「カードローンを滞納したら『ブラックリスト』に載るって聞くけど、ブラックリストに載ったらどうなるの?」
カードローンの返済を2、3ヶ月滞納すると、いわゆる「ブラックリスト」(信用情報)に登録されることがあります。
ブラックリストに載っている間は、新たな借入れが原則としてできなくなるなどの制約を受けることになります。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- カードローンを滞納したときの3つのデメリット
- いわゆる「ブラックリスト」の仕組み
- 「ブラックリスト」に載ると起きる6つの制約
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
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カードローン滞納によって、返済まで受ける3つのデメリット
カードローンの返済日は、契約時に指定されます(例:毎月末までに支払い)。
期日までに返済が行なわれないと「滞納(延滞)」となります。
カードローン滞納によって、返済までに受けるデメリットは主に次の3つです。
- 遅延損害金(延滞利息)が発生する
- カードローンの利用が停止する
- 督促や一括請求を無視すると、財産を差し押さえられる可能性がある
それぞれについてご説明します。
(1)遅延損害金(延滞利息)が発生する
カードローン滞納により、返済期日の翌日を1日目として、遅延した日数に応じて「遅延損害金(遅延利息)」が発生してしまいます。
遅延損害金の計算式は、
です。
遅延損害金年率は一般的に、銀行カードローンで約18〜20%、消費者金融カードローンで約20%です(利息制限法により、銀行や消費者金融などの遅延損害金年率の上限は20%と定められています)。
通常は、利息より遅延損害金の方が高いため、カードローンを滞納すると、返済すべき額が雪だるま式に増えてしまうおそれがあります。
(2)カードローンの利用が停止する
カードローン滞納により、カードローンの利用(新たな借入れ)は停止してしまう場合があります。
カードローンの利用が停止されるタイミングはカード会社によって異なりますが、返済期日の翌日以降からカードローンの利用がストップされる可能性が出てきます。
カードローン滞納によって一度でも利用停止になると、基本的には滞納分を完済するまでは利用することができなくなります。
滞納していた分を返済した後は再び利用可能になるものの、場合によっては返済から利用再開まで数日かかるケースもあります。
滞納期間が長引くと、強制解約される可能性も
あまりに滞納期間が長引くと、カードローンの契約自体が強制解約され、借金だけが残ってしまう可能性があります。
強制解約されると、滞納した分を返しても、解約されたカードローン契約に基づいては、新たな借入れをすることはできなくなります。
再度、カードローン契約を結べば借入れは可能となりますが、強制解約されるまで至った借入先と再びカードローン契約をすることは極めて困難です。
また、後述の通り、カードローン滞納をすると、信用情報に滞納したという情報が登録されてしまう(俗にいうブラックリスト)ので、当該情報が載っている間は、その他のカードローン会社ともカードローンの契約をすることができないのが通常です。
(3)督促や一括請求を無視すると、財産を差し押さえられる可能性がある
カードローンの返済を延滞してしまった場合も、すぐに支払えばそれほど大きな問題にはなりません。
しかし、長らくカードローン滞納の状態が続くと、財産を差し押さえられるおそれがあります。
滞納から差押えまでの大まかな流れは、次の図のようになります。
返済の督促
一括請求
訴訟
差押え
すなわち、返済期日の翌日以降、ハガキや電話によって、カードローン会社から返済するよう督促があります。
この督促を無視して延滞を続けると、一括返済を求められることが通常です。
この一括返済の催促をも放置すると、カードローン会社が「貸した金を返せ」という訴訟を起こす可能性があります。
裁判所が「借主は返済をしなさい」という判決文を出すと、カードローン会社は強制執行という裁判所の手続きを利用して、借主の預金や給料などの財産を差し押さえてくる可能性もあります。
給料の差押えの場合、カード会社が勤務先から直接お金を取り立てますので、会社に借金の事実が知られてしまいます。
カードローンの長期滞納をした場合、訴訟の前に、銀行カードローンは保証会社に、消費者金融カードローンは債権回収会社に債権者が変更されたりすることがあります。保証会社や債権回収会社からの請求にも応じないでいると、やはり、上記のように訴訟や差押えに至ってしまう可能性があります。
カードローンを滞納した場合の差押えを回避するための方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
ブラックリスト(信用情報)登録は、滞納したカードローンの返済後も続くデメリット
滞納したカードローンを返済すると、再度の滞納をしない限り、以後の遅延損害金は付されません。
カードローン利用停止も滞納分を返済すれば解除される可能性はあります(ただし、ケースによっては解除されないこともあります)。
しかし、カードローン滞納によっていわゆる「ブラックリスト」に一度載ってしまうと、一定期間、「クレジットカードが使えなくなる」「ローンが組めない」などの生活への影響が避けられなくなってしまうことがあります。
この「ブラックリスト」につきご説明します。
(1)「ブラックリスト」とは?
