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不倫示談書に書くべき7つの項目とトラブル回避のための4つの注意点

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「夫(妻)が不倫をして、その不倫相手と示談をすることになった。示談書にはどんなことを書けば良いんだろう」

配偶者の不倫問題を解決する方法の1つとして、「交渉での解決」がありますが、交渉で解決する場合には、「示談書」という書面を作成することをお勧めします。
不倫の事実があったことを確認し、合意した慰謝料の額や、支払い時期について記載した書面を作成することで、後々、「言った言わない」などのトラブルを避けることができるためです。

示談書は、和解書、合意書、契約書などと呼ばれることもありますが、書面の呼び方によって法的効力は変わりません。

一度、示談書にサインや押印をしてしまうと、後からその内容を否定するのは非常に困難です。

ですから、示談書を作る時は、示談書に何を書くべきなのか、示談書で取り決めた内容を守らなかった時はどうするかということなどを事前にしっかり調べておく必要があります。

そこで、今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 不倫の示談書を作成する目的
  • 示談書に記載すべき7つの項目
  • 示談書作成の手順
  • 後のトラブルを回避するための4つの注意点

※今回は、夫が妻以外の女性と不倫をしたというケースで、不倫をされた妻の立場からご説明します(妻を「本人」、夫を「配偶者」、夫と不倫をしていた女性を「不倫相手」と言ってご説明します)。

この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

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不倫の示談書とは何か

示談書とはどのような文書なのかを、ご説明します。

(1)示談書とは示談の内容を記録した文書

不倫問題の解決法として、裁判などによらずに、当事者同士で話し合って解決する「示談」という方法があります。
そして、示談の内容を記録した文書のことを「示談書」といいます。

何のために「示談書」なんて作るんですか?

一番の目的は、後々のトラブルを防ぐためです。

不倫相手は、不倫を認めて慰謝料を支払うと言っています。
それでも示談書を作った方が良いですか?

口約束でも合意は有効です。
ですが、口約束だけだと、後から「言った・言わない」のトラブルになってしまう可能性がありますので、しっかり書面に残しておくことがお勧めします。

示談書は、示談が成立した(当事者同士が合意した)ときに作成されます。
慰謝料の金額や今後の約束など、示談で取り決めた内容が書面として記録になります。
示談書を作成せずに口約束だけの場合、慰謝料の未払方法や支払時期・金額などに食い違いが生じて後々、次のトラブルが起こってしまう可能性があります。

示談書は、そういったトラブルを未然に防ぐために作成するものです。
また、示談書を作成するのは、次のような目的もあります。

  • 慰謝料の内容を詳しく書くことで、慰謝料を支払ってもらえないリスクを低くする
  • 不倫の再発を防止する
  • 不倫が再発した場合、慰謝料増額請求に役立てる
  • 離婚することになった際、訴訟における証拠として役立てる

示談書の記載内容はあいまいにせず、後でご説明する7つの項目をしっかりと具体的かつ明確に記録しておきましょう。

(2)示談書と誓約書・念書の違い

示談書と混同されやすい言葉に「誓約書(念書)」があります。この違いは、書類に記載した内容を守らなければいけない人の違いです。

示談書は、示談をした当事者双方が内容に拘束されます。
つまり、(仮名)Aと(仮名)Bが示談をした場合、示談をしたAとBの双方が示談書の内容を守なければならないということになります。

一方で、誓約書(念書)は、誓約書を作成した人だけが守るものです。
たとえば、不倫をした配偶者が「不倫相手と今後一切連絡を取りません」という誓約書を作った場合には、誓約書の内容を守らなくてはならないのは不倫をした配偶者だけということになります。

不倫の示談書に記載したい7項目

不倫の示談書の記載内容はケースによって異なりますが、ここでは多くのケースにおいて記載しておくべき主な項目を7つご説明します。

(1)不貞行為(不倫)の事実

まず、配偶者と不倫相手との間で不貞行為があったという事実について記載します。
具体的には、誰が誰と不貞行為をしたのか、不倫によって被害を受けたのは誰か、といった内容になります。

記載例

●は◆に対し、〇年〇月から〇年〇月〇日までの間、◆の配偶者である▲といわゆる不貞関係にあったことを認めるとともに、これについて深く謝罪をする。
(※●は不倫相手、▲は不倫をした配偶者、◆は本人(慰謝料を請求する人)です)

(2)慰謝料についての詳細

次に、慰謝料に関する取り決めを、次の項目を掲げて詳しく記載します。

  • 金額
  • 支払期日
  • 支払回数
  • 支払方法(現場での手渡し、銀行振込など。現場での手渡しの場合「本日現金にて支払、受領した」と記載。銀行振込の場合は振込先口座情報も記載する)
  • 支払にかかる手数料は誰が負担するか
  • 分割払いの支払を怠った場合の一括請求

慰謝料を一括で支払えない場合には、分割で支払うケースもあります。
ただ、分割で支払う場合には、後々支払が滞った時に備えて公正証書で示談書を作ることも検討すべきです。

なぜ、公正証書で示談書を作ると良いんですか?

