税を滞納すると、自動車や軽自動車を必ず差し押さえられてしまうのですか?

そういうわけではありません。基本的に無価値の自動車でなければ差押えをされる可能性があるということです。また、車両がご自身や同一生計のご家族の方などにとって営業などに不可欠な場合は差押えはされません。

給料を差し押さえられると困ります。
給料は全額差し押さえられますか?

給料の差押えといっても、全額が差し押さえられるわけではありません。差し押さえられる給料は次のルールに従って決定します。

税金の滞納に基づく給料の差押えは、「給料の総支給額」(1000円未満は切捨て)から、
(1) 所得税
(2) 住民税
(3) 社会保険料
(4) 滞納者1人につき月額10万円
(5) 生計を一にする家族(内縁の者含む)1人につき4万5000円
(6) 総支給額から(1)~(5)を差し引いた金額の20%
の(1)~(6)を全て差し引いた残額について差押えが可能です。
※(1)~(3)、(6)は1000円未満は切上げ。

ですから、給料の総支給額が低かったり(例えば、手取り給料額が10万円以下の場合)、扶養家族が多かったりする場合は、そもそも差押え可能金額がマイナスになりますので、差押えはされません。

自動車税の猶予制度について

自動車税も軽自動車税も、場合によっては「徴収の猶予」や「換価の猶予」を受けられる可能性があります。
それぞれご説明します。

徴収の猶予について(地方税法15条)

徴収の猶予とは、税金の納付を猶予してもらえる制度です。
自動車税・軽自動車税などの地方税について徴収の猶予が受けられるのは、一般的に次のような場合です。

  • 財産につき、震災、風水害、火災その他の災害を受け、又は盗難にあった場合
  • 本人又は生計を一にする親族が病気にかかった場合
  • 事業を廃止し、又は休止した場合
  • 事業に著しい損失を受けた場合
  • 上記のいずれかの事実に類する事実があった場合

地方税の徴収の猶予は、申請が必要です。
申請時には、各地方公共団体が用意する「徴収猶予申請書」に必要事項を記入し、必要書類を添付しなければいけません。
申請書の様式は、各地方公共団体によって異なりますので、必ずご自身が納付する地方公共団体のHP(自動車税の場合は各都道府県、軽自動車税の場合は各市区町村)をご参照ください。

さらに、次のような書類も必要になります。

  • 財産収支状況書
  • 猶予額が100万円以上の場合には財産目録や収支明細書
  • 徴収猶予の要件となる事実を示す書類
    (新型コロナウイルス感染症にり患した診断書や売上比較表など)

※猶予額が100万円を超え、猶予期間が3か月以上になる場合には、担保を提供することができない特別な事情がある場合を除き、担保が必要になります。

申請期限は、原則として自動車税・軽自動車税の納付期限までです。
申請が認められる場合には、1年以内の期限に限って納付を猶予され、その間は延滞金の全額又は一部は免除されます。
猶予が認められる場合、税金は原則として分割納付になります。
また、猶予が認められた期間内にどうしても納付できない場合には、当初の猶予期間とあわせて最長2年以内で再度の猶予が認められる可能性があります。

まずは猶予を受けられるかどうか相談したいという場合には、

  • 自動車税の場合は、各都道府県の自動車税事務所
  • 軽自動車税の場合は、各市区町村の役所の窓口
    に相談してみてください!

参照:新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方税における対応について|総務省

申請による換価の猶予について(地方税法15条の6)

「換価」とは、財産を差し押さえてお金に換えた上で、滞納している税金に充てることです。
換価の猶予とは、すでに財産に対する差押えを受けている、又は今後差押えを受ける財産の換価処分を一定期間猶予して、税金の分割納付を認める制度です。

換価の猶予を受けるためには、基本的に次の要件を満たす必要があります。

  • 納税することで、事業の継続・生活維持が困難になるおそれがあること
  • 納税に対して誠実な意思をもつこと
  • 猶予を受けようとする地方税以外の地方税の滞納がないこと
  • 申請による換価の猶予をすることが適当でない場合として当該地方団体の条例で定める場合にあたらないこと