金融業界に「ブラックリスト」という名称のリスト自体は存在しません。
返済が遅れているという事故情報(異動情報、延滞情報、ネガティブ情報とも呼ばれる)が個人信用情報機関に登録されることを、一般的に「ブラックリストに載る」といいます。
カードローン会社や銀行、消費者金融といった金融機関は、国内に3つある信用情報機関(CIC、JICC、KSC)のいずれかに加盟し、延滞などの事故情報は信用情報機関内で共有されています。
したがって、一度、延滞などの事故情報が登録されると他社の信用も失ってしまいます。
延滞情報は、滞納してから2、3ヶ月で信用情報に登録される可能性があり、延滞情報は、滞納が解消されてから1~5年記録されます。
これらの延滞情報を載せるタイミングや、登録期間は信用情報機関によって異なります。
具体的には、次の通りです。
【滞納の事故情報が登録される期間】
信用情報機関 | 滞納に関し登録される主な情報 | いつまで載るか |
---|---|---|
CIC | ・延滞・遅延(返済日より61日以上または3ヶ月以上の延滞・遅延) ・延滞・遅延の解消 | 契約期間中および契約終了後(完済など)から5年以内 |
JICC 【キャッシングの契約】 | 延滞(元金・利息の3ヶ月以上の延滞) | 延滞解消まで |
延滞解消 | 【契約日または貸付日が2019年9月30日以前】 ⇒延滞解消後1年以内 【契約日または貸付日が2019年10月1日以降】 ⇒契約継続中+契約終了後(完済後など)から5年以内 | |
JICC 【クレジットや金融機関等の契約】 | ・遅延(元金・手数料の返済が、約定返済日から61日以上、または3ヶ月以上遅延している状態) | 遅延解消まで |
遅延解消(支払条件変更後に3回以上正常に入金が行われた場合を含む) | 【契約日または貸付日が2019年9月30日以前の登録】 ⇒遅延解消後1年以内 【契約日または貸付日が2019年10月1日以降の登録】 ⇒契約継続中+契約終了後(完済後など)から5年以内 | |
KSC(全国銀行協会) | ・延滞 ・延滞解消日 | 【契約または借入日が2006 年10月1日以前の登録】 ⇒延滞発生日等から5年 【契約または借入日が2006 年10月1日より後の登録】 ⇒延滞解消日から5年 |
また、信用情報機関から延滞情報が削除されても、滞納先の金融機関に社内情報として、当該延滞情報が半永久的に登録され続け、当該滞納先での再度のカードローン契約は拒まれる可能性があります(社内ブラック、行内ブラック)。
参考:<詳細版>『信用情報記録開示書』項目説明書|信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構(JICC)
参考:登録情報開示報告書の見方|一般社団法人 全国銀行協会
参考:指定信用情報機関について|日本貸金業協会
(2)自分のブラックリスト登録状況の確認方法
各信用情報機関には本人開示制度があり、開示請求の手続きをすれば自分の登録状況を確認することができます。
信用情報機関によって、開示の請求方法は異なりますが、郵送などで開示請求書や所定の開示請求を行うことができます。
(2-1)どこの信用情報機関から開示を受けたらいいか
自身の信用情報は、借入先の金融機関が加盟していた信用情報機関から開示を受ける必要があります。
例えば、(仮名)A社からのみしか借り入れしたことがない場合で、A社がCICにのみ加盟しているときには、CICから信用情報の開示請求する必要があります。
金融機関は、借入時の申込書や契約書の約款などに、どこの信用情報機関に登録するか記載することが義務付けられています。
契約書などを見ても分からないというときは、借入先に信用情報の登録先を確認するか、CIC、JICC、KSCの3社すべてから信用情報の開示を受けることになります。
(2-2)信用情報の開示請求の方法
信用情報の開示は、郵送での開示請求やインターネットを利用しての開示請求があります。
各信用情報機関によって、開示請求できる方法が異なりますし、費用なども変更されることがあります。開示方法は、CIC、JICC、KSCのホームページに記載がありますので、開示を請求したい信用情報機関の最新の請求方法を事前にご確認ください。
各信用情報機関における、信用情報の開示請求の概要は次のとおりです。(*詳細はホームページにてご確認ください)