「強制執行認諾条項」のある公正証書で示談書を作っておくと、後々、慰謝料の支払が滞った時に、すぐに不倫相手の給料や預金を差し押さえて強制的に慰謝料を支払わせることができるためです。

また、実際に公正証書で示談書を作成した方の事例についてもご参照ください。

(3)誓約事項

配偶者と夫婦としての関係を継続する場合は、配偶者と安心して過ごす権利を守るために、示談の相手に誓約してもらうことを記載します。

たとえば、次のような内容になります。

  • 配偶者との接触禁止(今後は一切連絡を取らないことなど)
  • 名誉を傷つける行為の禁止(SNSなどでの書き込み、発信はこれにあたると考えられます)

接触禁止の約束をさせる際の注意点などについて詳しくは次の記事もご参照ください。

また、示談書に誓約事項を盛り込んだ方の事例についてもご参照ください。

(4)誓約事項に違反した際のペナルティ

誓約事項を定めた場合、その約束を守らなかった場合のペナルティも定めておいた方がよいでしょう。
例えば、「接触禁止のルールに違反した場合には、違約金として50万円を支払う」というような条項です。

誓約事項に違反した場合のペナルティを示談書に盛り込み、実際に違反したために違約金を請求した方の事例についてもご参照ください。

(5)求償権の放棄

不倫は、配偶者と不倫相手が共同でおこなった不法行為、つまり「共同不法行為」なので、慰謝料を支払う義務は配偶者と不倫相手の両方にあります。

共同不法行為には、不法行為の一部に加担すれば、発生した結果全部について責任を負うべき、という原則がありますから、上の例では、妻は、夫と不倫相手のどちらか一方に対して、慰謝料を全額請求できます。

ただし、慰謝料全額を不倫相手に請求して、不倫相手が全額支払った場合、不倫相手は夫に対して、本来夫が支払うはずだった金額の支払を請求する権利があります(これを求償権といいます)。
この求償権を行使してほしくない場合は、不倫相手に求償権を放棄してもらうという内容を示談書に盛り込まないといけません。

求償権を放棄させない場合のリスクなどについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

また、示談書で求償権を放棄させた方の事例についてもご参照ください。

(6)守秘義務

不倫について第三者に口外したり、インターネットに書き込んだりすることを一切禁止する項目を盛り込みます。

やはり、配偶者が不倫したという事実が職場や知人関係などに拡散すると、それによって配偶者の信頼がダメージを受けることになりますし、本人も噂をされるなど辛い思いをすることがあります。

そこで、不倫の問題で示談するときは、通常、「不倫の事実を第三者に口外しない」という守秘義務を定めるとよいでしょう。

(7)清算条項

この示談によって、今回の不倫問題が解決したことを示すための条項です。
示談書に記載したもの以外、お互いに一切の債権や債務がないということを記載します。

不倫の示談書を交わす手順

不倫の示談書は、次のような手順で交わすのが一般的です。

(1)示談交渉を進める

どのような条件で不倫問題を解決するか、不倫相手や不倫をした配偶者と示談交渉を進めます。
示談交渉の始め方としては、まずは不倫の慰謝料を請求し、相手方の出方を見ることになるでしょう。
途中で交渉が決裂したり、相手が慰謝料の請求を無視する場合は、裁判などの法的措置を検討することになります。

(2)示談書を人数分用意する

示談交渉が成立したら、人数分の示談書を用意します(本人と不倫相手の2人で示談する場合は2部、本人と不倫相手と配偶者の3人で示談書を交わすなら3部)。

割印をしておくことも忘れないようにしましょう。
割印とは、2つ以上の文書にハンコをまたがるように押すことによって、文書の関連性を示すなつ印方法のことをいいます。ハンコが2つに割れるので「割印」と呼ばれます。

割印とは

(3)示談の当事者が署名・押印する

示談の当事者全員が示談書に署名・押印します。

不倫相手や配偶者と一堂に会して示談書を交わすこともできますし、顔を合わせたくない場合には、示談書を郵送して、署名・押印をしたのち返送してもらうということも可能です。

