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民法709条とは?具体的な事例で損害賠償請求についてくわしく解説

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社会にはさまざまな人がおり、私たちは悪意であれ不注意であれ時に傷つけ合います。
いじめ、浮気・不倫、DV・暴言、交通事故――。
相手に謝罪してほしいと願っても、残念ながら法律上お金で決着をつけるしかありません。
契約関係にない人に対してお金を請求する手段が民法709条です。
そこで、今回は「民法709条(不法行為)」について解説します。

民法709条の内容

民法709条では、不法行為について、次のように規定されています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法709条

損害を生じさせたものを罰するのではなく、損害の公平な分担が民法709条の趣旨です。この条文の内容について、くわしくみていきましょう。

(1)不法行為における故意又は過失とは?

民法709条でお金を請求できるのは、相手に故意または過失がある場合に限られます。

  • 故意…自分の行いによって他人に損害を与えると知りながらその行いをすること
  • 過失…損害が発生すると予想しそれを回避することができたのに避けなかったこと

刑法と異なり、民法では故意と過失は明確に区分されていません。いずれにしても相手の何らかの落ち度で損害を被った場合には、お金を請求できます。

逆にいえば、不可抗力で損害を被ったとしても損害賠償を求めることはできません(過失責任の原則)。

たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

深夜の森の中、自動車を運転中、子どもが突然飛び出してきたので、衝突してしまった。

このようなケースでは、自動車の運転手に何ら落ち度がないため、損害賠償請求は認められにくいといえます。

ただし、土地工作物責任(民法717条)における工作物の所有者など過失がなくても責任が生じることはあります。

(2)他人の権利又は法律上保護される利益とは?

財産権やプライバシー権のように権利を侵害された場合に限られず、騒音に悩まされずに平穏に生活できる利益など法律上保護に値する利益を侵害された場合にも不法行為は成立します。つまり、侵害されたのが“権利”とまでいえるかは議論の必要がないということです。

実務においても「他人の権利又は法律上保護される利益」かどうかではなく、その行為が「違法」かどうかが争われています。具体的には侵害された利益の重大性と侵害行為の悪質さを考慮して違法かどうかを判断します。命を奪われたときには些細な不注意であっても違法と判断される可能性が高くなります。

不法行為に基づく損害賠償請求権が発生する5つの条件

不法行為に基づく損害賠償請求権が発生する条件は、次の5つです。

  1. 加害者に責任能力があること
  2. 加害者に故意・過失があること
  3. 加害行為に違法性があること
  4. 被害者に損害が発生すること
  5. 加害行為に損害発生との間に因果関係があること

では、これらの要件をくわしくみていきましょう。

(1)加害者に責任能力があること

民法712条では、責任能力に関して、次のように規定されています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

引用:民法712条

幼い子どもたちは、自分たちの行動が悪いかどうかを判断することができません。
保育園で他の子どもが遊んでいる道具を無理に奪ってしまう子どももいるでしょう。
そんなとき相手に精神的苦痛を負わせたからといって、子どもが慰謝料を払う話にはなりません。
一般的に12歳にもなれば良い・悪いの判断がつくので、責任能力があるとされます。

なお、子どもに責任がない場合には、子どもの親など子どもを監督する人に損害賠償を請求できることがあります(民法714条)。

(2)加害者に故意・過失があること

これまでにご説明したように、損害賠償請求をするには加害者の故意・過失が必要です。
民法709条では、被害者が加害者の故意・過失を証明しなければなりません。

(3)加害行為に違法性があること

損害賠償請求が認められるためには、加害行為が違法でなければなりません。
正当行為、正当防衛、緊急避難といった違法性阻却(そきゃく)事由がないことも必要です。
たとえば、相手の体を何の理由もなく刃物で切り付けることは違法です。
しかし、手術中に医師がメスで切ることは、正当行為として適法です。

(4)被害者に損害が発生すること

損害とは、本来の状況から不法行為によって生じた状況の金銭的差額です。
たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

飼い犬の散歩中リードを離したら、犬に追いかけられた通行者が手に持っていたカメラを落とした。その結果、カメラのレンズが壊れ、10万円で修理せざるを得なくなった。

もし飼い主がリードを離さなければ、カメラが壊れることはありませんでした。
その状態と実際に生じた状態を比較すると、通行人に10万円の損害が生じています。

(5)加害行為に損害発生との間に因果関係があること

損害賠償が認められるのは、加害行為と因果関係のある損害だけです。
次のようなケースを想定してみましょう。

自転車で走行していたら、車線を挟んだ反対側の通路を歩いていた歩行者が転倒した。

社会ではさまざまなことが起きており、当然ながらそのすべてに自分の行為が影響を及ぼすわけではありません。損害の公平な分担という不法行為の趣旨からして、言いがかりとしかいえないような損害賠償請求を排除するため、因果関係が必要になっています。

因果関係が認められるためには、少なくとも「あれなければこれなし」といえることが必要です。
先ほどの事例で自転車の走行がなくても歩行者が転倒したのであれば、因果関係は認められません。歩行者が転倒したのは自転車の走行が原因だったのかということです。

不法行為によって賠償請求できる事例

不法行為をよりイメージしやすくなるように、具体的なケースを想定してみましょう。

(1)浮気や不倫による被害

結婚5年目。仲睦まじく暮らしていた夫婦の隣の家に美しい女性が引っ越してきました。それからまもなく夫は、隣の家の女性と肉体関係を持つようになり、やがて夫婦は離婚しました。

隣に住んでいたならば、不倫をした女性は男性が既婚者であること、また、浮気をするまで夫婦の婚姻生活に亀裂が生じていないこと(婚姻生活が破綻していないこと)を知っていたはずです。
それにもかかわらず、肉体関係を持ち夫婦を離婚させ、妻である女性に精神的苦痛という損害を生じさせました。
このような状況で、妻は夫だけでなく隣の家の女性にも損害賠償を請求できます。

(2)配偶者暴力(DV)による被害

妻が洗濯物を畳んでいると、夫が「畳み方が汚い」と怒鳴り声をあげ、傍にあった椅子で妻を頭上から殴りつけました。その後、妻はその怪我の治療のため3週間通院しました。

「家庭に法は入らず」ということわざがあるとはいえ、これはれっきとした犯罪です。
夫は、故意で、妻の身体を傷つけ、3週間の通院費などの損害を生じさせましたので、損害賠償請求は認められます。
出来る限り証拠を集めたうえで、警察に相談するのが良いでしょう。

(3)インターネット・SNSでの誹謗中傷による被害

インターネット上でオリジナルの小説を公開していたところ、「今まで読んだ中で一番の駄作だ。こんなものを公衆の目に晒すなんて恥知らず」といった書き込みがあった。

このような書き込みは、正当なレビューの範囲を超えているでしょう。
精神的な苦痛を受けたとして、相手に損害賠償を請求できる可能性が高いといえます。

(4)交通事故による被害

横断歩道を歩いていたところ、自動車に衝突され、1ヶ月入院した。

交通事故の被害者は、加害者に対して、生じた損害を損害賠償請求できます。

【まとめ】不法行為による損害賠償請求に関するご相談は弁護士へ

他人によって損害を被った場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、必要な証拠の収集・精査をして、相手方に損害賠償を請求すべきかどうか必要なアドバイスをしてくれるでしょう。

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