【開示請求方法など(本人が請求する場合)】
信用情報機関名 | 申請方法 | 準備するもの/原則的な提出書類など | 手数料など |
---|---|---|---|
CIC | ・パソコン ・スマホ ・郵送 |
【インターネットでの開示請求の場合】 ・クレジット等の契約に利用した発信番号を通知できる電話等 【郵送での開示請求の場合】 ・開示申込書 ・本人確認書類2点(運転免許証、マイナンバーカード等) ・1500円分の定額小為替証書 |
【インターネットの場合】 税込み500円 【郵送の場合】 税込み1500円 ※速達による送付などを希望する場合は、追加分の費用が必要。 ※インターネットの場合で、初回開示から96時間以内に再開示を行った場合、手数料は無料。 ※インターネットの場合は本人名義のクレジットカードでの一括支払又はキャリア決済による支払 ※郵送の場合は定額小為替証書による支払 |
JICC | ・スマホの専用アプリ ・郵送 ・窓口(*2023年3月時点で当面休止) |
【スマホアプリでの開示請求の場合】 ・クレジット等の契約に利用した発信番号を通知できる電話等 ・郵送で結果を受け取る場合等は本人確認書類2点(運転免許証、マイナンバーカード等)が必要 【郵送での開示請求の場合】 ・信用情報開示申込書 ・本人確認書類2点(運転免許証、マイナンバーカード等) ・1000円分の定額小為替証書又はクレジットカードでの開示等手数料お支払い票 |
【スマホアプリ/郵送の場合】 税込み1000円 ※速達による送付等を希望する場合には、別途費用が必要。 ※スマホアプリでの開示請求は本人名義のクレジットカードでの一括支払、コンビニ払等のオンライン収納代行又はキャリア決済による支払 ※郵送の場合は本人名義のクレジットカードでの一括払い又は定額小為替証書による支払 |
KSC | ・パソコン ・スマホ ・郵送 |
【インターネットでの開示請求の場合】 ・SMSが受信できる携帯電話やスマホ、メールアドレスが必要 ・マイナンバーカードによる公的個人認証(NFCを搭載したスマホ、専用アプリが必要)又は顔写真付き本人確認書類と申込者の顔の撮影が必要 【郵送での開示請求の場合】 ・開示請求申込書 ・本人確認書類2点(運転免許証、マイナンバーカード等) ・本人開示手続き利用券 |
【インターネットの場合】 税込み1000円 【郵送の場合】 税込み1124円~1200円 (利用券を購入するコンビニによって異なる) ※インターネットでの開示請求は本人名義のクレジットカードでの一括支払、PayPay又はキャリア決済による支払 ※速達による送付を希望する場合は、追加費用が必要 ※郵送の開示請求は「本人開示手続き利用券」(*購入するコンビニによって手数料が異なる)による支払 |
*支払方法によっては、別途手数料が必要なこともあります。
*本人以外にも、法定代理人、本人の依頼を受けた代理人、本人が死亡した場合の相続人も開示請求ができます(*開示方法は郵送に限られます。また、必要書類は上記の表とは異なります)。
参考:信用情報開示制度について|信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構(JICC)
参考:本人開示の手続き|一般社団法人 全国銀行協会
ブラックリストに載ると起こる6つの制約
信用情報機関に登録されている情報は、当該機関に加盟している銀行や消費者金融、信販・クレジットなど、系統を問わず各社に共有されます。
信用情報に延滞したという情報が載ることで、いわゆる「信用情報に傷がついた状態」になると、日常生活での制約も小さくありません。代表的な制約は次の6つです。
- 現在使用しているクレジットカードが使えなくなる可能性
- クレジットカードを新規作成できない可能性
- ローンやキャッシングなど一切の借金ができない可能性
- 買い物で分割払いができない可能性
- 子どもの奨学金を含め、他者の借金の保証人になれない可能性
- 賃貸住宅の審査が下りない可能性
それぞれについてご説明します。
(1)現在使用しているクレジットカードが使えなくなる可能性
滞納前まで使用していたクレジットカードは、いずれ使用できなくなります。
使用できなくなるタイミングはカードローン会社によって異なります。