換価の猶予は、基本的に申請をしなければ受けることができません。
申請時には、各地方公共団体が用意する「換価の猶予の申請書」を記載します。
申請書の様式は、各地方公共団体によって異なりますので、必ずご自身が納付する地方公共団体のHP(自動車税の場合は各都道府県、軽自動車税の場合は各市区町村)をご参照ください。

さらに、徴収の猶予と同様、次の書類も必要になります。

  • 財産収支状況書
  • 猶予額が100万円以上の場合には財産目録や収支明細書
  • 換価の猶予の要件となる事実を示す書類
    (新型コロナウイルス感染症にり患した診断書や売上比較表など)

※猶予額が100万円を超え、猶予期間が3か月以上になる場合には、担保が必要になることもあります。

申請期限は、猶予を受けようとする自動車税・軽自動車税の納付期限から6か月以内です。
申請が認められる場合には、1年の範囲内で、財産の換価が猶予され、その間は延滞金の全額又は一部は免除されます。
やむを得ない事情により猶予期間内に納付ができない場合には、当初の猶予期間とあわせて最長2年以内の期間で猶予期間の延長を申請できます。

すでに納付期限を過ぎているのにどうしても納付できないという場合には、まずは各地方公共団体の窓口にご相談ください。そのまま放置すると、先ほどご説明したとおり、財産が差し押さえられてしまう可能性があります。

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税金以外の借金の負担を軽減する方法は?

税金の納付が苦しい、という方は他に借金をしていてその支払いに追われているという方も多いです。
自動車税・軽自動車税自体は、障害のある方など特別な減免制度の適用を受ける方でなければ、基本的に納付の免除を受けることはできません。
ですが、借金などは、「債務整理」によって負担を軽減できる可能性があります。

債務整理には、次の3つの手続があります。

(1) 任意整理

「任意整理」とは、債権者と話し合って、将来分の利息をカットしてもらうなどした上で、借金を3年ほどで分割して支払っていくことを目指す方法です(個別の事案により和解の可否・和解の内容は異なります)。
民事再生や自己破産とは異なり、基本的にはどの負債を任意整理の対象にするのか債務者が選ぶことができます。

(2) 民事再生
「民事再生」とは、裁判所の認可決定を得たうえで負債の額を5分の1程度(負債や保有資産等の金額によって減額の程度は違います)まで減額してもらい、減額された負債を原則として3年ほどかけて返済していくという手続です(税金や養育費など一部の負債は認可決定を得ても減額されません)。
自己破産とは異なり、民事再生では原則として財産は処分されません(担保がついている場合や差押えされた場合などは除きます。なお住宅ローンが残っている住宅の場合は、一定要件を満たせば住宅を維持したまま民事再生をできる場合もあります)。

(3) 自己破産
「自己破産」とは、借金返済の見込みがない場合に,債務者の一定の財産をお金に換えて債権者に公平に分配する手続です。
免責許可決定を得れば、原則として負債を支払わなくても良くなります(税金や養育費など一部の負債は、免責許可決定を得ても支払義務は免除されません)。

税金以外の借金などについてご自身にあった形で債務整理をすれば、生活を立て直すことができる可能性があります。
借金の支払いが軽くなれば税金も払える、という場合には、「債務整理」を検討してみてください。

【まとめ】 自動車税や軽自動車税を滞納すると、いずれ財産を差し押さえられる可能性がある。

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

・自動車税や軽自動車税は地方税。4月1日時点での所有者が、4月1日から翌年3月31日までの分を支払う。
・自動車税・軽自動車税を滞納した場合には、次のリスクがある。
 (1)車検がとおらない
 (2)売却が困難になる
 (3)延滞金が発生する
 (4)財産が差し押さえられる可能性がある
・自動車税・軽自動車税の納付ができない場合には、「徴収の猶予」や「換価の猶予」が認められると一定期間納付を猶予されたり、換価処分を猶予される。
・原則として、自動車税・軽自動車税は障害のある方など特別な減免措置を受ける場合以外は免除はされないが、「債務整理」をすれば、借金などの負担を軽くすることができる。

車両がないと生活や仕事ができないという方にとっては、自動車税・軽自動車税の支払いは最優先事項でしょう。
その他の借金について債務整理をすれば税金の負担も軽くなるという場合には、最適な債務整理方法を見つけるべく、弁護士にご相談ください。

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参考:「損なし宣言」について|弁護士法人アディーレ法律事務所

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