郵送した場合には、返送されてきた文書の内容を念のため確認し、無断で変更されているようであればすぐに指摘することが必要です。

(4)自宅で示談書を保管する

当事者全員の署名・押印ができたら、示談書を保管しておきます。

今回取り決めた約束を破られた場合に活用できるように、示談書は大切に、かつすぐに取り出せる場所に保管しておきましょう。

(5)慰謝料の入金を確認する

示談書を取り交わしても、約束通りに支払をしない人も少なくないため、しっかりと期日までに入金されるかを確認することが重要です。

入金されない場合は、支払催促の申立てや訴訟などを起こして示談金を回収することも検討しましょう。

強制執行認諾条項のある公正証書で示談書を作っておけば、期日までに支払がなければ支払督促の申立てや訴訟などをすることなく不倫相手の財産を差し押さえることができます。

入金が遅れた場合は、遅延損害金を請求することも可能です。

不倫相手の財産を差し押さえたいという場合にはこちらの記事もご参照ください。

差押えの仕組みと流れを徹底解説!どんな財産が差押え対象となる?

不倫示談書を作成する際の4つの注意点

(1)案文の作成を相手に任せない

当事者のうち、どちら側が示談書を作っても構いませんが、一般的に、示談書の作成を主導した方が、有利な立場で交渉を進めやすくなります。

示談書の作成には手間がかかりますが、自ら進んで示談書を作成することで受けられるメリットも多くあります。
たとえば、確実に自分の要求を盛り込めるなどといったことです。
内容の作成を相手任せにせず、自分側がたたき台をつくることがポイントです。

(2)明確かつ端的に書く

トラブルを防ぐという目的を考えると、示談書の内容は、誰が読んでも一通りにしか解釈できないよう、端的な表現で記述することが大切です。
別の意味にも解釈できるようなあいまいな表現にしてしまうと、後から示談書の内容を否定されて、新たなトラブルが発生してしまうことになりかねません。
内容を過不足なく盛り込み、かつ、二義を許さない明確な表現を心がけましょう。

(3)テンプレートをそのまま使わない

インターネットに、示談書のテンプレートが配布されていることがあります。
しかし、不倫の状況や示談の条件はそれぞれのケースで異なるため、テンプレートをそのまま流用することは基本的にはお勧めできません。
示談書の内容は、個々の状況を加味して練り上げる必要があります。

(4)弁護士・司法書士・行政書士に相談する

示談書を確実に法的効力のあるものにして、トラブルを回避したいなら、法律の専門家である弁護士などに相談するほうがよいでしょう。

まずは自力で示談書を作成して、添削を依頼するのも1つの手です。

特に公正証書で示談書を作成するには、必要な記載項目が増え、手続きも煩雑になるので、弁護士・司法書士・行政書士に相談することをいっそうお薦めします。

ただし、行政書士は公正証書の形式の確認などはできますが、内容について相手方と交渉することはできません。
行政書士に公正証書の作成を依頼しても、内容について相手方と交渉が必要になる場合には改めて弁護士などに依頼する必要がありますので、注意が必要です。

行政書士に依頼した後、改めて弁護士を依頼した事例についてもご紹介していますので、ご参照ください。

【まとめ】不倫の示談書は、あいまいな表現をさけて具体的な言葉で、約束に違反した場合のペナルティなどを記載しておくことが重要

今回の記事の内容は、次のとおりです。

  • 配偶者が不倫をした場合に、その不倫相手と示談書を作成するのは、次の目的による。
    1. 書面に残すことで示談後のトラブルを防ぐ
    2. 慰謝料の内容を書面で取り決めることで、支払ってもらえないリスクを減らす
    3. 不倫の再発を防止する
    4. 不倫が再発した際に慰謝料の増額請求に役立てる
    5. 後で離婚をすることになった際、証拠として利用できる
  • 示談書に記載すべき項目は次の7つ。
    1. 不貞行為(不倫)の事実
    2. 慰謝料についての詳細(金額・支払時期・支払方法など)
    3. 誓約事項(接触禁止など)
    4. 誓約事項に違反した場合のペナルティ(違約金)
    5. 求償権の放棄
    6. 守秘義務
    7. 清算条項
  • 示談書を作成する際の注意点は次の4つ
    1. 案文の作成を相手に任せない
    2. 明確かつ端的に記載し、二義の余地を残さない
    3. テンプレートをそのまま使わない
    4. 弁護士などの専門家に相談する

アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

(以上につき、2022年7月時点)

浮気・不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、浮気・不倫の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

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