同時使用していた滞納実績がないクレジットカードも、更新のタイミングで与信審査が行なわれるので、そのタイミングで使えなくなる可能性があります。
(2)クレジットカードを新規作成できない可能性
ブラックリストに載っている期間中にクレジットカードを新規作成しようとしても、原則として審査に落ちてしまいます。
入会時の審査が不要なデビッドカードやプリペイドカードは登録・使用できます。
(3)ローンやキャッシングなど一切の借金ができない可能性
ブラックリストに載っているあいだは、原則として、ローンやキャッシングなどの新たな借入れができなくなります。
(4)買い物で分割払いができない可能性
分割払いも一種のローンであり、申込みの際には信用情報登録機関に照会されるため、審査が通らない可能性があります。
スマホの購入時も該当し、スマホ本体を購入したい場合は現金一括払いでの購入が必要です。
(5)子どもの奨学金を含め、他者の借金の保証人になれない可能性
借金の契約をする際は保証人も審査対象になるため、ブラックリストに載っている間は原則として、他者の保証人になれません。
例えば、子どもが奨学金を受給する場合も、自分は保証人になることができない可能性があります。
この場合は、自分以外の第三者に保証人になってもらう、機関保証(保証料を払って、法人に保証人になってもらう)を利用するなどの必要があります。
(6)賃貸住宅の審査が下りない可能性
賃貸住宅の入居審査で、必ずしも信用情報が問われるわけではありません。
ただし、家賃保証会社との契約が義務付けられている賃貸住宅を申し込む場合は、その家賃保証会社が信用情報を問い合わせて入居審査が通らないこともあります。
不動産会社が発行・提携しているクレジットカードで家賃を支払う場合も、カード審査に落ちて入居審査が通らない可能性があります。
そのため、保証会社や、クレジットカードでの家賃の支払いが不要な物件を選ぶ必要が出てくることがあります。
【まとめ】カードローンを滞納してブラックリストに載ると、クレジットカードの利用やローン契約などが困難になる
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- カードローンの返済を滞納すると、主に次の3つのデメリットが生じる。
- 遅延損害金
- カードローンの利用停止
- (それ以降も滞納していると)差押えのおそれ
- クレジットカードやローンの支払状況などの情報を「信用情報」といい、信用情報の中でも支払いを滞納したなどの情報を「事故情報」という。
事故情報が登録されている(いわゆる「ブラックリストに載っている」)間は、主に次の6つの制約がある。- 現在使用しているクレジットカードが使えなくなる可能性
- クレジットカードを新規作成できない可能性
- ローンやキャッシングなど一切の借金ができない可能性
- 買い物で分割払いができない可能性
- 子どもの奨学金を含め、他者の借金の保証人になれない可能性
- 賃貸住宅の審査が下りない可能性
カードローンを滞納し続けると、督促や一括請求などによって、訴訟されたり差押えされたりするなど、状況が一層悪くなる可能性があります。
そのため、カードローンの滞納が続いていて、自力では解消が難しい場合は、専門家に債務整理を相談してみましょう。
債務整理とは、借金返済の負担を減らしたり無くしたりするための手続きです。
カードローン会社が差押えの準備を始めるよりも前に債務整理を始めれば、差押えを受けるリスクを下げることができます。
債務整理をした場合も、一定期間は事故情報が登録されます。しかし、債務整理をしなくても、滞納が長期化した段階で事故情報は登録されます。
いずれにせよ事故情報が登録されるのであれば、家計に余裕ができる可能性のある債務整理をした方がメリットがあるといえます。
カードを作ったり使えなくなったりできることは、むしろお金を使い過ぎないようにする「チャンス」ともとらえることができます。
「返済の負担を減らせないかな?」と思った方は、まずは弁護士に相談してみませんか。
アディーレ法律事務所では、債務整理についてのご相談を承っております。
また、アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております(2023年3月時点)。
借金の返済についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。