スマホは今や生活に欠かせないアイテムとなっています。
総務省の情報通信白書(令和元年版)によると、2018年のスマホの世帯保有率は79.2%に上り、パソコンの74%を上回っています。
スマホが国民の生活に浸透するにつれて、スマホを操作しながら歩くことが、信号無視、前方不注意等で事故につながるとして、「歩きスマホ」が社会問題化していました。
そんな中、神奈川県大和市が、全国で初めて、歩きスマホの規制に特化した条例を制定すると発表しました。
その後、2020年7月1日に施行されています。
今回は、この条例について説明します。
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
神奈川県大和市の「大和市歩きスマホの防止に関する条例」
(1)規制内容
すべての人に対して、大和市内の公共の場所(市内の道路、公園等)における歩きスマホを行わないようにしなければならないとして、歩きスマホを規制しています。
また、公共の場所でスマホを操作するときは、通行の妨げにならない場所で、立ち止まって行うようにしなければなりません。
参考:大和市歩きスマホの防止に対する条例案に関する意見公募手続きについて|大和市役所
(2)罰則
罰則があるかどうかが気になりますが、罰則はありません。
市によれば、条例施行後は、日常的にパトロールをしている路上喫煙防止指導員などの職員が注意喚起を行ったり、歩きスマホの防止の啓もう活動を実施したりするなどして歩きスマホの防止に具体的に取り組んでいくことを予定しています。
他にも歩きスマホを規制している条例はあるー京都府の「京都府交通安全基本条例」
(1)京都府の「京都府交通安全基本条例」
歩きスマホの規制に特化した条例ではありませんが、京都府も、歩きスマホについては、「京都府交通安全基本条例」で、次のように努力義務を定めて規制しています。
歩きスマホが社会問題化してから、比較的早い時期である、2014年9月30日に交付・施行されています。
第6条 歩行者は、道路を通行するに当たっては、交通安全に関する法令を遵守するとともに、歩きスマホ(その操作を指で画面上をなぞることにより行う携帯電話又はそれに類似する機器を操作しながら歩行することをいう。)のように車両への注意力が散漫となる行為は慎むなど、道路交通に危険を生じさせないように努めなければならない。
引用:京都府交通安全基本条例
(2)罰則
こちらも、罰則はありません。
府は、交通安全の取り組みのために、適切な広報や啓発等をしていくとしています。
おわりに
外国では、歩きスマホについて罰則(罰金)を定めて規制しているところもあるようです。
日本では、社会問題化はしていますが、罰則までは定められていません。
歩きスマホは、前方不注意で思いもよらない事故を起こして、加害者にも被害者にもなりうる危険な行為です。
自分が気を付けるのはもちろんですが、もし子どもに持たせている場合には、子どもにもしっかりと歩きスマホの危険性を伝える必要がありそうですね。